TRIP



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12月5日 げつようび  はれ            (その1)

「私、もっともっとネイルの勉強がしたいの。」
千秋はネイルの道具をキャリーバッグに詰め込みながら言う。
「せっかくアフリカから帰ってきたのに、
 またしばらく会えなくなるね。」
「どういうこと?」
「修行の旅に出るの、行ってくるね!」
「そ、そんな〜・・・」

なんだなんだ〜!
ベッドから起き上がって辺りを見回す。
そうか、ここはダカールだったか・・・
また夢を見ていたようだ。
ベッドが変わると寝付かれず、
夜中に何度も何度も目が覚めた。
蚊に刺されないようにと思って、窓は締め切り、
寝袋に包まって眠ようとするのだが、
暑くて暑くてどうしようもない。
まぁあと2日だし、なんとか頑張るさ!














7:30に身体を起こし、
締め切っていた窓を開けて外の風景を眺めると、
ちょうど日が昇り始めるところだった。
フランス人がウォーキングをしているのが見える。
今日もいい天気になりそうだ。
今日はゴレ島に行ってみようと思っている。
ゴレ島は

“かつて西アフリカの代表的な奴隷積出港だった島で、
 当時が偲ばれる建物が博物館として残されている。
 観光の目玉となっている
『奴隷の家(MAISON DES ESCLAVES)』は、
 奴隷集積場として使われていた建物。
 島南端の砦は歴史博物館となっている。
 世界文化遺産”(旅行人ノート)

ちなみに、学校の世界史でも習った
この“奴隷貿易”は、
16世紀頃から19世紀初めまで
行われていたと言われている。
アメリカで展開する大規模農園(プランテーション)に
必要となった安価な労働力をまかなう為、
西アフリカ一帯の黒人を大量に輸入していたのだそうだ。
そんな悲しい歴史を持つ輸出港と聞けば
なんとも重たい気持ちになるが、
今ではのんびりとしていて、美しい家並みが続き、
アーチストやミュージシャンがたくさん住んでいるらしく、
運がよければジャンベを叩いている人も
見ることができるかもしれないと教えてもらっていた。
島に渡る船も頻繁に出ているようなので、
10:00発で行って早く帰ってこれれば
午後からはダカールの街中を歩いてみよう。














荷物をまとめて8:30にホテルを出発!
おっとっと、帽子を忘れてしまった。
今日も天気がいいから
日射病にならないように帽子は必需品だ。
再び出発進行!
あ、あそこに店がある。
夕べ水がほとんど無かったから、
一刻も早く水分を取りたい。
まずはミネラル・ウォーターを買っておこう。
「ミネラル・ウォーター・
 コンビヤン?(いくらですか?)」
「600CFA」(約120円)
よ〜し、水をGet!
おぉ、よく冷えてるよ。冷えた水を飲むのは久しぶりだ。














マルシェは市場って意味なんだ!
ケルメル市場












ダカールの街を歩く。
確かにバマコより街がしっかりしているようだ。
ホテルから100mも歩くと
左手に大きな円形の建物が見えてきた。
どうやらこれがケルメル市場のようだ。
俺の泊まっているホテル・マルシェの
“マルシェ”はフランス語で“市場”と言う意味で、
このケルメル市場の近くに建っているから
その名が付いたのだろうと思われる。
市場というだけあって朝からたくさんの人が集まって、
威勢のいい声が響いてくる。
今日の昼か明日には行ってみたい。














そこを通り過ぎ右に曲がって、海岸線を目指す。
道端にはズラリと露店が並び、
たくさんの人が朝ご飯を食べている。
本で調べたところによると、
セネガルではフランスパンに切り目を入れて、
塩・コショウで味付けした羊の肉を挟んで食べる
“シュワルマ”というサンドイッチのような
食べ物があるらしい。
適当な店に入り、木製の簡易長イスに座った。
店のマダムはまったく英語が通じないようなので、
隣でおっちゃんが食べているものを指差して、
『これが食べたい!』と身振りで示すと、
マダムは何も言わず、大きな紙袋の中から
なが〜いフランスパンを取り出し、
適当な大きさに切って割れ目をいれ、
バターを塗って手渡してくれる。
あれ? 隣の人は、間に何か挟んであるようだが?
でも、言葉が解らないので抗議なんてできるわけがない。
仕方なく、今度はコーヒーを注文すると、
マダムは背の高いガラスコップに
粉末状のネスカフェをいれ、
砂糖とミルクをコップ半分くらいまで入れてお湯を注ぐ。
うわ〜っ、甘そう・・・
予想通りと言うか、もちろんと言うか、
すっっっごく甘いカフェ・オレだった。
フランスパンはマリ同様とても美味しい。
舌鼓を打ちながら食べていたのだが、
ふと横を見ると、お店の柱にかけてある紐に
数十匹のハエがびっっっしり止まっていた。
ウエ〜ッ!
シュワルマは食べれなかったけど、
何とか朝ご飯を食べることができて満足だった。














店を出ると、外の日差しは強くて明るいので、
気持ちも明るくなる。
海岸沿いの道を歩いていると
右手に広くなったところがあった。
ここがゴレ島に向かう船の港のようだ。
入り口に係員がいる。
「ゴレ島に行く船はここですか?」
「ああ、そうだ。あそこがチケット売り場だ。」
「いくらですか?」
「5,000CFA(約1,000円)だよ。」
「次の船の時間は?」
「10:00に出る。出発まで待合室にいるといい。」
「ありがとう!」
チケットを買い、出航までは
まだ40分くらいあるので待合室で待つことにした。














ここからゴレ島に行くんだよ!
ゴレ島フェリー乗り場














かわいいでしょ?
お土産に買ったカバン











天井に大きな羽のファンが回っているので涼しい。
待合室横に、お土産屋さんがあったので
中に入ってみた。
ここの品物にはちゃんと値札が付いているので、
安心して買い物ができそうだ。
木彫りの人形やアフリカンチックな絵、民族服と、
結構かわいらしいものがある。
あっ、このカバンはかわいいぞ!
アフリカっぽい柄が入っていて、手ごろな大きさだ。
夏に泳ぎに行くときに水着等入れていくとよさそうだ。
千秋に買って帰ってやろう。














買い物も終えて、待合室でしばらく待っていると
10:00ちょうどに乗船が始まった。
目の前に大西洋が広がる。
船で運ばれていくのは人間だけではなく、
島で必要な物資もたくさん積まれている。
10:10ようやく出航!
天気がいいので2階のデッキから海を眺める。
海は油とか浮いていてあまりきれいとは言えないが、
魚がたくさん泳いでいるのが見えた。
船が沖まで出ると、ダカールの街が見渡せる。
お〜ぉ、やはりダカールはビルが林立していて
都会じゃの〜!














ダカールは都会なんだ!
船から見たダカールの風景












あれがゴレ島!
ゴレ島
船には観光客と思われる白人と、
原住民と思われる黒人が半々くらい乗っている。
俺の向かい側にチャーミングな黒人の女の子がいるのだが、
マリの女の子と比べると、
ファッションもかなり都会的で、
頭にはバンダナを巻き、大きなイヤリング、ラフなシャツに
ジーンズはローライズ(股上が浅いジーンズ)、
手にはたくさんのブレスレット、
そしてスタイルが抜群にいい!!!
も〜、惚れちゃいそう!




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