TRIP



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12月7日 すいようび  たぶん はれ        (その1)

もちろん、まだ眠っていません。
その後アフリカの大地に後ろ髪を引っ張られながらも、
出国審査に向かった。
夜中だからか人は少なく、
すぐに審査の順番が来た。
「どこに泊まってましたか?」
「ホテル・マルシェです。」
「ミラノのマルペンサ空港に行くのですね?」
「はい、その後乗り継いで関西空港まで行きます。」
審査官はパスポートを見ながら顔をしかめる。
何かまずいことでもあったのだろうか?
「どうぞ。」
そういってパスポートに判をついてくれた。
も〜脅かさんといて〜な〜・・・














次はセキュリティーだ。
「◎☆▽♀※?」
何かが疑われたようなのだが
フランス語なのでよく解らない。
「ノー・フランセ(フランス語は解りません)」
そういうと、あっさり通らせてくれた。
これで出国準備完了!
待合室に行くと、アフリカ初日のときには
薄暗くてすごく怖い所だったけど、
今では恐怖感も無くなっていた。
気の持ちようなんだろうな〜・・・
すごく汗をかいていたので、
ミネラル・ウォーターを買っておこう。
売店に行くと、冷蔵庫に500mlの
ペットボトル入りがあった。
「これをください。」
「1,000CFA(約200円)だ。」
ひょえ〜、たか〜い!!!
昨日の朝買った水は1リットル入りで
300CFA(約60円)だったから、
それからすればかなり高い。
空港はどこでも高いのかもしれない。














何とか水も手に入れて、
ソファーに座るとすぐに搭乗が始まった。
「これは、アリタリア航空の搭乗?」
「うんにゃ、エア・セネガルだ。」
この待合室には行き先や時刻が書かれた掲示板はないし、
搭乗案内のアナウンスも全てフランス語なので、
よ〜解らんのだわ、これが・・・
ソファーに座りしばらく日記を書いていると、
1:45頃にまたどこかの飛行機の搭乗が始まった。
おおっ、さきほど見かけたきれいな黒人の
空港職員がおるで!
あの人に聞いてみよう。
「アリタリア航空の搭乗ですか?」
「いいや、アリタリアはゲート1からよ。」
ちょっと冷たい言い方だったけど、
まあ話せたから良しとしよう。














いよいよ帰るんだ・・・
帰りの飛行機















しかし、ゲート1だと言われても、
ゲート・ナンバーも標されてないんだよね〜、
とほほほ・・・
だいたい、搭乗予定時刻は1:25なのに
未だ搭乗は始まらない。
う〜ん、だんだん眠くなってきたぞ〜、zzz・・・
2:20を回ってようやく搭乗が開始された。
今度はアリタリアに間違いなさそうだ。
チケットを切ってもらい、バスに乗って移動。
この様子じゃあ乗客は少なそうだ。
大きな飛行機の傍でバスを降りると、
風がビュービューと吹きつける。
アフリカの風・・・アフリカの大地・・・

もう一度しっかりと感じてから飛行機に乗り込んだ。














座席ナンバー10Fを見つけて席に座ってみると、
リクライニングが壊れとる。
これじゃあ、思うように眠れんじゃんか!
まぁ、思っていた通り乗客は半分もおらんみたいじゃけ〜、
どこに変わってもえかろうて。
予定時刻を約15分過ぎて、
2:40に飛行機は動き出した。
ついにアフリカともお別れじゃ。
滑走路まで出ると、この前乗ったときと同じように
滑走路の端までゆっくりと走り、
そこで180度Uターンすると、
そこから一気に加速する。
そして、え〜かげん長いこと滑走した末に
機体がフワッと持ち上がる。
お〜、ダカールじゃ!
あっちこっちと歩き回ったダカールの町が一望できる。
星屑のような明かりが点在して、とてもきれいだ!
ミラノまでの距離は4,224Km、
飛行時間は5〜6時間だそうだ。














飛行機は安定した飛行になっったけど、
どうやら機内食は出ないらしい。
夕方シュワルマを食べただけだったので
腹が空いとったんじゃがの〜・・・
久しぶりに冷えたビールも飲みたかったのにの〜・・・
機内の明かりが消されると
疲れのせいかすぐに眠っていた。
昨日まで暑くて暑くて寝るのは大変だったのに、
機内はちゃんと温度調節がしてあり快適だ。
こんな涼しい所で寝るのは久しぶりだ。
もちろん蚊の心配ももういらない。














熟睡はできないけど、
それでも2時間くらいは寝ていたと思う。
喉の渇きで目が覚めた。
窓の外を見ると、日の出の時間だった。
きれいな朝日が昇り、大地を照らすと、
ちょうどアフリカ大陸と地中海の境目の
アルジェリア上空を飛んでいた。
あ〜・・・アフリカが遠ざかってゆく・・・
今まで海外旅行をした国はどこも、
一度行くと身近になった感じがして
『また来るから・・・』って思うんだけど、
なぜかアフリカは一度行っても
遠い国のように感じた。
また来ることがあるだろうか・・・?













また来ることがあるかな〜・・・
最後に見たアフリカ大陸














待ってました!!!
機内食













6:30を回ると機内にも電気がつけられ
明るくなった。
ようやく朝ご飯だ。
待ってました!!!
パン、菓子パン、ハム、チーズ、マンゴー・ヨーグルト、
コーヒー、それにプチトマトとレタスのサラダがある。
生野菜を口にするのは久しぶりだ。
いつもはブラックで飲んでいたコーヒーだけど、
毎日あんなに甘いコーヒーを飲んでいたので、
ブラックだとなんだか物足りない。
砂糖とミルクを入れてみたけど、
とてもあの甘さには追いつかなかった。














食事が終わった頃には飛行機は
ニース上空を飛んでいた。
向こうの方に島のように見えていたのは、
イタリア半島だったようだ。
飛行機は少しずつ高度を下げ始め、
下に街が見える。
な、なんと、雪が積もっている!
ミネラル・ウォーターのエビアンに描いてある
アルプスの山々が見え始め、
ミラノに近づいたことが解った。
飛行機はどんどん高度を下げ、
ダカール時間の8:00、
イタリア時間の9:00に
無事ミラノ・マルペンサ空港に着陸!
やっぱこの空港はでかいわ〜!















山々が美しい!
アルプスの風景















連絡路を通り、空港建物の中に入ると
“TRANSIT”の表示に進む。
行きがけと同じなので楽勝だ。
セキュリティーの列に並ぶと、
他の飛行機も同じくらいの時刻に到着したのか、
たくさんの人が並んでおり、
その中にたくさんの日本人がいる。
おぉ、日本人じゃ〜!
俺の順番が来た。
赤外線の機械にバック・パックを流すと、
審査官が何やら言い始め、
警備服を着た体格のいい女の人が来た。
「ちょっとこちらに来てください。」
「は、はい。」
列を外れて横にあった机の前に案内された。
「カバンの中を見せてもらえますか?」
「えぇ、いいですよ!」
も〜、変な物は入ってないって〜・・・














そうは言ってもここはにこやかに対応。
カバンの鍵をはずして開いた。
「どうぞ!」
「これはなんですか?」
「これは、鍵を掛ける為のワイヤーですよ。
 ワイヤーをカバンに通してから、
 こんなふうに丸めて、
 こっちにある鍵でロックするんです。」
「これは機内に持って入れません。」
「えっ、何でですか?
 今もセネガルから飛行機に乗って
 何の問題も無くここまで来たんですよ!」
女性検査官はワイヤーと鍵をとりあげてから大きな声で言った。
「危険だからです。」
その言葉に周りの人の視線が俺に集まった。
「いやいや、危険なんか無いですよ、
 それは鍵なんですから・・・」
「いえ、ダメです。こちらに来てください。」
強く抵抗したせいか、今度は警察のいる所に連れて行かれた。




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