TRIP






結構いけてまっせ!
CD 西アフリカの音楽







きっかけ           (その2)

そうして日々は過ぎていったのだが、
アフリカのことは頭の片隅に残っていた。
家にあるアフリカのCD
(これはサンプリングCDではない)
を聞きながらアフリカに思いをはせていると、
ふとそのCDの解説に目がとまった。










「アフリカは巨大な大陸である。
 この大陸のサハラ砂漠以南は、
 ほんとうにアフリカらしいアフリカ、
 ブラック・アフリカの世界が広がる。
 東アフリカは、一般的なイメージでいうなら
 自然公園と動物のアフリカと
 いえるかもしれない。
 その東に対し西の魅力は、あくまで、
 生活臭さ溢れる人間の
 アフリカだと思われる。」










アフリカといえばサバンナが広がり、
野生のライオンやキリンが
見てみたいという気持ちがないことはない。
しかし、俺のアフリカ行きの
一番の目的は、貧しいところで
いかに人々が暮らし、
そこで人々が太鼓を打ち鳴らしては歌い踊る。
ロックとかポップスとかといった中での
商売としての太鼓(いわゆるドラム)ではなく
生活の一部であり、あるときには儀式として、
あるときは伝達手段としての
太鼓を聴きたい、見たい、
からだで感じたい!!!
当初はあわよくば、サバンナも原住民も
いっぺんに見たいと思っていたが、
次第に西アフリカに気持ちが
傾いていった。










再び本屋に出向いていって
“西アフリカ”のガイドブックを
探してみるのだが、
西アフリカのガイドブックは
一冊も見当たらなかった。
東アフリカは治安が悪化している
という情報を知ることができたが、
西アフリカに関しては
何の情報も無いということが、
俺にとってはとてつもない
恐怖に感じた。









そんなある日、仕事仲間と
たまたまジャンベの話を
することがあった。
ジャンベがアフリカの太鼓で、
最近若い人たちの間で
流行っているということは
知っていた。
仲間の情報によると、
その太鼓を取り扱っているお店が
広島市内にあり、
そこのオーナーが
アフリカに行ったことが
あるらしい、という。
ひょっとしたら何か情報を
得ることができるかもしれないと思い、
そのお店“ナムチェ・バザール”を
訪ねてみることにした。
店内はジャンベが所狭しと置いてあり、
その他にもアフリカの楽器
“カリンバ”(親指ピアノ)や、
“トーキング・ドラム”
(脇に挟んで音の高さを変えながら
演奏する太鼓)が置いてある。
店の奥にいるオーナーらしき人に
ジャンベの話をしつつ、
アフリカ行きの話をしてみた。










原始的なとてもいい音がするんだよ!
西アフリカの太鼓 “ジャンベ”




















「アフリカに行って、
 道端で人々が太鼓を叩いている姿が
 みたいのですが・・・」と言うと、
オーナーが行ったのも
やはり西アフリカで、
セネガルという国だった。
セネガルは“ユッス・ンドゥール”の
出身地だということが
まず頭をよぎった。
ユッスはアフリカン・ポップスを
世界に広めた第一人者として有名なのだが、
彼の音楽はアフリカの臭いはするものの、
ドラム・セットやギター、ベースを
中心にしたとてもポップな楽曲なので
商業的音楽といった印象があり、
そういったことからも
セネガルという国は
なんとなく都会的な感じがしていた。










しかし、オーナーが言うには
「確かにダカールは都会で、
 現地の人々にとっては日本でいう
 東京のように、いなかの人々の
 憧れの地ではあるけど、
 そこから少しはなれていなかに行けば
 上野さんの思ってらっしゃるような
 感じになると思いますよ。
 カザマンスという所があるんですが、
 そこがとても良いらしいですよ。」
ということだった。
治安について聞いてみると、
「上野さんがインドに行った時みたいに、
 本で調べるとすごく危険なようでも、
 実際に行ってみると大したことはないと
 思われたように、
 アフリカもそんな感じだと思います。
 インドの10倍くらいきついと
 思ってもらえばいいと思います。
 不安なのはすごく解りますけど、
 僕はぜひぜひ行ってみちゃったら
 いいと思います。
 わぁ〜、僕もまた行きたくなって
 きましたよ!!!」
インドに行った時、
確かに最初はビビッていたけど、
一度入り込んでしまえば
それほどの危険は感じなかった。
そう思えばアフリカだって
最低限の注意さえ払っていれば、
結構大丈夫かもしれないと思えてきた。


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