【THE 有頂天ホテル】   ☆☆☆★
出演者: 役所広司、原田美枝子、佐藤浩市、角野卓造、篠原涼子、松たか子、香取慎吾
 ものすご〜いキャストです。オープニングを見ながら、それぞれが主役をはれる役者さんばか
りだなぁ・・・と思うとともに、どんなふうに仕上がっているのかとても期待が膨らんだのですが、
見終わった後の感想としては、ちょっと出演者が多すぎるかな?!(笑) それなりには笑える
んですが、笑ってくださいとばかりの演出で、かえって興ざめです。役所広司が鹿の着ぐるみ
帽子を被ってスピーチをするにいたっては、笑えるというよりも痛々しくて・・・。個人的には、全
くストーリーに関係ないところでドタバタやっている伊東四朗や、普段、真面目な堅物キャラが
多い角野卓造が壊れていくのが面白かったなぁ・・・という程度です。唐沢寿明もも〜っともっと
はじけてれば面白かったんですが、頑張っているわりに中途半端というか・・・。(笑) やっぱり
コメディってすごく難しいものですね。
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【スタンドアップ/NORTH COUNTRY 】   ☆☆☆☆
出演者: シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、リチャード・ジェンキンズ、
      シシー・スペイセク
 テレビの予告編で見た「仕事も駄目、恋も駄目・・・」というキャッチコピーから「イン・ハー・シュ
ーズ」のような作品かと思って見に行ったんですが、全く違いました。舞台は1989年のミネソタ
州北部にある鉱山会社、実際に起こった裁判をもとに作られています。自由の国アメリカという
光の部分の裏には保守的なアメリカが存在するのも事実ですが、こんな非現代的なことがつい
最近まで行われてきたことに驚きを覚えます。個々の人間には良識もあり、善悪の判断もある。
しかし、集団心理の恐ろしさというか、仲間はずれにならないように自分の良識に蓋をし、みん
なでよってたかって弱者を迫害する。そして迫害された弱者はただひたすら我慢することでこの
苦難(?)をしのごうとする。この映画の題材は「セクシャルハラスメント」ですが、邦題が「スタン
ドアップ」とあるように、自己の尊厳を失わず、立ち向かっていく勇気を描いた作品です。
【レジェンド・オブ・ゾロ/THE LEGEND OF ZORRO 】   ☆☆☆☆
出演者: アントニオ・バンデラス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アドリアン・アロンソ
      ルーファス・シーウェル
 全編アントニオ・バンデラスの魅力が満載です。前作よりも断然格好いい!! 前作では盗
賊あがりという設定上、善く言えば野生的、悪く言えば野暮ったかった(笑)新ゾロも、10年(実
際は7年ですが、作品では10年という設定になっています。)という月日のなかで、野性味を
残しつつも、洗練された紳士へと変身をとげています。また、笑いのセンスも向上している気が
します。今回はゾロとエレナの息子ホアキンも大活躍で、演じるアドリアン・アロンソは正義感の
強い悪ガキを好演していますが、どこをどう見ても二人の子供には見えないのは私だけでしょ
うか?!(笑) アクションシーンはスピード感もあり、最初から最後までドキドキハラハラ。また、
悪役のルーファス・シーウェルがとっても憎々しく好演(?)しています。
【フライトプラン/FLIGHTPLAN 】   ☆☆☆
出演者: ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード、ショーン・ビーン
 ジョディ・フォスターは迫真の演技ですし、もしかしてこれは彼女の妄想??と、クルーだけで
なく私も思いました。(^^ゞ しかし、飛行時間というタイムリミットがあるせいか(?)、犯人が姿を
現すくだりがあっけなくて、それまでの緊張感に水を差します。というのも、犯人があまり犯人ら
しくないんですよねぇ。こういうパニック映画の犯人に共通する狂気や冷徹さが感じられなくて、
子悪党の雰囲気しかない。(笑) それに、このストーリーにはいくつもの偶然が重ならないと犯
行が成立しないところもリアリティに欠けます。だいいち、ジョディ・フォスターが夫の遺骸をアメ
リカに持ち帰ろうとしなければ、犯人のそれまでの行為自体が無駄になる訳ですから。(笑) 一
見よくできたストーリーのようで、偶然に頼りすぎていてなんか抜けている感じの作品です。
【ミュンヘン/ MUNICH 】   ☆☆☆☆
出演者: エリック・バナ、ジェフリー、ラッシュ、ダニエル・クレイグ、キアラン・ハインズ
      マチュー・カソヴィッツ、ハンス・ジシュラー
 う〜ん、私には難しすぎる作品でした。緊張感もありますし、作品としては素晴らしいのだと思
いますが、ニュースで耳にしていても、中東に対する本当の知識がほぼゼロの私には、その本
質が理解出来るはずがありません。それは見る前からわかっていたことなんですが、予想以上
に難しかったというか、考えさせられました。この事件から33年、世界は未だほとんど進展のな
いまま同じ問題に苦悩しています。イスラエルの取った行動がけっして是としてつくられた作品
ではありませんので、この問題の解決に一石を投じる意味でも、できれば当事者である中東諸
国、もちろんイスラエル人にも見て欲しい作品です。
【PROMISE/無極 】   ☆☆☆★
出演者: 真田広之、チャン・ドンゴン、セシリア・チャン、ニコラス・ツェー
 出だしは思わず笑ってしまいました。だって、時空を超える俊足の持ち主という設定だとして
も、猛牛の疾走する中にあって同じ速度、いえ、それ以上の速度でハイハイしているんですも
の。おまけに、あのいかにも合成っていう映像には参りました。(笑) そんな出だしでしたから
駄作?!かと思ったんですが、さすがチェン・カイコー監督、最後はうまくまとめていました。予
告の印象から映像美を期待して見に行ったんですが、どちらかというと、光明が捕まったあと
の人間模様の方が見応えはあります。彼女は次はどんな運命を選ぶのでしょうか・・・。
【ナルニア国物語 第一章 ライオンと魔女/THE CHRONICLES OF NARNIA : THE LION,
THE WITCH AND THE WARDROBE 】   ☆☆☆★
出演者: ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、
      ジョージー・ヘンリー、ティルダ・スウィントン
 たぶん原作を読めば印象も変わるのでしょうが、「ロード・オブ・ザ・リング」をイメージしていた
だけに、ちょっと拍子抜けでした。もうちょっと子供達が(精神的に)成長する過程が描かれてい
ても良かったのではないのでしょうか。お伽話の域を出ていないのが残念です。また、主人公
である4人の子供達も平々凡々で印象に残りません。馬のフィリップだけが「シュレック」の監督
らしさを醸し出しています。
【クラッシュ/CRASH 】   ☆☆☆☆
出演者: ドン・チードル、マット・ディロン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、テレンス・ハワード、
      マイケル・ぺニャ、ショーン・トーブ、サンドラ・ブロック、サンディ・ニュートン、ラレンツ・
      テイト、バハー・スーメク、ロレッタ・ディヴァイン、ブレンダン・フレイザー
 人種差別、銃社会、麻薬、貧富の差などなど、アメリカ社会が抱えている問題をとってもスト
レートに描いた作品です。出演者全てが不思議な運命の糸で結ばれていて、ある時は(差別の)
被害者だったり、またある時は加害者に転じたりと、出演者全てが主人公というような設定です。
そして、彼らは特殊な人間ではなく、多少誇張されている部分はあっても、ごくごく普通の人間で
あり、作品に描かれているようなことが、日常起こりうることであるというのが作品をより身近な
ものにしているのかもしれません。ただし、日本にももちろん偏見や差別はあっても、アメリカの
おかれている状況とはちょっと違うので、見ていてもどこか他人事になってしまうのはいたしかた
ないのでしょうか・・・。結局、差別(偏見)なんて、自分の(相手に対する)無知や思い込みだけ
の問題だということに気づかせてくれる作品です。
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