「志貴君、あまり意地悪しないの」
「え、朱鷺恵さん?」

 私が口を開いた時、黙って見ていた朱鷺恵さんが、少したしなめる口調で言
葉を掛けた。
 志貴さんもちょっと意表を突かれた顔をしている。

「可哀想にね、アキラちゃん。いつもはずっと優しくしてくれるんでしょ?
 こんな風に、志貴君にいじめられたりしないで」

 頷く。
 いじめられる事もあるけど、ちょっと今日のはいつもと違っていた。
 朱鷺恵さんは私に優しい笑みを見せて、志貴さんを見る。

「私にいつものようにしてるの見られるの嫌だったんでしょう、志貴君。
 アキラちゃんのこと、恥ずかしくなるくらい可愛がったり、甘い言葉を囁い
たりするのを避けて、こんな真似をして。アキラちゃんに恥ずかしさを押し付
けちゃえば志貴君は楽だものね。酷いなあ」
「う……」

 え、志貴さんが動揺している。
 そうか、それで……。

「それは……、ごめん、アキラちゃん。朱鷺恵さんのこと意識しすぎて」
「いいんです、私がえっちなのは本当ですから」

 フォローのつもりの返事だったけど、志貴さんは恨み事を聞かされたような
顔をした。
 慌てている。
 
「ええと……、じゃあ、えっちなアキラちゃんのご期待に応えないとね」

 志貴さんが離れて、正面に回った。
 私は仰向けになって志貴さんの次を待つ。

「じゃあ、お待ちかねのヤツを……。
 アキラちゃんをたっぷりと悦ばせてあげるからね」
「はい、志貴さん」

 すっかり待ち焦がれている私のアソコ。
 志貴さんのものが少し入り口に触れただけで、さらにはしたなくもっと濡れ
てしまう。
 それ以上、先端で粘膜をこすったり、クリトリスを突付いたりといったじら
す行為は無しで、志貴さんはすぐに膣口にあてがう。

 そしてゆっくりと腰を前に動かした。
 ずぷりと志貴さんのモノが私の中へ入ってきた。
 
「あああああ……ッ」

 指とは、全然……、違う。
 熱くて、大きくて、私の中がいっぱいになった。
 貫かれて、息が詰まって、でもそれが嬉しい。
 志貴さんの足と腰が触れて、その圧迫感が心地よい。

 志貴さんが手で体重をかけないようにしながら、体をぴたりと重ねた。
 お腹と胸も志貴さんと触れ合う。
 全身で志貴さんを感じている。
 どこもかしこも触れ合ったところが、熱くなる。

 志貴さんが動き始めた。
 まだ、激しくはない。
 ゆっくりとしたストロークでずっずっと奥まで突き入れ、そしてゆっくりと
周りの襞を巻き込みながらぎりぎりまで抜いていく。
 その抜き差しで私の体は痺れ、ふわふわとなる。 
 そのままでいると私の体が、自分のものでなくなってしまいそうで、志貴さ
んの体にしがみ付く。 

「可愛いよ、アキラちゃん」

 スピードが上がる。
 私は絶えず喘ぎながら、必死で志貴さんにしがみついて、それを受け入れる。
 凄い。凄い。凄い。
 志貴さんはただ腰を打ちつけるだけでなくて、円を描くように腰を動かした
り、軽く何度か動いてから強くして強弱の変化をつけたりして、その度に新た
な刺激に私は悲鳴を上げてしまう、嬉しげに。

「志貴さん、ああ、凄い。し、き、さぁあーーん」

 もう限界だ。
 志貴さんの名前を叫びながら、軽く、飛んだ。
 ふっと意識が消えたように白くなり、また志貴さんに貫かれ揺らされる体に
戻る。
 それを何度か繰り返し、志貴さんはその様子を見てラストスパートに入った。
 ズン、と腰が激しく打ちすえられた。
 深く、そして強く、志貴さんのモノが私の膣の奥を突く。
 子宮口に届くほど深く。
 体全体が振動するほど強く。

 それで、私はあっけなく絶頂を迎えた。

「ああ……、イッちゃう……、あああッッッ!!!」

 変だ。
 こんなに。
 いつもなら志貴さんに何度も高められて、その挙句に迎えるほどの絶頂感を、
こんなにあっさりと。
 あああンンッッ。

 朱鷺恵さん、見てる。
 こんなにはしたなく大声を上げて、志貴さんにイカされた私を見ている。
 ああ、志貴さんがまた強く貫く。
 そしても朱鷺恵さんの目。
 こんな、こんなことされたら、もう……。

 ああ、また、くる。

「……ッッ、…………!!!」

 もう声にすら、ならなかった。
 口を開けて声のない絶叫をしつつ、私はまた絶頂を迎えた。
 ただ、体だけがビリビリと感電し、その快感に絶えられないように跳ねた。
 キモチイイ。
 それだけで私の頭の中はいっぱいになってしまった。
 ・
 ・
 ・

 私がじっと余韻に浸り、また体を跳ねさせてしまうのに耐えていると、志貴
さんはまだ充分大きいそれを抜いた。
 しっかりと志貴さんを掴んでいた私の中が、独りでにぎゅっと収縮してそれ
を拒む。
 内側から擦りあげるような感触。
 それだけでまた高まってしまう。

 湿った音をたてて志貴さんは私から離れた。
 志貴さんのモノ、あんなにぬめぬめと濡れている。
 私の恥ずかしい粘液で。
 志貴さんの大きいのが抜けたばかりなので、私のはまだヒクヒクとしながら
ぽかりと穴をあけている。
 見られている。
 それを朱鷺恵さんに見られている。
 まだ開いたまま、志貴さんの出した精液と混ざった愛液をだらだらと流して
いる私の花弁を。

「可愛いわね、アキラちゃん」
「エッチな眺めだなあ……」

 朱鷺恵さんの声が私を恥ずかしがらせる。
 志貴さんも追い討ちをかけて真っ赤になった私を見てくすりと笑う。
 そして、今度は朱鷺恵さんの方を向く。
 朱鷺恵さん、と少し緊張した声を掛けた。

「今度は朱鷺恵さんが、アキラちゃんに見せてあげる番だね」
「え、うん……、志貴君」

 答えた朱鷺恵さんも少しいつもの落ち着きが崩れている。
 朱鷺恵さんの頬が少しだけ赤みがさしている。
 でも、拒絶しようという素振りは見せない。
 志貴さんをじっと見つめて、待っている。
 体をにじり寄らせながら、志貴さんがちらりと私を見た。
 私は黙って頷いた。

 止めたりしない。
 むしろ志貴さんにお願いしたいくらいだ。
 朱鷺恵さんに優しくしてあげて下さいって。
 私が言うまでもないけど、でも……。

 幾分ぼうっとした状態で二人を見ていた。
 まだ体は火照り力が入らない。
 頭もまだよく働いていない。
 何より、目の前の光景が、私の心を奪っていた。

 志貴さんと朱鷺恵さんが言葉を交わして、どちらともなく唇を合わせていた。
 そして志貴さんは何度も朱鷺恵さんの体に手を伸ばしかけて、そして止めて
しまっている。
 戸惑っている。
 それを見かねたのだろうか。
 朱鷺恵さんが志貴さんの手を取り、自分の胸へ導いた。
 そして、本格的に、それは始まった。

 ささやくような声での二人の睦言は、私には聞こえない。
 もっと近づいて身を乗り出せば耳に届くだろうけど、そんな事をして二人の
邪魔をしくなかった。
 志貴さんを見つめて言葉をつむぐ朱鷺恵さん。
 それに、少し考えつつ答える志貴さん。
 そんな二人の様子だけで充分な気がした。

 今は、志貴さんが朱鷺恵さんの胸にキスして、そして乳首を口に含んでいる。
 赤ちゃんみたいに吸っている志貴さんを、朱鷺恵さんは優しく見て頭を撫ぜ
ている。
 右から左へ。
 手で空いている胸を弄っている。
 時には胸の谷間へ顔を埋めている。
 これは、私のちっちゃい胸だと出来ないものね。
 志貴さんの手でたわみ形を変える朱鷺恵さんの胸。
 形のよい胸が潰され歪んでいるのに、なんとも艶かしい。
 女の私から見ても目を奪われる。

 胸からキスをしつつ、志貴さんの頭が朱鷺恵さんの体の下へと向かった。
 おへそを舌でつつき、柔らかそうな恥毛の茂みを手で撫ぜて頬ずりし、そし
て朱鷺恵さんの太股を手で開いた。
 すぐには手を触れようとしない。
 目で味わっていた。
 
 志貴さんが初めて体験したオンナの人の秘裂。
 綺麗だった。
 朱鷺恵さんのそこは凄く綺麗だった。
 斜め横から、私は同性の性器を魅了されたように眺めた。
 もちろん、こんなに他の人のそこを食い入るように眺めたのは初めてだった。
 せいぜい比較対象としては、写真とかで見たことのあるモノくらいだけど、
そんなものとは全然比べ物にならない。

 志貴さんしか経験がないと言っていたけど、朱鷺恵さんの谷間は全然形も崩
れていないし、色も薄紅色で初々しい感じだった。
 それでいて、すでに露を散らしたように濡れ光っている様は、アンバランス
にいやらしく映った。
 生々しく、何とも淫靡な眺め。
 自分のをしげしげと見たことはないけれど、こんな処も私のは子供で朱鷺恵
さんは成熟したオンナのものなんだな、と思う。
 
 志貴さんがそこに顔を埋めた。
 何をしているかは直接見えないけど、ぴちゃぴちゃ言う音が僅かに聞こえる。
 志貴さんが、朱鷺恵さんのあそこを舐めている。
 自分が舐められたみたいにどきどきする。
 大きく開かされた腿が少しぴくんと動く。
 朱鷺恵さんは、下唇を軽く噛み締めている。
 声を出さないようにしているのかな。

 さっきまで胸を吸う志貴さんの頭を優しく撫ぜていた手が、今は志貴さんの
髪をぐしゃと掴んだり、時には押しのけるようにしていた。

「あ、志貴君。だめ、そんな、噛んじゃ、ああああ……」

 耐え切れず朱鷺恵さんが声を出す。
 朱鷺恵さんの上半身が痙攣したように動いた。

 志貴さんが顔を上げた。
 口の周りが濡れて光っている。
 朱鷺恵さんのは、と見るとさっきとは比べ物にならないほどぐしょぐしょに
なっていた。
 朱鷺恵さんでも、あんなになるんだ……。

 志貴さんが朱鷺恵さんに何か言って、朱鷺恵さんはゆっくりと身を横たえた。
 見詰め合っている。
 志貴さんが身を屈めた。
 
 なんだろう。
 すごく緊張しているのがわかる。
 見ている私にも伝わるくらい。
 震えながら志貴さんは手で押さえながら、朱鷺恵さんにあてがっている。
 いよいよ。
 何年かぶりでの……。

 あ、入った。 
 志貴さんが朱鷺恵さんの中に入った。
 あんなになるんだ、女の人の部分って。
 自分のを見るのでははっきりわからないところを見つめた。

 志貴さん、なんだかちょっと放心している。
 違う、感激しているみたい。
 それに気持ちよさそう。
 あんな顔するんだ、志貴さん。
 朱鷺恵さんも顔を上気させている。
 赤みのさした頬。

 動いてと言ったのかな、朱鷺恵さん。
 二言、三言何かを囁いたら、志貴さんが動き始めた。
 腰が上下に動く。
 志貴さんのが出入りしているのが見える。
 
「ッあああ、朱鷺恵さん」
「志貴君……?」

 え?
 どうしたんだろう。
 いきなり大きな声を出したと思ったら、志貴さん固まってしまって。
 少しべそをかいたような顔。
 朱鷺恵さんも戸惑ったような顔をしている。
 志貴さん……?

「ごめん、朱鷺恵さん」
「初めての時みたいね」
「う、うう……」
「緊張したんだよね、アキラちゃんと私と二人分だもの」

 え、何? 
 まさか、いえ、あれは……。
 もう、出しちゃったの?
 嘘……。
 でも、二人の様子を見ると。

 優しく朱鷺恵さんがキスをした。
 舌を絡めているのがわかる。
 志貴さんも唇だけでなく、胸をぎゅっと押し付けている。
 朱鷺恵さんの柔らかい胸が押し潰されて形を変えるのがわかる。

 キスをしては、朱鷺恵さんが優しく何か志貴さんに囁いている。
 志貴さんは頷いて、何度も朱鷺恵さんの唇を受け入れている。

「あ、志貴君のまた……」
「朱鷺恵さんの中が何もしなくても絡みついてくるから」

 志貴さんがゆっくりと腰を動かし始めた。
 今度もすぐに出てしまいそうなのか、耐える顔。
 歯を食いしばっているのが、わかる。

「アキラちゃん、ごめん。
 もう一回続けて朱鷺恵さんと……」

 思い出したように、こちらを向いて志貴さんは私に頭を下げた。
 申し訳無さそうな顔。
 でも体は止まらずに動いている。

「いいですよ。朱鷺恵さんのこと可愛がってあげてください」
「うん」

 その時、朱鷺恵さんが口をはさんだ。

「志貴君、私がしてもいい?」

 志貴さんが頷くのを待って、朱鷺恵さんが体を起こした。
 何も説明がなくても、志貴さんは意図を察して協力している。
 朱鷺恵さんが体を上下に動かし始める。
 ゆっくりとした優雅な動き。
 でも、その動きにあわせて、朱鷺恵さんのあそこが淫らに形を変える。
 志貴さんのが朱鷺恵さんの奥まで突き刺さり、少し抜かれる時にじゅぷじゅ
ぷという音がして、それに幹が濡れ光って、すごくいやらしく目に映る。
 経験はほとんど無いと言っていたのに、あんなに滑らかに腰が動いて。
 志貴さんも気持ち良さそうにしている。

 その光景は、しだいに私を高ぶらせた。
 志貴さんに弄られた乳首を強く意識して。
 谷間から絶えず愛液を垂らして。
 感じて、そして。
 もう、我慢できない。
 直接的な刺激を体が求めている。
 自分のをそっと弄る。
 志貴さんとの快感の名残で体がすぐに反応する。

 指を鉤のようにしてさし入れた。
 中から志貴さんが溢れてきて、それだけでなくて新たに私の愛液が分泌され
ては洩れ出ている。
 指をどろどろにしながら、花弁をゆっくりと擦った。
 志貴さんと朱鷺恵さんを見ながら。

 キモチイイ。
 なんてキモチイイんだろう。
 志貴さんに可愛がって貰っているんじゃない。
 自分の指なのに、こんなにキモチイイ……。

「アキラちゃん、来て」

 朱鷺恵さんが私を見ている。
 二人を見て自分の指で慰めている恥ずかしい姿を。
 ふぁ。
 でも何だかその優しい目で、もっと感じる。

「アキラちゃん?」

 呼んでいる。
 朱鷺恵さん……。

 何も考えずに、四つん這いで近寄った。
 ううん、右手だけは股間を弄ったまま。
 顔は朱鷺恵さんに向けて。

 朱鷺恵さんが志貴さんに跨ったまま顔を近づけた。
 私も顔を寄せた。
 唇が合わさる。
 朱鷺恵さんの柔らかい唇。
 志貴さんとキスした唇。
 不思議。
 その朱鷺恵さんの唇に、私の唇が、同じ志貴さんのキスを受けた唇が重ねら
れている。

 朱鷺恵さんがまた体勢を変えた。
 志貴さんに跨った格好から、横に崩れるようにして。
 いったん志貴さんとは離れてしまう。
 そして、腕だけで私の上半身を抱擁した。
 触れるだけだったキスが、深いものになる。
 痺れるような唇が離れ、朱鷺恵さんが少し面白そうに言う。

「私と志貴君を見て慰めていたんだ」
「その……」

 改めて言われると凄く恥ずかしい。
 志貴さんも口は挟まないけど、こちらをちらりと見ている。

「ふふ、一人じゃ寂しいわよね。手伝ってあげる。そこに寝て」
「はい?」

 従った。
 体を捻らせて上半身を横たえた朱鷺恵さんに寄り添う。
 朱鷺恵さんが私を抱き締めた。
 さっきと違って朱鷺恵さんの胸が密着している。
 信じられないほど柔らかい。
 あんなにほっそりとしているのに。
 それに、朱鷺恵さんの肌。
 少し汗ばんだ肌が、私の肌にしっとりと溶けるよう。
 触れているだけでむずむずと快感が走る。

 志貴さんは、と見ると取り残されてじっとしてはいなかった。
 慌てる事無く、朱鷺恵さんの体に合わせて動いている。
 朱鷺恵さんの足を掴んで、開かせて、挿入している……、のかな。
 二人で足を交差させるようにして、交わっている。
 たしか、松場崩しとかいう形だったと思う。
 今度は志貴さんがゆっくりと主導権を取って動き始めた。

 さっきとは違った角度で朱鷺恵さんのあそこが歪み、志貴さんの動きを受け
入れている。
 じゅぷじゅぷと出し入れされて、形を変える。
 水音がして、志貴さんがさっき出したものと朱鷺恵さんが滴らせているもの
がはっきりと見える。
 こうしている間も志貴さんは朱鷺恵さんとつながり、休みなく動いているの
で、その律動が朱鷺恵さんの体を通して伝わってくる。

「んん……」
「っあッッ、んふぅぅ」

 唇が重なる。
 朱鷺恵さんの唇は、キスする度に全然違うものになっている。
 今のは……、オンナの唇。
 舌が入ってきて、私は迷わず自分のそれを絡めた。
 お互いに志貴さんの唇に触れ舌を受け入れていた唇であり舌。
 だから馴染んで、だから抵抗がないのだろうか。
 くちゅくちゅと音が体の中から響くよう……。

「キスうまいのね、アキラちゃん」
「朱鷺恵さんこそ」

 もう一回。
 朱鷺恵さんの胸が私の胸に触れる。
 ぎゅって抵抗なく潰れる。
 なんて柔らかいんだろう。
 時々硬くなった乳首が触れ合って、その時にはお互いに相手の口に吐息を洩
らしてしまう。
 
「アキラちゃん、手が止まっているわよ」
「は、はい」

 頭の中が痺れて、恥ずかしいなんていう感情が消えてしまった。
 両手で、激しく自分の谷間を弄った。
 
「アキラちゃん、可愛いなあ」

 志貴さんの声。
 驚いて見ると、上から覗いている。
 また体勢が変わっていた。
 きっと無理に朱鷺恵さんが私を抱いているからだと思うけど、志貴さんは身
を起こして、朱鷺恵さんの片足を持ったまま立て膝で交わっている。
 
「朱鷺恵さんの胸、柔らかくて気持ちいいよね」
「気持ちいいです。大きいし、とても羨ましい」
「そんな事ないわよ。でもアキラちゃんだってこれからもっと大きくなるだろ
うし。
 あ、でも志貴君は小さくて可愛い胸も大好きだよね?」

 そんな言葉を交わしつつも、体は三人で密着し動いている。
 朱鷺恵さんを仲介して。
 まるで三人で繋がっているみたい。
 我に返ると、きっと信じられないだろう。
 私が朱鷺恵さんと抱き合って、キスをしたり、胸を弄られて声を出してしま
って。
 志貴さんは朱鷺恵さんと交わりながら、手でも朱鷺恵さんの敏感な部分を弄
っている。

 そんな信じがたい状態で、私は自分の指で快感を探っている。
 それでは、すぐに、キモチイイ極点に辿り着くのは、あたりまえだ。
 もう、何かあれば一線を越えてしまう。
 
「アキラちゃん、イキそうなのね」
「もう、切なくなって、ふああ」

 気づいてくれた。朱鷺恵さんが、その私の状態に。
 朱鷺恵さんは唇から小さな舌を少し出した。
 そしてチロリと動かしてみせる。
 私に見せつけるように、何かを予告するように。
 そして唇を私の胸に近づけ……、志貴さんのように胸を唇で刺激してくれた。
 乳首を絶妙な強さで吸ってくれて、むず痒さと気持ちよさで変になってしま
いそう。
 それだけでない、硬くなっている乳首の先をちろちろと何かが這いまわる。
 何かではない、朱鷺恵さんの舌。
 見えない朱鷺恵さん舌の動きを、克明に思い描けた。

 もう、片足が境界線を越えたと頭の中に残った僅かな冷静さの残滓が判断し
た時、それすらも吹き飛ばす最後の一押しが来た。
 熱烈な愛撫ではない。
 胸の脇と、背中を本当に触れるだけの強さで指で弄る。
 朱鷺恵さんがしたのはそれだけ。
 なんで知っているんだろう。
 それは、私の急所の一つ。
 そんなに劇的に感じるわけではないけど、やんわりと指で線を描かれると弱
い電流に佐触れたようにビリビリとした痺れを感じる。
 そんな異種の快感を受けたら、もう……。

「あああ、もう、イク、イッちゃいます。朱鷺恵さん、あああーーーッッッ」

 真っ白になった。
 あくまで自分の指で達したというのに、まるで志貴さんに念入りに可愛がっ
て貰った時みたいになって、イッた。
 もう、自分の中で弾けるものだけで何もわからなくなった。
 最後に、耳に届いた声も、聞こえはしても意味を認識し切れなかった。
 二人の大きな叫ぶような声。

「ううッ、朱鷺恵さん」
「だめ、もうイッちゃう……、志貴君、あ、あああああ!!」

 





「アキラちゃんにイカされちゃった」

 それから少しして、まだへろへろな頭の私。
 余韻に浸っていると、朱鷺恵さんが顔を近づけて囁いた。
 まだ、暖かい腕にやんわりと抱かれている。
 少し恥ずかしく、そして嬉しい。

「え?」
「今ね、志貴くんもいっぱい出してくれたんだ。私のお腹に」

 嬉しそうにそこを手で触れる。
 朱鷺恵さんのあそこ。
 とろとろとした朱鷺恵さん自身のものと混じって、白く濁った別のものがこ
ぼれて、指を濡らしていた。

「でもね、何が志貴君に限界を超えさせちゃったかわかる?」
「それは、朱鷺恵さんが……」
「私で気持ち良くなってくれたのはそうなんだけど、最後にね、背中押したの
はアキラちゃんなんだ。
 アキラちゃんが可愛い声上げたのと同時に、志貴君いきなり弾けちゃうんだ
もの。
 ちょっぴり悔しいなあ」
「え、ええっ?」

 にこにこと嬉しそうな顔で朱鷺恵さんは言う。
 志貴さんはと見ると、志貴さんも朱鷺恵さんの言葉に恥ずかしそうにして、
私とも視線を外してしまう。

「それでね、お腹に熱いのが広がる感触と、志貴君の気持ちよさそうな顔を見
て、私も達しちゃったんだ。
 つまり、ほぼ連続で三人で絶頂迎えたの。アキラちゃんがイッたのを始まり
にして。
 だから、私もアキラちゃんにイカされちゃったという事になるわね」

 でも、その私を気持ち良くしていたのは朱鷺恵さんで、そうなると?
 とまどう私に朱鷺恵さんがキスをしてくれた。
 なんだかわからなくなる。
 でも、とても幸せな気分。





                             つづく

  ―――――――――――――――――――――――――――――――

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