「兄さん」

 そこに、秋葉の声が響いた。
「ほら兄さん……先輩がこんなにしてくれているのに、どうしてそんなに我慢
なされているのです?」
 秋葉はそう言うと志貴の耳元へ歩み寄り、ふうっと息を吹きかけた。
「ふうっ!」
 志貴がぶるっと震えて声を上げるが、秋葉は尚も耳朶を舐めて志貴に快感を
与え続ける。
「もしかして……わたしがいるから本気になれないのですか?」
 秋葉は確信を告げると、妖しく笑った。
「わたしは気になさらなくてもいいですよ? ほら、私たちは兄妹ですから、
そんな事は許されないのですし……」
 そう言って首筋に舌を這わせる。
「代わりに、先輩を悦ばせてください。ねえ、先輩?」
 そう言ってシエルを見つめ頷くと、秋葉は志貴を後ろ手に縛っていたスカー
フをほどいた。
「ああ……遠野君、そのおっきな手で、わたしの胸も触ってください……」
 シエルはそう言いながら我慢できないとばかりに、自らの胸を服の上から触
り始める。
 腰は繋がったまま、今もぐちゅぐちゅと摺り合わせて相変わらず快感の信号
を得ているのに、より貪欲に快感を求めようとする雌のどうしようもない本能。
「ふうっ、はあっ……もう」
 しかしすぐにその浅い快感に満足できなかったか、セーターを脱ぎ、ブラウ
スのボタンも外してしまう。
 白いレースの入った綺麗なブラに包まれたシエルの谷間が志貴の眼前に現れ
る。秋葉と違ってふくよかで、包み込んでくれる優しさと男を狂わそうとする
いやらしさが同居した、罪作りな膨らみがあった。
「はあっ……ねえ、遠野君……?」
「むうっ……!」
 シエルはちっとも触れてくれないもどかしさに志貴の首へ腕を回すと、その
まま体を預けて自分の胸へ志貴の顔を埋もれさせた。
 窒息させようとする程に抱き寄せ、顔を谷間に擦りつけると左右に僅かに揺
らす。志貴のメガネと鼻が触れるだけの感触でも、シエルの快感は高められて
ゆく。
「好きにしていいですよ……はぁぁ……今繋がっているおまんこだけじゃなく
って……」
 シエルは熱いペニスに貫かれている自らを見下ろして、はぁと熱い吐息をつ
くと、すうっと腕の絡まりの力を抜く。
「この胸も、その先も。全部、遠野君にあげちゃいます……」
 片手を自らの背中に回すと、ぱちんとホックを外す。そのまま志貴の顔は埋
めたままでブラを抜き取ると、みっちりと詰まったふたつの乳房が露わになっ
た。
「ねえ、遠野君……わたしのおっぱい、魅力的じゃないですか……?」
 それでも動かない志貴に、シエルは切なそうな声を浮かべるから、志貴は慌
てて顔を離してそれを否定しようとする。
「ち、ちがいま……っ」
 しかし、改めて視界一杯に広がったシエルの胸は、あまりにも自らの欲望を
狂わすような素晴らしさであった。秋葉の胸が小さいとか不満とか、そんな訳
は僅かもないのだが、シエルのこの豊満な体に
は男として抗いがたい何かを感じずにはいられない。
 ごくり、唾を飲み込み、志貴はシエルの胸に、その先端で既にピンと立って
いる乳首に瞳を奪われていた。
 そんな瞳に微かに嫉妬したのか、秋葉は一瞬むすっとした表情を向けたが、
すぐにさっきの妖艶な瞳を見せると、今度はシエルの後ろに回った。

「先輩、素敵な胸……羨ましいですわ」
 背後から覗き込むようにしてその稜線にうっとりとした表情を浮かべた秋葉
は、今度は両手をシエルの脇の下から差し入れると、その吸い付くような胸を
包み込むようにして触れた。
「ああっ……」
「こんなに、柔らかくて……兄さん?」
 始めはその質感を楽しむ様子だった秋葉だったが、志貴の方へ瞳を向けると、
目の前でぐにぐにといいように形を変えている二つの乳房に目が離せないでい
た。
 それを見ると、余計にその人を惑わしたくなる。
「あ、秋葉さん……ふうん!」
 下から乳房を持ち上げて包むと、絞るようにシエルの胸を責める。
 いいように形を変えて、シエルの胸は秋葉の手の中で踊った。
「あああっ! とお、のくん、が……ああんっ!」
 その快感からシエルが体を動かしてどうにかしようとすると、今度は下で包
み込んでいる志貴のペニスが自分の中で暴れて、快感をより叩き付けられてし
まう。
「あっ! ああっ! ふわぁぁぁっ!」
 シエルはガクガクと快感に身を震わせながら必死に耐えようするが、秋葉は
執拗な程に愛撫を加えてきて、更に志貴のペニスはみっちりと奥深くまで埋ま
っていて抜け落ちず、どこにも逃げる事が出来ない。
 秋葉はそんなシエルの様子を楽しみつつ、今度はきゅっと乳首をせり出させ
る格好にする。
 だが、あくまでその先端だけは触れないようにしてシエルを焦らしてから、
シエルの肩越しに志貴へと呼びかけた。
「兄さん……こんなにエッチな胸で、こんなに乳首が兄さんに吸って貰いたが
っていますよ……なのに、何もしておあげにならないのですか?」
 何度も何度も胸は触るが、その先端だけは意地悪をするかのように触れない。
「ふうんっ! 遠野君、秋葉さぁん……っ! 先っぽ、乳首も触ってくださぁ
い……」
 シエルは先程からふたりに快感しか与えられていないが、更なる快感が得ら
れる欲望にどうしようもなくなって、震えた声で懇願をした。
「先輩……」
 志貴は目の前で自らに向けられる二つの乳房に、その先端の尖った乳首に次
第に心が沸騰していった。
 只でさえ熱い下半身の繋がりに、ここまで触れてしまったら先輩は壊れてし
まうのでないか、そんな不安さえも覚えてしまう。
 だが、秋葉はシエルの胸を寄せ、乳首が僅か数ミリで触れるか触れないかの
均衡を保ち続ける。
「ね、兄さん……先輩をもっと啼かせてみたいと思いませんか?」
「……」
 志貴が秋葉のその問いに、言葉にならない惚けた吐息を吐いた。
 その瞳に僅かに光が灯っているのを認めた秋葉は、ゆっくりと自らの体でシ
エルを押し、志貴の口元へ胸を寄せさせる。
「ふう、ん……」
 切なそうな、そして期待の色を含めたシエルの瞳に。
 楽しそうに、そして妖しい色を含めた秋葉の瞳に。
 志貴は、遂に堪えていた何かがプチンと弾けた。

 ちょん、と志貴の唇がシエルの乳首に触れると、志貴は舌を唇から覗かせて
寄せられていた両方の乳首を一緒に舐めた。
「ふあああああっ!」
 そのまま唇で乳首を挟んで吸い付くと、何故かたどたどしい動きにしかなら
なかったが歯を立て、そして加減も忘れてねぶった。
「ああ! とお、のくん……!」
 一度に両方を愛撫され、シエルは歓喜の声を上げた。
「もっと、もっとしてください……!」
 糸が一本切れた志貴に、躊躇いは薄れていた。
 ようやく自由になった腕を上げると、秋葉の上からシエルの胸に手を添える。
「ふふふ……兄さん、ようやくその気になりましたね」
 ニイと満足そうに、秋葉は自らの役目の終わりを理解して手を引いた。同時
に、志貴の手はシエルの胸をすっぽりと包み込み、先程秋葉がした以上に、形
が変わる程に揉みしだく。
「あああっ! 遠野君の手が……凄い、っ……!」
 秋葉にされていた時の感触とは明らかに違う、志貴に触られているという心
の快感が混ざり込んだ愛撫にシエルははしたなくわななく。同時に、先程まで
動きを忘れていた腰は再び貪欲に動き始め、新たに志貴のペニスを締め付けて
快感を貪り始めた。
「あっ! あ! ふあああっ! 遠野く、んがぁっ!」
「せ、んぱい……っ!」
 シエルの嬌声に、志貴が反応した。
 たどたどしかった動きは、解放された欲望に次第に忠実になり、やがて激し
さを増してゆく。
 手でこね、浮き立つ乳首を噛み、ねぶり、そして腰は自らの快感を求めよう
と硬直を解き放ちグラインドを開始する。
「いい……いいです! これが欲しかったんです……遠野くん!」
 シエルは次々と与えられる快感に、首を反らして喘ぐ。
「ふあっ! ああ……あああ! どうにかなりそう……です!」
 ぱくぱくと口が空気を求めて何度も開かれ、その端からは零れ出た唾液が志
貴の髪に落ちてゆく。
「あああっ! ああ! ああんっ!」
 ぎゅうっと志貴の頭を抱え込むと、それに呼応して志貴がシエルの乳首を強
く噛み、その間隙を襲うかの如く腰を突き上げる。
「くうううっ! もっと、もっとくださぃ……!!」
 子宮口に今までにない衝撃が走ると、シエルは我を忘れて吼えるように志貴
を求めた。
「ああ、ふたりとも、凄い……獣みたいに」
 その様子を傍らで眺める秋葉にも、快感の余波は襲いかかる。むわっとむせ
返るような性臭にあてられれて、シエルの背中に自らの体を擦りつけると上下
して、服の上からたどたどしく乳首に愛撫を与える。
「ふあっ……兄さんと先輩が、こんなに……っ」
 なっているのに、自分だけが快感を受け取れないもどかしさ。
 それをシエルにぶつけるが如く、秋葉は指をシエルのお尻にあてがう。
「ふあっ!? あ、秋葉さん……そこはっ?」
「ふふふ……先輩、もっと悦くしてあげますよ」
「ふあ、ああああああああっ!」
 瞬間、ずぶりとシエルのお尻に秋葉の指が突き入れられた。
「ああああっ! そんな、おしり……!」
 シエルは残されていた性感帯を責められてしまい、自らのはしたなさに震え
ながらも衝撃に似た快感で気がおかしくなりそうだった。
「先輩、凄いですね。こっちでも感じて頂けるなんて、ここも使っていつも一
人でしていたんですか?」
 秋葉はシエルの思った以上の反応に、ぎりりと中をえぐるようにして指を突
っ込む。
 中で鈎のように指を曲げると、腸壁を通してシエルの膣を蹂躙している志貴
のペニスに触れていた。
「ふあああっ! ……はい。おしり、気持ちいいです……! ふたりのが中で
グリグリ……合わさってます……っ!!」
 淫らな言葉を叫びながら、自分では抑制できなくなった体に恐怖を感じてし
まいながらも、それと引き替えに立て続けに襲う快感にガクガクと激震を始め
てしまう。
「ほら、兄さんもわたしに負けないで、もっとしてあげてくださいね……っ!」
「く、わっ! 先輩! ぁ、秋葉……!!」
 秋葉がシエルを責めたてんとねじると、その快感は薄い肉の膜を伝って到達
してしまい志貴が歪んだ叫び声を上げる。
 指が入った瞬間からシエルの膣はペニスを噛み切ってしまいそうな程きつく
なっていたのに、それに拍車をかけて秋葉の指が志貴の幹を、亀頭を擦り上げ
た。
「ふああああっ! わたし……っ! もうっ、もうっっっ!!」
 兄妹に前後から挟まれて、シエルが絶叫に近い叫び声を喉の奥からあげる。
「ああああああ! あああっ! あああんんんっ! ダメ、ダメぇぇ!!」
 ガクンガクンとおかしな挙動で体を震わせてシエルが跳ね上がる。
「先輩……そのままどうぞ。逝ってしまって下さい」
 秋葉は余裕の表情で、そんなシエルの首筋を舐める。すると余計にシエルは
髪を振り乱し、
「あああっ秋葉さん! そんなっ!! 壊れちゃいます!!」
 狂ったように叫び出す。
「くあっ! せ、先輩っ!! 秋葉っっ!! だめだ……!!」
 おかしい程に締まりだしたシエルの膣に、志貴も胸から顔を離すと遅れて緊
迫した声を立てる。一気にがんがんと上り詰めていく射精感に、許しを請いな
がら歯を食いしばった。
「ふああっ! 遠野君も、一緒に来てくださ……」
 シエルが志貴の腰に縋り付くように体を押しつけた瞬間に、秋葉がクスリと
笑う。と、
「!!」
 シエルの息が一瞬止まった。

「ふああああああああああああああああっ!!」

 次の瞬間、一際大きな絶叫と共にシエルの体が硬直し、ぎゅうと志貴の体を
折らんとばかりに締めた。
 その衝撃と膣内の異常な締め付けが射精を堪えていた志貴の糸をプツリと切
ってしまった。
「く、ああああああっ!!」
 志貴は叫んでしまうと同時に、シエルのドロドロに融けていた胎内に己の欲
望の固まりを噴出してしまった。
「あああっ! あああああ!!」
 熱い滾りはシエルの熱をも凌駕した煉獄となって駆けめぐる。
「あああああんっ!!」
 子宮まで届いた鈴口から吹き出す精液は、とどまる事を知らず流れ込んだ。
 理性を焼き切る快感は意識を飛ばさせ、シエルは次第に声を枯らしてゆくと、
やがてぐったりと力を失って志貴に倒れ込んだ。
「くあっ……」
 それでもなお志貴の射精は続き、シエルの膣が精液で溢れかえってしまうの
ではないかと思う程に射精してしまってから、あまりに長かった波が僅かずつ
引いていく。そしてようやくシエルの体の重み
を理解する程度まで理性が戻ってきた時、瞳がその奥に秋葉を捕らえていた。
 嗤っていた。
 シエルの尻にいきなり2本の指を突き入れてこの絶頂を導き出した張本人が、
愉悦と恍惚の表情を浮かべて妖しく微笑んでいたのだ。
 おまえが……やったんだな。
 理解していたとはいえ、秋葉のこの狂ったセッティングに……志貴は背筋に
悪寒が走った。
 しかしそれは、畏怖とも思える悪寒。
 想像だにしなかった快感を確かに導き出した秋葉の性に対する妄執とも思え
る策略に、確かに志貴は絡め取られ、こうして翻弄されたのだった。

「うふふ……」
 シエルの後ろから指を抜き去ると、秋葉は掲げたその指のてかりを楽しげに
眺め、
「兄さん……凄かったですよ、あの瞬間の、壁越しでも分かる兄さんの絶頂が」
 自らの指を鈎状に何度も曲げながら、感覚を思い出しているようだった。
 すると、秋葉はすっかり体重を志貴に預けたシエルの背後から離れ、志貴の
横へやってきた。その間も志貴は、何かが憑いたような不気味な笑いを浮かべ
る秋葉から目を離せないでいる。
「ほら、兄さん……この指で」
「むうっ!?」
 と、秋葉はその指をおもむろに志貴の口内へと突っ込んだ。
「こんな風に……こんな風に!」
「ふうっ……かはぁっ!」
 ぐりぐりと秋葉が志貴の口内を指で犯す。歯を舌を、更には口内の壁までも
えぐるようにして指を押しつけては、まるで膣内をペニスで蹂躙するかの如く。
 その味に志貴はむせた。排泄の嫌悪すべき味は無いのだが、腸液の独特な味
覚に舌は痺れ、それでもなおかき混ぜられるのを止められない。
 顔をいくら歪ませようとも、秋葉は容赦なく志貴を責めた。
 それは、まるで何かに激しく嫉妬している様子に見えた。

「ふふふ……」
「はあっ……はあっ……」
 ようやく秋葉が指を引き抜くと、志貴は苦しい息をついた。と、
「ああ……はあ、むっ……」
 その指についた志貴の唾液に見惚れた秋葉が、おもむろにそれを自分の口へ
と運んでいた。
「兄さんの唾液、こんなに……おいしい……」
 水を渇望していた獣がするように、がむしゃらに自らの指に舌を這わせて舐
め取る。全ての唾液をこそげ落とすまで楽しむと、今度は自分の唾液にまみれ
たそれを、志貴の頬になすりつけて嗤った。
「ああ、なんてはしたないわたし、こんな……」
 すると今度は、その唾液の線を秋葉がうっとりと見つめた。自分の唾液で汚
れた兄の顔、えもいわれぬ興奮を覚える妹はやがて舌先をその頬に近づけ、チ
ロチロとその筋を舐め始めた。
「うぁ……やめろ、秋葉」
「そんな、兄さん……止められません。わたしが汚したのと、兄さんのも……」
 唾液だけに飽きたらず、志貴の流した汗の雫も舌先は探り、その筋に沿って
志貴の耳に近づく。と、そこで悪戯心が芽生えた秋葉は、志貴の耳の中へ舌先
を突き入れた。
「くあっ!」 
 シエルを抱きかかえながら志貴は女性のような声を上げ、そのむずがゆさか
ら逃れようと顔を動かす。
 その動きは、僅かな腰の動きともなり、肉の重みを預けていたシエルに伝達
して、
「……ふあっ、ん」
 まだ気をやっていたままのシエルを呼び覚ます格好となっていた。
「……」
 ぼうっと、シエルは浅い意識を覚えながら目を覚ますと、志貴にもたれかか
った体を少しずつ離していく。しかし、腰は未だに繋がったままでいたために、
秋葉が志貴を弄ぶたびに軽く揺すられて、まだ軽く快感を得続けてしまう。
「ああ……遠野君、秋葉さん」
 とろんとした表情で志貴と秋葉の痴態を眺めていたシエルは、自らの膣内に
重く残る志貴の精液を感じ、愛しそうに微笑んだ。
「こんな……沢山」
「せ、せんぱい……あっ!」
 シエルの僅かな収縮がまた起こり、志貴は半分力を失っていたペニスに血が
集まるのを感じてしまう。
「ん、ふ……でも、今はお楽しみのようですし、わたしもまだ……」
 と、シエルはゆっくりと志貴との繋がりを解こうと腰を浮かした。
「んっ……!」
 志貴の傘のくびれが膣壁に引っかかると、絶頂間もない躯はそれだけで快感
を覚えてしまうが、シエルは最後にきゅっと膣口を締めながらそれを引き抜い
た。
「あっ……」
 瞬間、志貴とシエルの口から同時に漏れた軽い喘ぎ。
 そしてシエルは自らの両脚で地を踏むが、腰が砕けそうになってすぐ後ろの
机にもたれかかる。
 そこで、何かを考えたらしくシエルは机を自らに引き寄せると、その上に登
った。

「……」
「……はぁ」
 志貴達の見ている前でシエルは机に腰をかけると、一度はそのまま秋葉の行
動を眺め続けていた。
 が、志貴の視線が自らにあまり向けられていない事に少々の不満を覚えると、
「遠野君、秋葉さんも」
「……?」
 呼びかける。
 志貴の首に大胆に腕を回して耳から首筋を責めていた秋葉、そのぞくっとす
る快感に小さな快感をあげていた志貴。そんな二人の視線が集まったところで、
シエルは改めてにっこりと笑った。
「ほら……見てください」
 机に腰掛け、足を宙に浮かしていたシエルが、その閉じた足を開いてゆく。
「こんなに、遠野君に出されちゃいました」
 と、徐々に露わになっていくシエルの中心は、ベトベトに粘液にまみれた痴
態を晒して。
 更に、その膣口から白く濁ったこごりがごぽりと溢れ出てきた。
「あら」
 秋葉は、その状況がさもないようにあっさりと返事をして眺めるが、
「……」
 志貴はその淫靡な光景に、ごくりと唾を飲み込んだ。
 自らが注いだ精液がまるでシエルを汚しているような錯覚は、男としての達
成感、もしくは加虐心を揺さぶる。
「わたしの中いっぱいで、溢れてきちゃってます……」
 下腹部をさすりながら慈愛の表情を見せるシエルの中に、僅かにもの惜しげ
な表情。そして、嬉しそうな表情。
「でもどうしましょう……」
 その僅かだった表情が色濃くさせつつ、シエルは志貴を軽く咎めるように見
つめた。

「わたし今日……危ない日だったんですよ」

「……!?」
 あっさりと当たり前のように告白するシエルに、しかし志貴は一気に心臓を
掴まされた心境になった。
「ほら……また零れてる。こんなに出されちゃったら、妊娠してしまいます…
…んっ」
 自らの膣口を弄り微かに快感を呼び起こしながら、シエルが自らの股間から
志貴へと視線を移した。
 志貴はその瞳に、顔が青ざめていくのが自分でも分かった。
 秋葉には今まで一度も言われた事のない言葉。しかし、心の奥では明らかに
分かっていた事実を、シエルはいともたやすく口に出して微笑んでいる。
「まだ学生の身なのに、遠野君の赤ちゃんを授かってしまうなんて……」
 シエルの一言一言が、あまりにも現実として恐ろしい響きを持っている。し
かしシエルはそんな事に気付く様子もなく、
「でも大丈夫ですよ。お腹が大きくなる前にはここも卒業できそうですし、堕
ろす様な真似なんて、神に背く行為ですからね」
 にっこりと既に母親の顔を見せながらシエルが志貴を見つめた。
「せん……」
 断罪とも感謝とも思える言葉。
 志貴はシエルの中心から目を背ける事が出来ずに、その言葉にどうする事も
出来ないでいた。
 しかし

「ダメですよ、先輩」

「! ……あ、きは……?」
 そこで、ようやく志貴にしがみつくようにしてその状況を見つめていた秋葉
が、静かに呟いた。
「……秋葉さん?」
「先輩、ダメですよ。そんなまだ体も出来ていないのに、子供を授かってしま
うなんて」
 すうっと、志貴の首から絡まりをほどくと、秋葉は志貴とシエルの間に体を
移す。
 シエルがはしたなく脚を開くその前に、秋葉はしゃがみ込む。
「ああ……凄いどろどろ。兄さんの精液が、先輩の熱いおまんこにこんな注が
れたんですね」
 秋葉はシエルの淫唇に指を添えると、中を覗き込むようにしてくつろげた。
 にちゃりと広がる膣口から、またも大量の白濁が流れ出て、どろっと机に零
れる。
「ですから……」
 その言葉と共に、秋葉の頭がゆっくりとシエルの股間に埋まっていく。
「ふああっ」
「わたしが……全部、吸い出してあげます」
 そう言うと、秋葉は何の躊躇いもなくシエルの膣口に口を当てると、まずは
舌を伸ばして溢れていた精液を掬った。
「ああっ……」
「凄い……むせ返るような匂いと、この味。さっきよりも強くて……」
 秋葉はふたりの淫液が絡んだ舌を口に含むと、それで頭がぼうとしてしまっ
たかのように舌なめずりをして本格的にシエルの膣口に唇を添える。
 じゅるる……じゅる
 そんな音を立てながら、秋葉はシエルの中に吐き出された精液を吸い出し、
啜り取る。
「や……ダメです、秋葉さん! そんな、わたし、今さっきイったばかりで…
…っ!」
 その刺激はまだ快感の残っていたシエルには、新たな愛撫として強い刺激と
なって襲いかかってゆく。
 だのにそれに全く気を留めない秋葉は、むしろ顔を埋めるようにして奥を探
る。
「はぁ……飲んでも飲んでも溢れてきます。兄さんの……こんなに、はしたな
い」
 自らを責めるのか、それとも志貴を責めるのか曖昧な言葉で秋葉が次々と湧
いてくる汁を舐める。
 その体はより奥を探ろうと立ち上がり、志貴の眼前には秋葉の腰が大きく広
がる。
「……」
 志貴の視界は、秋葉の臀部によって覆われ、シエルの中を探る動きに合わせ
てふるふるといやらしく揺れる。
 秋葉は指も使いながらシエルの膣をかき回し、指に絡まってくる白濁にもま
んべんなく口をつける。
 時折はぁ、と熱い溜息を漏らしながら、秋葉は熱にうなされたような表情で
精を飲み干し、また自らを狂わせてゆくその源泉に舌を滑り込ませてゆく。べ
ちゃべちゃとなった自らの顔を全く気にしよう
ともせず、血に飢えた獣の如く蜜をじゅるじゅると吸い取る。
「ああ……ちゅ、んんんっ……」
「ふぁ……はあ、ん……っ!」
 二人のアンサンブルが、志貴の耳を何度も切り裂く。
 その音しか聞こえない状況に、くらくらと意識が現世から分断されていって
しまう。
 目の前には、紺色のスカートに身を包んだ秋葉の……腰が、艶めかしく。
「……ぁ」
 小さく、秋葉をどうにかしてやりたい衝動に声を上げるが、僅かに残った理
性と知性がそれを何とか押し留める。
 が、その均衡をあっさりと崩したのは、矢張り秋葉であった。

「ああ……」
 うっとりと、そして悩ましげに精を飲んでいた秋葉が、たまらないといった
様子で腰をくねらせた。
「兄さん……」
 不意に声が掛かって、志貴がはっとした表情になる。
 すると、シエルを弄っていた秋葉の手がすっとスカートに掛かると、その裾
をつまんで持ち上げる仕草をした。
 そして、腰を突き出して求めるようにすると、
「兄さん、秋葉のここも……秋葉のおまんこも、舐めてください……」
 そう、懇願した。
「あ、秋葉……」
 今まで理性を保ち続けていた様に見えた秋葉のお願いに、志貴は言葉を失う。
「もう、我慢できません。こんなにセックスを見せられて、精液を飲んで……
もう、妹だからなんていう理由に、わたし、耐えられません……」
 ずっと心の奥底に溜め込んでいた想いを吐露するような、そんな秋葉はあま
りにも狂っていた。
 志貴が欲しい。
 ただその一点に集約した秋葉の言葉は、この状況がどんな事かも忘れ志貴を
衝撃に打ち込んだ。
「秋葉……」
 正確な思考を焼き切られた志貴の口から出てくるのは、狼狽えたその言葉の
み。
「ああ……来て、兄さん。秋葉のここへ、口づけて」
 秋葉は裾が思い通りに上がらないもどかしさを覚えると、今度はスカートの
ホックに手をかけて、ファスナーを降ろした。
 秋葉の腰を覆っていたその布きれは、束縛する力を解放されてしまい、すと
んと床に広がって落ちてしまった。

「……」
 ああ、と声にする事も出来ず志貴が目の前に晒された妹のお尻に目を奪われ
た。
 薄い肉付きではあるが、確かに妖艶な、オンナの躯がそこにある。
 まだ最後の隔壁として、理性の象徴とも思える真っ白なショーツだけが、秋
葉の大事な部分をひた隠しにしているようだった。
「ねえ……兄さん。兄さん……兄さん、秋葉の、ここ……濡れてますか?」
 秋葉はショーツには手をかけずに、こちらを振り向きながら顔をはしたなく
染めて志貴をじっと見つめる。
 先程から幾度も痴態に晒され、何度も何度もオンナの衝動を突きつけられて
いた秋葉のショーツは、その奥にある秘部への隠匿の用途を全く持たない程に、
びっしょりと濡れていた。
 透明な液体はクロッチから大きな染みとなり、まるで小水を漏らしてしまっ
たかの様に広がっている。それどころか、ショーツが吸い取る事の出来なかっ
た淫液が、はしたなく内股に濡れ広がり、秋葉のそこをぬらぬらと光らせてい
た。
 その染みの源泉、秋葉の中心を覆う僅かなスクリーンの向こうには、うっす
らと影。
 秋葉の淫靡な薫りを漂わせている秘裂が、ぱっくりと開いて志貴の目を狂わ
せた。
「あ……あああ……」
 何度も、そう本当は何度も見慣れたはずのそれなのに、創られたはずである
この場ではあまりにも美しく、淫靡に、艶めかしく、理性とはほど遠い卑猥さ
をもって乱れている。
 志貴の言葉にならぬ呻きは、答えを待っていた秋葉には肯定の証として曲解
を生み出していた。
「嬉しい……兄さん」
「……! ふうっ!?」
 待ち望んでいたかの如く秋葉は僅かに身をずらすと、志貴の顔が上手く来る
ように腰を突き出して、自らの嫌らしいところへ触れさせた。瞬間、志貴の鼻
先が秘裂に触れ、
「ああ……兄さんが、わたしのおまんこに……!」
 秋葉が待ち望んでいた刺激に震えて、歓喜の声をあげた。
 口を秋葉の臀部に塞がれて、志貴はもはや自らの意志で何かをする権利など
ない。
 押しつけられたそのショーツからじわりと顔を濡らす液がまとわりつくのを、
僅かな感覚で覚えながら、言われるがままに舌を伸ばした。
「ふあっ! はぁぁぁぁ……っ! 兄さん……っ! ん、んんんっ!!」
 きゅっとシエルの腿に指を食い込ませながら、秋葉は断続的に当てられる志
貴の鼻と舌の感触に言葉を詰まらせた。
 快感から逃れようと、秋葉はそこでシエルの秘裂へ顔をもう一度埋め、自ら
の舌を突きつけるようにして舐めた。
「はあっ! あ! あああっ!」
 唐突に訪れた再度の快感に、シエルは跳ねたような声で反応する。
 秋葉の快感の一部を分け与えられたようで、シエルはうねる衝動に自らの身
を震わせた。
「うわぁぁ……はあんっ! あきは、さん……」
「はぁっ……兄さん、先輩……」
 ふたりの重なり合う嬌声に、志貴の心は理性と本能のせめぎ合いに震えてい
た。が、身に染みついた性の強烈な衝動は先に行動となって、慣れた舌使いで
秋葉の秘裂をショーツの上からなぞっていた。
「ふあああああっ!! 兄さん……! もう……っ、直接触って下さい……っ!!」
 秋葉がはしたない言葉を漏らすと、ぷちぷちと理性を繋ぎ止めている神経の
糸が切れていく。
 手は勝手に動き、秋葉の少し食い込んだショーツの両端に指が掛かる。その
まま、秋葉が一瞬腰を引いたのに合わせてしまうようにして、一気に膝まで下
着の意味をなさなくなった布きれを降ろしてしまった。
「はぁ……っ、あああ……」
 開放感に、呻きにも似た息をつく秋葉の目の前で、志貴は言葉を失っていた。
 秋葉の秘裂が全面に晒され、ヒクヒクと雄を求めて蠢いている襞が別の生き
物のように志貴を誘っていた。

 胡乱に錯乱した思考が志貴を襲う。
 秋葉が、自分の目の前に秘部を晒して恍惚の表情を浮かべている。
 ぎりぎりと焦燥感にも似た欲望の煮沸が、志貴の体を徐々に包み込んでいっ
た。
 ショーツから離れた指は、意志とは無関係に動く。
 いや、これが志貴の本来の意志だったのだ。

「ふああああっ!!」
 ぐちゅりと、大きく開かれた脚の間で待ちこがれていた膣口に、志貴はいき
なり二本の指を突き入れていた。
 それが意識の決壊を呼び込んだ様に、志貴は秋葉の膣を蹂躙するかのように
中をえぐった。
 秋葉の歓喜に狂う叫び声があげられたが、そんな声も今の志貴の耳には遠く、
ただぐちゅぐちゅと自らが指を前後させて卑猥に奏でるその音に意識を奪われ
ている。
「あああ! それ! 兄さん、もっと……はああっ!!」
 言葉に呼応するつもりはなく、体は一気に押し寄せた雄の思いに従うのみで、
結果言われるままに激しいピストン運動で秋葉の膣を何度も何度も犯す。
「あああっ!!」
 もう一つの指が膣を突く指を邪険にしながら前に伸び、既にぷくりと膨れて
包皮から全てを覗かせていたクリトリスを力の加減無くこねる。
「ふああああああああっ!!」
 あまりに強烈な快感に激震し、がくがくと体を壊れた機械のように揺らしな
がら秋葉が部屋中に響き渡る卑猥な声を出す。
 その声をもっとあげさせんとばかりに、志貴はクリトリスを親指と人差し指
でつまみ、こね、爪で引っ掻き、そして激しく擦った。
「ああああああん!! そこ、そこですっっ!!」
 頭がおかしくなりそうな感覚に狂い叫んだ秋葉。
 しかし同時に、一瞬頭から欠落していたシエルへの愛撫を再開し、3本の指
でぐちゃぐちゃと膣をかき回しながら、その上部で痛い程張りつめていたクリ
トリスを、志貴がしてくれたのと同じ様に激しく舌で責めた。
「ふあああっ! 秋葉さん、それ……だめえっ!」
 シエルのよがった声は秋葉をより一層興奮させる。
 それだけで、今までに感じた事のない程に、体中を快感とは言えない程の信
じられぬ衝撃が襲っていた。
 というのに、秋葉の雌の本能は恐ろしく、まだ足りないとばかりに自らの尻
に片手を這わすと、志貴の顔中に塗りたくられた愛液に滑ってしまう臀部を掴
み、うまくいかない事に焦燥しながらも大きくそこを割り開いた。
「お尻も……先輩みたいにお尻も責めてぇ!!」
 その願いは秋葉にとっては初めてであったが、先程のシエルの痴態を見せら
れたために、本当にわずかばかりの好奇心と、それを完全に潰してしまうよう
な性への猛執が秋葉を行動に駆り立てていたのだった。

「あ、き……はっ!」
 志貴の目の前にはしたなく割広げられた秋葉の尻。その中心で秋葉の紅潮し
た肌から比べて、くすんだ色を見せるすぼまり。
 そんなところまで恥じらいもなく晒してしまう秋葉の性に、志貴は自らの興
奮までもぐんと高みに突き上げられた。

 電気が走るよりも速く、指に居場所を奪われていたべとべとの口を志貴は躊
躇いもなくそこへつけた。
「ひゃ、ああああっ!!」
 その瞬間、今まで触れられなかった場所での快感が、秋葉の体を走り抜けた。
 志貴がびちゃびちゃと音を立てて舐め、自らの力をほぐしてしまっている事
に、羞恥が加わったとてつもない衝撃で秋葉を狂乱させる。
 秋葉の尻を舐めながら、志貴もまた背徳の衝動に打ち震え、そのすぼまりが
与える嫌悪な味覚を簡単に押しやっていく。
 そしてすぼまり緩んでいく感覚を確かめた志貴は、急くようにしてその中へ
と舌を突き入れた。
「ひゃあっ!」
 叫ぶ秋葉の声は、嫌がる様子など微塵もなく快感に震えているだけだった。
 志貴は膣とは違うあまりにきつい舌への力に呻きながらも、一杯に舌を伸ば
して秋葉の未知なる性感を探り犯そうとする。
「ああああっ! お尻、おしりぃぃぃっ!!」
 本当に狂ったように、秋葉が卑猥な語を何度も口に叫びながらぐりぐりと志
貴の顔を押す。
「む……あっ」
 その動きに押されて志貴が顔を引いてしまいそうになるが、負けじと押し返
してぶつけ合うようにして秋葉の尻を喰ってしまうばかりに責めた。
「はああっ!」
 その叫びに圧倒されぬよう、志貴も愛撫をひとときも休まずに続ける。
 秋葉の手が、尻からゆっくりと下に降りて、志貴のペニスを掴もうとする。
 そこは先程からの異常な昂揚にあてられて、元の力を取り戻すどころか、異
様な程に膨れあがってそのまま射精してしまうかと思う程の滾りを見せていた。
 秋葉はその幹に手をかけようとするが、僅かに届かない。
「ああ……ああ」
 しかし、秋葉は必死に手を伸ばすと、僅かだが志貴の亀頭に手を触れさせる
事が出来た。
「くううっ!」
 自らの性感をいきなり掴み取られて志貴は呻く。
 しかし、その声に快感をも覚える秋葉は、そのまま自らの掌を力の加減も忘
れて志貴に擦りつけた。
「くああああ! あ、きは……っ!!」 
 それだけでも秋葉の手の中にぶちまけてしまいそうなのを必死に堪えて、志
貴は快感にやられてしまわない為に、更にその行動を抑え付けるかのように秋
葉への愛撫をより強烈なものにした。
「くあああっ! そんな! 壊れて、しまい、ますっ!!」
 自らの招いた状況に飲み込まれそうなのを、秋葉はシエルへの責めへ転嫁す
ることで何とか逃れようとする。クリトリスを噛みそうな程に唇で挟むと、す
っかり精液を吸い出してしまってシエルの愛液だけになってしまった蜜と一緒
に吸い込んだ。
「あああっ!」
 シエルの叫びまでもが響き渡り、もはや誰がいつ最初に壊れてしまうか分か
らない、そんなギリギリでの責め合いが繰り広げられる。
 志貴が、秋葉が、シエルが、何をきっかけに破綻するかわからない淫らな肉
の饗宴は、
「あああっ! 兄さん、ダメ、わたし……イ……っちゃ……ああああああっっ
っっっ!!」

 志貴の突き入れた指を強烈に締め付ける膣壁の収縮。
 同時にぷしゃあっと秋葉の奥から堰を切ったように溢れ出る飛沫。
 そして肛門をも志貴の舌を千切らんとばかりぎゅっと締め付けての激震。
 秋葉が一番最初に達してしまう事でいつ果てないと思われた終焉を迎えた。
「うあ……あ……うああああ……」
 ガクガクと涎をだらしなく口から零しながら秋葉が歓喜に震えて我を失う。
 更に脳が痺れて命令の届かなくなってしまった膝が、その力を失ってしまう。
 がっくりと志貴の膝の上に腰を落としてしまうと、机に顔を押しつけてはぁ
はぁと荒すぎる呼吸を叩き付けながら、秋葉は真っ白に飛んだ意識の中を彷徨
っていた。
 志貴とシエルは秋葉が達した故に、自らの爆発は逃れる事が出来た。

「はぁ……」
 志貴が自らの脚の上で未だに細かく震えている秋葉を見て、ひとつ溜息をつ
いた時だった。ふっと視線をあげると、そこには自分の事を艶めかしい瞳で見
つめているシエルがいた。
「遠野君、秋葉さん……」
 そのとろけた瞳は、快感の余韻に名残惜しそうにしている様子だったが、瞳
に光が戻ったかと思うと、シエルは少し困ったように、
「ふたりとも……兄妹なのに、その……」
 そう、呟いていた。
「……!」
 その言葉は予想通りではあったのだが、やはり志貴にとってみれば断罪とも
言える厳しい発言であった。
「違うんだ、先輩。俺達は……」
 志貴はそこで狼狽える事は決して無く、正直な言葉で全てを答える準備がで
きていた。いつかそうなるだろう日のために、彼なりに決心していた言葉だか
ら。
 しかし、

「そうなんですよ、先輩……」
「!? あ、秋葉?」
 ようやく体を起こした秋葉が、志貴の言葉を遮ってシエルに話しかけた。
「わたし達兄妹なのに、こんな、おまんこやお尻を舐めてもらうなんていうは
したなくて、やらしくて、気持ちいい事をしてしまいました……先輩、先輩は
わたし達をどう思いますか?」
 秋葉の瞳は未だ快感の余韻覚めやらぬ状態ではあったが、その言葉は酷く自
信に満ち溢れている、常人には奇怪とも思えるものであった。
「秋葉? お前何を……!」
 狼狽する志貴を見つめながら、
「いいんです兄さん。この際ですから……」
 秋葉は妖艶な笑みで志貴にもたれかかるとその首を両腕で絡め取り抱きしめ
てから、シエルへ挑発的な瞳を向けた。
「え? ああ、その……」
 シエルは決して志貴を強く責めたつもりはない。シエルも内緒ではあるが琥
珀に二人の関係を聞かされているから、少しからかうつもり程度だったのに。
 しかし、志貴からすればシエルはそれを真に受けていながら、どんな事を言
っても論破してしまいそうな秋葉の威圧に言葉を選びあぐねている様子だった。
「まあ、わたしは……愛する二人が何をしても、その、兄妹でも……ちょっと
だけ、ビックリしただけですから……」
 そのシエルからは、否定には取れない言葉が漏れてくる。それだけで、秋葉
は十分に満足した。
「ですよね? 気持ちよくなれれば、例え『近親相姦』でしても許されますよ
ね?」
 秋葉はわざと、その部分だけを強調して話していた。まるで、自らの背後に
いる志貴に自覚させようとするばかりに。
「ねえ兄さん……聞きましたか? 先輩は、わたし達が兄妹でこんないやらし
い事をしてもいいって仰ってくれてますよ」
「……」
 秋葉はそう告げるが、言われた志貴の方は言うべき言葉を失って呆然として
しまっていた。
 シエルが認めた事は確かに理由にあるが、それよりも秋葉があんな言葉を言
って余計に状況をおかしくしてしまった事に、思考が停止していた。
 なんて――馬鹿な事を。
 これならば正直に話してしまった方が全て楽になったというのに。
 しかし、志貴には秋葉を責める余裕など無かった。

「……うっ! あ、きは……?」
「だから……兄さあん……」
 今までに聞いた事無いような甘えた声で、秋葉が志貴の頬に口づけの雨を降
らす。それは本当に近親の枷を外されて自由になった妹のように、愛に飢えて
いる少女の姿を彷彿とさせた。
 秋葉は口づけで志貴の瞳を塞ぎつつ、抱きしめていたうちの片手をほどく。
そして、ゆっくりとシャツから覗いた志貴の胸を愛撫しながら下へ伝わらせ、
「ああ、凄い……」
「くっ!」
 先程は先端を触れるだけだった、志貴のペニスへと手を伸ばしていた。
 自らの秘裂を擦るようにして存在するそれに、秋葉はイったばかりの花びら
を擦りつけて悶え、同時に幹の部分をぐっと握って擦り上げた。
「こんな……兄さんのおちんちんが熱いなんて……妹なのに知らなくて……は
あっ!」
 自然と素股の体勢になっているのに気付かないまま、秋葉はうっとりととろ
けた瞳を志貴に向ける。
「くあ……だ、めだ……っ!」
 その娼婦のような動きに、志貴は思わず声をあげてしまう。未達のまま先程
中途半端で投げ出されて、まだ揚ぶっていたペニスは簡単に堰を切りそうにな
ってしまう。
 秋葉は更に、自らの愛液を纏わせたそのペニスを優しくしごくと、今度は先
程触れた亀頭へもう一度手を伸ばす。

「逞しい……」
 しっかりとその姿を捉えた秋葉は、オンナの性に興奮した溜息と共に、形を
確かめるべく全体を包み込んで強弱を加え始める。
 その絶妙な動きは確かに志貴が教え込んだものであった。が、この状況での
その行動は志貴が余裕を失っていることも含めて、果てしなく強烈な快感とな
って志貴を襲い続けた。
「はあ……兄さん、気持ちいいですか?」
「くっ……か、はあっ!」
「嬉しい……わたしでこんなに感じてくれるなんて、秋葉は幸せです……」
 歯を食いしばって耐える志貴の表情に背筋が粟立つ感覚を覚えながら、秋葉
はなおも擦り続け、自らの秘裂にもその快感を伝播させてゆく。
「ふあっ……兄さんのが、秋葉のおまんことクリトリスを擦って……んんっ!」
「ダ、ダメだ、秋葉……っ!」
 しかし、志貴が本当に戻れないところまで逝ってしまいそうになった時、す
っとその快感が消えた。

「くっ……?」
 志貴は終わったのかと一瞬思って、安堵の息を漏らす。
 しかし、考えればそんな訳がなかった。
 秋葉は志貴の体の上でもどかしげに動くと、自らの位置を整え、
「兄さん……秋葉は、もう我慢できません……」
 志貴のそそり立つペニスの上へ自らの秘裂を持ってくると、僅かの躊躇いも
見せずに腰を下ろした。
「あ、きは……っ!?」
 まるで不意打ちのように、唐突に秋葉が自分を中へと導いてきて、志貴は緩
めていた腰に急激に力が入ってしまう。
「ふぁ、あ、あ、あ、あああああっん……」
 まるで水中に花びらが沈んでいくが如くゆっくりと、秋葉の膣は志貴に串刺
しにされていく。そのみちりと埋まっていく全ての瞬間、秋葉は細い声を上げ
て快感に打ち震えた。

「兄さんが……わたしの中に入っていく……はあああああああ……」
 感動さえ覚えたような声、秋葉は志貴のペニスを受け入れた悦びでそのまま
軽く達してしまった。細く長い溜息のような喘ぎと共に、ガックリと力を失っ
て志貴にしなだれかかってしまう。
「あ、秋葉……」
 そのあまりに早い絶頂に驚く志貴であったが、秋葉はやがて意識を呼び覚ま
して呼吸を整えると、
「兄さん……秋葉が、動きますね……ふうんっ、はあっ……」
 健気ね顔で微笑むと、志貴の脚に手を置いてゆっくりと上下し始めた。
「ふあっ、はああ……っ。兄さん……凄い、こんな、おっきい……」
 信じられない、というように秋葉が動くと、その志貴を受け入れている花び
らはめくれあがり、グロテスクな肉の襞を魅せて美しく咲き誇る。
 繋がった部分からは先程の軽い絶頂で溢れた愛液の雫がぽたぽたと零れ始め、
床まで水たまりを広げてゆく。白く濁っているその液体を……いつの間にか床
に腰を下ろしていたシエルが掬った。
「ああ、秋葉さんったら、お兄さんのペニスを加えて、初めからこんなに……
あら?」
 ふしだらな秋葉に言葉で軽く羞恥を加えようとしていたシエルだったが、何
かに気付いたらしく言葉を途中で止めた。
「せ、んぱい? くっ……」
 志貴はシエルのその変化に気が付いていたが、秋葉はまるで興味がないと、
自らの腰をくねらせて志貴を貪る事に夢中になっていた。
「もしかして……」
 シエルはそんな秋葉が志貴を飲み込んでいる股間へ顔を近づけると、ぐちゅ
ぐちゅとあまりに卑猥な音を立て続けるそこを見つめた。
 先程は自分が貪っていた志貴のペニスが、今眼前で激しく出し入れされてい
る。
 雄のペニスが、雌のヴァギナをこれほどもないまでに押し広げ、ぬちゃぬち
ゃと音をあげ、雌の汁をかき出しながら自分は一番奥へがつがつと衝撃を加え
る。
 その光景に自らの腰が疼く。先程そうしたように、今もこの志貴の逞しいペ
ニスにもう一度貫かれたいというオンナの欲望が溢れ出てくる。
 しかし、それよりも気になったのは、その零れる液。
 そう、白いのだ。秋葉は禁忌に自らを怯えさせていたはずなのに。
「秋葉さん、まさか……」
 自らの欲望が口から出そうになるのを抑え込みながら、限りなく冷静を努め
てシエルは呟く。
 それに気付いて良かったのか、そして言っていいのか。
 一瞬の逡巡はしかし、これから起こりえる事への期待には微塵も敵わなかっ
た。

「処女、じゃありませんね? ということは前から……」

「!?」
 その言葉に、志貴が体を硬直させた。
 血が出ていない。ということは、個人差があれど恐らく処女でない……その
予測は確かにシエルの思っている通りであった。
 志貴は事実であり、かつ秋葉の無茶苦茶な行動が産み出した矛盾を指摘され、
心臓を鷲掴みにされた気分だった。
 ダメだ……
 何に対してダメなのかは胡乱で分からないが、とにかく何かが崩れ去ったと
思い、目を瞑った瞬間、
「はぁ……うらやましいです」
「え……?」
 あまりにも意外なシエルの言葉に、志貴は脚を引っかけられたようだった。
「秋葉さん、いつからこうやって……遠野君のおちんちんをおいしそうにくわ
えて、悦んで、エッチなおつゆを流して……」
「ふふふ……んんっ、先輩、気が付いてしまいましたね?」
 二人は志貴の思いとは無関係に熱く滾るペニスを、片やその腰にくわえ込み、
片や見つめている立場で笑い合う。
「わたし達、ずっと前から、あんっ……わたしがここへ来たのも、そう思って
いただければ……ふうんっ」
 絶えず腰を揺らしながら、秋葉が嘘に嘘を塗り固めてゆく。
 それをすっかり信じたシエルの言葉は
「そうだったんですか……ああ、凄い。こんなに狭い秋葉さんのおまんこを押
し広げて、遠野君は獣みたいです……嘘つき」
 と、最後は志貴へのいわれのない非難に変わっていき、そんな志貴を見上げ
て笑った。
「そ、んな……」
 冤罪に志貴は、自分が貶められたかのように愕然とするが、そんな志貴達に
尚もシエルの愉悦の表情が向けられた。

「秋葉さん……ごめんなさい」
「はあっ……せ、んぱい?」
 すると、全てを理解したシエルは二人が繋がっている場所へ顔を近づけると、
「これは、二人へのおしおきです」
 その繋がりを、ぺろりと舐めた。
「ふああっ!? せ、んぱい、や、めてく……ひゃああっ!」
「ん……ふっ……すごい、エッチな味がします……」
 秋葉が止めようとするより早く、シエルは秋葉を貫くペニスから、その上部
で快感を得たいと疼いていたクリトリスに標的を切り替え、舌全体で責めてい
た。
 女性だから分かる力加減は、一気に秋葉をとりとめのない快感の渦へと引き
込む。
 そして、
「こっちも……遠野君にも、してあげませんとね」
 空いた手は志貴の陰嚢を掴むと、また絶妙な加減でその奥にある芯をむず痒
くさせる愛撫を加えた。
「くはああっ!」
「ふふっ……遠野君まで、かわいいです……お姉さん、もっといじめたくなり
ます」
 ぴちゃぴちゃと舌を秋葉のクリトリスから淫唇全てへと這い回し、更に陰嚢
まで到達する動き。
 同時に手は、陰嚢からペニスの筋、そして秋葉のクリトリスから会陰部、果
てには志貴と秋葉の体が作る隙間から手を伸ばして、そろりと秋葉の背筋を伝
って下りた先の肛門を、先程のお返しとばかりに責めたてた。
「ふあああ……っ! 先輩、ダメですっ! あああっ!!」
 秋葉は特にお尻への愛撫に狼狽える。が、志貴のペニスはみっちりと銜えこ
んだまま、その表情にあるのは快感に意識を惚けさせるオンナの顔だけで、ま
るで普段のあの覇気がなかった。
「ダメなのはこっちですよ、秋葉さん。わたしだってお尻弄られたんですから、
不公平です」
「でもっ! さっきは……はああっ!!」
 意地の悪そうにと笑い、シエルは尚も秋葉を責める。逃れようと腰を浮かせ
てもシエルの指は逃がさず、快感に腰が震えて落ちると、そこには更に深くめ
り込むシエルの指と、そして志貴のペニス。
「あああああああああああ!!」
 髪を振り乱して、秋葉は助けを請う。しかし、
「ふふふ。秋葉さん、謝ったら許してあげますよ?」
 決して自らそうしない事を知っているから、シエルはわざと無茶な条件を提
示する。
 秋葉は口を僅かに開きかけたが、こんな時には捨ててしまうべき遠野のプラ
イドがそれを許さなかったらしい。
「しょうがないですね……じゃあ、もっと悦くしてあげます」
「そ、んな……っ! はあああっ!? ああああああああああっ!!」
 シエルのおどけた声に続いて、秋葉の口から切り裂くような悲鳴が上がった。
 シエルは自分がそうされたように二本の指を突っ込んで秋葉を責めたのだ。
 秋葉は、まだ志貴に先程開発されたばかりで、一本でもきついそこをこじ開
けられたような感覚に喘いだ。
 しかしそれは、痛みを僅かに伴ってはいたが、あまりにも快感が強すぎたの
だ。
「ご存じですよね? こっちにも性感帯があるって……ほら」
「うあ、ああああああああっ!!」
 と、シエルは秋葉の腸内でグリグリと指をねじり、秋葉の新たなスポットを
開発していた。
 そこでシエルは秋葉ばかりを責めていた事にふと気付いて、その横で秋葉の
痴態に半ば呆然としている志貴を見た。
「ああ、遠野君にももちろんあるんですよ」
「え……あ! 先輩、やめてっ!」
 シエルはそう言って残った手をわきわきさせるが、志貴が慌てて否定するの
を見て、少し残念そうな表情を向けた。

「残念ですね……でも、代わりに他で一杯気持ちよくさせちゃいます」
「え……うあああっ!」
 仕方ない、というようにシエルが微笑むと、何を思ったかシエルは秋葉が志
貴をみっちりと銜え込むその膣へ、二本の指を突き入れたのだ。
「ひゃ! ああああああああああああ!!」
「ああ、秋葉さんにも強すぎましたか……でも、ここから赤ちゃんも出てきま
すし、これくらい平気ですよ」
 そんな事を呑気に言いながら、すっかり腰の動きが止まってしまった秋葉に
変わって、シエルは刺激を欲していた志貴の亀頭へ、膣内で触れた。
「くああっ!! それ……!」
 動いてないとはいえ、秋葉の狭い膣内で襞が常に絡み付き、にゅるにゅると
絶妙の愛撫を加えられて、志貴はかなり高いところまで来ていた。
 それでもまだ襞からの刺激に対する僅かな慣れが爆発を堪えていたというの
に、そのさざ波をうち破るようなシエルの突然の進入は、津波となって志貴の
ペニスの感覚を跳ね上げさせた。
「ほら遠野君、気持ちいいでしょう、ねっ……?」
 指をVの字にして、志貴の亀頭のくびれが秋葉を貫く時に丁度引っかかるよ
うな位置に配置して、膣内での気持ちよさを一気におかしくさせる。
 更にただ待つだけではなく、志貴が僅かでも動かないとその指は膣内を下り、
ペニスを見つけてはまとわりついた。
「っ! せんぱ、いっ!!」
 気持ちいいどころではなく、一気に飛びそうなその快感は精の暴発を呼ぶ。
 しかし、男として一人で達するものかという志貴のプライドによって、何と
か守られようとしていた。
「見せてください……遠野君。秋葉さんに……いえ、妹さんに精液を注いでし
まうような、背徳的な行為。秋葉さんも……」
 が、そんな事は予定調和とばかり、シエルは秋葉の責めを一段と激しくした。
膣に指を突き入れると同様かそれ以上に、狭い腸内に激しいピストンを送り込
み、唇でクリトリスを挟み、その先端で息づいていた真珠のような淫核を舌先
で何度もノックした。
「あああああっ! わた、し……ま、た……」
 呼吸を忘れぱくぱくと藻掻き苦しむ秋葉は、連続的に走る電撃から逃れられ
ずに全身を硬直させ始める。
「に……兄さん、今度は一緒に……一緒にぃ!!」
「あ、きは……っ!!」
 秋葉の叫びは、志貴の我慢の限界という堤防を壊す鉄砲水となり、共に腰の
奥からせり上がる快感の奔流に流されていく。
「膣に……! いつもみたいにあきはのおまんこの中に、兄さんの熱いのを下
さいっ……ああああああっ!!」
「秋葉……い、くよっ!!」
 シエルの導きも忘れ、最早ふたりで快楽を求め合う状況での最後の確認。
 そこで許しを得てしまった志貴は、力加減も忘れ激しく腰を打ち付けてしま
うと、最後に、

「に、兄さんっっっっっっっ!!」
「……くあああああっ! 秋葉ぁっっ!!」

 そう吼えて、膣が、子宮が突き破られるのではないかと思う程秋葉を突き上
げると、秋葉の胎内へ溜まりに貯まったどろどろの精液を放出した。
「ああああああああああっっっっ!!」
 全身をぴいんと反らせて、全ての意識が真っ白になった瞬間、
 びゅくん! びゅくんっ!
 と膣の中で水風船を破裂させたような志貴の放出で達してしまった秋葉は、
ガクガクと震えると何とか志貴の精液を受け止めたが、あまりの快感にすぐに
失神してしまった。
 がっくりと力が抜け、もたれてきてしまう秋葉を受け止めた志貴だったが、
それだけでは欲望の結末であるこの射精は簡単に止まらない。
「くっ……くううっ……!」
 秋葉の膣を自らのペニスで串刺しにし、それだけで一杯に埋めてしまいなが
ら、ぎゅうっと締まったあまりにも狭い膣を通り子宮内へ直接注ぎ込むように、
どくどくどくっ……と、三度目の放出にも関わらず、今までに経験した事のな
い果てしない量の精液を流し込んでいった。

 そんな光景を間近で見つめながらシエルは自らの本来の立場をも忘れ、恍惚
の表情を浮かべていた。
「ああ……兄妹で膣に出してしまうなんて、なんて美しいんでしょう……」
 熱く滾り、脈打つ志貴のペニスが秋葉の膣へ一度、二度と精液を吹き出す瞬
間、自らの中心が熱く疼いてそれだけで達してしまいそうになった。
「神がそれを許さない意味が、分かりました。こんな……背く行為が甘美で、
淫靡だなんて……」
 ぎゅうっと腿を閉じその快感に打ち震えながらシエルは、秋葉の膣内に差し
込んだ指が志貴が放出した精液の熱さを感じ取るのにも背筋を粟立たせていた。
「熱い……こんな……二人の熱で、わたしの指が溶けてしまいそうです……」
 精液にまみれている自らの指を思うだけで、本当は膣内に指を突っ込み、は
したなくこの場で自慰を始めてしまいたい程の欲望。しかし膣内の指を抜きた
くもなく、更に秋葉の肛門に突き入れたままの指はまるで千切れそうで、どう
する事も出来ずただ股間を摺り合わせるだけだった。

 やがて、全ての波が本当にゆっくりと収縮してゆくと、シエルはまず秋葉を
傷付けないように気を遣いながら、後ろのすぼまりに挿入していた指を抜いた。
「ん……」
 幸い秋葉は一瞬顔を歪めたが、意識を戻す事はなかった。
「はぁ……凄いですね。秋葉さんはこっちは初めてでもこんなに濡れるんです
ね……」
 秋葉の腸液にぬらぬらと光るそれを眺めると、今度は膣内に埋め込まれた、
反対の手の指を抜き去ろうとする。
 その時、シエルの指と志貴のペニスの隙間、そこを見つけてどろりと零れて
くる精液が見えたので、シエルは無意識のうちに秋葉の後ろに入れていた手の
平でそれを受け止めた。
 とろとろと零れてくる精液は、志貴の射精量が如何ほどかを現実に教えてく
れる物凄い量だった。
「ああ、こんなに出して……遠野君は量が多くて、それに濃い……」
 むせ返る性臭に眩暈を起こしそうな程頭を揺さぶられ、そんな薄い思考の中
でシエルはにちゃりと膣内で指を開くと、また精液が零れてくるのに気が付い
た。
「……?」
 気付けば、指が秋葉の膣壁をぐにゅぐにゅと蹂躙する度に、隙間を埋めてい
た精液がゴポゴポと泡立った音を立てて零れてくるのが分かった。
「おもしろい、です……ね」
 初めはただおかしげにそれを楽しむシエルだったが、ふと先程自らに注がれ
た精液がどうなったかを思い出して、少しだけお返しを考えていた。
「くっ……」
 志貴がそのタイミングで僅かに力を失ったペニスを抜き去るが、シエルはそ
のまま膣内で指を広げ、秋葉の膣口がぽっかりと穴を開けて外界に晒される。
 その口から、まるで蜂蜜瓶の口をひっくり返したが如く、どろ、どろ……と、
白くドロドロな液体とも言いにくいものが零れた。
「ん、あ……」
 志貴からはその様子を見る事が出来なかったが、自分たちの腰で未だに何か
をするシエルに、僅かばかりの期待を浮かべていた。
 そしてその期待通り、シエルは秋葉の膣口が子宮に収めきれなかった精液を
掻き出し、全てを掌の上に湖として溜め込むと、立ち上がった。
「遠野君……見慣れてるかも知れませんけど、これが遠野君の精液です……」
「……」
 シエルは志貴を妖艶に見つめると、何が起こるだろうと思う志貴の前で、そ
の精液だまりを唇にあてがい、啜った。
 じゅるるるる……と音を立てて、シエルの唇を汚しながら志貴の精液は口内
へ消えてゆく。
 シエルはその粘液の感覚に悦びの表情を見せながら、こくり、そんな音を立
てて一息に飲み込んでいった。
「おいしいです……」
 更に、手にこびりついた残滓は舌がネコのように妖しくなめずり、こそげ取
ってやはりシエルの喉へと消えていった。
 淫靡な光景にくらくらとする志貴に、シエルは満面の笑みを浮かべると、

「膣に折角出して貰えた秋葉さんには可愛そうですけど……赤ちゃんが出来た
ら、わたし以上に困りますからね」

 そうやって、わざと白々しくおどけてみせたのだった。



「やっぱり……」
 全てが終わった後、服を整えながら全てを教えられた志貴は、安堵の溜息を
ついていた。
 もし、これが本当に偶然の産物で、秋葉の想像とはかけ離れた展開だったと
したら、とんでもない事をシエルにしてしまったと、志貴は半分悩んでいたの
だった。
 が、シナリオは最初から最後まで、ほぼ全て秋葉の思い通りに進んでいたの
だった。

 シエルをこの饗宴に誘ったのは、紛れもない秋葉であった。
『兄さんとのセックスに、刺激が欲しいんです。と言う事で、協力していただ
けますか?』
 あの日の茶道室でその計画を持ちかけられて、シエルは平静を装いながらも、
心の中では突然の事に驚いていた。
 志貴と交われる事は、いつか秋葉の目を盗んで志貴としてみたかったシエル
にとって、それは突然向こうから降って湧いた願ってもないチャンスだった。
「ええ、わたしは構いませんよ」
 そう答えながらもしかし、自分以外に最愛の人が抱かれていいのか、そんな
疑問がシエルを惑わした。
 だが、秋葉の言葉と態度は、そんなシエルの想像を軽く凌駕していた。
 狂っている、そうシエルは思いもしたが、ただ観察者であるよりは自らもそ
の無間の輪に取り込まれてしまえ、そんな魔が差したような考えは、行為を終
えた今、間違いなく正しかったと言う事が出来た。
 今はそんな機会を与えてくれた秋葉と志貴の、性への貪欲さに恐怖と感謝を
覚えるばかりであった。

「びっくりしました、遠野君?」
 シエルはにっこりと笑いながら、机を元あった場所に戻している。
「まぁ、エッチな事に関しては特に指示がなかったので、好きにやらせて頂い
たんですが……」
 と、そこでシエルは秋葉を見て、わざとらしくお尻を押さえた。
「ひどいですねえ、わたしは大丈夫でしたけど、いきなりお尻なんて……」
「申し訳ありません、先輩。つい、興味がありまして……」
 秋葉はこうなると以外と素直になって謝罪を述べると、シエルはいいですよ、
と手を振りながら、
「でも、お陰で秋葉さんもそっちの方にお目覚めになったようですし、これか
ら遠野君も楽しみですね」
 そう言って、ふたりを順に眺めていやらしい笑みを浮かべた。
「なっ……!」
 志貴はそんな風に話を向けられ僅かに頬を染めるが、秋葉を見ると……
「……」
 志貴の事をちらちらと見つめているが、俯いたその顔は志貴以上に真っ赤に
染まっていた。
「あ、きは……?」
 試してもいいの? そう志貴が聞く前に、秋葉はやっと口を開く。
「その……兄さんが、望むのでしたら……わたしは……」
 そんな心が沸騰してしてしまいそうな発言に、志貴はあれだけ放出したペニ
スがまた僅かに膨らむのを覚えてしまい、慌てて自制する。
「さあ、帰りましょうか?」
 そんな二人の初々しいやりとりにちょっと苦笑しながら、シエルは二人の背
を押し、教室を出た。

「しっかし、忘れてたけど……あんな場所で、誰か来てもおかしくなかった筈
なのに」
 誰もいない廊下を歩きながら、志貴はたまたま誰も来なかったから良かった
と思ってぞっとしたが、秋葉とシエルはそんな志貴を見てからお互いを見合い、
それから『ふふふ……』と笑いを浮かべた。
「なんだよ二人共。見つかったらただ事どころの騒ぎじゃ……」
 なんだか小馬鹿にされた気分で志貴が不満そうに言った。が、
「そこも織り込み済みですよ、兄さん」
「へ?」
 それでも僅かも焦りや不安などの表情を見せず、いつも通りに笑って言う秋
葉に、志貴が疑問を抱くのは当たり前であった。
「これですよ、遠野君」
 と、階段を下りて三階の踊り場にやってきたシエルは、ある一方の角を指す。
「これ……は」
 流石にそれを見れば、志貴も何なのかがおおよそ見当が付いた。
 そこには、小さく描かれた魔法陣。中心には、蝋燭が一本。それが見ればこ
の全ての角に設置されている。つまり……
「結界……ですか」
「大正解」
 志貴がそう呟くと、シエルはピンと人差し指を立てると自慢げに答えた。
「ここに、『三階の上はない』という暗示を張らせて貰ったんです。そうすれ
ば、わたし達以外は誰もこの上を使えなくて……」
「なるほど……」
 全ての説明が終わる前に、志貴は全てのトリックを知って、安心したと胸を
なで下ろし、脱力してしまった。
「あら? 無かった方が興奮しましたか? じゃあ次は……」
 へなへなと崩れ落ちる情けない志貴を見て、意地悪そうにシエルは提案する。
「いや……感謝しています、先輩」
 志貴は何とか立ち上がると、結界を跨いで外へ出た。すると、自分達は確か
に今内側から出てきたというのに、そこには壁があるような気がして戻る気に
はならない。
「……っ……と、……はい」
 一人だけ結界内に残っていたシエルが何事か唱えると、すうっと志貴達の目
の前には階段が現れ、シエルが結界に使用した道具を手に持っていた。
 流石に時間が遅いので誰も教室には戻らないだろうが、これで明日の朝はち
ゃんと一年生がこの階段を上り、自らの教室に向かうだろうと志貴は理解した。

「さて……ここに、蝋燭がまだありますけど、どうします?」
 と、そこでシエルは二人を見て妖しく微笑んだ。
「え……」
 志貴はその言葉が持つ意味を理解し、驚いた目でシエルを見た。
 シエルの目は、誘惑するように自分を見ている。
 そんなシエルに、志貴はオンナを見た。
 オンナの恐怖……と言うより、性を覚えた後のこの貪欲さ。
 秋葉にも確かに自らがそれを植え付けていたが、この人は最初から備えてい
たんだと分かり、背中がぶるりと震えるような気分を覚えた。
 それは楽しみに震える男の武者震いか。

「そう……ですね、折角ですから、もっと楽しみましょう……先輩、茶道室な
どいかがですか?」
「流石ですね、秋葉さん。ですが、あそこは元々結界が張ってあるので、これ
は無意味ですけどね?」
「なら、余計に手間が省けて好都合じゃないですか。わたしと兄さん、実は初
めては畳で布団の上でしたから、和室は思い入れが深いのですよ」
「そうなんですか、実は宿直室から布団も拝借して……」
「まあ……少し照れますね、兄さんともう一度布団の上でするなんて……」
「ダメですよ秋葉さん。今度はわたしもご一緒させてください……」

 そんな不思議な感覚を味わっていると、秋葉がシエルの挑発に答え、話が弾
んでいるようだった。
 そんな時、根本とも思える疑問がふと志貴の頭をよぎっていた。
 結局、よかったのだろうか?
 それを否定すれば全てを否定してしまうような問い。
 だが、それを考えようとする志貴を遮る、二つの影。

「行きましょう、兄さん?」
 そうやって志貴の左手を掴むのは、秋葉。
 そして、
「行きましょう、遠野君?」
 右手を掴んだのは、シエルだった。

「……ああ、行こうか、二人とも」

 結局、一人増えたくらいなんだな。
 そんな些細な事。
 思考停止。
 志貴は新たに得られた刺激に充分に満足して、傾きかけた太陽が照らす校舎
の中を歩いて行くのだった。
 ただ、流されるままに。
 両手を引かれるままに。
 刺激が、欲しいから。

  
  了













後書。

 ミスヒテンです。稚作お読みいただき、ありがたく思います。
 思いを言葉にする事の難しさは、色恋沙汰だけだと高をくくっていたのです
が、こうも文章を書く時においても難しいとは、思いも寄りませんでした。

 今回は先坂さんに触発されて、一体どんなものが書けるだろうか、そんな一
読者の妄想として、何も考えずに書いてみた次第です。シエルと秋葉と、この
コンビだとなんか匂い立つようないやらしいお話が書けないかな、そんな起点
がこうなりました。頭の中ではほんの三十分くらいの筈の妄想が、こんなに長
い作品になってようやく満足し得るものになるとは。

 一度使った言葉は極力利用せず、しかしその状況に一番合致した文章を、そ
こそこの文量書いてゆく。この頭が何度も狂いそうな間違い探し、クロスワー
ドパズルのような作業に、もしかしたらSS書きの皆様は中毒になっているのか
も知れない、私は軽く中毒症状を覚えながらこの作品を書き上げました。

 しかし、自らの語彙力が如実に現れるものだ、自らの不勉強を改めて痛感し
たばかりであります。結局先人である数々の作家様の語彙をお借りして、自ら
の稚拙な言葉に加えただけでありました。特に官能語に関しましては、卑猥な
隠語をいくつも並べようと他の方を参考にかなり努力したのに、結果的に禄な
ものが出ませんでした。これは、自分には官能小説というのは純文学以上に強
大な壁である、という今までの稚拙な文学感を一転させるような出来事であり
ました。
 改めて、言葉は難しいな、そして同時にいやらしいな、そう思いました。

 私はこれから作品を書くかも知れませんし、書かないかも知れません。中毒
がいつか繰り返すか、それともすっぱり切れてしまうのか、今の私には分かり
ません。
 ともかく、この作品に関しては書く事が出来ましたので、皆様ご感想など、
お願いいたします。
 それでは、ラーサパタイ。

 (2003,11,13)




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