2003年10月31日夕刻。 時間が空いたので、ヴェルニー記念館に足を伸ばしてみました。 場所はJRの横須賀駅のすぐ近くです。 フランソワ・レオンス・ヴェルニー(1837〜1908)はフランス人で、江戸時代末期に日本に招かれた外国人技術者の1人で、 1865年から1876年まで日本で活躍し、横須賀の製鉄所の建設と運営を行いました。
ヴェルニー記念館は、平成14年(2002年)5月1日に開館し、フランス式のヴェルニー公園とも調和させ、
ヴェルニーにかかわりが深いフランスのブルターニュ地方に建つ住宅の特徴を取り入れたデザインです。
その特徴は、ドーマーウィンドー(屋根窓)、屋根に突き出た煙突、急勾配の屋根や石造りの外壁です。
ヴェルニー記念館はヴェルニーを記念して建てたと言っていますが、展示物は蒸気ハンマーだけで、
経緯を見ても、どちらかというと、スチームハンマーの保存と展示のために造ったのだと思います。
スチームハンマーは金属加工用のプレス機械で、その名の通り蒸気を動力源にしています。
蒸気を用いてハンマーを持ち上げ、ハンマーが落下する際にその重さで金属加工を行います。
ここで展示されているハンマーは0.5トン(片持ち型)と3トン(門型)で、それぞれハンマーの重さが0.5トンと3トンあります。
この2台のスチームハンマーは慶応元年(1865年)にオランダで作成され、江戸幕府により横須賀製鉄所の据付機械として輸入されたものです。
明治時代以降も後身の施設である横須賀造船所、横須賀鎮守府造船部、横須賀海軍造船廠、横須賀海軍工廠、在日米海軍横須賀基地船舶修理廠で使用されてきました。
0.5トンハンマーは昭和46年(1971年)に横須賀市へ移管され、横須賀市中央公園で野外展示されてきました。
3トンハンマーは平成9年(1997年)まで在日米海軍横須賀基地船舶修理廠で稼動し、平成12年(2000年)に横須賀市へ移管されました。
2台のスチームハンマーの移設と復元修理は平成14年(2002年)3月に完了しました。
このスチームハンマーは日本の近代化が本格的に開始された頃の技術を伝える重要な歴史遺産(産業遺産)として保存されています。
0.5トン スチームハンマー | 3トン スチームハンマー | |
落下槌重量 | 約0.5トン | 約3トン |
総重量 | 約12.4トン | 約18.4トン |
高さ | 約3.2m | 約6m |
文化財指定 | 昭和54年:横須賀市指定重要文化財 平成10年6月30日:国指定重要文化財 |
平成15年5月29日:国指定重要文化財 |
横須賀市博物館(http://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/)
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