のぞみの日記・4年生になって






6回



「お兄ちゃん、希、大っきなグレやん。鯛も釣れてるやん」お風呂から出てくると
ママが嬉しそうに言いました。鯛はママが好きな塩焼きにしました。の〜のが釣っ
た大っきなグレは刺身にして頭はかぶと煮にしました。パパが釣ったグレは煮付け
にしてみんなで少しずつ食べました。
「グレのお刺身って鯛みたいやん」ママが言ってお皿のお刺身を見ると、鯛のお刺
身みたいに綺麗なピンク色です。
「パパ〜、ママ〜、美味しいね。お姉ちゃん、ありがとう」翔が嬉しそうにお刺身
を食べ、グレの煮付けやかぶと煮、鯛の塩焼きを食べています。ママは鯛の塩焼き
が大好きなので美味しそうに食べています。の〜のはみんなの美味しそうな顔を見
ると、また連れて行ってもらいたいと思いました。

次の日曜日に繭ママと繭子が来ました。繭子は新しいリュックを背負って来ました。
「昨日買ってもらってん」と嬉しそうです。
「の〜のと同じ35リットルやけどショートレングスやねん。シュラフやレインウ
ェアにトレーナーとか入れて形を整えているけどそんなに重くないねん。ちょっと
練習しとかなあかんやろ?」繭ママがパパに言うと、パパは横から見てリュックの
芯を出すと繭子の背中に合わせて少し曲げました。

「これでいいやろ」パパが言って繭子が背負うと、パパがベルトを調整しました。
パットが入った腰ベルトを締め、ショルダーベルトを締めると天蓋に付いているス
トラップを絞っています。横から見ると最初の時より肩と背中にピッタリフィット
しているように見えます。
「ザックを背負って歩く練習をしとかんとね。六甲にはデイパックで何度も行って
るから大丈夫と思うけど、また中山さん辺りでも歩いとくわ」繭ママが言うとパパ
も頷いています。

の〜のがパパにパソコンで作ってもらった、グレを釣った写真を持ってくると繭マ
マは驚いていました。
「の〜の、こんな大きなお魚を釣ったんか。これ、グレやん。お兄ちゃん、呼んで
くれたら良かったんに。グレなんて長い事食べてへんからひと口でも食べてみたか
ったわ。の〜の、グレは美味しいお魚やろ。昔はパパがよく釣ってきたんやで。会
社の人と沖磯に渡って、多いときは10匹くらい釣ってたんやで。今度いっぱい釣
ってきて食べさせてな」繭ママが笑いながら言うとパパも笑っていました。

6月に翔がパパとキス釣りに行った時はいっぱい釣れたので、夕方繭ママと繭子、
菜々美が来ました。繭ママがおばあちゃんと一緒に下ごしらえをして半分くらいあ
げるとありがとうと嬉しそうでした。菜々美も、翔、ありがとうと言うと、翔は嬉
しそうな顔でパパを見ていました。ご飯を食べながらパパの話を聞くと、翔も自分
でちゃんと釣ったそうです。

「翔、ちゃんと自分で釣ったんか。良かったな。これからはお姉ちゃんと交代で行
くようにしたらいいわ」ママが美味しそうにキスの塩焼きやテンプラを食べると、
翔がママのコップにビールを注いでいます。
「ありがとう、翔」ママが笑うと翔も嬉しそうな顔をしました。ご飯を食べ終わる
と翔は眠そうな顔で欠伸をしています。
「翔、眠たいんか。昨日は車の中でちょっと寝ただけやからな。俺も眠くなったわ。
翔、一緒に寝ようか」パパが笑いながら時計を見て翔に言うと、うん、と頷いてパ
パの手を引っ張りました。時計の針は8時半になっていました。

          *

次の日曜日は父の日で、月曜日に学校から帰ってからママやおばあちゃん、翔と一
緒にショッピングセンターに行きました。シャツとネクタイの組み合わせや男物の
バッグなど色んな物が並んでいます。
「パパは滅多にネクタイなんてしないから他のものにしようか」ママもいろいろ見
ながら悩んでいるようです。
「ママ〜、おばあちゃん、あれはどう?」翔がマネキンに着せてあるものを指差す
とおばあちゃんは驚いたような顔をして翔を見ました。の〜のにはおばあちゃん
が驚いた理由が分かりませんでした。
「うん、これにしようか。涼しそうな色やし、家に居る時はこういう格好の方が楽
でいいやろ」ママが言って、みんなで相談して藍染めの物を選びました。

「今度の日曜日が父の日やからそれまでは内緒やで」ママが笑うとおばあちゃんも
笑っています。の〜のと翔も笑いながら頷きました。
日曜日の朝、ママと一緒にサチのお散歩に行きました。お散歩から帰ってサチにご
飯をあげ、翔を起こしてパパを起こしに行きました。7時半くらいにパパが起きて
くるとみんなで朝ご飯を食べました。
おはようございます。8時半頃にお姉ちゃん達が来て開店の準備を始めました。マ
マがの〜のと翔に合図をするとお部屋からプレゼントを持って来ました。
「パパ〜、みんなからのプレゼントだよ」の〜のと翔がプレゼントを渡すとパパは
びっくりしていました。

「お兄ちゃん、今日は父の日やん。希と翔がパパにプレゼントしたいって買ってて
ん」ママが言うと、パパがありがとうと言って包装紙を捲ると藍染めの甚平が入っ
ていました。
「お〜、いい甚平やんか。高かったやろ」パパは嬉しそうな顔での〜のと翔を見ま
した。
「啓一、それは翔ちゃんが選んだんだよ。やっぱり血は争えないねぇ。お前が初め
てお父ちゃんにプレゼントを買ったのも甚平やったもんね。翔ちゃんがこれって言
った時は思わず啓一かと思ったよ」おばあちゃんはパパに言って翔を見ています。
「そうか、翔が選んだんか。ありがとう。大事に着るわ」パパが翔を抱き上げると
翔は嬉しそうな顔をしています。
この話を聞いておばあちゃんが驚いた顔をした理由が分かりました。パパが着替え
てくると、おばあちゃんは嬉しそうな顔で見ていました。



 5回へ  夏1回へ