のぞみの日記・4年生になって






2回


          *

8月に入ると直ぐに登校日があります。いつもは8時半から授業が始まるけど、夏
休みの登校日は30分遅くて9時からなのでバスも30分遅れて来ます。ママはお
店の開店準備があるのでおばあちゃんがバス乗り場まで送ってくれました。夏休み
の登校日は制服を着なくていいので、みんなは短パンにTシャツなどの普段着で来
ています。の〜のと翔も短パンにTシャツで行きました。バス乗り場には何人か来
ていておはようと挨拶しました。直ぐに繭子が来ると大輝や遥奈たちも来ました。
今年1年生になった生徒も今では顔見知りになっておはようございますと挨拶して
います。学校に着くと1年生は自分達で教室に向かいました。入学して直ぐは上級
生が案内していたけど、2週間くらいすると自分達で行くようになりました。

「翔、帰りは一緒に帰るから早かったら待っときや」の〜のが言うと、うんと嬉し
そうに笑って走って行きました。教室に行くと海に行った話やプールに行った話を
大声でしています。の〜のも夏休み前にキャンプに行った話をしました。お盆には
立山へキャンプと登山に行く話もしました。野崎先生が来て出席を取ると誰も休ん
でいませんでした。先生が夏休みの宿題の事を聞くと、もう半分くらいした子やま
だしていなくて、これから頑張ってしますと笑っている子もいます。の〜のはまだ
言わなかったけど、自由研究はもう済ませていました。先生のお話が終わってバス
乗り場に行くと翔が手を上げて笑っています。5年生の子がまだだったので少し待
っていると走って来ました。

バス降り場におばあちゃんが待っていて帰りにパン屋さんによりました。このパン
屋さんは大輝のおじいちゃんのお店なので大輝も一緒に帰りました。おばあちゃん
が食パンとあんドーナツ、ラスクを買っています。あんドーナツやラスクはおやつ
だろうと思いました。
「おばちゃん、こんにちは」レジで大輝のママがおばあちゃんに挨拶すると、おば
あちゃんも挨拶してまた遊びにおいでって言っていました。
「おばあちゃん、大輝のママを知ってるん?」
「うん、中学や高校の頃にはよく遊びに来てたんだよ。智美や尚美ちゃんの後輩や
ったけど、啓一もよく可愛がっていたんだよ」おばあちゃんは笑いながら話してく
れたけど、の〜のはそんな話は初めて聞きました。今度ゆっくりパパが子供の頃の
お話を聞いてみたいと思いました。

「ママ〜、ただいま〜」翔と一緒にお店の方から入るとお姉ちゃん達がお帰り〜と
言ってくれました。ママはお客さんにカールを巻いていて、顔だけ振り向いておか
えり〜と笑いました。二階に上がると翔と一緒にお部屋のお掃除をしました。
の〜のが掃除機を掛けると翔がモップで拭いています。お掃除が終わると12時を
過ぎていたので下に降りると、おばあちゃんが冷やしうどんを作っていました。暫
くするとママが来て4人で冷やしうどんを食べていると繭子が菜々美、繭ママと一
緒に来ました。ご飯の後、お庭にプールを出して翔と菜々美が遊んでいます。の〜
のと繭子は二階に上がって夏休みの宿題をしました。宿題は1時間くらいにして自
由研究の整理をしました。の〜のの自由研究は海水から塩を作るものです。これは
夏休み前にキャンプに行った時に思いついたものでパパに手伝ってもらいました。

「パパ〜、海水って塩辛いけどお塩が入ってるん?」の〜のが聞くと繭ママや繭パ
パが笑っていました。
「そうやで、塩は海水から作るんやで」とパパも笑っています。
「じゃぁ、帰りにいっぱい持って帰って塩を作ってみようよ。夏休みの自由研究に
したいねん」
「今日持って帰っても直ぐには出来んやん。夏休みに入って取りに来た方がいいや
ろ。持って帰ったら直ぐに作らんと、海水が古くなったらあかんやん」とパパが言
って7月最後の土曜日、パパが早く帰って来たので若狭湾まで海水を汲みに行きま
した。海水を汲んで帰って来たのは夜の十時を過ぎていたので翌日の日曜日に作り
ました。パパがインターネットで海水から塩の作り方を調べてくれて、それをプリ
ントして見ながらパパと一緒に作りました。作り方をノートに詳しく書き、写真を
順番に貼ると出来上がりです。

          *

『自由研究。海水から塩の作り方』
「用意した物」
輪ゴム、さらし布、海水を煮詰める大きな鍋、割り箸、木のしゃもじ、手袋、コー
ヒー用フィルター、じょうご。
「作り方」
パパがお庭にカセットコンロを出して物置から大きなお鍋を持って来ました。 ポ
リタンクの口にさらし布を巻いて輪ゴムで止めてフィルターのようにし、2リット
ルの空のペットボトル二つにじょうろで海水を入れました。ペットボトル二つ分の
海水をお鍋に入れ、パパがコンロの火を点けて暫くすると海水が煮えてきました。
割り箸に印を付けた物で計りながら木のしゃもじでかき混ぜます。パパは火傷をし
ないように手袋をしています。の〜のも手袋をしました。翔とおばあちゃんが面白
そうに見ています。どんどん水分が減って十分の一くらいになると白く濁ってきま
した。それをコーヒー用のフィルターを使って濾過します。

の〜のはデジカメで順番に写真を撮りました。全部濾過すると、鍋の底にこびりつ
いた物をおばあちゃんが擦って取っています。濾過した海水をもう一度コンロに掛
けて煮詰めました。暫くするとボコッ、ボコッと沸騰してきました。火傷をしない
ように気をつけながらかき混ぜているとどんどん塩ができてシャーベットみたいに
なりました。の〜のがかき混ぜている時はパパが写真を撮ってくれました。シャー
ベット状の時にパパが再びコーヒー用のフィルターで濾過すると、フィルターにい
っぱい塩が溜まりました。フィルターは一つだけでは足りなかったので二つ使いま
した。出来たお塩をフライパンに入れてもう一度コンロに乗せました。木のしゃも
じでかき回しながら水分がなくなると塩の出来上がりです。

2回目にコーヒー用のフィルターで濾過した時、塩の他に濾過された水分が「にが
り」というものだそうです。おばあちゃんが何か料理をする時に使えると言ってい
ました。
「ちょっと舐めてみ」パパが言って少しだけ舐めてみると塩辛くて、ほんとに海水
から塩が出来ていました。
「わ〜っ、しょっぱ〜い」の〜のが笑うと翔とおばあちゃんも舐めています。
「ほんまや〜、ほんまに塩が出来たんや〜」翔が顔をしかめてフライパンの塩を見
ています。冷めてから台所の計量器で計ってみたら100グラムくらいありました。



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