のぞみの日記・4年生になって
夏
4回
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ホテルや旅館がある所を通り過ぎると草原みたいな中を走っています。道路の側に 雪の塊みたいなものが見えて少し行くとバスが止まりました。 「着いたで」パパが言って忘れ物がないのを確認してバスを降りました。目の前が 室堂のターミナルです。バスからリュックが次々に出され、みんなが自分のリュッ クを背負うとターミナルの中に入り、奥の階段を登るとターミナルの外に出ます。 「わ〜、すごいね〜」繭子が嬉しそうに声を上げました。 「パパ〜、あそこで写真を撮ろうよ」の〜のが石碑を指差すと繭ママも撮ろうと笑 っています。パパやママ、繭ママと一緒に何枚か撮り、の〜のと翔、繭子と3人で リュックを背負ってパパに撮ってもらいました。
去年来た時より雪は少ないけど、山にはいっぱい雪があります。繭子は夏に雪を見 るのは初めてなので驚いています。パパがタバコを吸っている間も繭子や翔と写真 を撮りました。 「そろそろ行こうよ」パパがタバコを吸い終わるとママが言ってキャンプ場に向か いました。みくりが池の方に行き、みくりが池の前の階段を降りました。みくりが 池の回りには少し雪が残っていました。階段を降りて少し行くと地獄谷というとこ ろです。 「わ〜、パパ〜、あれは何?」黄色い土みたいなものが盛り上がって上から煙が出 ていました。 「あれは噴気孔といって硫黄が盛り固まってんねん」パパが笑いながら説明してく れました。ここでも写真を撮りました。ここから山小屋やロッジの横を通ってキャ ンプ場までゆっくり歩いて30分くらいです。
キャンプ場には多くのテントが張ってありました。パパが受付をしてキャンプサイ トに行き、空いている場所の地形を見ながら場所を決めています。 「ここでいいやろ」パパが言うとみんながリュックを下ろし、パパと繭ママがテン トを出して用意を始めました。の〜のと翔、繭子は分からないので見ていました。 最初に大きな方のテントを張っています。シートを敷いてテントを広げ、ポールを 組み立ててフックを掛けていくとテントが立ち上がりました。ペグを打って固定す るとテントロープを引っ張り、それもペグで固定します。オレンジ色のフライシー トを被せると出来上がりです。その横に小さい方のテントを張りました。このテン トは六甲でも使ったテントです。シートの上にテントを広げてポールを差し込めば 勝手に立ち上がります。このテントもペグを打って固定しました。
「智、お前は有希とこっちを使え。俺は翔と小さい方を使うわ」パパが繭ママに言 うとうんと頷いています。大きなテントはの〜のとママ、繭ママと繭子で、小さい 方はパパと翔が使います。テントの中に3ミリくらいのフロアマットを敷き、寝袋 やマットを出して空気を吸わせます。用意が出来ると外に出てみました。 「パパ〜、すごいね〜。大っきな山が直ぐそこだよ」翔が嬉しそうに言うと繭子も すぐ側に迫る山を眺めています。山肌には雪がいっぱい残っています。 「お兄ちゃん、コーヒーでも飲もうか」繭ママがママと一緒に水汲みに行きました。 パパがレジャーシートを敷いてコーヒーとココアを用意すると、の〜の達はマグカ ップを用意しました。
「こっちのを使ってみてや。一度家で使ったけど大丈夫やったわ」繭ママが水を汲 んで来るとテントからストーブ(コンロ)とクッカーを持って来ました。ママがお湯 を沸かしている間、翔はパパと山の方を見ながら話をしていました。 「パパ〜、どっから登るん?」と聞いています。 「向こうに低いところが有るやろ。あそこから登ってぐる〜っと歩いてそこを降り て来るねんで。あんまり怖いところはないけど、滑りそうな所があるからゆっくり 歩くんやで」とパパが山の方を指差して教えています。 「お兄ちゃん、お湯が沸いたよ」繭ママが呼ぶとパパもマグカップを持って来てコ ーヒーを入れ、の〜の達にはココアを入れてくれました。 「今日はどうするん。またあそこに登ってみる ?」ママがパパに言うと、パパも そうやなぁと言いながら頷いています。
「少し早いけど昼にしようか。お昼は簡単やで」繭ママが笑いながら言って時計を 見ると11時を少し過ぎています。ママと繭ママがテントから切ったフランスパン とソーセージ、キュウリを持ってくるとみんなで一緒に食べました。普段お家で食 べる時はソーセージやキュウリは切って食べるけど、山では丸かじりで食べます。 翔はソーセージやキュウリを丸かじりで食べるのが嬉しそうです。飲み物はインス タントのコーンスープです。ママと繭ママが後片付けをするのをの〜のと繭子はお 手伝いしました。その間にパパはお湯を沸かしてポットに入れています。 「そろそろ行く?」ママが言ってデイパックを背負うと、パパと繭ママもデイパッ クを背負いました。の〜のと繭子、翔は手ぶらです。さっき来た道をターミナルま で戻ると、パパ達はターミナルの前にある延命水という水を水筒に入れています。
パパを先頭に翔、ママ、繭子、の〜の、繭ママと並んで室堂山に向かいました。途 中少し雪が有るところを歩くと、翔と繭子は嬉しそうに雪を踏みしめています。登 り道の左の斜面には雪が残っています。パパは翔やの〜の達に合わせてゆっくり歩 きました。ゆっくり歩いていても汗が出てきたのでシャツを脱ぎ、Tシャツだけで 歩きました。ターミナルから1時間ちょっとで山頂に着くと遠くの山が綺麗に見え ます。 「わ〜、すご〜い。六甲と全然違うね〜」繭子が嬉しそうに言うと翔も嬉しそうに 遠くの山を見ています。 「ほら、向こうに大きな山が見えるやろ。あれは薬師岳っていうんやで。反対の向 こうの岩だらけの山が剱岳やねん。明日登るのはあそこの一番低い所があるやろ。 あそこが一の越といって、あそこまで行って左の斜面を登ったら雄山やねん。あそ こから大汝山、富士の折立、真砂岳、別山と進んで、向こうの雷鳥沢を下って来る んやで」パパが地図を出しての〜の達に見せながら説明をしてくれました。
その間にママと繭ママがポットのお湯でココアとコーヒーを入れています。 「パパ〜、翔はあんな大っきな山に登れるん ?」翔が少し心配そうにパパに聞き ました。 「大丈夫や。翔も繭子も六甲山には何度も行ってるやん。六甲に比べたら歩く距離 は長いけど、怖い所はないからゆっくり歩いたらいいからな」パパがコーヒーを飲 みながら話すと翔と繭子は頷いていました。の〜のは去年の秋、木曽駒ケ岳に登っ た経験があります。あの時は下りの途中で足が痛くなってパパに背負われて降りた けど、今度は落ち着いて歩こうと思います。翔と繭子は3000メートルの山は初 めてだから少し心配していたけど、パパの話を聞いて安心したようにココアを飲ん でいます。コーヒーとココアを飲みながらレーズンパイを食べ、みんなで写真を撮 りました。
「お兄ちゃん、先に温泉に入ろうよ」3時半頃にテントに戻るとママが言いました。 「そうやな、先に行こうか。有希、智、先に行ったらいいわ」パパが言ってママと の〜の、繭ママと繭子が着替えを持って先に行きました。来る途中にあったロッジ で温泉に入れるそうです。の〜の達が帰って来るとパパと翔が行きました。その間 にママと繭ママが晩ご飯の準備をしています。今夜はカレーライスです。繭ママの クッカーとパパのクッカーでご飯を炊くと、レトルトのカレールーを温めるだけで す。パパと翔が帰ってくる頃ご飯が炊けました。 「ビールを買ってくるわ」繭ママが言ってママと一緒に買いに行きました。その間 にパパが山用食品のきんぴらごぼうを作り、漬物のきゅうりのきゅうちゃんを袋か ら出して皿に入れています。
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