のぞみの日記・4年生になって
冬
4回
「そうか、いよいよエジプトに行くんか。ママのお姉ちゃんに逢えるといいの にね」由香里姉ちゃんが言うとお父さんやお母さん、絵里姉ちゃんも頷いてい ます。でも旦那さんには何の事か分からないようです。絵里姉ちゃんが、ママ のお姉ちゃんでパパと結婚する筈だった典子姉ちゃんが大震災で亡くなり、新 婚旅行で行くはずだったエジプトに、お骨のカケラを持って行ってナイルに沈 めた事。ママと結婚して4年後にママをエジプトに連れて行った事。
アスワンで、ママが典子姉ちゃんとお話が出来ての〜のが授かったのはその時 で、典子姉ちゃんの生まれ変わりらしいという事。今までにも何度か不思議な 現象が起きて典子姉ちゃんが守っているらしい事。パパが死にそうになった時 に実際に現れ、ママやおばあちゃんの前で奇跡を起こしてパパを助けた事など を話すと驚いた顔をしています。
「有希の時と同じように、たとえ夢の中でも逢えて話が出来れば希も喜ぶやろ うけど、果たしてそう上手く行くのか心配やけど・・・」 「でも、今までの〜のは何度か助けられているみたいやし、遥々逢いに行くん やからきっと逢えるわ。お姉さんもの〜のが来るのを待ってやるわ」パパが話 すと由香里姉ちゃんがの〜のを見ながら話しました。みんなもきっと逢えるよ と言ってくれました。
「エジプトかぁ、いいなぁ。うちも行ってみたいなぁ。お兄さん、一緒に連れ て行ってくださいよ」由香里姉ちゃんが笑いながら言うと、由香里、とお父さ んお母さん、絵里姉ちゃんがたしなめるように言いました。 「お姉ちゃん、一緒に行こうよ。パパ〜、お姉ちゃんが一緒行ったら駄目?」 の〜のがパパに言うと、パパはママと顔を見合わせて由香里姉ちゃんを見てい ます。
「うん、由香里ちゃんも行っといでよ。智姉ちゃんと繭子が一緒に行くねん。 智姉ちゃんの場合、新婚旅行で行く筈やったのがテロが起きて行けなんだか、 今回はなんとしても行きたいみたいやねん。ただ、いろんなツアーのパンフレ ットを調べても、アスワンでのフリータイムが有るツアーがないねん。典子姉 ちゃんの居る植物園に行こうと思ったら、ファルーカをチャーターせなあかん からフリータイムの時やないと無理やん。
だから尚美姉ちゃんに頼んで、新婚旅行で使うような2人催行のコースを少し アレンジしてもらってんねん。多少割高になるけど、あそこに行かんと行く意 味がないもんね」ママが話すとみんな頷いています。 「そうだね、お姉さんに逢いに行くのに、肝心の植物園に行けなんだら意味が ないもんね。お姉さんもきっと喜んで逢いに来てくれるわ」絵里姉ちゃんが言 うとパパとママは頷いていました。
ピンポーンとチャイムが鳴ってお寿司屋さんが来ました。お母さんと絵里姉ち ゃんがお茶をいれ、お寿司を食べながらお話を続けています。 「尚美さんに頼んでいるんやったら、飛行機はビジネス?」と由香里姉ちゃん が笑っています。 「まさかぁ。ロンドンの時は有希の大会やったから、スポンサーを探してビジ ネスを取ってくれたけど、今度は個人的な旅行やからエコノミーやねん」パパ が笑うとみんなも笑っています。
「翔ちゃんは行かないの?」お母さんがママに聞きました。 「翔には体力的にもまだ無理かなぁって思っているんです。環境の変化も大き 過ぎるし、何かあったら大変やもん。だからお店のみんなとUSJに行こうっ て言ってるんです。翔も了解してくれたし」ママが話すと翔は嬉しそうな顔で ママを見ています。
「外国の場合2人部屋が基本やから1人だと追加料金がバカにならんし、もう 1人誰か居ないかなぁ」と由香里姉ちゃんはもう一緒に行く気みたいです。お 父さんとお母さんは苦笑いしながら迷惑を掛けるんじゃないよ、ときつく言っ ています。
「ロンドンの時は奈央ちゃんと祐子ちゃんが一緒やったけど、奈央ちゃんは有 希ちゃんのお店で働いているから言いにくいし、祐子ちゃんも今回は自腹やか ら声を掛けにくいしなぁ。麻衣ちゃんとかはどうやろね。とりあえず祐子ちゃ んと麻衣ちゃんに声を掛けてみるわ」由香里姉ちゃんが笑うと、絵里姉ちゃん は呆れたような顔で由香里姉ちゃんを見ています。
「おばちゃ〜ん、おめでとう」帰りに枚方の桂子おばちゃんの家に寄ると、翔 が玄関を開けて大きな声で挨拶しました。 「翔ちゃん、おめでとう。希ちゃん、啓ちゃん、有希ちゃん、おめでとう」桂 子おばちゃんが玄関に出てくると嬉しそうに声を掛け、リビングに入るとお茶 とケーキを出してくれました。桂子おばちゃんにも春休みにエジプトに行く話 をすると喜んでくれ、の〜のと翔にお年玉をくれました。
「そう、最初に典ちゃんのお骨のカケラを持って行って次に有希ちゃんを連れ て行き、今度は希ちゃんを連れて行くん。啓ちゃんも大変やけど、何時までも 典ちゃんの事を想ってくれているんだね。ありがとうね」桂子おばちゃんは嬉 しそうな顔でパパとママを見ています。
「おばちゃん、典子姉ちゃんは今でもうちやお兄ちゃんの中で生きてるし、希 の中で生き続けているんだよ。あの時、お兄ちゃんが助けてもらった時は信じ られんやったけど、典子姉ちゃんは何時でもみんなを守ってくれているって思 った。だから希は何としてもエジプトに連れて行きたいねん。翔はまだ無理と 思うから遊園地にでも連れて行くつもりやねん」ママの言う事を桂子おばちゃ んは嬉しそうに聞いています。
「そろそろご飯の用意をしようか。カニとすき焼きがあるけどどっちがいい?」 桂子おばちゃんが聞いて、翔と一緒にすき焼き〜と言うとパパとママが笑って いました。桂子おばちゃんも笑いながら台所に入りました。
☆
正月が終わって3学期が始まるとママがパスポートの申請書を貰ってきました。 パパは前に10年もののパスポートを取ったからまだ大丈夫と笑っています。 月曜日に学校から帰ってママ、繭ママ、繭子と一緒に塚口に有るパスポートセ ンターに申請書を出しに行きました。1週間後に受け取り用の用紙を貰いました。
「パパ〜、お帰り〜。あのね、申請書を出しに行ったよ」6時頃にパパが帰っ て来ると玄関に迎えに出ました。 「希、翔、ただいま。そうか、申請書を出してきたんか」パパが笑いながら肩 を抱いてリビングに座ると、おばあちゃんが出したお茶を美味しそうに飲んで います。
「パパ〜、今日はおでんだよ」翔が嬉しそうに言うとおばあちゃんが笑ってい ます。7時過ぎにママが来ると食事になりました。の〜のがパパにビールを注 ぐと翔がママに継いでいます。 「翔にはエジプトはまだ無理やけど、夏休みくらいに何処かへ連れて行きたい ね」ママが言うと翔が嬉しそうな顔をしました。
「夏休みは山かキャンプに行くから無理やろな。行くんやったら混むけどゴー ルデンウィークの方がいいやろ。グアムにでも連れて行くか」 「グアムって海があるとこ?うん、行きた〜い。パパ〜、グアムに行こうよ」 翔が言うとパパは笑いながら頷きました。 「やった〜、グアムや〜」翔は嬉しそうに言うとパパにビールを注いでいます。
次の週の日曜日、キャットハウスの春物広告と夏物カタログ用の撮影に村瀬さ んのスタジオに行きました。パパとママ、翔、尚美姉ちゃんと一緒です。 こんにちは〜。尚美姉ちゃんがドアを開けると、キャットハウス広報部の佐藤 さんという女の人と何時も居るスタイリストさんが居ました。 「希ちゃん、こんにちは」村瀬さんも優しく迎えてくれました。スタジオの中 は暖房が効いていてコートを着ていると暑いくらいです。
パパとママはコートを脱いで翔もブルゾンを脱いでいます。村瀬さんはシャツ1 枚だけです。助手の人は半袖のTシャツだけでライトのセッティングをしていま す。パーテーションで仕切られた奥で着替えると、スタイリストさんがチェック してオーケーと笑いました。春物のシャツやスカート、パーカーやジーンズに着 替え、夏物のTシャツ、ベストに帽子と、何度か着替えてブルースクリーンの前 でポーズをとりました。
助手の人がその度に照明の明るさをチェックし、村瀬さんのカメラのシャッタ ー音が響いています。時々翔が笑いながら手を振りました。 「ちょっと休憩にしようか」村瀬さんが言って休憩になると、広報部の佐藤さ んがケーキとジュースをみんなに出しています。
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