ムーンブルク壊滅の報を受けたのは昨日の事だ。 それを聞いて居ても立ってもいられなかったので、早々に放り出されたのは願ったりではあるのだけど。 いくらロトの直系とはいえ、銅の剣一本で討伐に行かされるとは思わなかった。 父らしいといえばらしいが、やはり自分は疎まれていたのではないかと思ってしまう。 実子ではないと噂されてしまうような、自分は。
顔は選べない。 伝説の勇者ロトの再来と称えられるこの顔は、父であるローレシア王よりも、同じロト兄弟国のサマルトリア王の面影が濃い。 だからといって母が不義をしたと思ってはいないだろうが、平和な民衆の間では口さがない噂が暇ない。 何しろ、その隣国の王子の顔立ちは飛鳥に瓜二つだという。 何の冗談か、生まれた日まで重なるらしい。 子の出来なかった事を嘆いた王が、隣国で生まれた双子の片方を譲り受けたというのが今最も有力とされる説、だそうだ。 体の弱かった母は、飛鳥が物心付く前に他界した。以来、父と私用で話をした事がない。 王として、立派な人物だとは思う。 だけど、何を考えているのか、この旅立ちの日まで全くわからないままだった。
その、もしかしたら見納めかもしれないと思っていた威厳ある面と、今何故か早々に再会している。 「居ない?」 「そなたがサマルトリアに行ったと知って、また戻って行ったようじゃ」 「そうですか・・・・・・」 また擦れ違いか。 うんざりした心持を隠せない。
いっそ1人で先を急ぎたい所、その隣国の王子と合流するまでローラの門は通してくれない。 ロトの再来、並みならぬ剣の才ありと、幼い頃から鍛えられては来たものの、所詮は王室育ち。 たった1人きりでの戦闘や野営を経て、何とか辿り着いた隣国で、目的の人物は旅立ちの洗礼を受けに勇者の泉に行ったと聞かされ、そんなしきたりがあったのかと半ば感心しながら後を追ってみれば、擦れ違いで自分を迎えに行ったとか。 また、サマルトリアまで行く事になるのか、と思えば溜息のひとつも吐きたくなる。
「不服そうじゃな」 「は?あ・・・・・いえ失礼致しました」 溜息を吐きたくはなったが、まだ吐いてはいない。 父王に顔色を読まれるなど、かつて無かった。 目を合わせる事すら滅多にないのに、顔色を・・・・・・顔を。
「サマルトリアの王子の印象は、いかがでしたか?」 スルリと口から疑問が滑り出た。 「・・・・・・そうじゃな。もっと、似ているかと思っておった」 「左様ですか」 似て、いないのか。意外だった。 サマルトリアでさんざん驚かれたから。
「では、失礼します」 「うむ」 頭を下げ、退室しようとする刹那、
「よくぞ無事で帰ってきた」 思わず足が止まる。 「また会おう、我が息子よ」 息も、止まるかと思った。
噂に聞く、社交性に富み会話術に優れた隣国の王子。 初めて、門を通るためにではなく、ただ会ってみたいと思った。
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背景はローレシアカラー(のつもり)です。
羽鳥視点の話なら緑、ちょーこ視点なら赤になるという具合ですね。・・・・・・ちょーこ視点なんて無さげだけど。
今の感じだと羽鳥視点すら無さげ。少なくとも前半は。
今回はまだ羽鳥が出てきませんでしたね。だって同じ顔という状況を如何に設定するか、説明入れないと無理ですって。
ちなみにプレイヤー『ヒドリ』だと、サマくんはデフォルトでは『ランド』です。ムンちゃんは『プリン』です(これはちょーこらしいかも)。この時点では「あっちも頑張って探してくれてるのよね〜」と温かい気持ちで追ってましたが、裏技使って『ハドリ』にした途端に「おちょくられてる・・・・・絶対逃げてるよ、おちょくられてるよ!だって羽鳥だもん!!」とか言ってました。だって羽鳥ですよ?
失礼、自分で勘違いしてました。「ヒドリ」ではなく「ひどり」でした。なにカタカナ表記してるんだか。