「ちょい、待ってね」

 少し考えている風だった羽鳥の人差し指が、飛鳥の唇をゆっくりとなぞる。

「舐めてくれる?」

 中指も添えて。

 言われた通りに口に含むと、割とすぐに引き抜かれた。

 

 その手を自分の下肢に持って行き、僅かに顔をしかめた。

「ブランク考えれば無謀だよねぇ・・・・・・うー」

「何がだ」

「こーゆーのはやった事ないし・・・・・・痛い」

 ああ、慣らしてるのか。やっと気付いた。

「自分でやる時って、体の前後ろどっちから腕回すものかな?」

 知るか。

「俺が・・・・・・」

「今日は僕が主導権握るんだい」

 飛鳥としては、何だかんだで羽鳥に主導権が無かった事など無いような気がするのだが。

「手、止まってるぞ」

「う・・・・」

「もう少し、こっちに」

「・・・・・・・・・うん」

 意地を張るのも虚しいのか、割合素直に寄ってきた。

 

 

 

「んっ・・・・・・」

 飛鳥の頭を抱えた羽鳥が、苦しげに呻く。

 ・・・・・・湿りが足りない。

 起きる事は羽鳥に止められたので見えはしないけれど、探った感じではどうにも指が引っ掛かる。

 油でもあればいいのだけど・・・・・・・・と思うけれど、そう都合よく無いだろう。

 自分はもちろん、羽鳥も今更取りに行けるとも思えない。

 濡らすだけでも、マシになるか。

 そう思って、先程から常用外活用されている氷嚢を手探りで見つけ、

「・・・・・・・・・」

 少し、考えた。

 

 

 

「ひゃああ!?」

 一つ摘まんで押し付けたら、決して嬌声ではない悲鳴が上がった。

 

「なっ、ななな何、ちょっ待っ・・・・・・ぁあっ!?」

 やはり拙かったか。

 とその声で思いつつ、熱の所為か思考が直結してないらしく、そのまま押し込んでしまった。

「ひぅ・・・・やっ・・・・冷た、んんっ!」

「氷だからな・・・・・」

 そりゃ冷たかろう。入れられたら堪ったもんじゃないだろうな。

 やっとそこまで思考が追いついて、少し反省して、今更取れるだろうかと氷を追って指を進めると、

 

「あ・・・ああっ!

 今度は紛れも無く嬌声だった。

「羽鳥?」

「ふ、あっ・・・・・」

 気持ち良さそうなのでいいか、と随分小さくなったそれを押さえてクルリと内壁に擦り付けた。

 

「あっ・・・くぅ、ん・・・・・・んんっ」

 指を動かす度に、ビクビクと体を震わせて恍惚とした声を上げる。

 耳元で上がるそれは中々に煽られるものがあったので、氷が完全に融けたのを確認して指を抜いた。

 

 

 

「あ・・・・・・・・」

 物足りなさそうな声を残した羽鳥が、とろりとした目で見下ろしてくる。

 その色の薄い瞳が、段々と意志の光を宿して行き・・・・・・

 

 ばふっ!

 

 きっかり10秒後、一瞬目を見開いてから音を立てて枕に沈んだ。

 

 

「こ、こんな方面に開発されたかないってのに・・・・・・!」

 意味の分からない、くぐもった呟きが聞こえる。

「何の話だ?」

「とんでもない事してくれちゃって!」

「悪い。さっき似たような事されたから、いいかと」

「うっわー・・・・・・・・・・立場的になにか、僕はいたいけな子供にイケナイ事教えた悪いお兄さん?」

「誰がいたいけな子供だ誰が」

「・・・・・・そだね、しっかり逆襲されたし。なまじ気持ち良かったのがどうしようって・・・・・・」

「羽鳥」

 呼べば、しぶしぶといった呈で顔を上げた。

 やたら複雑そうな表情をしている。それに向かって一言。

 

「続き」

「・・・・・・・・・時々凄いイイ性格してるよね、飛鳥ちゃんって」

 ガックリと羽鳥は肩を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

何でまた続くよ!?

そして何やらマニアックなプレイが行われていたような?

そういえば私、ヤオイ書く時必ずと言っていい程何かしらの小道具が出てきてるような・・・・・・き、気を付けよう。次は大道具(体ひとつ)で勝負さ!!

次はH短いです。まとめだけ。