第77回
西国三十三箇所巡礼の旅 vol.2
〜2006 夏休み特別企画〜

 月、火と福岡出張。この間、どこにどう行けばいいのか、等を調べることができなかった。本を持って行かなかった私のミスと言えばそれまでだが、何も夏休み前に出張が入らなくても…。ともかく、2日のブランクがあって8/30、水曜日に再始動。  まずは手配していたレンタカーを取りに行く。我が家は新大阪駅に近いのだが、さすがに新幹線の終着駅になるようなターミナル駅。駅前にレンタカー屋は豊富である。今回も昨年と同じく何社か見積もりをし、今年はオリックスレンタカーに決定。もうマツダレンタカーは使いません(理由は2005年の旅行を参照)。

 予約は9時からだったので、10分ぐらい前に着くように家を出る。とはいえ、家から徒歩10分ぐらいだからすぐと言えばすぐなのだが。ほどなくして到着。いろいろ話を聞かされるが、何度もレンタカーを利用しているだけに手続きは慣れたもの。最後に清算。1週間丸々借りるのだが、基本料金が39,500円に免責補償が1日1,000円(7日なので7,000円)。クーポン等安くする手段を講じてトータルが45,150円とかなり高価。でも今回も足が無いとできないことなので仕方ない。この出費は覚悟の上だ。で、手続き終えて外に出ると車が既に準備。車種を見ると…なんと、ホンダのFitである。車種は特定せずに、コンパクトカーとだけ言っておいたのだが、Fitとは…。燃費のいい車なので別に文句は無いのだが、なんか損した感じがする(なぜ損したと感じるかと言うと、私の愛車がFitだから。ちなみにこの愛車は実家で母の足となっている)。

 今回からもう1つ装備を追加。先日の青岸渡寺に行った際には無かった、万歩計である。どれだけ過酷な旅かを数値化するのに、移動距離の他に指標があったほうがいいと思い持って来たものだ。基本は車での移動なのだが、お寺なんて山にあるものばかりなので、持ってても損は無いだろう。この気まぐれが、多いに役立つ時が来るかもしれない。

 レンタカーショップ 8/30(水) 9:00 総走行距離 0km

 最初に向かうは第二番札所、金剛宝寺。通称紀三井寺と言えば関西人にはしっくりくるか。場所は和歌山市。青岸渡寺に続く和歌山県である。遠いって。

 新大阪から和歌山に行くには阪神高速を経由しての阪和道が一番早い。というわけで阪神高速に。乗り場は南森町。新大阪からは新御堂筋を南下すればすぐである。が、時間が9時とまさに朝のラッシュ時間帯。見事にこれにぶつかり、新御堂筋は完全にノロノロ運転である。高速に乗るまで15〜20分といういきなりのロス。時間制限がある今回にはとにかく時間のロスはどんな理由でも許されないのである。

 ようやく阪神高速。ここからは比較的スムーズ。松原から阪和道に。阪神高速からさらに車の数も減り流れはスムーズ。一気に飛ばしたくなるのだが、なぜかパトカーの数が多い。ちょっと走ると覆面に捕まっている車も。おいそれとスピードが出せないので、捕まるか捕まらないかのギリギリぐらいの非常に微妙なスピードで走る。

 和歌山ICで降りる。阪神高速700円、阪和道1600円、計2300円。決して安くはない。今回の移動にはとにかく金がかかる。和歌山ICからはしばらく和歌山市内を走り、JR和歌山駅を超えてたどり着く。着いた時間は10時半をすでにまわっていた。1つ行くのに1時間半以上か…。前途多難。

 金剛宝寺 8/30(水) 10:42 総走行距離 92.7km

 山門近くの駐車場に車を停める。いわゆる100円パークだが、滞在時間を考えるとなかなか効率が良い。駐車場から山門まではすぐだが、山門から境内までは到達に時間がかかる。理由は簡単。かなり急勾配の石段を登る必要があるためだ。

山門
見よ、この急勾配!!

 入り口で、この旅始まって以来の入山料を支払う。前回の青岸渡寺は敷地に入るのに金を必要としなかったが、この旅はお寺を回るので、殆んどのところで入山料を取られる。場所によって拝観料、志納料、環境整備協力料など様々な名称に変わるが、本質的には一緒なので本エッセイでは入山料で統一する。さて、その入山料であるが、なんと50円。それって取る必要あるんか?

 石段を5分ほどかけて登る。段数は完全に忘れたが、5分もずっと登り続けるとかなり息があがる。私も若くない。ようやく登った先、本堂が見えてきた。納経を済ませる。

西国第二番札所
紀三井山 金剛宝寺
本堂。木が邪魔

 本堂横にはソメイヨシノの大木。これは関西の桜の開花を計る標本木らしい。私は知らなかったが、有名な事実なのだろうか。

クイズ研は覚えるべし

 再び急勾配の石段を降りる。途中にあった建物はあまり惹かれなかったので無視。とにかく時間をかけない方向に。

 金剛宝寺 8/30(水) 11:06 総走行距離 92.7km

 滞在時間、わずか24分。急いだ甲斐あって、駐車料金も100円で済んだ。次なる目的地は三番札所、粉河寺。同じく和歌山県内、紀の川市にある、とガイドブックには表記されている。ならば、とりあえず紀の川市でカーナビを検索。が、ここでカーナビに異変が。検索に引っかからないのである。このカーナビ、どうやらひどく古いデータしか入っていないようだ。ただの動きが緩慢なカーナビだと思っていたのだが、ここにきて検索ができないとは痛手だ。平成の大合併がここにきて弊害を生んでいる。仕方がないので、現在地の金剛宝寺から手持ちの地図を頼りに方向を定め、ようやく見つける。カーナビにはこのあと何かと苦労させられるのだが、それは追々話すとしよう。

 下道で地道に走る。和歌山市から紀の川市は方向的には北東。このあたりは縦断にも横断にも下道だ。高速は海沿いにしかない。幹線道路と思しき国道24号線を走ることになるのだが、幹線道路だけに道がやや混んでいる。裏道を出せるほど能力のあるカーナビではないと思うのだが、試しに「リルート」と書かれたボタンを押してみる。ところが、このリルート機能、現在地からではなく、なんと前の目的地から今の目的地までをリルートするというとんでもない機能なのだ。しかも計算には1分ほどかかる。その間、もちろん車は目的地に向けて動いているため、本当にこの機能を使用しようとすると、まずどこかに止まって検索結果を待たなければいけない、ということになるのだ。ひどい。ひどすぎる。

 さらにこのカーナビが追い討ち。通常カーナビといえば、「地図のように常に北が上」か「進行方向が常に上向き」かのどちらかを選択できるものなのだが、このカーナビは後者の機能が曖昧なのだ。「曖昧」というの言い方自体も曖昧なのだが、理由はただ1つ。「進行方向に近い東西南北のどこか1つを上向き」という機能なのだ。だから地図の動く角度が4種類、90度ずつしかない。進行方向も上向きから左右に45度ずつまで傾く可能性があるという、どこまでも「曖昧」な機能なのだ。さらにさらに悪いことに、デフォルトの機能がこの機能になっており、設定を変更しようにもマニュアルに詳細が記載されていない。こんなカーナビ、使えるようで使えない代物だ。ちなみに○anasonic製。メーカにも問題があるとは思うが、こんなカーナビを搭載したレンタカー屋にも問題があると思う。一度見てみればわかります。めちゃくちゃ見にくい。

 リルートも諦め、とりあえず表示の気持ち悪さにも耐え、なんとか進む。距離は30kmちょっとだったが、軽く1時間近く要した。信号との兼ね合いを考えるとカーナビばかりのせいにもできないが、原因の一端であることは間違いない。

 粉河寺 8/30(水) 12:03 総走行距離 124.8km

 12時を過ぎて粉河寺に到着。12時を過ぎたということで、この日の制限時間も5時間を割り込んだ。シビアな戦いが続く。お寺の駐車場が無いので、近くの民家が経営している駐車場に駐車。20台ぐらいのスペースに半分ぐらいが停まっている。奥の方に入れ、さて金を払おう、としたところであることに気づく。払う場所が無いのである。普通、民間の駐車場であれば、入口付近で金を徴収するか、誘導員みたいな人がいてその人に渡すかであるのだが、何しろこの駐車場、人気が全くないのである。看板には「500円」の表記があるのだが、払う場所がなくては払おうにも払えない。しかも、この時私は手持ちには小銭があまりなく、おつりをもらわなくていはいけない状況下にある。そんな中、ようやく料金箱を発見。今停めたスペースのさらに奥、民家の玄関の軒下にポツンと置かれていた。判を押した領収書の束もあり、領収書が必要な人は勝手に持って行ってね、という雰囲気を醸し出している(雰囲気ではなく実際にそうなのだが)。おつりをもらえる状況ではない。仕方ないので100円だけ入れてこの場を去る。儲かったと言ってしまえばそれまでだが、これ以外に手段がなかったのだよ、ごめんよこの家の方。

 ここから歩いて3分もしたところで本堂に。ちなみに入山料は無し。今のところ3箇所回って計50円。なかなかお買い得!?ではあるが、そのうちエラいことになるのはこの時は知る由も無い。

西国第三番札所
風猛山 粉河寺
山門
本堂

 敷地は大きかったが、例によって先を急ぐ旅なので多くは訪問せず。道沿いの建物を見て回ったが、記事にできるようなものは無し。こけしのような地蔵が多数置いてある場所もあったが写真が無い。果たしてそれが有名か無名かもよくわからない(ガイドブックに詳細が記載されていない)。

 粉河寺 8/30(水) 12:25 総走行距離 124.8km

 滞在時間はここでも約20分。次はさらに北東に進み、大阪府(和泉市)に戻る形となる。目的地は第四番札所、施福寺である。金剛宝寺から粉河寺に行くのとほぼ同等の距離に見えるが、今度は道が少ないのでさらに時間がかかることが予想される。12時半を過ぎたが時間的余裕を考え、昼飯は途中のコンビニ、もしくはドライブスルーで取ることに。だが、いくら国道とはいえ和歌山の山中。なかなかコンビニも無い。あっても道路の逆側(国道なので交通量は多く、逆側だと寄りづらい)だったりして寄ること自体が難しい。そうこうしているうちにさらに山道に入り、店どころか人家の気配すらなくなるように。こうなると選択肢もへったくれもない。無いものは仕方がない。ひたすら目的地に進むことにする。

 またしても移動時間は1時間。このペースでは後半の移動の長さを考えると7日で33箇所というペースすら崩れかねない。前以上に参拝時間が短くなる、というおざなりな旅にもなりかねないが、私の力ではどうにもならないのもまた事実。粛々と旅を進める。さらに細い山道に行く途中の分かれ道で施福寺の看板を発見。それに従う。

 施福寺 8/30(水) 13:22 総走行距離 160.9km

 山道に入りしばらくして、ようやく広い場所に出る。が、しばらく行くと思わぬ敵に行く手を阻まれた。

通行止…?

 2005年である昨年も北海道の平田内温泉にて行く手を阻まれたが、まさか2年連続でこんなことが起きようとは。普通の道にパイロンですよ、そんなことがいくつもあってたまるものか。

 物理的に遮られてはどうしようもない。強行突破してもこの先の道の安全が保障できない。諦めてこの付近にある駐車場に停め、ここから歩くことに。バス停もあるし、終点と思しきバスが転回するスペースもある。そもそもここに駐車場がある時点で車で来た人はここに停めてね、あとは歩いて参拝してね、という意味だろう。まったくこの寺はどうなってるんだ、とガイドブックに目を向けると、思いもよらぬ文言が。「交通」と書かれたその欄には、

 バスでお越しの場合は、槇尾山(施福寺がある山)行き終点下車、徒歩30分

 とある。確かにここにはバス停があり、間違いなくガイドブックが示している「終点」である。ということは、車で来ようがここから30分歩かなくてはいけない、という事実に行き当たるのである。まさかこんなことになろうとは…。たかだか道路にパイロンが置かれていた、そんな事実に目を疑うのでは低レベルだということである。

 ここからはレンタカーを借りてから初めての長丁場の徒歩。まさかの徒歩である。幸い、サンダルではなくスニーカーだし、ポロシャツにジーパンなので歩くのに不自由する格好ではない。歩く。歩く。とにかく歩く。

参道入口
サイ銭を「おとも」?
長い道のり

 真ん中の写真は参道にはサイ銭をお供しないで下さい。と表記された看板。参道のあちこちに掲げてあった。どうやら賽銭をそこかしこに置く人が多いということが想像される。それにしても意味不明な看板。おそらくは「おそなえ」と読ませるのだとは思うが、送り仮名が無いだけで非常にわかりづらい内容になってしまっている。

 道中、意外と多くの人とすれ違う。写真右のような参道ならばいいのだが、途中からは完全に山道となり、舗装すらされていない。道幅も狭く、横には段差がありその下は沢になっている。落差は1mか1.5m程度だし、沢の水はわずかなので仮に落ちたとしても死ぬことは無いだろうが、這い上がるのも難しい場所だ。私一人なら大したことないが、年寄り衆や子供が歩くには危険な気がする。雨なんか降った日には沢も水嵩が増え、さらに道も滑りやすくなるだろうからさらに危険が増すだろう。一度でも行きたい、と言う人は年を取る前の雨じゃない日に行くことをおすすめする。

 25分ほどでようやく本堂に。本堂以外に寄る気力も無いが、とにかく納経だけは済ませないと来た意味がなくなってしまう。休んでいる人、水分を確保している人も何人かいた。それは即ち、この参道の厳しさをそのまま物語っている。

西国第四番札所
槇尾山 施福寺
山門
本堂

 本堂での滞在時間は数分。休憩もほどほどに、すぐさま来た道を引き返す。ちなみに万歩計を見ると、駐車場から約1800歩。山道なので1歩の距離が正確ではないが、通常の道では1m、山道で短い歩幅なので半分の50cmとすると約900mの勘定だが、そんなに短くはないので間を取って約1.5kmぐらいだろう。帰りは当然下り。下りの方が早そうに思えるが、前述通りすぐ横の沢が危険なため、常に踏ん張ってスピードを抑える必要がある。その分、膝に負担がかかるのは言うまでもない。時間も思っていたよりかかる。ただ、焦るあまり怪我をしては元も子も無いのでそこは慎重に。途中ですれ違う人(私が下りなのですれ違う人はこれから参拝する人)の何人かに「あとどれくらいですか?」と聞かれること多数。距離を正確に把握しているわけではないのだが、都度万歩計を確認し、距離(実際に何mかは不明なので、全体のうち何割ほど来たかを教える形)を告げる。意外と重宝した万歩計。自分の役には立っていないが、他人の役には立ってる。まさに大乗仏教に則った所業である。私もその域に達したか。我ながら大したものだ。

 結局復路は20分ほど。確かに登りよりは早かったが、慎重になった分あまり大きな差はでなかった。汗はひどいが着替えが無い。タオルはもっているので一生懸命汗を拭き、移動に備える。膝が笑っている状態なのが不安だが、アクセルやブレーキは足首でコントロールできるし大きな障害にはならないと判断。すぐさま出発。

 施福寺 8/30(水) 14:09 総走行距離 160.9km

 次は第五番札所、葛井寺。読みは「ふじいでら」であり、かつての近鉄バファローズの本拠地があった藤井寺と同じである(注意:上記の「葛井寺」は本来の表記とは違う字体であり、表記できない漢字であるため、本稿では以降「藤井寺」で統一します)。地図ではほぼ真北、距離も直線距離ならそう遠くない。もちろん、山道なので実際は遠くないわけではない。

 まさかの長期滞在のため、すでに時間は14時を回っている。藤井寺まではまた1時間を見込み、参拝が前例通り20分前後とすると、藤井寺終了が15時半見当。その次から奈良になり、さらに移動距離が増すことを考えるとあと行けて2つという状況になってしまった。そうなると5箇所。7日で32箇所のペースは保てるが、ギリギリの状況である。アクシデントが発生したらもう取り返せないペースだ。1週間の行程は浅はかだったか。

 途中のコンビニもスルー。飯を抜いてあれだけの山道を歩いているので疲れているはずだが、水分の補給で今のところは間に合っている。コンビニに寄る時間すらもったいない状況なので寄ってる場合じゃない。とにかく急ぐ。藤井寺までは国道を通ることになるのだが、例によって交通量も多い上に、今度は信号も多くなってきた。2車線ならまだいいが、ちょっと山に入ると1車線になることも多く、これがまたタイムロスを招く。とにかくこの日はツイてない。下調べが全然なされてないのが主な原因であることは今記事を書いてる段階では明らかなのだが、当日はそんなことは考えてもいなかった。いかにいきあたりばったりの旅かがよくわかる。

 藤井寺 8/30(水) 15:03 総走行距離 189.0km

 やはり所要時間1時間で近鉄藤井寺駅に到着。が、カーナビにはお寺の場所がなく、手持ちのガイドブックの地図は大雑把すぎて正確な場所がわからない。駅前を回っているとお寺の方角を指す看板を発見できたので、その近くの駐車場に駐車。駅前の商店街のお店の1軒に入り、場所を聞く。駅から向かって商店街を抜けたところにあるようだ。言われた通りの道を進むと、商店街を抜けて住宅の密集地となる途中のところにポツンとあった。

西国第五番札所
紫雲山 藤井寺
山門
本堂

 今までの5つのお寺の中で、一番敷地面積が狭い。市街のど真ん中にあるのでそれも仕方ないのだが、10分もあれば全部回れてしまう。今回に限っては悪いことではないが。滞在時間10分。だが、藤井寺に来てこれだけで帰るのは勿体ない。そこで、1つ寄り道。寄った先は下の写真。

Q:この店のオーナーは誰?

 この写真を見て何が何だかサッパリわからない貴方、正常の感覚の持ち主。逆に何かピンと来た方はかなりの野球通。この店は、かつて近鉄バファローズに在籍していた栗橋茂氏が経営するスナック「しゃむすん」なのである。写真撮影の時で15:20ぐらいだったせいか、店に人影がなかったのが残念だったが。写真の窓ガラスにモロに私が映りこんでるところは気になさらずに。ちなみにこの店、普通に商店街にあったが、商店街自体がかなり入り組んでいる作りになっているのでサクっと発見しづらい。これもお寺と同様、地域の人に聞こうと思った矢先に偶然自分で発見した。酒の飲めない私にはスナックは居心地が悪いところだが、ここはレアな話ができそうだし、加藤哲郎とか吹石徳一とかが客で来るらしいので行ってみたい。どなたか一緒に行ってくれる人求む。場所だけはもうわかった。

 藤井寺でこれ以上のネタはもう望めないが、せっかくなので藤井寺球場跡にも行ってみることに。例によって場所がわからなかったが、地域の地図を発見し、そこに球場の場所がハッキリ書いてあったので比較的ラクに跡地に行くことができた。

今なお残る「藤井寺球場」
跡地。跡形もない。

 行ってみると、完全に更地。2006年8月に解体終了と書いてあった。この日は8/30。工事の佳境どころかもう終わりかけである。2004年、ウエスタンリーグ優勝決定戦を観に行く予定だったのだが、これが日曜日にやるはずがいつの間にか平日の予定に変わっており、断念してしまったおかげで私は藤井寺球場で野球を見たことが結局1度もないまま。藤井寺に来たのも今回が初めてだった。学生時代に、天王寺の駅前でガラの悪い近鉄ファンに絡まれたことはあるが、近鉄とは縁遠い存在だった。それだけに残念でならない。近鉄球団の名場面が頭をよぎる。一番の印象は10・19だがあれは川崎球場。加藤哲郎の暴言、「巨人はロッテより弱い」(実際に言ったわけではないが)は第3戦だったので東京ドーム。北川博敏の代打逆転満塁サヨナラ優勝決定ホームランは大阪ドーム。あ、あんまり藤井寺の印象ないわ。

 藤井寺 8/30(水) 15:33 総走行距離 189.0km

 狭い敷地の藤井寺では時間を短縮できるかと思ったが、ネタを探すあまり結局他のところより滞在時間が長く、30分。残り制限時間は90分を切った。ここから次の目的地である第六番札所、南法華寺に向かうのだが、今度は奈良県。方角は南東だが、例によって直線の道が無いので時間がかかる。もう回れてあと1箇所ぐらいのところなので、まあ急いでも仕方ない。ここも地道に下道。

 藤井寺から南法華寺がある奈良の高取町までは、相も変わらず国道。まっすぐ目的地に行けない道だが、小さい細い道で迷うよりはしょうがない。が、30分ほどして奈良に入った際、試練が訪れる。国道24号から169号に向かう道。高架に合流後、右折レーンに入るという難易度の高い道。右折レーンにはすぐ入れたが、右折信号が青になっている時間が物凄く短い。目視できる時間で約10秒。待ってる台数は約2〜30台、1回の青信号で右折できる車はあって5,6台。さらにひどいのが、横の道も国道なので、赤信号の時間が長い。1サイクルが4,5分かかるのだが、それで青信号数回分だから、それだけで20分程度かかる計算。この交差点を抜けた時、時間は既に4:25。ここから南法華寺までは約10km強。ということで、かなり厳しい状況に立たされた。前述通り、逐一家(大阪)に戻る行程のため、今日は諦めて…というのも面倒くさい。

 地図を見て必死に短い道を探す。装備が役に立たないカーナビである今、目視が一番確実なのだ。だが、国道169号線はほぼ一本道。絶対にこの道をそのまま行った方が早い。もはや、これまでか…と思った矢先、1つの「抜け道」を発見する。それは、先に七番札所の岡寺に行くというものだ。順番どおり、を励行している旅だが時間には代えられない。岡寺はこの道を行ったすぐ先にある。タイムリミットはあと35分。選択の余地は無いのである。

 というわけで岡寺を目指す。が、これもかなり微妙な時間ではある。意外と狭い国道、意外と信号の多い国道、ずっと1車線の国道。時間を稼ぐ手段が無い。ひたすら交通量との戦いになるのである。そして…。

 岡寺 8/30(水) 16:49 総走行距離 221.3km

 タイムリミット11分前、ギリギリで岡寺の駐車場に到着。だが、駐車場からお寺まではまたしても距離が。歩く時間も無いのでとにかくダッシュ。但し、かなり勾配の激しい山道。運動不足の28歳には体にモロに響く道である。

夕暮れの急勾配

 山門に着いたのはもう閉門の5分前。入口にいた係の僧侶ももう閉めようとしていたところだった。事情を説明すると、慌てなくてもいいからゆっくりと回ってきていい、とありがたいお言葉。かなり息を切らして走って来た演出!?に効果があったか。入山料300円を払い、閉山ギリギリでなんとか岡寺をクリア。

西国第七番札所
東光山 岡寺
山門
本堂

 境内にあるシャクナゲが有名で、三重塔もそびえる、なかなか見ごたえのあるお寺なのだが、急ぐ身ゆえ(なにしろ参拝終了した頃には閉山時間を過ぎている)殆んど見所を見ずに踵を返す。完全に好意で開けてもらってるのだから。ちなみに、参拝前には下記の写真の鐘をついた。七番札所に来て初めて、自由に撞ける鐘にありつけた。

自由の鐘!?

 駐車場に戻る。有料、と書いてあるが時間が時間だけに本来払うべき土産物屋がすでに閉まっており、完全無料。これはこれでラッキー。本当なら500円らしい。この日は駐車場に恵まれた日だった。

 結局この日は5箇所。南法華寺のすぐそばまでありつきながら、一度家に戻り出直しとなるのは惜しいが、泊まる場所も何も確保していないのでこれはやむを得ず。帰りは勿体ないのでとりあえず下道で帰る。今度こそ混んでいようが関係ない。食べられなかった飯も食い、ちんたら戻って家にたどり着いた時にはすでに21時を回っていた。

 自宅 8/30(水) 21:03 総走行距離 290.5km

 これで車の旅、初日終了。お金の計算がイヤになるが、これは必要経費。承知の旅である。晩に駐車場に入れておかなくてはいけないのはちょっと難点だが、これも…まあ必要経費。逐一返すのも面倒くさい。次は南法華寺から。ペースを上げなくては間に合わなさそう。

 ちなみに万歩計は14931歩。施福寺で稼いだ分があるのか、ゆうに1万歩を突破。車を運転中にチェックをしたが殆んど動かなかったので、純粋に歩いた分と考えていいだろう。いい調子。今回の旅は毎日1万歩を目標にすることにしよう。


経費
レンタカー 45150
高速 南森町→和歌山 2300
入山料 2 金剛宝寺 50
納経 2 金剛宝寺 300
駐車 金剛宝寺そばパーキング 100
納経 3 粉河寺 300
駐車 粉河寺そばパーキング 100
納経 4 施福寺 300
納経 5 藤井寺 300
駐車 藤井寺そばパーキング 200
入山料 7 岡寺 300
納経 7 岡寺 300
小計 49700
これまで 15890
合計 65590

訪問寺院
1 青岸渡寺 和歌山県那智勝浦町 2 金剛宝寺 和歌山県和歌山市 3 粉河寺 和歌山県紀の川市
4 施福寺 大阪府和泉市 5 藤井寺 大阪府藤井寺市 6
7 岡寺 奈良県明日香村 8 9
10 11 12
13 14 15
16 17 18
19 20 21
22 23 24
25 26 27
28 29 30
31 32 33

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