飯田選手の3回目の防衛戦でフリオ・ガンボアとの対戦で試合中、確か4ラウンドに相手にクリンチされた時に右肩を脱臼する。それまで、優位に戦っていたのが一気に劣勢となった。試合中に何度もパンチを打つたびに肩が外れるようになり4ラウン
ドからは左手だけで戦う事を余儀なくされた。 しかし、最後まで諦めることなく劣勢のままチャンスを探し12ラウンドを戦った。私もこの時はセコンドに上がりラウンドの合間に、何度も「大丈夫?」と聞いたが、この時の彼は誰も止められないオーラを出していた。 |
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(スタッフの ライセンスカード) |
(ラウンドの間の セコンドでの写真) |
(試合中の写真) このときプロの写真家が 飯田選手をとり続けていた |
何かおかしいとは誰もが 分かるような試合の運びであったが、まさか肩を脱臼していることは、会場のお客さんもテレビで見ていた人も気がつかなかったと思う。初めての世界戦から引 退するきっかけとなったこの試合まで、楽な試合は一度もなかった。1試合1試合がまさに命がけであった。 | ||
(試合直後の控え室にて) | (脱臼した肩を固定しているところ) |
誰かの歌ではないが、「いつかこんな日が来ると・・・」と言うフレーズが、この時真っ先に浮か んできた。悲しいとか、寂しいとか言うことよりも、暫くの間、ただ猛然として時間が過ぎていた。この日から、喪失感から私の魂が抜けてしまったのは言うまでもない。もう二度とボクサーは見たくないと、この時の脱力感と喪失感から、そう思ったことを今でも鮮明に覚えている。 | |