花追い人 ・ 旅語り
〜 岩手 〜

 


盛岡周辺の牧場

遠野の山間

小岩井牧場

以外だったのだが、岩手には小岩井牧場をはじめとしてかなり広い牧場があり、北海道みたいに見える場所がけっこうある。
そんな牧場に雪山をバックにポツンと一本桜が咲いている風景は、「宮沢賢治」っぽくて、童話でも読んでいるような気分になる。
カメラマンにとっては嬉しい一本桜だが、おかげで牧場の方々は、群がるカメラマン相手に牧草を守り、家畜の衛生を保つ為に苦心しておられる。左の一本桜は、牧場の入口で靴底を消毒液で洗い、さらに30分近く歩いてやっと辿り着く。右の小岩井牧場の一本桜は、今やすっかり有名になってしまい、春になるとたくさんのカメラマンや観光客がやってくるので、牧場の周りはロープで囲われ、日に何度も牧場の方がチェックしにくる。おととし私が訪れた時は牧場の許可を受けた歌手の「こぶくろ」のCDジャケットの撮影班が、ロープの外で指を咥えている私達数多くのカメラマンを尻目に、一日中ロープの中で桜を独り占めしていた。その写真は無事、日のめをみたのだろうか・・・
同じ岩手でも遠野物語の舞台である遠野は、ちょっと違う雰囲気である。明るくだだっ広いイメージはなく、そこら中が「いわく有りげ」。ここでは(観光施設は別として)何故かほとんど村の人に出会わなかった。写真の山桜は「おしら様」を見せて頂きに民家を訪ねた帰りに山間の畑の前で出会ったのだが、その民家も鍵や玄関は開いてるのに、呼んでも家の周りを探しても誰もいなかった。用心が悪いのを通り越して、まるで村人が桜に変えられたのかと思うほどであった。

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