〜 順不同 九州ゆるり旅ベストエックス vol.2 〜

 


*高千穂の夜神楽 (続き)

ところで神聖なる儀式ではあるのだが、(噂では)真夜中になり子供が眠くなってしまった頃に行われる通称「眠気覚まし」の舞いは、かなりキワドイ踊りらしい。仲の良い夫婦の神様がお酒を作る話なのだが、どこまでキワドクするかは踊り手に委ねられているという。毎夜行われる高千穂神社の神楽では、男神が客席に降りてきて女性の観光客に抱きつくと、それを止めに来た女神が亭主を引きずり戻す時に、男性の観光客に抱きついて、男神が慌ててそれを引き離すというパフォーマンスが行われる。最後には仲良く御酒を飲んでめでたしめでたし。

・・・で、今回本物の夜神楽を見るにあたって、ちょっと気がかりではあった。見てみたいような見たくないような・・・でもこれをとても楽しみにしているおじさん達がいた。
そのおじさん達がいつから近くにいたのかわからないが、日付が変る頃になると、もうすぐ「それ」が始まるんだぞと、どちらからともなく自慢げに語っている。なのに「さあ次だ!」と期待する度はぐらかされ、傍目にも彼らの焦りが見えてきた。

ところで夜神楽では、途中で失礼ではあるが観光客はうつらうつらしてしまう。私も寝たが、おじさん達も寝てしまったらしく、もう「それ」が終わってしまったのではないかと気にしはじめた。やがてユーモラスな類の踊りが始まると、おじさん達はその流れでやっと「それ」が始まるのだと再び期待する。囁き合っている。「もうすぐもうすぐ」
でも寝てしまうはずの子供達はまだまだ元気に踊っていた。
・・・そしてまたしてもおじさん達の期待ははずされた。
(まだ続く)
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21世紀旅日記〜冬の九州へ!

Copyright (C) 2004 Yuka Hoshino