|
|
*高千穂の夜神楽 (続きの続き) やがて夜明け前、神様をお送りする神事がおこなわれた。 おじさんは大発見したように隣のおじさんに言う。「あっ そうかー 俗世のことは、神様を送り出してからするんだな」 そして神様はお帰りになった。その後も踊りは続いたが「キワドイ」の正反対のような踊りだ。子供も元気に起きている。 やがて夜神楽は終わった。 おじさんは納得いかない顔をしていた。「やっぱり自分が寝てて見逃したんだろうか?」 でも私は気付いていた。 実はかなり初めの演目で「この村独特の踊り」があった。これは夜神楽を渡り歩いてるご夫婦が「これ、見たことない」とつぶやいたのを聞いたのだが、演目の総数が33番と決まっている以上、何かが一つ無い筈なのだ。そしてここの子供達はあたりまえな顔でフル出場している。役柄も重要そうだ。つまり、この集落ではどっちが鶏で卵かはわからないが、子供達がとても活躍して、キワドイ舞いは踊らない事になっているのだ。(たぶん) おじさんにそう言ってあげたかったが、ほんとかどうか、わざわざ村の人に聞くだけの勇気もなかったから、ほっといた。おじさんは腑に落ちない顔で帰っていった。 あとには、(ショックをうけたおじさんが忘れたのかどうか確証はないが、)一眼レフのカメラが寂しそうに転がっていた。 |