21世紀旅日記
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vol.8 近況報告 : 京都にて (2003.JAN)

正月が終わった頃、母がひどい風邪をひいた。
私がかわりに食事を作るようになった。
旅のあいだ、信州の大きなスーパーで、京都よりずっと美味しそうでお買得の野菜や生ものを眺めながら、「車に冷蔵庫と大きな鍋とコンロがあったらなー」と料理することに飢えていた私は、「スーパーで思いっきり要調理の食料を買い込み、冷蔵庫といくつものコンロ、たっぷりの水、大きな鍋、フライパン、電子レンジ、オーブン、圧力鍋、まな板と普通の包丁、色んな調味料を駆使して料理する」ことに、はまってしまった。
正直なところ、今まではオーブンなど面倒くさくて、ほとんど使わなかったし料理自体、必要以上には凝らなかった。
自宅近くのスーパーが新装開店して目新しくなった事も、私に拍車をかけた。
かっては果敢に一人旅をしていた私も、今や牙を抜かれた狼。
地図を見る代わりに献立をたて、開花状況を調べる代わりにチラシを眺め、天候をチェックする代わりに冷蔵庫をチェックし、車で撮影に行く代わりに自転車でスーパーに行く。
人々が群がる所にも目を通し、人々が気づかない所にも目を配らせる。限られた撮影タイムにより良い被写体を撮ろうとする貪欲さは、限られたお財布の中身でより良い食物を手に入れようという貪欲さに変わってしまった。
今やシャッターを押す代わりに包丁を動かし、フイルムを巻く代わりにコンロのスイッチを捻っている。
「このままではダメだ!」
写欲が湧かない自分にあせりながらも、雪が降ったら「寒そう」としか思えず、外が寒くても家に入ればストーブで暖まれる普通の生活に、結構満足している今日この頃。
・・・だれか目を醒まさせて・・・


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