いわずとしれた温泉ブームである。私も世論に流されてるのか、必要以上に温泉にこだわった旅をしてしまう。とにかくそこに変った温泉が、いわくありげに効きそうな温泉が、知る人ぞ知るといわれる温泉があると聞けば、行かずにはおられない。ちょっとした温泉ノイローゼみたいなもんである。それでも最近は一日にいくつもの(有料の)温泉に入るのはやめにして、ひとつふたつの温泉をじっくりと楽しもうと心に決めた。本来の目的の撮影を優先させる為、時間と体力を温存するというのが、最大の理由だが、まあ経済的な理由も三分の一位はあるかも。(本当に三分の一か?)温泉代一件300円としても塵も積もれば山となるのだ。 この300円というのは私の温泉基準だ。これより安い温泉は湯量が豊富で安心して入れる、500円までならそこそこ湯量があり「経験として入っておこうかな」という感じ、それ以上はちょっと要注意で、周辺の物価(例えば有名観光地だと物価は高い)や温泉のいわれ、性質など(山奥の一件宿で競合する温泉がないとか、誰もが一生に一度は行きたいと思うほど有名になった特徴のある温泉とか)をチェックして、「妥当だな」と思われたら入る。温泉の辞書でも出すんでなかったら、この単純なチェック法が一番! 温泉は源泉かけ流しに限る・・・と簡単にいうが、「ここ、源泉かけ流しですか?」と無愛想な番台のおばちゃんに聞く勇気が出ないこともあるし、地方の共同浴場なんかだと、人そのものがいない場合もある。温泉成分表もあるにはあるが、「これいつのん?」と言いたくなるような、今では使われてない漢字が書かれてる色あせた紙を、後生大事に額に入れてある所が多い。それこそ殺人事件の時効も過ぎ、赤ちゃんも成人するほどの年代もんの成分表を鵜呑みにするのもなあ。日本の環境も急速に変ってきてるしなあ。 で、観光客欲しさに温泉の色をごまかしたり、水道水を沸かして温泉と偽ったり、最近ゾクゾクと温泉ファンには困った話題が出てきてる。今後温泉旅行を敬遠する人も中にはいるかもしれない。 だけど日本にはまだまだ「ほんまもんの温泉」はあふれるほど存在してるのだ。前にも言ったが「安い温泉ほど、ええ温泉」の方程式だ。「タダ」なんてもう、極めつけの温泉なんである。 で、私のいいかげんなりに豊富な経験からいうと、タダの温泉が一番多いのが北海道。ものすごく安い共同温泉が多いのが東北、そこそこ安くて特色ある温泉なら九州、ちょっと高めだけど入っておきたいのが信州、お肌に良い温泉は中国地方に多く、関西は世界遺産に登録された吉野熊野周辺の温泉なら間違いない・・・関東にもけっこうあるみたいだが、あんまり行かないのでよく知らん。 今までに入りまくった全国の日帰り温泉の記録写真はうちの押入れにうなるほどあるが、ありすぎて、手をつけるのが億劫で残念ながらなかなかまとめられない。温泉修行に地道に更新していくけど、今日は商売根性丸出しの温泉に物申す気持ちで、北海道の「タダの温泉」のひとつ「ヌプントムラウシ温泉」をピックアップ! back | next 押入れの中 Copyright (C) 2004 Yuka Hoshino. All rights reserved. |