〜 ねこ横丁 〜
抱き心地



今朝、きっちゃんの夢を見た。
きっちゃんが逝ってしまってから、あんなリアルな夢は、はじめてかもしれない。
あれほど、心の大半を占めていたきっちゃんなのに、逝ってしまってからは、案外夢に出てこなかったのだ。そういえば、きっちゃんが逝ったのは8月11日、今日はちょうど二ヶ月めだ。

夢の中の、きっちゃんは、生前一番汚ない時の状態をさらにひどくした感じだった。
実際には、きっちゃんは、私の目の前で逝ったし、冷たくなった体も、何度も確認したし、もちろん火葬してもらっている。
でも、夢の中では、きっちゃんは8月11日に行方不明になっていて、私は、もうあきらめてたんだけど、なにかのついでに、「ちょっとあのへん探してみよう」と、自転車に乗って行ってみた場所で、思いがけず発見した。「岩倉」の辺りの設定なんだけど、実際、夢に出てきた風景が岩倉にあるとは思えない。野原の先に崖がそそり立つ場所で、少しだけ高い場所にある土の道を、白い猫が歩いていた。私はアイちゃんのお遊び用に、自転車のカゴにススキを入れていたから、季節はまさに今。

もう二ヶ月も行方不明のきっちゃんに似た白い猫を見つけた私は、思わず近寄って、名前を呼んでみたが、反応はなし。昔聖書に書いてあった「らい病」のように、見るからに病気持ちらしく汚れきった白い猫は、私を見て、喉を鳴らすわけでもなく、喜ぶわけでもなく、まるで知らない猫のよう。
でも尻尾を見るときっちゃんのフワフワ尻尾。しかも汚れ方が、ひどいの時のとそっくりだったから、思い切って抱き上げてみた。素直に抱っこされたきっちゃんは、私が現実に知っている以上に汚れ、傷つき、悲惨な状態だった。こんなので、生きてるのが不思議なくらい。抱いていると、いつのまにかゴロゴロ言い出した。やっぱりきっちゃんだ。きっちゃん、二ヶ月もよく生きてたね。ごめんね。なんで私、もっと早く探しに来なかったんだろう。二ヶ月も、辛い思いさせちゃったね。おうちに帰ろうね。ちゃんと手当てをしようね。

自転車のカゴには、ススキの穂が敷いてあったから、少しはクッションになるだろうけど、でも自転車こいだらガタガタするだろうから、このまま、抱っこして歩いて帰ろうか?ものすごく時間かかりそうだけど・・・とか迷っている時に、目が覚めた。 抱っこしたときの重みが、まだ残っているような気がして、しばらくボーっとしていた。

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