【ロテル・ド・比叡】 京都の北白川から比叡山へ山中越えする途中の、滋賀県と京都の境にあるホテル。2004年の真冬のある日、私は運良くクジで当てたディナー付き宿泊券をもって、母と二人でここを訪れた。 本当は父母へのプレゼントにしたかったのだが、あまりに自宅から近いので、直前になって父が「この寒いのに寝るだけのために、わざわざ寒い山の上に行くのは面倒くさい。寒いと血圧も上がるし・・・」と渋り始めたので、低血圧の私と母で行く事になった。
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正直私もめんどくさかったので、暗くなる少し前に到着した。 早速ディナーを頂けるレストランに行く。ちょうど暮れなずむ頃で、まもなく窓の外の散歩道にクリスマスのような電飾が灯った。・・・こういうのに私は弱い。弱いといっても、うっとりするんではなくて、ファイトが湧くのだ。 もちろん走って部屋に翔け戻り、三脚とカメラを持ってきた。食事を運ぶのを待ってもらい、迷わず外へ出る。閉まってるドアの鍵を開けてもらって・・・一般人にはこの散歩道は冬の夜には眺める処で、歩く処ではないようだ。
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夕景を撮った時点で、私の取材魂が目覚めてしまった。当然朝も撮るつもりだ。ゆっくり過ごすはずのホテルライフもこうなっては無意味だな、と自覚しながら、翌朝日の出前に起きる。 どこのドアから外へ出られるかは昨夜、確認済みだ。ぬかりはない。 教えてもらった内側に鍵のついてるドアを開けて外へ出る。ぐるりとホテルの周りを歩かなければ日の出の場所へは行けない。私が出てる間に誰かが間違って鍵を閉めないことを祈りながら、現場へ向かう。うーん でもここじゃ朝日が見えるだけで、あんまり絵にならないなあ 大急ぎで館内へ戻り、朝食の準備を始めているレストランへ駆け込む。本日は平日なのでお客さんは少ない。ましてやこんなに早く食事にきてる人はいない。だってロテルド比叡は「ゆったりと贅沢なひととき」を過ごすスタイルのホテルだもの。チェックアウトもお昼の12時だ。みんなはまだ夢の中 |
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贅沢な朝食、優雅なディナー 昨日のディナーではジョルジュと名乗る生粋の日本人がサーバーしてくれた。このホテルでは各人が愛称として外国名を持ち、その名で呼び合うそうだ。理由は・・・なんだっけ?日本社会の役名システムとか序列システムを持ち込まないためとか、なんとか。 とても楽しい方で、給仕をしながら色々な話をしてくれた。彼も元バックパッカーだそうだ。 食事はハーブとオリーブオイルをたっぷり使った地中海料理。メインはもちろん、ローズマリー入りのオリーブオイルをつけて食べるパンも絶品。 |
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このレストランでは各テーブルに色々な塩を用意している。これに母が飛びついた。母はポーランドへ旅行した時に岩塩の名所へ行き(何十キロも続く岩塩の地下道があり、サナトリウムも併設されているそうだ)、そこで自然塩を買ってきたのだが、これを重宝してて、母曰く「味が深まる」そうだ。日本の赤穂の天然塩には「すぐ湿気る」と見向きもしなかったのに。確かに気のせいか、日本の天然塩より塩分の突き刺さるような強さが少ないような感じはするが。 で、ここの洋ものの数種類の塩には大喜びだった。そんなにかけちゃ健康に悪いと言っても、「柔らかい塩気だから大丈夫」と譲らなかった。そうなんだろうか? 豪華な朝食ではモーニングシャンパンなるものが出され、空腹にアルコールの入った母はすっかり酔っ払ってしまい、真っ赤な顔で、チェックアウトまで寝込んでいた。 |
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このホテルのマスコットはフクロウ。これがまた可愛い。フロントにはウエディングドレスに身を包んだフクロウのカップルがちょこんと座ってる。 宿泊以外にも結婚式や食事喫茶だけの利用も出来る。 tel 075-701-0201 URL http://www.hotel-hiei.jp |
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