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雄喜苑(ゆうきえん)は美術工芸家の宮森 達雄が陶芸をはじめ、日本画、油絵、彫刻、彫金などの美術工芸を教えるために作った横浜に古くからあるアトリエ(芸術サークル)です。雄喜苑を主催する宮森達雄が追求する歴史と唯一無二のものについてお話いたします。
〜 歴 史 「ルーツとヒストリー」 〜
人にはそれぞれルーツがあり、という
雄喜苑は宮森達雄先生が昭和47年に設立した芸術サークルです。ここでは日本画、油絵、彫刻、彫金などさまざまな美術工芸が教えられています。
これは幼少の頃より、横浜工業高等学校(現横浜国立大学)校長の鈴木達治校長の研究室に出入りし化学を、中国人チーサンに水墨画を、新聞記者で画家でもあった長島萬吉氏に油絵を習うなど多くの先達たちについて、技術と知識を習得したからです。また横浜公園を造園した祖父のそばで庭園や茶室建築などに接する機会もありました。
ひとつの作品を生み出すには、技術はもちろんのこと、芸術的表現方法、原料精製などに関する化学的知識等多くの要素が必要となります。だからこそ人は昔から一子相伝や徒弟制度のように秘伝というかたちで、最高の技術や知識を受け継ぎ後世に残してきたのです。そして歴史に裏打ちされた技や知識を駆使して生み出された作品が多くの人を魅了していくのです。
自分のルーツはどこにあるのか。誰に、何を、見聞きし学んだのか―――芸術に限らず、すべての人々に当てはまることではないでしょうか。
もう一つは、自分の作品の中に歴史を再現することです。これは独自開発した箱根の粘土を使用し、箱根の歴史を再現した大皿製作への取り組みがあげられます。また十二支神像をはじめとする人形制作も同様です。
先達から受け継いだ技や知識と、人や場所が紡いできた歴史がここで出会い、交わり新たな作品が生まれるのです。
〜唯一無二 「あなたはどれだけ唯一無二のものをもっていますか」 〜
「なに焼きですか」と問われることがあります。「雄喜焼です」とお答えしますが腑に落ちない様子です。相手は日本六古窯などのやきものの(産地の)名前を聞きたいようです。たいてい地名がつけられたものが多く、そこで粘土も産出します。また粘土はその土地のものではなくとも、技法などが特異で文化や商業的に発展したものもあるでしょう。
ではなぜ雄喜苑は「雄喜焼」なのでしょうか。それは自ら土を掘り、分解、配合することによって自分だけの粘土を作りだすことができるからです。どこへ行ってもその土地の粘土が作り出せるからこそ【○○(自分の名前)焼き】となり、「△△(産地の名前)焼」という枠にははまらないのです。つまり、日本全国、世界中までどの土地へ行っても唯一無二の存在を作り出すことができるのです。
雄喜苑が独自開発した「藐姑射(はこや)の土」は、火山灰を多く含む箱根の土を掘り、精製された何処にもない粘土です。 ルーツということを考えれば粘土という切り口でははみ出てしいます。しかしそれが雄喜苑なのです。。歴史(=ルーツ)+オリジナル=唯一無二になるではないでしょうか。
雄喜苑は、歴史を刻みながら常に新しく進み、それを提供していきたいと思っています。
自分で作るということにより、それはそれでオリジナルにはなるけれど、原料から作った他にはない本当の意味での唯一のものを手に入れてみませんか。
そこにしかないもの、そして歴史ある信頼のおけるもの、その二つを併せ持った雄喜苑の作品、そして同じ土で制作できるという貴重な体験を是非体験してください。
*唯一無二・・・ただ一つだけで二つとないもの 「広辞苑」
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