ペインクリニックとは、皆様にはあまりなじみのない科名ですが、日本語では「痛みの診療所」ということになります。
では、
どの様な痛みに対しての治療なのかと言うと・・・
頭から足の先まで痛みはすべて治療対象となります。
具体的には局所麻酔薬を使用し、神経ブロック療法という方法で痛んでいる神経を治療し、症状を緩和させようというものです。
人が痛みを感じるのは神経があるからであり、その神経が故障しているから痛みを認識するのです。
神経にはいくつか種類があります。自分の意志ではどうにもならない自律神経、体を命令通りに動かす運動神経、痛みを感じる知覚神経などです。どの神経が異常を起こしても人間の体は、不具合を感じるようになります。
- 痛みの悪循環について
痛みというものは知覚神経という神経があるために認識します。この神経は痛みを感じることで人間の体を守る役目もします。ところが、痛みが長く続いたり我慢したりすることでこの刺激が交感神経という自律神経を緊張させます。交感神経は血液の流れをコントロールしているため、緊張することで血液の流れを悪くします。血液の流れが悪くなると痛んだ部分の栄養が悪くなり治癒がおくれ、さらに新たな痛みを生むことになります。この新たな痛みがまたさらに交感神経を緊張させ血液の流れを悪くする・・・というものです。
この繰り返しが頑固な痛みとなるわけです。ここまで痛みが強くなることはまれですが、意外ににも疲労による肩こり、頭痛がよい例だと思います。
このことは体のどの部分の痛みにも起こりえることです。
ペインクリニックでは、この痛みの悪循環を神経ブロックで断ち切ってあげることで治療をします。
- たとえば・・・
椎間板ヘルニアのように硬いものが知覚神経や運動神経を圧迫したりすることで神経は痛み、しびれや筋力低下をもたらすことがあります。治療しなければ痛みは強くなってしまいます。このような場合ペインクリニックでは症状の程度にもよりますが、症状が重い場合硬膜外ブロックと言う治療をします。この治療は背骨の中にある脊髄神経の痛んでいるところに直接お薬(局所麻酔薬)を注入し、神経の痛みをやわらげてあげる方法です。
治療時間は5分ほどですが、1時間30分ほど休んでからお帰りいただきます。 この治療で腰から下の血液の流れが良くなり、痛んでいる神経も修復してくれます。
- 次に頭痛や肩こりですが・・・
これも症状の程度によりますが、ペインクリニックでは星状神経節ブロックという治療をします。先ほどの交感神経という神経にお薬(局所麻酔薬)を注入することで交感神経に一時的に麻酔をかけてあげ血液の流れをよくしてあげる方法です。頑固な頭痛には大変効果があります。
今まで頑固な頭痛(片頭痛や筋収縮性頭痛)、肩こりでお悩みの方はぜご相談ください。その他にも突発性難聴や顔面神経麻痺、自律神経失調症、花粉症などにも効果があります。
いままでどうしてもとれなかった痛み、必ず原因があります。すべての痛みが必ずとれるとはいいません。
しかし、その原因を追求し原因となる痛んだ神経を直接治療し、少しでも痛みから解放されるお手伝いをするのがペインクリニックの仕事です。
ペインクリニックという治療手段は決して新しいものではありません。今までこの治療法にたずさわる医師が他の科よりも極端に少なかったことが、ペインクリニックというものを知っていただけなかった理由だと思っております。どんな痛みでもかまいません。いままで苦労された痛みに関する事、ご相談ください。最後の砦になれればと思っております。
院長 鈴木結実人