星状神経節ブロックはペインクリニックでもっとも多く施行される治療法です。
星状神経節とは交感神経という自律神経のひとつで体のさまざまな機能を調節する神経であり、痛みなどを感じる知覚神経や体の筋肉を動かす運動神経とは異なります。交感神経の役割のひとつに血液の流れを調節する機能があり、交感神経が緊張すると血液の流れに影響を及ぼします。ストレスがたまったりすることで肩こりなどが起こるのも交感神経の過緊張が血液の流れを悪くするために起こります。
実際にはどのようにするかというと・・・
下の図@は頚椎(首の骨)を前からみた模型です。ちょうど7個の骨が組み合わさってできています。一番上は頭蓋骨です。下から2番目の両側に飛び出している骨(赤い印のついているところ)が第六頚椎の横突起というところで、この場所に局所麻酔薬を注射することで交感神経を一時的にお休みさせるわけです。
図@ |
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注射後どのような変化が現れるのかというと
- 目が充血する・まぶたが重くなる
- 鼻がつまる
- 注射した側の手が温かくなる
などの症状が出てきます。これは治療した側の血流が増加したために出てくるものです。約1時間30分後には元に戻ります。
首に注射というと ”とても怖い” と感じる方がほとんどだと思います。しかし決して危険なものではありません。きちんと訓練をつんだペインクリニックのドクターであれば安全に治療することができます。
深部頚神経ブロックとは、頚部(首の部分)脊髄神経が枝分かれして出てくるところのそばにお薬を注入する方法です。この方法は前述の星状神経節ブロックとは違い知覚神経、運動神経も軽くブロックされることになります。筋緊張性頭痛のときやひどい肩こりのときにこの方法で治療すると非常に効果的なことがあります。
頭痛の時は第2・第3頚神経(黄色の部分)、肩こりのときは第4・第5頚神経にて深部頚神経ブロックを行います。
腕神経叢ブロックとは、頚椎の第5・6・7番目の神経が束になって出てくるところをいいます。神経の束は袋に包まれた状態になっています。下の図のオレンジ色の部分を腕神経叢といい、この部分にお薬を注入し神経の痛みを和らげてあげる方法です。頚椎症や頚椎椎間板ヘルニア、鞭打ち症(外傷性頚部症候群・頚椎捻挫)などのときに有効な治療法です。注射のとき神経のそばに針が到達するので痛みを伴うのも事実です。逆に、神経の位置を確認するためにはどうしても痛みを確認する必要があります。
治療後2時間ほど腕に麻酔がかかるため動かない状態になります。
腕神経叢
硬膜外ブロックという治療法も耳にしたことがない方がほとんどだと思います。硬膜という膜は脊髄神経を包んでいる膜のことで、この膜の外側にお薬を注入する方法です。お腹の手術のとき背中から痛み止めの管を入れた経験のある方はご存知かもしれませんが、管を入れずに1回注入法で行うことで腰痛や頚部痛、上肢痛、下肢痛、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛やその他のさまざまな疾患に対応できる治療法となります。
腰椎の模型
硬膜外針
(下の写真が硬膜外ブロック時に使用する針です)
針を実際に写真で見ると”怖い”という意見が多いようです。でも痛み止めのお注射をしますのでそんなに痛くありませんよ・・・!
脊椎の断面図
(青い部分が硬膜外腔)
背中の骨の間から上の図の青い硬膜外腔まで針を進め、お薬を注入することで神経の炎症をおさえ痛みをとります。また交感神経も一緒にブロックされるためその部分の血液の流れもよくなり治療効果がさらに上がります。
透視下ブロックとは、連続的にレントゲン画像を見ることができる装置を使い、レントゲン画像を見ながら、目的とする治療部位にブロック針をすすめ、お薬を注入する方法です。
神経根ブロック 椎間関節ブロック 椎間板加圧注入法 という治療法で行います。
レントゲン透視装置
実際の画像はこのようにテレビ画像として見えます
腰椎前後像 |
腰椎斜位像 |
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骨の位置から神経のある場所を確認し、目的とする神経や椎間関節に直接ブロック針を進めて炎症を起こしている部分の治療をします。