■2026年1月号

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バイオジャーナル

欧州議会、欧州理事会、欧州委員会の三者協議がゲノム編集食品の規制緩和で合意

 

これまで遺伝子組み換え食品に対して厳しい姿勢をとってきたEUが、DNAを切断するだけのNGT-1(日本のSDN-1にあたる)で改変した植物由来のゲノム編集食品に関して、日本同様、「基本的に規制なし」で容認することを決定した。

このゲノム編集食品を規制なしで容認する動きは、欧州委員会が2023年7月5日に、ゲノム編集(植物)食品の規制を全面的に緩和する提案を行ったことから始まった。背景には、ゲノム編集技術を推進したい農薬企業や大学研究者からの強い圧力があった。これに対して、環境保護団体、農業団体などが強く反発した。 この欧州委員会の提案を受けて、欧州議会が検討を開始。2024年1月24日、欧州議会環境委員会が提案を可決した。可決に先立ち、欧州委員会の提案には次々と批判が出ていた。フランス食品安全機関(ANSES)は、欧州委員会が示した「NGT-1は基本的に規制なし」に対して、科学的根拠がないと強く否定した。オーストリア・スイスの生態学会(GfD)もまた、基本的な規制がないまま野放しにすれば、生物多様性に深刻な影響をもたらす可能性があると警告した。これとは別に、研究者100名が同様の警告の声明を発表した。 このように批判が噴出するなか、欧州議会本会議は、環境委員会の可決直後の2月7日、この「NGT-1は基本的に規制なし」とする提案を賛成307、反対263のわずかな差で可決した。4月24日には、欧州議会はこのゲノム編集食品の容認を支持する2度目の決議をあげた。賛成336、反対238、棄権41だった。それから約1年後の2025年3月14日、欧州理事会がゲノム編集食品に関して「NGT-1は基本的に規制なし」を決議し、容認への流れが作られた。

そして2025年12月3日、欧州議会、欧州理事会、欧州委員会の三者協議が開催され、ゲノム編集食品については従来の遺伝子組み換え食品同様の規制は行わない方針が成立した。内容は日本のそれとほぼ同じである。これにより国際的に、「基本的にNGT-1は規制や表示なし」でゲノム編集食品は開発され流通する見通しとなった。遺伝子組み換え食品に対し厳しい姿勢をとってきたEUのこの動きは、世界中でゲノム編集食品を推進する流れを作り出すものといっていい。

合意された内容では、NGT-1により遺伝子操作した植物を用いた食品については、環境や健康へのリスク評価、検査、トレーサビリティ、表示、監視はもとより、有機などとの共存政策もすべて必要ないというもので、基本的に規制がない。日本と異なる点は、種子への表示を義務付けたことである。また遺伝子組み換え作物で流通している除草剤耐性と殺虫性の性質に関しては、NGT-1の対象から除外するとしている。また、遺伝子としての役割を果たさない短いDNAを挿入するNGT-2に関しては、EU加盟国は栽培を禁止できるとしている。この三者協議の結論は、EU加盟国農相理事会、欧州議会本会議の合意をもって始めて実効性を持つことになる。〔GMWatch 2025/12/4ほか〕