作成:2010/7
関東大震災の跡と痕を訪ねて
番号 : 東京 T-41
写真1
無縁仏堂全景 遠景は羽田空港
説明板によると、もともと、水難者を供養する角塔婆が河口寄りの川の中にあったようです。
東京湾には、夏季は反時計回り、冬季は時計回りの循環流が知られており、多摩川の流入による流と合わせて、当地は溺死体が漂着しやすい箇所であったと思われます。
図1は夏季の循環流を示しています。9月1日(夏季)に発生した関東大震災では、品川区海蔵寺の「震火大災横死者霊供養」碑の碑文にも、数十体の遺体が品川海岸に漂着したことが記されているように、遺体は品川などの沿岸に沿って流れ、多摩川河口に達したのであろうことが想像できます。
また、3月10日(冬季)の東京大空襲の際は時計回りの還流であり、沖合いから多摩川の河口に向かう流れにのって当地に遺体が漂着したと思われます。
写真2 角塔婆と無縁仏堂
写真3 案内板
撮影:2009/9
写真3の案内板(五十間端=五十間鼻)の写し
図1 東京湾の循環流
参考資料
日本全国沿岸海洋誌 日本海洋学会 「沿岸海洋誌」編集委員会 1985 351ページの図を編集・着色
原典は「宇野木早苗他 東京湾の循環流と海況 Tech.Rep.No.4 理研海洋物理研究室」