作成:2003/5
関東大震災の跡と痕を訪ねて
番号 : 東京 T-06
写真1 慰霊碑遠景
三ツ目通りを南に向って眺めています。写真左奥に見える植え込みの中の石柱が慰霊碑です。
写真2 慰霊碑全景
写真右側手前に見えるのが説明板です。
説明板に記されている由来
この慰霊碑は、昭和二十年三月十日未明の大空襲により当地一帯が焼野原と化した際、電話局も全焼し前夜から勤務していた十五歳を最年少とする電話交換手二十八名および男子職員三名が最後まで職場を守り殉職された。職員の霊と、関東大震災において殉職された男子職員二名の霊を慰めるとともに、二度とこのような悲劇の起こらないことを祈願して昭和三十三年三月十日に建立されました。
写真3 吉川英治の碑文
撮影:2002/2
慰霊碑に向って左側に吉川英治による碑文があります。
碑文
春秋の歩み文化の進展はその早さその恩恵に馴るゝ侭(まま)
つい吾人(ごじん)をして 過去の尊いものをも忘れしむる
こゝ百尺の浄地ハ 大正十二年九月一日関東大震災
殉職者二名と また過ぐる昭和二十年三月九日夜半
における大戦の大空襲下に 国を愛する清純と自
らの使命の為 ブレストも身に離たず 劫火のうち
に相擁して仆(たお)れた主事以下の男職員三名 ならびに
女子交換手二十八名が その崇高な殉職の死を 永遠と
なした跡である
当時の墨田分局 いま復興を一新して その竣工の慶を
茲(ここ)ニ見るの日 想いをまた春草の下に垂れて かっての
可憐なる女らや ほか諸霊にたいし 痛惜の
悼みを新たにそゝがずにいられない
人々よ 日常機縁の間 ふとここに佇む折もあ
らば また何とぞ 一顧の歴史と 寸時の祈念
とを惜しませ給うな
吉川英治 謹撰
( )の中にひらがなを追加。