涼しい映画館2006年度バックナンバー

 

ワイルド・パーティ エロ映画の巨匠ラス・メイヤー監督が初めてハリウッド・メジャーに招かれて製作した作品。メイヤー作品は初めて観たが、なんともつまらん。メジャー映画だからつまらんのか、もともとセンスがないのか、他の代表作を観てみるしかないか。 (旧作)117本目


ずべ公同級生 本田隆一監督作品。18分。これはやられた。こんなにシュールな作品は久しぶりに観た。終わり方がシュール。山本浩司最高。(旧作)


プッシーキャット大作戦 "キング・オブ・エロス(というか巨乳)"ラス・メイヤーの『ファスタープッシーキャット キル!キル!』を下敷きにしたシュールなコメディ。監督は、60年代ポップカルチャーをモーレツに追う男・本田隆一。美女3人の珍道中で、セリフはなぜか全編東北弁。山下敦弘監督の『くりいむレモン』に主演の村石千春がさわやかエロい。今一番気になる怪優・山本浩司もちょい役ながら笑わせてくれる。とことん意味不明だが、やりたいことをやってる楽しさが感じられる珍品。43分。(旧作)


硫黄島からの手紙 まず、この作品を外国人が製作し、このレベルまで持っていったことに驚く。例えば、前作「父親たちの星条旗」を日本人が作れるかといったら、それは難しいだろう/内容は、硫黄島戦における数々の史実や、人員・日数といったデータを描こうとはしていない。では、何を描こうとしたのか。それは日本兵なのだと思う。しかもこの作品を受け取るアメリカの観客の”要求”を反映した日本兵を。冒頭、穴掘り作業に嫌気がさし、ブツクサこぼす主人公を見て、アメリカの観客の緊張は一気にほぐれるのではないか。玉砕をためらって部隊を離れる兵士に、あくまで合理的に動く指揮官に、そして、いかにもアメリカ人が恐れそうな中村獅童演ずる日本兵を唯一のユーモアとして仕立て上げた脚本に、同時多発テロ後のアメリカ人の精神的ダメージをカバーする一種の安定剤としての役目を見る思いがする/終盤、捕虜にしたアメリカ兵が持っていた母親からの手紙を西中佐が読み上げるシーンがあるが、このときその場にいた日本兵らが感じたであろう感情と同じものを、本作を観終えたアメリカの観客が感ずることが、イーストウッドがこの映画で目指した目標であると思った。 (劇場)


ザスーラ 絵本作家クリス・ヴァン・オールズバーグ原作。「ジュマンジ」の姉妹編といったところ。CGをあまり使ってないせいか、懐かしい感じのする映像だった。そのかわり、小道具・セットの懲りようがすごい。なかでも、凍ってるお姉ちゃんが本物そっくり、アップにも耐えられる超造形だった。 (旧作)


ジュマンジ クリス・ヴァン・オールズバーグの絵本が原作。時間の要素が感動を呼ぶ。動物のCGは今見てもちゃちくなかった。このちっちゃい女の子は?キルステン・ダンスト(スパイダーマン's Girlfriend)だよ。 (旧作)


デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2 ロブ・ゾンビ作品。前作「マーダー・ライド・ショー」は、ハードロッカー・ロブ・ゾンビのホラー好きが高じて作った「悪魔のいけにえ」的な”テキサスの殺人一家”話で、ロックがガンガン鳴りまくる、観たあとハイになる映画だった。そいつが興行的にヒットしての続編なのだが、直接ハナシは繋がってるんだけど、ホラーというより、70年代のニューシネマ・リスペクトな、あぁこの監督、ホラー好きっていうか、本当に映画好きなんだなぁと思える内容である。反体制映画は数あれど、殺人一家に感情移入させてくれるとは恐れ入った。今回も音楽のセンスが抜群で(おもにサザンロック)、オープニングはカッコよすぎる。



山下敦弘傑作短編集 「夏に似た夜」「断面」「腐る女」「ヒロシとローラン」「105円のハンバーガー」 (旧作)



その男狂棒に突き 山下敦弘監督作品 (旧作)


リンダリンダリンダ 山下敦弘監督作品 (旧作)


くりいむレモン 山下敦弘監督作品。 (旧作)


どんてん生活 山下敦弘監督の初長編作品。続く『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』を先に観てしまったので、荒削りなのが目立ってしまった。印象的には、「ばか」と「リアリズム」が全編山下節で貫かれているのに対して、本作は、どっかの映画から取ってきたようなシーンが見られる。それと、宇田鉄平演じる主人公がちと弱い感じがした。 (旧作)


リアリズムの宿 山下敦弘監督作品。『ばかのハコ船』の次の作品。これも傑作だ。ほんとにこのテイスト、可笑しすぎる。山下監督、そんなに守備範囲は広くないが、自分の守備範囲内で作らせたら、絶対面白いものを作れる人だと思う。 (旧作)


鬼畜大宴会 熊切和嘉監督作品。昭和40年代の左翼学生リンチ事件をモデルにした、大学卒業制作映画。なんじゃこの映画は!三池テイストと「座頭市」(勝新太郎版)の日本刀の血の気の引くような恐さを足したような凄い作品。学生の卒業制作として、やってることはサム・ライミの『死霊のはらわた』と同じ(一部)なのに、笑えねぇ。正視できねぇ。恐すぎる/左翼の中にいかにも右翼然とした格好の登場人物がいるのが興味深い。映画が終わってこれほどホっとした作品もめずらしい。 (旧作)


ばかのハコ船 山下敦弘監督作品。傑作。初めての山本浩司体験(笑)。スゲェ、インパクトだ。スゲェ、リアリティだ。こんな笑える映画ははじめてかも。山下監督の作品はすべて観よう。 (旧作)


ブリスター! フィギュア・コレクションをテーマにした物語。数十年後にカルト映画になってるかも。つうか、自分がジイさんになって、ふと観かえしたら、涙ちょちょ切れちゃうかもって感じの時代性のものすごくある作品。 (旧作)


るにん 奥田瑛二の第2回監督作品。前作「少女」がバツグンに良かったので期待したが、これは失敗作の部類に入ってしまうだろう。やはり、孤島のみを舞台にした設定とはいえ、このスケールの世界観を描くのは並大抵のことではないってことだ。 (旧作)


スリ 黒木和雄監督作品。黒木監督には似合わない題材だなぁと思った。老年スリの復活とそれを喜ぶ刑事。なんか「ブラックジャック」にあったよな。物語をリアルすればするほど、”スる”というリアルじゃない行為が浮いていくような、そんな歯がゆさがあったが、なかなか楽しめた。 (旧作)


サイレントヒル ゲーム原作もの。おどろおどろしい異形のモンスターはマジ怖い。異次元タウンの雰囲気もバツグンなのだが、何かが足りない。それは、ラストにこの宿命の世界を納得させ、感動させるだけの設定と話術が足りないのだろう。それが見事に描かれているのが『リング』なのだが/この映画には、女警官の火あぶりのシーンがあるのだが、こんなにリアルな火あぶり描写は初めて観た。モンスター以上に恐ろしいシーンだった。


オーディション 1999年、三池監督作品。今やキング・オブ・残酷ホラーの称号を持つ(笑)三池監督の最初の本格ホラー。思っていたよりも幻想的な感じで、少しリアリティのないところであまり怖がらずに観られたが、何の予備知識もなく、当時これを見せられたら、驚くにちがいない。暗いアパートで電話を待つヒロインの姿が一番怖かった。 (旧作)


インプリント 〜ぼっけえ、きょうてえ〜 世界的にもキング・オブ・残酷ホラーの三池崇史監督作品。邦画久しぶり登場の工藤夕貴が凄演。拷問シーンは『殺し屋1』を彷彿とさせる。やはりエグイシーンを撮らせたら、三池監督の右に出るものはいないといったところか。


嫌われ松子の一生 『下妻物語』の中島哲也監督作品。はっきりいって「下妻」を上回るだけじゃなく、日本映画史に残る大傑作といえる。偶然なのか、題名が似ている『無法松の一生』などと比べても決して遜色はない。観たあと、しばらく何もしたくなくるほど感動した。この時間軸の感覚、これが映画芸術の醍醐味、古典を観ている趣さえある。そう、中島監督は、この映画を作るにあたって古典映画を意識しているのは確かだが、実は中谷美紀とのトラブルでも露見したように、ひとつの映画の中で主演女優を育てるといった、制作方法でも古典的手法に執着したのではないかと思った。


ダ・ヴィンチ・コード イエス・キリストがヒーローの究極だとすれば、やはりこういう話は同時多発テロ後の一種の願望から生まれたものだと考えずにはいられない。自分など、いっそキリストをスクリーンに出してしまえばいいのになどと思ってしまうのだが、やはりそれはできないのだろう、ハリウッドではスーパーマンどまりである/謎解きはそんなに興奮しなかったが、大筋が面白いのでノリノリで観ていた。しかしこれ、ダビンチというより、ニュートン・コードのほうが納得がいくような気がした。



ミッション・インポッシブル3 シリーズで一番面白かった。ファースト・シーンから少しもダレずに最後まで突っ走っていったと思う。山場が分からないほど全編に盛り上がりがちりばめられていて、ほんと身を乗り出して観ていた。監督(J.J.エイブラハムス)、才能あるなぁ。


少女 奥田瑛二 第一回監督作品。これは見ごたえがあった。アウトローな人々の生き様がここちよい。観たあと、仕事に行きたくなくなる、これがいい映画の証拠だ(爆 監督も新人なら、主演の少女も新人、一期一会の輝きを放つ。美術で日比野克彦が参加してるが、映像的にはこれが大きかった。 (旧作)



県庁の星 織田裕二+柴咲コウ、2大映画スターの共演。織田はいつもの織田で安心して見てられるし、柴咲の繊細な演技もいい。ラストがちょっといやな感じだったが、あまりハッピーエンドにしても面白くないものか。かなり楽しめる。


バタリアン4 なつかしやバタリアン。4まで出ていたんだ。なんと今回はチェルノブイリ原発ロケ敢行したらしい。アホだ。見た目超スゴそうなキャラが出てくるのだが、コイツがたいして強くない。どうせたいしたことないなら、もっと笑いにつなげて欲しかったところだ。


ショーン・オブ・ザ・デッド 現代イギリスの若者のやる気のなさ加減が伝わってくるゾンビ・コメディ。「これ以上ダラダラ生活してたら、俺たちゃゾンビとカワラネェ!」そんな叫びも伝わってくる。ゾンビのマネしてゾンビの群れを突破する作戦は秀逸。俺も夢の中でやったことがある。 (旧作)


GO!GO!ガジェット なんとなくコメディが観たくなり、「そういえばこれ観てなかったなぁ」的な感じで/瀕死の重傷を負ったガードマンがサイボーグ警官となって蘇り、犯人逮捕に活躍するという、それだけ見れば非常にハードな内容なのだが(実際「ロボコップ」の筋書きと一緒である)、これがディズニーのコメディ作品なのだ。マンガ的に処理された手術シーンなんてなんか複雑な気分である。やはり主人公の遭遇した出来事とディズニーの明るさがどうもミスマッチである。もともと主人公がロボットであれば晴れて楽しめるのだが。 (旧作)


オセロ 俺はオーソン・ウェルズの監督作が大好きである。DVDボックスが出たらきっと買っちゃうだろう(ウェルズの作品は未DVD化が多い)。この作品はまだ観ていなかったので、VHSをヤフオクでゲットして鑑賞した/演技や脚本はもちろんのこと、キャメラ・アングルとハサミの入れ方(編集)が非常にかっちょいい。オープニングの葬送のシーンがまずたまらん。他の好きな作品、『フォルスタッフ』や『マクベス』『フェイク』ももう一度観たくなった。 (旧作)


父親たちの星条旗 2006年最大の話題作。イーストウッドが監督する硫黄島2部作の最初の1本。戦闘シーンと帰った後の本国でのシーンがほぼ交互に映し出されるのだが、本国のシーンがどうも退屈だった。「はやく戦闘シーンにならないかなぁ」と思いながら観ていた。記念写真が”やらせ”であることは分かったが、それを引っ張りすぎである/セットや衣装風俗は見ごたえがあった。「プライベート・ライアン」以上といってもいい残酷シーンを抑えた色調がカバーする。戦闘シーンはライアン譲りのもので、いささか新鮮味に欠けはしたがやはり興奮する。ただ敵側が日本なので、”敵”が一人撃たれるたびに「おい、そんなに簡単に撃たれねぇだろ」と突っ込んでしまう。作品は米国に感情移入するように作られているので、そのへんが疲れるところだ/本編終了後の次回作の予告のほうが興奮した、というのが実は本当のところである。 (劇場)


ワイルドスピード 『タクシー』が面白かったので、同じ”車”が活躍する映画が観たくなって借りてきた。ニトロで加速か。すごいレースだw やっぱアメリカは広れぇなぁ。かなり楽しめた。 (旧作)


ポセイドン 往年の名作『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイク。かなり楽しめた。オリジナルと似たような話でも、あんなバカデカい客船がひっくり返って大惨事、アメリカの精神か、自分で道を切り開く人間がいて、閉所恐怖症でなくても息が詰まりそうな船内を移動し、海上に出る、そのスペクタクルは健在だ。オリジナルはリーダー格がジーン・ハックマン演じる牧師で、今回はリーダーが元市長になっている。前作のラストでハックマンは「何人犠牲になればよいのだ!」と天(神)に向かって叫んだが、今回は神の影はなし、というより、中盤で船員がエレベーターで犠牲になるシーンなど、空恐ろしいほど合理主義で、神に頼ることを拒絶しているようにも見えた。


タクシー2 2000年の作品。ハリウッドのコメディのようにバカをやっていながらどこか計算しているような感じがなくって良い感じ。 (旧作)


タクシー 友人がプジョーの白い406を購入、映画『タクシー』に出てるというので思わず見てみた。かなり面白い。フランスのコメディ映画って、日本のコメディに似てるなぁと思った。 (旧作)


シン・レッド・ライン テレンス・マリック監督作品。まず冒頭、ワニのショットからニヤケテしまったが、戦闘シーンなど、予想に反してなかなかリアルに、臨場感タップリに作られていて興奮した。 草上の斜面を流れるように動くキャメラがいい/問題は構成で、終盤の1時間は通常なら切られるか、テンポを速くして、2時間にまとめられてしまうものだろう。俺の場合はこのダラダラと続く1時間が妙に楽しく心地よかった。ちょうど、長めの交響曲を聴いている感じに似ているかもしれない。
 (旧作)


天国の日々 テレンス・マリックの2作目。いろいろなところで絶賛されているわりにはちっとも感動しなかった。理由を分析するに、まず、リチャード・ギアにどうしても感情移入できなかった(彼は全然貧しそうに見えない!)。ただぶらっと農場に働きに来て、運良くいい暮らしにありついて、自分のワガママで殺されちゃって。ただのバカにしか見えない。園主のサム・シェパードが可哀いそうでしかたがない。次に、評判の風景映像。これは学生の時分に見たなら感動していたかもしれないが、あまりにたくさんの映像を見すぎたせいか、心に響かず。自然光のみで撮影していることは分かったが、たとえば先日見た、NHKのハイビジョン「プラネット・アース」の超絶映像を体験した後では、美しさも半減する。しかし、本作はべつに風景を見せるドキュメンタリーではないので、ハナシの流れで画がキマっていればそこに魅力は出るはずなのだが、ハナシに入り込めず、登場人物に反感を買いながら観ていた俺には、最後まで風景がストーリーに溶け込んでくる感覚が味わえなかったというわけ/まぁ、観る前の期待が大きすぎたというのがホントのところか。 (旧作)


地獄の逃避行 テレンス・マリックの初監督作品。’70年代の名作は結構制覇したと思っていたが、こんな傑作があるなんて知らなかった。 この作品を機に、マーチン・シーンが「地獄の黙示録」へ、シシー・スペイクが「キャリー」へと出演していったということで、感慨深いものがある(日本公開は「黙示録」のほうが先だったので、それでこんなヘンな邦題が付いてるようだ)/音楽はクラシックを使用しており、なかでも炎上する家屋にかぶるオルフのカンタータが絶品だ/風景ショットについてだが、荒野の地平線やサンセットのショットが主人公の視点であるように思えることがたびたびあった。 主人公マーチン・シーンは、退屈な日常から一転、殺人犯となり、自分がいつ死んでもおかしくない状況に置かれる。ここに風景ショットが入る。「これはマーチン・シーンの見ている情景だろうか?」そう感じた。いままで気にも止めなかった色々な風景がある時意味をもって目に映る。日本的にいうと、無常感というやつだ。この感じが良かった。  (旧作)


ブロークバック・マウンテン アン・リーがアジア人として初めてアカデミー監督賞に輝いた歴史的作品。ヴェネツィア映画祭では、金獅子賞(グランプリ)を獲得している/ゲイをテーマにした内容で話題騒然だが、もっと純愛路線かと思いきや、意外とモロでビックリw 背景に大自然、羊飼いとしての暮らし、そして2人の、いわゆるイケメンを配しての物語は、舞台設定としてこれ以上ないものといえる。実際、山の男たちを見たあと、町のシーンでの両者の妻、アン・ハサウェイとミッシェル・ウィリアムスが全然美しく見えない。見えないのには困ったw しかし、このハサウェイとウィリアムスの助演女優の演技は素晴らしいもので、特にウィリアムスの抑えた表情はしばらく心に残った。アコースティックギターが奏でる物悲しいスコアも忘れがたい。それにしても、台湾生まれのリー監督がこれを撮ったということは本当に驚きだ。映画史に残る1本であろう。


蝋人形の館 1930年代と50年代に映画化されている『肉の蝋人形』のリメイク(共に未見)。主演はTV『24』でお馴染みのエリシャ・キャスバート。それと(おさわがせセレブの)パリス・ヒルトンが出演している話題作/かなり楽しめた。これぞアメリカの不気味な田舎という感じの舞台が最高。オープニングから秀逸だし、各キャラの死に様も容赦ない。パリスの惨殺シーンでは、アメリカの映画館では拍手が起こったというのは本当かw ロバート・ゼメキス&ジョエル・シルバーの「ダーク・キャッスル・エンタテインメント」の5作目にして最高傑作であることは間違いない。 (旧作)


イーオン・フラックス ハードな役を多くこなし、オスカーまで獲ったシャーリーズ・セロンがなぜにアニメの実写版映画に?と疑問を持ったのだが、なるほど、これはかなり斬新で一風変わった近未来アクションである。なんか斬新というより、感覚が面白いなぁと観ていたら、監督が女性だった/庭園の侵入シーンとセロンの目玉シーンが面白い。やはりシャーリーズ・セロンが主役であることが大きい。彼女が出ていなければ、きっとこの映画の魅力は半減すると思った。


サウンド・オブ・サンダー レイ・ブラッドベリ原作。監督はピーター・ハイアムズ。古き良きSFの匂いがグー。だが、最新のSFを望むお客さんにはブーイングが出そう。ストーリーが古いだけで、面白いことは面白いのだが/裏話を聞くと、かなり予算が無く苦労したらしいが、土台ストーリー展開が古いので、完璧な映像が撮れたとしても、印象はそう変わっていなかったと思う。ちなみに小説のほうの題名は「いかづちの音」。直訳だけど、いかにも短編っぽいこっちのタイトルも宗教色も見えてきていい感じ。 (旧作)


ピンクパンサー 監督は「ジャスト・マリッジ」のショーン・レヴィ。スティーブ・マーチンがクルーゾー警部をやるって聞いたときから、楽しみにしていた作品。だってピッタシじゃん!/期待通り、かなり笑える。ギャグはベタの一点張りで、人種や差別ネタはほぼなし。「オースティン・パワーズ」に似てる。劇中にパワーズが出てきても違和感ないな、と思った。


ニュー・ワールド これがテレンス・マリック初鑑賞。オープニングから釘付けになった。川の流れ・木々の揺らめきのごときカメラワークが心地よい。ゆったりしたテンポ、朗々と流れる音楽、「ジーザス!こんな映画もありか!」と遅ればせながら衝撃を受けた。そうか、これが伝説の監督テレンス・マリックのシャシンか。ハサミを入れるタイミングもちょっと違う。普通より早い。感情移入を嫌うかのように早い。一見、自然に作っているかのようで実は計算され尽くされているのか。小津安二郎を思い出した。こりゃ映画マニアに受けるワケだ。他の作品も見なくては!


蝉しぐれ 藤沢周平の原作というと、どうしても山田洋次作品とくらべてしまうのだが、やはり演出・脚本ともに見劣りがする。まずキャスティングがダメだ。軽すぎる。それにここまで子役と大人役の顔が違いすぎるのはどうなのか。俺的にはカンペキ感情移入の妨げになった。ストーリーも肝心な2人の子供時代の描写が少ないので、どれだけ2人が通じ合っていたかが届いてこない。まぁ、それでもある程度は感動したが、かなり見ながらの穴埋め作業が必要な作品だ。 (旧作)



Vフォー・ヴェンデッタ 監督はジェイムズ・マクティーグという知らない人で、脚本が「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟 。主演はイスラエルっ子ナタリー・ポートマン(江戸っ子にちなんで。なんかナタリーってそんな感じがするので。ちゃきちゃきのイスラエルっ子!w)/観終えたあと、アメリカ映画だと知ってちょっとビックリ。絶対イギリス映画だと思ったから。内容はなかなかハードで見ごたえアリ。途中、脚本が暴走気味のところもあるが、総じて心意気良し。非常に楽しめた/一時期、坊主頭だったナタリー・ポートマンだけど、そうかぁ、この映画のためだったのか。


トップをねらえ2!(OVA) ’88〜’89年にリリースされたOVA作品『トップをねらえ!』の続編/絵柄が全然違うのと、数ヶ月に1本(しかも収録時間30分)しかリリースされないので、前作の大ファンであるにもかかわらずスルーしていたのだが、先月、ネットのバンダイチャンネルにて1〜5話を視聴。やはり面白かった/まず、つかみの第1話のオープニングの雰囲気がいい。謎めいたナレーションもカッコよく、音楽もグー。その後は徐々に話のスケールをデカくしていって、なんといっても盛り上がりは5話から6話。特に6話は、ダイジェスト版でも見ているような展開で、ホントに30分で終わるんかいな?と心配してしまったが、ラストは前作に匹敵するサプライズで締めくくってくれた。泣ける。


1話〜4話、5話、6話(最終話)

MOOG(ドキュメンタリー映画) シンセサイザーを作ったムーグ博士のドキュメンタリー。最初はテルミン(電気楽器の元祖)を作っていたとは知らなかった。リック・ウェイクマンのコメントがことごとく面白い。すげぇイイキャラだ/ロックやジャズ系のシンセ使用者がコメンタリーとして出ているが、シンセ自体がメインとなってるジャンルはやはりテクノ。テクノ関係者が一人も出てこないのはちと寂しい/全体的に物足りない感じ。60分。


ヒストリー・オブ・バイオレンス デビッド・クローネンバーグ監督の新作。ネットで見るとやたら評判がいいが、俺はイマイチだった。理由はずばり、クローネンバーグっぽくない。他の監督名だったら、星3つ半だったりするw/エンディングなど、ちと不自然な感じした。脚本が作り込み過ぎなのかな。


ステイ 「チョコレート」(ハル・ベリー主演女優賞)のマーク・フォースター監督作品。ユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ共演。オープニングから、なんともトンガってる映像がグッド。迷宮的に話が進むが、終わってみれば、リンチの「マルホランド・ドライブ」に影響を受けていることがわかる。盲目役のボブ・ホスキンスが印象に残った。


アンダーワールド エボリューション 狼男と吸血鬼の戦い、「アンダーワールド」の続編。セリーン役のケイト・ベッキンセールがかっちょいい。眉間にしわを寄せたお決まりの表情にシビれる/今回も狼変身シーンは伝統の”特殊メイク”で処理。アクションも切れ味よし。特に『寄生獣』(マンガ)のようなスパッと切れるシーンがコワ面白い。一番のお気に入りアクションは、セリーンのハンドガン乱れ撃ち。これが気持ちいい/アクションはいいが、ストーリーを盛り上げる演出がイマイチ。宿命だとか復讐がテーマのはずなんだけど、そのへんとアクションの気持ちよさがシンクロしていない。


ホテル・ルワンダ 1994年、アフリカのルワンダで起こった民族間の大虐殺を描いた実話。なまなましいシーンはないが、閉塞的な恐怖が伝わってくる。ラストは別に盛り上げる演出はしていないのに号泣(嗚咽w)。映画を観てこんな体験はかつて無かったぞ/主演のドン・チードルがいい。スティーヴン・ソダーバーグ作品ではトボけた感じの役が多かったので、こんなに実力があったのか!と驚いた。


機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛 なんだこのサブタイトルはw しょっぱな劇場用に新しく書き下ろされたシーンで始まるのだが、続いて当時のフィルムになってずっこける。オープニングタイトルの出し方もどうにかならないのか。どうにもショボすぎる/ラストは当時と違っていたが、どうせ変えるなら、もっと盛り上げて欲しかったな。


機動戦士ZガンダムU 恋人たち 「さすがはアムロ・レイ、優しく抱いたな」byクワトロ・バジーナ/もうウケ狙いの台詞がいっぱい。カツのせいか、カミーユがすごく大人に見える。なんかそこに感動した。 (旧作)


ミュンヘン 1972年ミュンヘン・オリンピックでのイスラエル選手殺害テロ事件をベースにしたスピルバーグ作品。70年代世界の作り込みがスゴい。戦争映画ではないが、リアルでグロテスクな描写は「プライベート・ライアン」以降のそれだ。とにかくリアル、それに尽きる/内容はスピルバーグらしい反戦的なもので、イスラエルとパレスチナに限らず、憎しみ合いの不毛さがよく表現されてると思う。ラストショットも素直に衝撃的、考えさせられた。こういう危ないテーマの作品を発表するスピルバークはえらい/ <ウィキペディアよりのびっくりトリビア>ミュンヘンオリンピック事件で犠牲となったモシェ・ワインバーグ(テロリストに抵抗し頬を撃たれたレスリングのコーチ)を実の息子であるグリ・ワインバーグが演じている。 (へぇー!つか、それってすごいことだよな)


力道山 韓国映画。恥ずかしながら、この映画を観るまで、力道山が朝鮮人だとは知らなかった。主演のソル・ギョングはデ・ニーロばりの増減量(64kg→95kg!)で力道山を演じている。日本語も上手い/クライマックスはなんといっても初のプロレスTV中継のシーン。一番手の井村がシャープ兄弟にメッタ打ちにあい、会場も街頭も沈鬱な表情。そこへ力道山へタッチ、空手チョップの嵐を浴びせ、巨大なアメリカ白人がマットに倒れる。試合会場の老人、感極まり、「バンザーイッ」とやる。街頭でも異常な興奮状態。すごい/映像、俳優ともに一流作品。力道山に感情移入ができない(トンガリすぎてて)のがマイナスポイント。


バタフライ・エフェクト 超怒級の面白さ。1年に一回くらいこういう映画に出会いたいもんだ。俺的には、ヒロイン・ケイリーの子供時代と大人の時の俳優がうまくフィットしなかったのが欠点で、これがうまくいってたら、大変なことになっていた(意味不明w)。印象深いのは、ケイリーの不遇なウェイトレス時代。あの時の表情と、幸福なカレッジ時代の表情、この対比がコタえる。主人公の行動は全て、ケイリーの為の行動であるところが泣ける。そしてラスト。いいラストだ。とっさに「エターナル」というコトバが浮かんでしまった俺はロマンチストすぎかw (旧作)


DOOM 期待しないで観たのがよかったか、なかなか面白かった。一人称シューティング・ゲームの元祖的作品「ドゥーム」の世界を映画化。最後のほうに出てくる、ゲームのような一人称画面が最高。このシーンだけでも見る価値がある。


SAW 2 「なんでこんな怖い思いをしてまで俺は観ているのだ?」と自問自答した前作に続き、パート2。もうファーストシーンから寿命が縮まるこの感覚。「もうやめてくれーッ」。ならば停止ボタンを押せばいいのに。しかも110インチの大画面で観てるしw 「SAW3」が完成したらしい。うひょー。 (旧作)



東京ゾンビ 監督が『殺し屋1』『極道恐怖大劇場 牛頭』の脚本家・佐藤佐吉ということで期待したのだが、もうひとつだった。何がもうひとつなんだろう?この答えは難しい。


男たちの大和 原作は読まなかったので、もっと「なるほど、そうなってんだ」みたいなことを期待してみたのだが、特に目新しいものがなかった。せっかく1/1甲板を作ったのだから、距離感だとか、人員の細かい動きを描いて欲しかった。見た後の印象がほとんど『連合艦隊』(1981年)のときと変わらない(このへんは監督がベテラン佐藤純彌であることが要因か)。『連合艦隊』のような新兵(特攻隊)とベテラン整備員との泣ける逸話も無かったし。あと、中村獅童が熱入りすぎ。どうも美しくないなぁ。


ジャーヘッド 傑作『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス監督作品。やっぱセンスいいわ、この監督。音楽の入れ方もグー。かなりリアルな戦場体験(訓練含む)ができる。エンディングの「ジーザス・ウォーク」がカッチョいい(でもカニエのラップはなし)。



アサルト13 要塞警察 1976年の『要塞警察』(ジョン・カーペンター監督作品)のリメイク。すごく面白いシチュエーション。意外と予定調和じゃない雰囲気がある。普通なら殺されそうにない人が殺されたり/イーサン・ホークがいい。熱くならない、現代っ子みたいで、そこそこリアルな等身大の役者としては、この人がピカ一じゃないかと思う/ジャン=フランソワ・リシェというひとの監督デビュー作だそう。この名前覚えておこう。


埋もれ木 小栗康平監督作品。少女らが主人公のせいか、どこかもろくて、幻想的。田んぼの中のコンビニの明かりが妙に懐かしいのはなぜ/クライマックスの洞窟はどうやって作ったのか?と思ったが、メイキングを見たら、やっぱセットだった。その他、セットだろうと思っていたシーンが実はVFXだったりと、おまけのメイキングがすこぶる面白かった。


輪廻 『呪怨』&『THE JUON』でホラー界のトップランナーとなった清水崇監督最新作。主演は優香、椎名桔平 。これはほんとに感心した。いやよくできてる。ショック優先の「呪怨」にも、どこかストーリーテリングの上手さを感じていた俺的には、待ってましたという感じだ/子供が殺されるシーンがあるんだけど、普通、あそこまで見せない(このままアメリカに持っていったら、あそこはカットだろう)。なにかポリシーを持って作ってるんだろうけど、そういうのがすごく伝わってくる作品だ。美術も’70年代の雰囲気がよく出ていた/ちょい役で黒沢清監督がでてるんだけど、この映画の題材って、そういえば黒沢っぽいよな。ちょっと協力したのかな/最後に重要なこと言い忘れたけど、この映画、めっちゃコワいよ!


リバウンド この手の人種混合コメディは必ず見るようにしている俺です。主演はマーティン・ローレンス。おちこぼれを集めてチームを作る、「がんばれベアーズ」のバスケットボール版というところ。可も無く不可も無く、人種差別ネタはほぼ無し。エンディングが「アイ・オブ・ザ・タイガー」(サヴァイバー)なのが何で?って感じ。


スピリット リー・リー・チェン主演の伝説の格闘家の物語。格闘シーンは無条件ですばらしいのだが、ストーリーがどうも単純すぎる。主人公の心情の変化をもっと深く掘り下げないとだめでしょ。あと、中村獅童の役柄がちとカッコ良すぎはしまいか?と日本人ながらも思ってしまった。それと、題名よくない。なんで中国映画って「英雄HERO」とかそんなんばっかなんだろ。


親切なクムジャさん このタイトル!これで借りちゃうよな。『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督作品。いちおう復讐三部作の最終章らしい。「オールド・ボーイ」もそうだったが、とにかくすごいテンション。繊細とか情緒を蹴散らす泥臭い画面。これが韓国パワーなのかと恐れをなす。後味は悪い。つうか、なんでラストだけ情緒的にするか〜といつも思ってしまう。でも面白い。次回作も必ず観るよ。


シン・シティ 今年最大の期待作だったが、そんなに面白くなかった。ミッキー・ロークとベニチオ・デル・トロ、この2人は確かにすごかった。特にデル・トロはスゴ演。部分部分を思い出すと面白いのだが、全体としてまとまりの無い映画だったと思う。


ALWAYS 三丁目の夕日 『ジュブナイル』『リターナー』の山崎貴監督作品。この2作品の監督なんだから、面白くないわけがないのだが、ここまで面白いとは思わなかった。オープニングのVFXによる街道のショットは圧巻。たぶん映画館では「おぉ」とかざわめきが起こったんじゃないかな/内容は確かにノスタルジックなものだが、この時代を知らない世代には(俺も含めて)、なにも懐かしいと思うところは無かった。何も現代の人と変わらない。同じことで悩んで同じことに笑ってる。たしかに街全体が、いや日本全体が建設中といった雰囲気はうらやましいと思うが。といってもそんな昔じゃないんだよな。俺の生まれる10年とちょっと前。って、そんときまだ日本ってこんなだったんかいなーとビックリする。しかも東京の中心でこの発展具合だよ。そうか、ここからの10年が超絶的にすごい時代だったんだなぁと、高度経済成長のすごさを改めて実感する/役者陣では、お母さん役の薬師丸ひろ子がいい。いろんな人のイメージの集合体のような母親を演じていた。


奇談 諸星大二郎のマンガが原作。ちょうどこの時期、俺が聖書にハマってたからかもしれないが、すこぶる面白かった。日本でも聖書を舞台にしたこんな物語が作れるのかと感心した。終盤、時代の違う3人のヨハネ(預言者ヨハネ、洗礼者ヨハネ、黙示録のヨハネ)が黒マントをまとい並んだシーンなどは、「うわぁーカッケぇ〜」とマジで思ってしまった。聖書を読んでて良かったw 


キングコング 『ロード・オブ・ザ・リング』で名を馳せたピーター・ジャクソンが、満を持して作った1933年「キングコング」のリメイク。これ以上求めるべきものがない、完成度の高い傑作。俺の母親がコレを観て、「なに、このゲテモノ映画みたいなキングコングは」と言っていたので驚いた。母は1976年のジョン・ギラーミン監督、ジェシカ・ラング主演のリメイクしか観ていないのだ。この’76年のリメイクは、恐竜が出てこず、1933年版で泣き叫ぶだけの存在だったヒロイン(フェイ・レイ)にスポットをあて、コングに特別な感情を抱くヒロインとしてジェシカ・ラングを起用し、「美女と野獣」性を前面に打ち出した作品といえる。これはこれで良かったのだが、「コング」はもともと、未開の島で恐竜と怪物が戦うモンスター映画である。というところで、ジャクソン版は、ファーストのゲテモノ性とジェシカ・ラングに匹敵する演技力の持ち主、ナオミ・ワッツを使っての美女と野獣性を合体させた作品に仕上げたのだ/ところで、本作と「三丁目の夕日」を続けて観たのだが、どちらもラストの主役は夕日。古今東西かくも夕日は人々の心を癒すものかと思った。


アメリカン・ビューティー 今年一番の衝撃作。恐るべき傑作。正直俺は、「こんな映画を撮りたいなぁ」と思ったりしていたのだ/非常に分かりやすい中流家庭の現代劇。全ての登場人物の悩みがすごくよく分かるのだ。この内容で、あまり暗い映画にならなかったのが素晴らしい。音楽も含めて、監督のセンスが光っている。(旧作)


天才マックスの世界 ウェス・アンダーソン監督。これは傑作だ。このあとに続く『ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアテック』がさらにオフビートに、さらに焦点を絞らせないマニアックな作りになってしまったのに比べ、今作は非常に明快な作品である。後作品が群集劇っぽいのに対して、れっきとした主人公マックスがいるし、多かれ少なかれ監督本人の自伝的な要素も入っていると思われるので、メッセージ性にも鮮明なパンチ力がある。痛快で甘ずっぱい(そしてやはりマニアックな)青春映画だ/音楽(というか選曲)はまたしても才気渙発、サントラはもちろんゲットした。ちなみに主演のジェイソン・シュワルツマンは女優タリア・シャイアの息子。つまりコッポラの甥、ソフィア・コッポラとニコラス・ケイジはいとこという、映画一家の俳優だ。(旧作)


ポリー My Love  ベン・スティラー主演の爆笑ロマンチック・コメディ。監督は『ズーランダー』の脚本も手がけているジョン・ハンバーグ。この2人のギャグはどうもセンスがないというか、普段ギャグを言わない奴がなんとか頭で考えたネタを披露している感がある。それでも十分に楽しめたんだけどね。フィリップ・シーモア・ホフマンとアレック・ボールドウィンが良かった。ジェニファー・アニストンも魅力あったが、もしかしたらミス・キャストかもしれない。(旧作)


女神が家にやってきた スティーブ・マーティンとクイーン・ラティファ主演。マーティンの大げさな演技スタイルに対して、ラティファの自然な演技がいい感じにバランスをとっている人種コメディ。最高だったのが隣のおばあちゃん。悪気がない「ニガー」発言(連発)は爆笑もの/ラティファは続く『ビューティ・ショップ』でも人種コメディに出演しており、歯に衣を着せぬトークっぷりが黒人にも白人に好かれているんだなと思った。(「ウィキペディア」によると、彼女の父親は警官ということで、こういう事柄もアメリカでは重要なんだよね)(旧作)


ロクスベリー・ナイト・フィーバー 「サタデー・ナイト・ライブ」の人気コーナーを映画化。あのワンパターン・ギャグをどうやって90分に膨らますのかと興味津々で観た。結果は、前半退屈、後半になって少し持ち直したという感じ。パワー不足の原因は、いがいと大物ゲストの出演がなかったからかな、と思ったりした(こういったコメディでは通常カメオ出演が多くみられるので)。(旧作)


ザ・ロイヤル・テネンバウムズ ウェス・アンダーソン監督。最新作の『ライフ・アクアテック』のあとに観たのだが、こちらもすごくいい映画。この独特な雰囲気は、いったい何の影響を受けているのだろう/アンジェリカ・ヒュ−ストンがものすごく綺麗に写っていた/またしても選曲が面白く、サントラを速攻買ってしまいました。(旧作)


ズーランダー ベン・スティラー主演・監督。かなり加工された笑いが多く、活きがいいとはいえないが、出演陣の豪華さと80年代ポップスの嵐という俺のツボにハマりまくった快作。特筆すべきは、『バイオハザード』や『ジャンヌ・ダルク』等シリアスな演技しか見たことがなかったミラ・ジョボビッチが、おバカな役で奮闘しているところ。ますますファンになった。(旧作)


リアリティ・バイツ ベン・スティラー主演・監督。お笑いばかりと思っていたら、こんな青春映画も撮ってたんだ。あんましこういうテーマをストレートに描く作品は好きではないが、アホなスティラーしか知らなかったので、ちょっと(違うところで)感動。いや、秀作です。(旧作)


狼よさらば 実はブロンソン初体験であるw ブロンソンといえば俺の中では”B級イーストウッド”という感じだったが、今回観て、まぁ当たっていたなと思った。'70年代バリバリの雰囲気がたまらない。白人の中流層が都市部を避けて、郊外へと住居を移していった時代か/レイプ犯の一人でやたら目立っているのが、ジェフ・ゴールドブラムだ。これが映画初出演だって!(旧作)


デスペラード 『スパイキッズ』シリーズのロバート・ロドリゲス監督作品。やりたいことは分かるが、もうひとつアイデアに乏しい感じ。演出にキレはあるが、ストーリーにキレがない。(旧作)


御法度 大島渚監督作品。冒頭の稽古のシーンから目がくぎ付けになる。こんな立派な立ち回りは初めて見た。ちゃんと本人らが演じているんだよな、すごいぞ。その後も、美しい画面と張り詰めた演技に目が離せない。ラストもため息ものだ。ブラボー!(旧作)


NANA 中島美嘉がかっこいい。声がめちゃくちゃいいなぁ/俳優はいいが、画面がショボイ。もっとロケを多用して、美しい画面を作って欲しかった。松田龍平はなんかいつも同じキャラだな。



チアガール VS テキサスコップ まず、ちょっと心配になったのが、主演のトミー・リー・ジョーンズである。なんでこんな映画に…?なにか実生活にトラブルでもあって仕事が少なくなったのか。まぁ、劇中の彼はそんな心配を吹き飛ばしてくれる、いい演技である。といっていたら、日本の缶コーヒーBOSSのCMに彼が登場した。ちょっと心配である。


タッチ 「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心監督作品。さすが犬童監督、いいもの作ってくれた/「タッチ」というマンガは中学1年の頃に読んだ。すごい話だった。一見すると高校野球+恋愛ものだが、この重さはなんだ。男であれば、タッちゃんの背負った”重さ”を想像で疑似体験すれば、もはやこれがラブストリーだなんて云っていられなくなるだろう。このWeight(重さ)がこの作品のテーマだと思っている。というところで、このWeightを与えてくれる要素は何か。それは南とカッちゃんである。この映画では彼らが丁寧に描かれていた。再び、あの重みが俺にのしかかる。


ブラザーズ・グリム なんかDVDジャケットが見るからにB級なのだが、実はテリー・ギリアム監督作。しかも、兄弟の片方はマット・デイモンだよ。というわけで観てみた。うーん、話がつまらん。つまらないのはいいとして、センスも感じられなかったのはさみしい。しかし、映像は見応え十分。美術や衣装がすごい。森の雰囲気も良かった。女王役のモニカ・ベルッチがキレイ。彼女をもっと見せて欲しかったなぁ。


がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン オリジナルの『ベアーズ』(ウォルター・マッソー 、テータム・オニール主演)は俺の映画ベスト10に入る作品だ。特に大好きなシーンが、クライマックス、相手チーム・ピッチャーがトンデもない行動を起こすところで、このシーンはいまだに脳裏に焼き付いて離れない/で、約30年ぶりのリメイク「ベアーズ」。最近はホラーなどでリメイク作が多く、どれもストーリーが新しくなっているが、本作はほぼ脚本が30年前と同じだ。子供らの人種が変わっているが、各役割はそうたいして変化がない。一番違うのは、バターメイカー役がビリー・ボブ・ソーントンになって、かなり不良オヤジになっているところだ。ソートンは、『バッド・サンタ』で見せた不良アル中オヤジまんまの役作りで、マッソーにない笑いを取っている/お話が同じなので、感動がいまいち得られなかったのと、例の大好きなシーンがなんと違うアイデアに替わっちゃってたので、☆半分マイナス。


アイス・プリンセス この日本未公開の作品、1月の末にレンタルショップに並んだのだが、俺が行ってるところでは1本の入荷のみ。トリノ五輪の女子フィギュア人気と合わせてもっと入荷するべきではなかったか、といらぬ心配をしてしまった。それほど面白い/ストーリーは、物理学に秀でた女子高生がハーバード大学の推薦入試のための研究に、(自分らしいテーマとして)フィギュアスケートを選ぶ。そして物理科学による仮説を編み出した彼女は、その仮説を実証すべく自らリンクに立つ(もともと家の前に池があって、子供のときからスケートで遊んでいた)。そんな話。とても引きつけられる。まぁ、スポコンものだが、前記したように、タイムリーな面もあってすごく面白かった。なにより、主演のミシェル・トラクテンバーグが最高にいい。ちょっとバーブラ・ストライサンド風の特徴ある顔立ちで、表情がすごく豊かだ。ストーリーに引きつけられたというより、彼女に引きつけられたのかもしれない。


意思の勝利 1934年に製作された、ナチスの党大会の記録映画。監督はレニ・リーフェンシュタール。冒頭の雲の上を飛ぶ空撮は圧巻。凄い映像をオープニングに持ってきたものだ。そしてヒトラーは街に降り立つ/叙情的な表情で描く街の風景、沿道の人々、工夫されたカメラアングルやカット。なんだか見ていて市川昆の『東京オリンピック』を思い出し、もう少しマニアックなカットやアングルを期待したのだが、それほど”おおっ”というものは無かった。夜の党大会は、白黒映像でもすごくライトアップされているのが判かる。現代の高感度カメラで見れば、そのイルミネーションは圧倒的に違いない/終盤は、延々と続く演説と行進の画で飽きる。音楽はワーグナーとか使っているのかと思っていたが、そうでは無かった(この作品の為のオリジナルか)。DVDオマケの短編『自由の日』も含めて、観た後、背筋が伸びて、妙にキッチリした服が着たくなるw ナチスだからアレだが、軍隊に見せる映像としてはイケてるんじゃないか。とりあえず俺としては、普段ほっぽってある通勤用の皮靴を磨いてしまった。 (輸入DVD)


グローリー 1989年の作品。『ギャング・オブ・ニューヨーク』を観てからというもの、アメリカの歴史に興味を持つ。そんでコレ。南北戦争の話ということで見てみた。監督は、『戦火の勇気』や『ラストサムライ』のエドワード・ズウィック。叙情感たっぷりに描いている。音楽も良い(音楽はジェームズ・ホーナー)。だが、当時の黒人の苦悩(というか悲惨さ)が伝わってこなかった。やっぱり白人が、”当時はこんなに黒人に味方した白人がいたのだ”的な発想で作っている感じだ。戦闘シーンもイマイチ。まぁ、最近の戦闘シーンに比べればしょうがないが。それにしても、作戦も何もないじゃん!なんかただ突っ込んでるだけ。当時はホントにこんなだったのか。黒人連隊が白人と比べていかに優れた活躍をしたかを映像で見せて欲しかったのに/そうそう、デンゼル・ワシントンが若い! 目がギラギラしていて、全身で怒りを表現しているような、圧倒される存在感だ(この作品でアカデミー助演男優賞を受賞している)。モーガン・フリーマンはなんか今と変わらんな。このときから貫禄十分だ。 (旧作)


メゾン・ド・ヒミコ 「ジョゼと虎と魚たち」の犬童監督がまたやってくれた。何日も余韻が残るファンタジーな作品/オダギリ・ジョーのカッコよさはなんとしたことか。彼のセリフ、「…愛とか意味ねぇじゃん、欲望なんだよ」と共に永く語り継がれる、オダギリ伝説な作品になるはず。柴咲コウもいい。ぶちゃむくれた表情は笑える。事務員服が意外に似合ってた/塗装会社専務の西島秀俊も好演。この作品で彼は、オカマ達の対極として描かれている。つまり、「メゾンのオカマと西島と、くらべてどうよ?」ということである。ラストの処理も含めて、そのへんがかなりファンタジーっぽい。音楽は細野晴臣!


ファンタスティック・フォー/超能力ユニット 原作はアメコミ。ミュータント系の話だが、X-メンのような暗さが無く、笑いながら楽しめる。ニューヨークのつり橋でのアクションは、『スーパーマン』を彷彿とさせるエキサティングなシーンだ。ジェシカ・アルバのインビジブル・ウーマンは最高。そう、透明人間になるには服を脱がなくてはいけないのだ!w 最初の頃の制御が不安定で、脱いでる途中で元に戻っちゃうところなんて、マンガっぽくてグー。シリーズ化するなら、次回も絶対入れて欲しいところだw


ビューティー・ショップ 基本的にブラック・ムービーだが、競演の白人がアリシア・シルバーストーンとケビン・ベーコン、アンディ・マクドウェルというビッグネームなのが珍しいかも。この手の人種系コメディは本当に面白い/黒人の主人公の娘がピアノを習っていて、クラシックをやってるんだけど、弾いてるときの表情が暗いw そんで、やっぱ発表会はジャズになっちゃう。そういえば、この娘がバッハを”バック”と発音していたが、あれは本当にアメリカ発音なのか、笑うところなのか、誰か教えてくれ。


キングダム・オブ・ヘブン 「トロイ」「アレキサンダー」に続き、歴史大作。監督はリドリー・スコット。いや、これは「トロイ」「アレキサンダー」と比べて一番良かった。宗教ものなのだが、実に分かりやすい。イスラムとキリスト教(十字軍)の聖地エルサレムを奪う争い。12世紀の話だが、もちろん、今でも続いてる。迫力の戦闘シーンも屈指のデキだ。主人公とイスラム指導者との男の会話が熱い。両者とも魅力的で、とくに主人公のオーランド・ブルームはカッコ良すぎだ。”らい病”の王を演じているのはなんとエドワード・ノートン。王女役のエヴァ・グリーンも紅一点を見事に演じている。 (旧作)


ジャンヌ・ダルク 14世紀に始まったイギリスとフランスの「百年戦争」における少女ジャンヌ・ダルクの活躍は、ホントに驚きだ。もう風の谷のナウシカを地で行ってる。ただの羊飼いの少女が(当時17歳)、劣勢だったフランス軍を率いて、勝利を収めちゃうんだから。軍部に利用されて、マスコットのような役割だったとしても、驚くべき史実だ。主演はミラ・ジョヴォヴィッチ。俺の中では、本作と「バイオハザード1&2」で、”群集を導くカリスマ戦闘ガール”の印象が確立したw/中世を再現させた戦闘シーンは手抜きなしといったところで大迫力。見た事もない戦闘方法も非常に面白かった(ボウリングのごとく敵兵士に巨大球をぶつけたり、城の上から煮えたぎる油をまいたり…アチーッ)。衣装も豪華、兵士達の甲冑もカッコいい/お前の見た「神」は存在しない!お前の妄想だ!そう言われて火あぶりの刑になっていくジャンヌ(当時19歳)、かわいそすぎる! (旧作)


バイオハザード2 アポカリプス ゲームが原作なのと、主役がみるからに取って付けたような美女だったからか、どうも観る気が起きなかった本シリーズ。1&2と観て、「こりゃマトリックスよりも好きだし、面白い」とツボにハマってしまった/前作でジョヴォヴィッチが予想外に良かった為か、副題が「黙示録」で、彼女は救世主になってる!(ゲームがそうなのか?やったことないのでわかんない) ジョヴォヴィッチはまるで、初期のシュワルツェネッガーのようなカリスマ性を持ってきた。パワーアップするアリスは痛快、次は超能力合戦になるのか。そして興味深いのが、アリスは果たして救世主なのか、破壊の悪魔なのかというところ。ポール・W・S・アンダーソンよ、次回作は永井豪の『デビルマン』ばりに大風呂敷を広げ、そして、上手く締めくくってくれ! (旧作)



トゥームレイダー 「バイオハザード」に続き、ゲーム原作もの。「バイオ」が面白かったので期待したのだが、これはたいしたことなかった。どうもA・ジョリーに魅力がないし、話に緊迫感もない。「バイオ」がいかに演出が上手く、知的な脚本であったが良くわかった。ただ、屋敷内の銃撃戦アクションなど、超絶的な編集はカッコよかった。 (旧作)


バイオハザード 遅ればせながらの鑑賞。いや、こんなに面白いとは思わなかった。まず、主演のミラ・ジョヴォヴィッチの顔つきがいい。モデル出身じゃあと期待していなかったのだが、これがなかなか惹きつけてくれる。ちゃんと強そうに見えるし、時に神々しい表情さえも見せるところなど、製作側の人たちも、意外な誤算だったのではないか。イギリス人監督のポール・W・S・アンダーソンもやたらとウマい。前半の緊迫感なんて、超一級品だ。殺人レーザーから、ゾンビ、ゾンビ犬、クリーチャーと立て続けに来られるあの絶望感は久しぶりに味わった。”2”が楽しみだ。 (旧作)


ギャング・オブ・ニューヨーク マーティン・スコセッシ監督、渾身の一作。構想30年という触込みもウナズける大作だ。ただ、扱う題材が難しく、歴史のとおりそのまんま映画にできないところもあったのだろう、日本人の俺が見ても、あきらかに無理してソフトに単純化している感じだ(ソフトといっても、黒人焼き討ちシーンなど衝撃的である)。が、何にしても、アメリカの歴史に興味を覚えた。さっそく図書館でそれ系の本を借りてきて読んでる/それにしても、『グッドフェローズ』にポスターデザイン似せすぎだよなぁ。 (旧作)


THE JUON 『呪怨』を観たサム・ライミ監督が、そのまま清水監督を使ってアメリカでリメイクさせた作品。日本人監督初の全米ボックスオフィスNo1に2週連続で輝いた。内容はまったく『呪怨』と同じで、舞台もなんと日本。違うのは、主要キャストがアメリカ人になっていることだ。同じものをもう一回作るワケだから、清水監督もきっとちょっとは違うこともやりたかったろうに、その辺の自由は無かったのか。それとも、「ああ、同じものを作るってラクだなぁ〜」って感じだったのかw この作品を観る(『呪怨』をすでに観ている)日本人としては、”売り”のショッキングシ−ンには驚くことができない。だって、驚かすタイミングも全く同じなんだもん。ただ、駅で切符を買うのに迷ってる主人公の描写等、アメリカ側のアイデアで追加になったであろう面白いシーンを鑑賞するのみである。 (旧作)


アレキサンダー 『トロイ』のヒットに続けと、歴史超大作、監督はなんとオリバー・ストーンである。主演はゲイに好まれる役者ランキングで、現役俳優としては確か一番上位だったコリン・ファレル(ちなみに1位はたしかマーロン・ブランドだった)。文句無く、大迫力。音楽はなつかしやヴァンゲリス(「炎のランナー」「南極物語」)でヨーロッパ(ヴァンゲリスはギリシャ人)のテイストが欲しかったのか/オリバー・ストーン監督だけあって、ただの娯楽大作ではなく、主人公の精神的葛藤を描こうと工夫している。色々と細かい事をしていると思うのだが、なにせ主人公がマザコンでゲイなので、複雑なのか、大味なのかよく分からないw /印象深いのが、インド遠征時に初めて敵部隊兵器としての「象」に遭遇するシーンだ。地響きと咆哮と共に森の中から現れる異形の巨大動物。そのときのアレキザンダー一行の恐怖と絶望感がものすごく伝わってきた。”アレキサンダーのアジア遠征記”みたいのに書かれているシーンなんだろうけど、きっとこの記述からインスピレーションを受けて「ロード・オブ・ザ・リング」のあの場面も書かれたんだろうと思った。ってことは、このインドのゾウさんがAT-ATスノーウォーカーの元ネタだ。 (旧作)


ヒトラー〜最期の12日間〜 ドイツでついにヒトラーの映画が製作された。世界注目の超話題作だ。とにかくドイツが作ったということで、物語と同様に、服装等の風俗や基地内部の作り・小道具に興味深々。ストーリーはタイトルどおり、ナチスドイツ崩壊までの数日を丁寧に描いているという感じで、とくに衝撃的な事柄はない。ポイントは、ヒトラーの当時の新人秘書(彼女は戦後、罪には問われていない)を中心に置いて描いている点であろう。この視点は成功していると思うし、そのせいか、全体的に女性の描き方に力が入っていると思った(特にゲッペルス夫人はすごかった)/最初と最後にその元ヒトラー秘書の謝罪のコメントが入っているが、これを映画として蛇足なものと考えてしまってからフト思った。こういうのをちゃんと入れるのがやっぱ常識かぁ。「いらねぇべ」って思っちゃうのがマズいんだろうな…って。


妖怪大戦争 オープニングタイトルが良い。昔の大映っぽい作りがすげぇ凝ってる。三池崇史監督作品。「怪」というプロデュースチームのメンツがすごい(荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆき、水木しげる)。このメンツが携わっているなら、妖怪映画としてはツッコミどころはないだろうと思って観た。確かに各妖怪のキャラは面白いし、鬼太郎ネタや、帝都の加藤(帝都物語は荒俣原作)とまさにお祭り騒ぎで面白い。こうなればもう、京極堂も出して、いやもうこなったら神木クンに虎縞のチャンチャンコ着せてもよかったんではないかと思ってしまった/出演もお祭り騒ぎで、最後のスタッフロールで「えっ、こんな人も出てたの!」って驚く。ただ妖怪陣は、メイクやカブリもののせいで、事前情報がないと誰だか分からない状態。忌野清志郎と阿部サダヲはわかったが、岡村(ナインティナイン)やその他、とくに猩猩(近藤正臣)は観ているあいだ中、「誰かなぁ〜??」って考えてたけどわからんかった。鳥刺し妖女の栗山千明はGOGO夕張まんまのキャラで目立っていたが、ヘアスタイルがずーっと同じなのは面白くないでしょ。ハムスターみたいなスネコスリはどうにもTVの造型レベルでショボイ作りだ。


チャーリーとチョコレート工場 ロアルド・ダール原作の児童小説をティム・バートンが料理。ダールはもともと、シニカルでウィットなユーモアに富んだ大人の小説を書いていた人。だから、児童小説にしてはシニカルな表現が目立つのは、バートンの味というより、ダールがもともと持っていた味でもあるのだ/まず、原作が好きな俺としては、あの原作を読んでいるときに鼻を刺激するチョコの香ばしい匂いがしない!と思った。というか、観た後、特にチョコレートを食べたくならない。これは残念だ。あのマクドナルドを批判した「スーパーサイズ・ミー」でさえ、観た後ハンバーガーが食べたくなったというのに!反対に、原作にはない愉しさが、音楽だ。懐かしのロック、ポップ、ファンク調の作りがグー/それにしても、観ている間思っていたのが、雰囲気が「バットマン」(とくにリターンズ)に似ているなぁということ。ジョニー・デップがブルース・ウェインを演じたら、きっとハマるのではないか。孤独な金持ち。もちろん、監督は再びバートンで/あと、これは前から思っていた意見なのだが、最近ハリウッド映画にはよく”日本”が出てくる。本作にも、工場から出荷されるチョコの配送トラックの行き先に”TOKYO”、当たり付きチョコが発売されるシーンも東京が出てくる。ワールドワイドな表現としての描写ならばいいが、(重要な)興行収益先の日本に対するサービス描写なら、いらないなぁ。特にこういうファンタジーな世界観を持つ物語(いわゆる、「どこかのある国で」的な話)で、出荷先に”東京”とか出てこないほうがいい。そう感じている日本人は多いんじゃないか。これは例えば(前にも書いたが)、冬のシーズンオフ時にグランドキャニオンにて夕日の美しさにひとり浸っていると、そこに日本の観光客が到着、笑顔で挨拶するが、「なんか現実に戻されちゃったなぁ」というのが本音みたいな。(これ実話w)


ニライカナイからの手紙 熊澤尚人監督作品。久々に大泣きの映画。観ながら、「もうクドイなぁ、ベタだなぁ」と思いつつ泣く。なんか沖縄と東京(新宿・渋谷)のコントラストがすごくいい。画面から、空気(大気?)の違いが感じられる。手持ちムービーで撮った東京のシーンは妙にリアルで物哀しい。渋谷の郵便局も、あれ、ホントに存在する郵便局なのかな。いいロケハンだ。後半、主人公が新宿に来てからラストまではもう引き付けられっぱなし。ほんとに切ない話だなぁ。あー泣ける。あの後、風希(主人公)は東京に戻ったのか。それが気になる。俺としては戻って欲しい。そんなことまで心配してしまうほど引き付けられた。主演の蒼井優がいい。幼馴染み役の金井勇太もリアルだ。


亀は意外と速く泳ぐ ふせえりが紫のパンダのヌイグルミ抱いて「あずきぱんだちゃ〜ん♪」。上野樹里の「ふぇっふぇっふぇっ」。予告編の脱力さ加減にはマイった/で、本編も脱力系の看板に申し分ない脱力度。蒼井優の怪演、夫婦役のふせえりと岩松了の絶妙さと、面白い所は多いのだが、どうもテーマがよくわからない。それと、日常に潜むスパイの話というと何やら愉しそうだが、時期的にどうしても”北朝鮮”が思い出されてしまうのがマイナス要素だった。


ハイド・アンド・シーク /暗闇のかくれんぼ ダコタちゃん、ついにデ・ニーロとも競演!最近の共演者をざっと思い出してみるだけでも、トム・クルーズ、デンゼル・ワシントン、マイク・マイヤーズ、シャーリーズ・セロン、ショーン・ペンとすごいメンツだ/さて、本編でも青白い顔して子役ばなれした表情を見せてくれる。ホントに彼女の表情を見ているだけで恐い。デ・ニーロを完全に喰っている…。つうか、デ・ニーロ、渋い役だなぁ。などと思っていたら、やっぱりデ・ニーロ、ちゃんと魅せてくれます/なんか感動のない話だったけど、それなりに見ごたえあり。


サラ いつわりの祈り イタリアン・ホラーの大家ダリオ・アルジェントの娘、アーシアの主演・監督作品。彼女の体当たり演技が見もの/しかし、DVDのメイキング撮影風景での彼女はおっかなそうだったな(スタッフに怒る)。ちょっと高感度ダウンw 原作に共感しているようだが、彼女自身、ハードな少女時代だったのか。そういえば、雰囲気的に同じく(精神的に)ハードな少女時代を送っていそうなウィノナ・ライダーがちょい役で出てた。友人っぽいな/ちょい役といえば、後で知って驚いたのが、いっけん気弱だが、アブノーマルな感じの男を演じていた、マリリン・マンソン!メイク落としたらこんなカンジなんだね。なんか高感度アップ。


逆境ナイン 「少林サッカー」が引き金となり、マンガ的表現をVFXで再現するスポコンものが流行りだしているが、ついに本家本元、眠れる獅子を呼び覚ましたというカンジで島本和彦の登場である。そしてそのデキはといえば、あっぱれ島本ワールドを見事に再現している。主演の玉山鉄二がいい。バカらしいがリアル、常にハイテンションを保ち続ける演技に感動した。しかし、さらに特筆したいのは、コーチ役の田中直樹(ココリコ)だ。もう爆笑である。あのコーチを主人公にしてもう一本作って欲しいと思った。あ、あと堀北真希がめちゃくちゃカワイイっす。


ステルス ”人工知能を持ったステルス戦闘機が暴走!”ーこの予告編はウマいと思った。暴走を止めて一件落着。と思っていたら、その後が面白い。特に、無人ステルスに搭乗するシーンなんぞ、「マジ!これ乗れるの!」と興奮。やはり究極メカには人間が搭乗してこそ、血沸き肉踊るというもの。日本人男子の共通感覚である/この映画の面白いところは、「この作品にブーイングを唱える人」の”ブーイング個所”がそっくりそのまま、「この作品サイコー!な人」のサイコーな部分に取って代わるという点だ。つまり、この映画を絶賛する人はスレてるんですね。


オルランド サリー・ポッター劇場初監督作品。最初は退屈して寝そうになったが、「ん?なんだこれ。ただの時代劇じゃないぞ」と思ってからは俄然目が冴えてきた。奇妙なストーリー。手塚治虫風でもある。インパクトのある場面転換や観客に語りかける主人公のセンスは英人っぽいなぁと思った。終章がすごくいい。こういうの大好きだ。(旧作)


耳に残るは君の声 イギリスの女流監督サリー・ポッター作品。主演はクリスティーナ・リッチとジョニー・デップという、「スリーピー・ホロウ」コンビ。しかし印象的なのは、ロシアン・ダンサーを演じたケイト・ブランシェットで、あの”なまり”の入ったしゃべり方がインパクト大。対して、どうも弱々しい感じがしないC・リッチはミスキャストのような気がするのだが/意外に日本人は知らないと思う(俺も最近知った)、ナチスの”ジプシー迫害”が描かれている。全体的に雰囲気は良いが、地理的・時間的なスケールがある物語なはずなのに、それらが感じられないのが惜しい。(旧作)


戦国自衛隊1549 このリメイク作のポイントは、”戦国時代に自衛隊がタイムスリップして戦う”という考えただけでワクワクする設定に背を向けて(それは前作が十分描いた、ということなのか)、いかにして歴史を正し、元の世界に戻ってくるかということに話をシボったところであろう。つまり江口洋介vs鹿賀丈史ってことで、極論すれば”べつに自衛隊じゃなくてもいい”ということにもなる。マイケル・クライトンの『タイムライン』のように大学生と教授でもいいわけだ。だから、戦国戦法vs近代兵器の戦闘の妙だとか、登場人物が別の時代を感じて驚くようなシーンがまったくといってない。しかし、これは上手くいったのではないか。これだけ主題がハッキリしているとかえって話に引き込まれるからだ。RPGでいうと、旧作は、さてゲームは始まったが、いったい何をすればいい?何処に行けばいい?という感じだったが、本作は、やらなければならい事は判ってる。あとは方法と時間制限だ、みたいなカンジでノリがいい。だから、安っぽい歴史修復というアイデアもそれなりに熱くなる。とくに、全てが解ったあと、七兵衛(北村一輝)が濃姫(綾瀬はるか)の手を取って走っているシーンなど「わっやられた、上手いな、こんちくしょうめ」と思ってしまった/それと、旧作と比べて角川映画色がほとんど感じられず(唯一、森3佐の死に際のみ角川ぽかったw)、スッキリした感じに仕上がっているのは、東宝のスタッフだからだろうか/それと最後に、本作の鹿賀丈史と『ローレライ』の堤真一が同じキャラ(思想的に)で可笑しかった。


奇跡の海 正月そうそう重いものを観てしまった。エミリー・ワトソンが圧巻。義姉役のカトリン・カートリッジも忘れ難い演技を見せてくれる。監督は俺の映画鑑賞史上、最も不快な気分にさせてくれた名作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のランス・フォン・トリアー。じつは今回、精神的にかなり構えていたので、結構冷静に見終えることができたのかも知れない。それにこれは(語弊がありかもしれないが)ハッピーエンドだと思うし。だってラスト・・・これってファンタジー過ぎはしないか!だけど、救われたよ、正直。(旧作)


濡れた赫い糸 北村一輝主演。奥田瑛二がシブい。女優陣では高岡早紀が何かと取りざたされているが、なんといってもスゴいのが吉井怜。ヤバイ/場面の時間経過に何箇所か難あり。現実なんだか主人公の夢なんだかわからない所があった(もちろんそれを狙ってるということない)。だけど、いい雰囲気だなコレ。


オープン・ユア・アイズ スペインの若手監督アレハンドロ・アメナーバル、若干26歳の衝撃作。脚本・音楽も担当しているというのだから驚く。でも、そういわれれば、ストーリーはいかにも若者が考えそうなネタだ。映像のセンスもバツグン。なにより、スペインの町が美しい。トム・クルーズべた惚れで製作の『バニラスカイ』(未見)はこれの完全リメイクだそうだ。(旧作)


 

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