ここで紹介する比較表現の内容は、下記の通りです。(すべてこのファイルにあります)
[1]形容詞・副詞の級変化 | [2]原級を使った比較表現 | |||
[3]比較級を使った比較表現 | [4]最上級を使った比較表現 | |||
[5]比較表現の文の書き換え | [6]比較を使った慣用表現 |
英語の動詞(V)には、原形・現在形・過去形などの変化形があります。形容詞・副詞にも変化形を持つものがあります。形容詞・副詞は原級・比較級・最上級という変化形を持ちます。意味はそれぞれ、
級 | 原級 | 比較級 | 最上級 |
表す意味 | (そのまま) | より〜 もっと〜 | 一番〜 最も〜 |
となります。
級の変化のさせ方の主なものを紹介しましょう。以下はすべて、原級・比較級・最上級の順で左から書かれています。
◆1音節の語全部と2音節の語の一部は、語尾にer, estをつける。
背が高い | tall | taller | tallest |
古い・年取った | old | older | oldest |
英和辞典などを見てください。英語の見出しが、“an・swer”などと印刷されているはずです。英単語が“・”で分けられています。これが音節わけです。answer は、an と swer の2つの音節から出来上がっているということです。
◆3音節以上の語全部と2音節の語の一部は、前にmore, mostを置く。
美しい | beautiful | more beautiful | most beautiful |
有名な | famous | more famous | most famous |
◆early を除き、“―ly” で終わる副詞には、前にmore, mostを置く。
ゆっくりと | slowly | more slowly | most slowly |
親切に | kindly | more kindly | most kindly |
文中では、最上級の前には、the を置くことも多いので、the oldest, the most famous と、the も含めて最上級だと覚えさせる先生もいます。
以上が基本なのですが、er, est をつけるときに、次の点に注意してください。
◆“―e” で終わる語には、r, stだけをつける。
広い | wide | wider | widest |
◆“短母音+1つの子音字”で終わる語には、その子音字を重ねて、er, est をつける。
大きい | big | bigger | biggest |
暑い・熱い | hot | hotter | hottest |
◆“子音字+y”で終わる語には、yをiにかえて、er, est をつける。
幸福な | happy | happier | happiest |
早い・早く | early | earlier | earliest |
易しい・簡単な | easy | easier | easiest |
今までに紹介したものに当てはまらずに、不規則に変化するものがあります。これは覚えてください。非常に重要なものもありますので、しっかりお願いします。
よい・うまい | good | better | best |
よく・上手に・健康な | well | better | best |
「〜した方が、ベターだ」とか「ベスト10」という風に、日本語としても使われていますよね。
悪い | bad | worse | worst |
病気の・悪く | ill | worse | worst |
悪く・ひどく | badly | worse | worst |
「ベスト」の反対言葉として、「ワースト3」(最も悪い3つ)などと使うこともあるようです。
多数の・たくさんの | many | more | most |
多量の・非常に | much | more | most |
これも大切です。
少量の・少なく | little | less | least |
かなり渋いです。
おそい・おそく | (時間) | late | later | latest |
(順序) | late | latter | last |
later や last は、比較表現に限らず、よく出てきます。
遠い・遠く | (距離) | far | farther | farthest |
(程度・距離) | far | further | furthest |
ここまではいいと思いますが・・・。
原級は、同級と呼ばれることもあります。普通、原級を使った比較表現は、下のようになります。
as | 形容詞・副詞 | as | 〜 | 〜と同じくらい形容詞・副詞 |
not as[so] | 形容詞・副詞 | as | 〜 | 〜ほど形容詞・副詞ではない |
You are | as | beautiful | as | she | . |
副詞 | 形容詞の原級 | 接続詞 | S’ | ||
あなたは、彼女と同じくらい美しい。 |
この文がどのように出来上がっているかを、ちょっと詳しく見てみます。やや説明が難解になりますので、よく読んでください。1度でわからない場合は、何度も読み返してください。わからないままだと、時間の無駄となるばかりでなく、英語が嫌いになってしまいます。
この文は、英語も日本語も
あなたは美しい。 | 彼女は美しい。 |
You are beautiful. | She is beautiful. |
日本語は、先に2文目を言います。「彼女は美しい」。この後ろに「のと同じくらい」という日本語をつけます。「彼女は美しいのと同じくらい」となりました。さらに1文目を続けます。「彼女は美しいのと同じくらいあなたは美しい」。「は」を「が」に変えます。「彼女が美しいのと同じくらいあなたは美しい」となります。ちょっと変のように思うかもしれませんが、「あなたは」を文頭に持ってきて、「あなたは彼女が美しいのと同じくらい美しい」とします。「美しい」は2度も出てくるとくどいので、「が美しいの」の部分を省略して、「あなたは彼女と同じくらい美しい」となります。
英語もほぼ同じなんです。英語で「同じくらい」の意味に相当するのは、副詞の as で、これは比べたい形容詞・副詞の直前に置かなければいけません。
You are | as | beautiful. | She is beautiful. |
となります。さらに、2つの文をつなげるには、英語では接続詞が必要です。「同じくらい」と言いたいときの接続詞は、asと決まっているんです。したがって、
You are | as | beautiful | as | she is beautiful. |
という文ができあがります。接続詞の前後で、両方とも使われている単語は省略できるんです。
You | are | as | beautiful | as | she | is beautiful | . |
この文では、接続詞 as の前後で、are と is が同じVbeとして共通で、beautiful も前後に2つあります。今回は、as の後方の is と beautiful を省略して、
You are | as | beautiful | as | she | . |
副詞 | 形容詞の原級 | 接続詞 | S’ | ||
あなたは、彼女と同じくらい美しい。 |
となります。 is は省略しない場合もありますが、as で修飾された形容詞の beautiful は省略することになっているようです。また、is も省略した場合、口語(こうご:話し言葉)ではshe を目的格の her で代用することも行われています。受験用の問題集にも she とすべきところ her となっているものがありました。「her だから間違い」と言えない時代になってきました。
副詞の例も紹介しておきましょう。
She studies English | as | hard | as | I | . |
副詞 | 副詞の原級 | 接続詞 | S’ | ||
彼女は私と同じくらい一生懸命に、英語を勉強しています。 |
これもちゃんとつくってみます。辛抱して付き合ってください。
彼女は一生懸命に英語を勉強しています。 | 私は一生懸命に英語を勉強しています。 |
She studies English hard. | I study English hard. |
この2文を合成します。
日本語は、後ろの文に「のと同じくらい」をくっつけて、前の文の「彼女は」の後ろに割り込ませます。「彼女は、私は一生懸命に英語を勉強していますのと同じくらい一生懸命に、英語を勉強しています」となります。変なので、「私は」を「私が」に変えます。「彼女は、私が一生懸命に英語を勉強していますのと同じくらい一生懸命に、英語を勉強しています」となり、さらに「一生懸命に英語を勉強しています」が2度も出てきてくどいので、前の方のその部分を消して、ついでに先ほどの「が」も消して、「彼女は、私と同じくらい一生懸命に英語を勉強しています」という日本語になります。
英語は、「一生懸命さ」を比べて「同じくらい」と言っているので、hard の前に as を置きます。さらに2文をつなげる接続詞 as を、1文目と2文目の間に入れて、
She studies English | as | hard | as | I study English hard. |
接続詞 as の前後で、共通な“study English hard”を省略します。後ろの方を省略です。
She studies English | as | hard | as | I | . |
副詞 | 副詞の原級 | 接続詞 | S’ | ||
彼女は私と同じくらい一生懸命に、英語を勉強しています。 |
かなりややこしい話しをしましたが、1行1行じっくりと読んでもらえば、相談したわけではないのに、「英語・日本語とも共通した考え方がある」ことに感動してもらえるはずです。
この文の I も口語では me で代用されることが多いようです。あまり省略しない場合は、接続詞as の後ろに I do とするようです。me do は、いけません。
次は、否定の表現です。これは今までの話しに、否定を加えただけなので、例文を紹介するにとどめます。
He is | n't | as | tall | as | Bob | . |
副詞 | 副詞 | 形容詞の原級 | 接続詞 | S’ | ||
彼はボブほど背が高くない。 |
This story is | n't | as | interesting | as | that one | . |
副詞 | 副詞 | 形容詞の原級 | 接続詞 | S’ | ||
この話しは、あの話しほど面白くない。 |
Kate can | not | play the piano | as | well | as | Beth | . |
副詞 | 副詞 | 副詞の原級 | 接続詞 | S’ | |||
ケートはベスほど上手に、ピアノを弾くことができません。 |
(増補・音声付)TOEIC(R)で920点を取った医師の英語勉強法
形容詞・副詞の比較級 | than | 〜 | 〜より形容詞・副詞 | |
not | 形容詞・副詞の比較級 | than | 〜 | 〜より形容詞・副詞ではない |
She is | busier | than | he | . |
形容詞の比較級 | 接続詞 | S’ | ||
彼女は彼よりいそがしい。 |
こちらは、やや簡単に解説します。
彼女はいそがしい。 | 彼はいそがしい。 |
She is busy. | He is busy. |
の2つの文からできています。
日本語は、2文目が「のより」を伴って、1文目の「は」と「い」の間に割り込みます。「彼女は彼はいそがしいのよりいそがしい」となります。次に「はいそがしいの」を省略します。「彼女は彼よりいそがしい」となります。
英語は、She is busy. He is busy. の2文をつなげたいとき、「より」にあたるのは、[形容詞・副詞の比較級]です。ですから、1文目の形容詞 busy の y を i にして、er をつけて、busier にしてやります。さらに、2文をつなげるために、接続詞をつけるのですが、比較級が好きな接続詞 than を選んでやります。
She is | busier | than | he is busy. |
接続詞 than の前後で、2重に使われている単語の is, busy を省略して、
She is | busier | than | he | . |
形容詞の比較級 | 接続詞 | S’ | ||
彼女は彼よりいそがしい。 |
ができあがります。is は省略しない場合もありますが、比較級となった形容詞の busyの繰り返しは許されないので、than の後ろの busy は省略します。is を省略した場合、he の代わりに him とするのが口語です。
副詞の比較表現も紹介しておきます。
Jimmy can run | faster | than | his father | . |
副詞の比較級 | 接続詞 | S’ | ||
ジミーはお父さんより速く走ることができます。 |
これも、2つの文が合体しています。
「ジミーは速く走ることができる」「彼のお父さんは速く走ることができる」
Jimmy can run fast. | His father can run fast. | ||
→ | Jimmy can run faster | than | his father can run fast. |
→ | Jimmy can run faster | than | his father |
次に、比較級を使って、選択疑問文がつくられる場合があるので、それを紹介しておきます。
Which | is | more interesting | , | this book | or | that one | ? |
S(疑問代名詞) | V | C(形容詞の比較級) | S1 | 接続詞 | S2 | ||
この本とあの本では、どちらが(より)面白いですか。 |
one = book です。名詞の繰り返しをさけるために使われる代名詞です。答え方は、
This one is. |
This one is more interesting. |
This one is more interesting than that one. |
などとなります。
(the) | 形容詞・副詞の最上級 | in of | 〜 | 〜の中で一番・最も形容詞・副詞 |
原級・比較級を使った比較は、基本的に「2つのもの」の比較でしたが、「3つ以上あるもののうちで一番〜」と表現したいときは、この最上級を使います。
He is | the tallest | in | his class | . |
the + 最上級 | 前置詞 | まとまり・範囲 | ||
彼はクラスの中で一番背が高い。 | ||||
He is | the tallest | of | the five (students) | . |
the + 最上級 | 前置詞 | 同種類の名詞・数字・allなど | ||
彼はその5人の中で一番背が高い。 |
最上級が形容詞の場合、形容詞の後ろに名詞がなくても、形容詞の前に the をつけることになっています。
in の後ろには、1つのまとまりや範囲を表す名詞が来ます。
of の後ろには、比べる人・物と同種類の名詞(今回はHeとstudentは、ともに「人間で生徒」)が来るのですが、しばしば省略されて、数字や all しかないことがあります。そのときも students や boys の省略とみて、of を使います。
The girl can play the violin | (the) | best | in | Japan | . |
省略可 | 副詞の最上級 | 前置詞 | まとまり・範囲 | ||
その少女は、日本で一番上手にヴァイオリンを弾くことができます。 |
この文の best は、副詞 well の最上級です。副詞の最上級の前には、the は置かなくても良いことになっています。置いてもかまいませんが。
in, of が両方使われる文もあります。
The girl can play the violin best | of all the girls | in her school | . |
その少女は、彼女の学校のすべての少女の中で、一番上手にヴァイオリンを弾くことができます。 |
納得できますよね。
(1) | Mt. Fuji is the highest mountain in Japan. |
(2) | Mt. Fuji is the highest of all the mountains in Japan. |
(3) | Mt. Fuji is higher than any other mountain in Japan. |
(4) | No mountain in Japan is higher than Mt. Fuji. |
(5) | No mountain in Japan is as high as Mt. Fuji. |
(1) | 富士山は、日本で一番高い山です。 |
(2) | 富士山は、日本のすべての山の中で一番高い。 |
(3) | 富士山は、日本の他のどの山よりも高い。 |
(4) | 富士山より高い山は、日本にはない。 |
(5) | 富士山ほど高い山は、日本にはない。 |
どれも、同じ内容を表していますね。特に(3)
比較級 than any other 単数名詞 | 他のどの[単数名詞]より〜 |
という意味になり、よく出題されるので、確実にマスターしておいてください。
(1) | I am older than he. |
(2) | He is younger than I. |
(1) | 私は、彼より年上です。 |
(2) | 彼は、私より若い。 |
こんなのも、同じ内容を表していますね。
◇as 〜 as S can できるだけ〜
I ran | as fast as I could | . |
私は、できるだけ速く走った。 |
Vの ran が過去形なので、can ではなく、過去形の could になっています。「できるのと同じくらい〜」と言う意味になるはずなので、理解できますね。
◇as 〜 as possible できるだけ〜
I ran | as fast as possible | . |
私は、できるだけ速く走った。 |
“as 〜 as S can”と同じ意味になります。possible は形容詞なので、時制(現在形とか過去形の区別)を気にする必要はありません。
◇as soon as 〜 〜するとすぐに、〜するやいなや
As soon as | she got home, she went to bed | . |
彼女は家に着くと、すぐに寝てしまった。 |
“as soon as”で“when”と同じように使えるので、接続詞として覚えておけと教えることもあるようです。
◇more than 〜 〜をこえる、〜より多い、〜以上
We have lived here for | more than | three years | . |
私たちは3年以上、ここに住んでいます。 |
χ>3で、χ≧3ではないので、「以上」を使うのは間違っているんでしょうが、普通、「〜以上」と訳しています。“〜”の部分には、数字や a(n) などがきます。
◇比較級 and 比較級 ますます〜、だんだん〜
It's getting | darker and darker | . |
だんだん暗くなってきています。 |
「〜」の部分は、比較級になっている形容詞・副詞の意味が当てはまります。
◇do one's best 全力を出す、ベストをつくす、最善をつくす
Please | do your best | . |
全力でやってください。 |
“one's”の部分には、全力を出す人の「所有格」がきます。my や their, Kate's などです。