[1]現在完了形の4つの意味 | ||
[2]継続 | ||
[3]経験 | ||
[4]完了 | ||
[5]結果 | ||
[6]現在完了が使えない場合 |
現在完了形とは、have[has]+過去分詞(p.p.)の形で、次の4つの意味のいずれかを表すものです。
1 | 継続 | ずっと〜だ・ずっと〜し続けている |
2 | 経験 | 〜したことがある |
3 | 完了 | 〜し終わった・〜したところだ |
4 | 結果 | (〜した結果)・・・ |
どの意味になるかは、その文中に使われている副詞・副詞句・副詞節や前後の内容で判断します。
それでは、1つ1つの使い方をみていくことにしましょう。
「ずっと〜だ」「ずっと〜し続けている」という意味になる場合です。
He | is | sick | in bed | now | . |
S | V | C(形容詞) | 副詞句 | 副詞 | |
彼は今、病気で寝ている。 |
これは現在形の文で、“be sick[ill] in bed”で「病気で寝ている」という意味になる表現を使っています。これを完了形で表すと、
He | has been | sick | in bed | since last Friday | . |
S | has+過去分詞(p.p.) | C | 副詞句 | 副詞句 | |
彼は、先週の金曜日からずっと病気で寝ています。 |
となります。He は三人称単数なので、has を使い、is が過去分詞の been になっています。文中に“since+過去の一時点を表す名詞”が使われているので、[継続]であると見分けられます。
もう1つ[継続]の例文を
Kate | has lived | in Tokyo | for five years | . |
S | has+p.p. | 副詞句 | 副詞句 | |
ケートは5年間ずっと東京にすんでいる。 |
“for+期間を表す名詞”があるので、[継続]とわかります。
ところで、疑問文は、
Has | Kate | lived | in Tokyo | for five years | ? |
has | S | 過去分詞 | 副詞句 | 副詞句 | |
ケートは5年間ずっと東京に住んでいるのですか。 |
と、have, has を助動詞のように、S(主語)の前に出してやればいいんです。応答は、
Yes, she has. はい、そうです。
No, she hasn't. いいえ、ちがいます。
となります。
また、[継続]の意味を表すときに、よく使われる疑問詞があります。これを紹介しておきます。
How long | has | she | been | absent | from school | ? |
疑問副詞句 | has | S | p.p. | C(形容詞) | 副詞句 | |
彼女は、どれくらい長く学校を休んでいますか。 |
“How long have[has] 〜 ?”は、「どれくらい長く〜?」という意味になります。応答は、
She has been absent from school | for three days | . |
since this Wednesday | . |
となるのだが、わかりきっている事は省略して、
For three days. | Since this Wednesday. | |
3日間です。 | 今週の水曜日からです。 |
と答えることが多いようです。
中学英語の範囲からは、外れるのですが、私立高校の入試問題に出ることがあるので、紹介しておきます。
He | is | studying | in his room | now | . |
S | Vbe | 現在分詞 | 副詞句 | 副詞 | |
彼は今、自分の部屋で勉強しています。 |
という現在進行形の文が完了形になると、
He | has been | studying | in his room | for four hours | . |
S | has+過去分詞(p.p.) | 現在分詞 | 副詞句 | 副詞句 | |
彼は4時間、ずっと自分の部屋で勉強し続けています。 |
“have[has]+been+現在分詞”で、〔現在完了進行形〕となります。
実は、“be動詞”や“live”などの動詞は、主に「状態」を表す動詞なので、普通、進行形にはしません。ところが、“study”“play”など、多くの「動作」を表す動詞は、進行形になりますから、完了形になった場合〔現在完了進行形〕なることが多いんです。
中学校では、上の例文は“He has studied in his room for four hours.”と書くことも多いんです。普通の〔現在完了形〕ですね。もちろん、これで正解なんですが。
〔継続〕の場合、次のような副詞句・副詞節が使われます。
since 過去の1時点を表す名詞 | 〜から(ずっと)・〜以来 |
since S+V(過去形)〜 | SがVしてから(ずっと) |
for 期間を表す名詞 | 〜の間(ずっと) |
How long | どれくらい長く・・・? |
these two years | この2年間 |
these days | このごろ・最近 |
文中に、これらの語句がある完了形は、〔継続〕と考えるのが自然です。
「〜したことがある」「〜したことがない」という日本語訳になるものが〔経験〕です。
I | went | to Los Angels | ten years ago | . |
S | V | 副詞句 | 副詞句 | |
私は10年前に、ロス・アンジェルスへ行きました。 |
これは、普通の過去形の文なのですが、これを完了形を使って表すと、
I | have been | to Los Angels | once | . |
S | V(現在完了) | 副詞句 | 副詞 | |
私は1度、ロス・アンジェルスへ行ったことがある。 |
となります。
“have[has] been to 〜”で「〜へ行ったことがある」という意味になり、“have[has] gone to 〜”は「〜へ行ってしまって、今ここにいない」とか「〜へ行ってしまっていて、今〜にいる」という〔結果〕の意味を表すことになっています。間違えないで下さい。
〔経験〕の否定の場合、“never”「1度も〜ない」という副詞がよく使われます。これは、“not”“ever”「今までに」がくっついて出来上がったと想像できます。
I | have never seen | such a beautiful mountain | . |
S | 現在完了の経験の否定 | O(目的語) | |
私は、こんな美しい山を一度も見たことがない。 |
“never”は、“have”と過去分詞の間に割り込みます。
また、疑問文は次のようになります。
Have | you | ever | read | Kaze no Matasaburo | ? |
have | S | 副詞 | p.p. | O | |
あなたは今までに、『風の又三郎』を読んだことがありますか。 |
完了形の疑問文では、“have[has]”が主語の前に出ます。
答え方は、
Yes, I | have. | はい、あります。 | |
No, I | haven't. | いいえ、ありません。 | |
No, I | never have. | いいえ、1度もないですね。 |
などがあります。“have[has]”できいて、“have[has]”で答える。これですね、ポイントは。
よく使われる疑問詞は「回数」をたずねるものです。
How often | have you been to Kyoto | ? |
How many times | ||
あなたは何回京都に行ったことがありますか。 |
"How often","How many times"で、「何回」「何度」と回数をたずねることができます。
"Three times."「3回です」などと答えます。
[経験]の場合、次のような副詞句・副詞節が使われます。
ever | 今までに・かつて |
never | 1度も〜ない |
before | 以前に |
once | 1度・1回・かつて |
twice | 2度・2回 |
数字 times | (数字の)回数 |
many times | 何度も・何回も |
often | 何度も・よく |
文中に、これらの語句がある完了形は、〔経験〕と考えるのが自然です。副詞句・副詞の文中で使われる位置については、例文を見たつど確認しましょう。
「〜し終わった」「〜したところだ」「〜し終わっていない」という日本語の意味になるのが〔完了〕の使い方です。
I | washed | my father's car | . |
S | V | O | |
私は父の車を洗いました。 |
これは、普通の過去形の文ですね。この文を完了形を使って表すと、
I | have | just | washed | my father's car | . |
S | have | 副詞 | 過去分詞 | O | |
私はちょうど、父の車を洗い終わったところです。 |
となります。
疑問文は、
Have | you | done | your homework | yet | ? |
have | S | 過去分詞 | O | 副詞 | |
あなたはもう宿題をやり終えたのですか。 |
となります。“have”が前に出るんでしたね。“yet”は「もう(疑問文)」「まだ(否定文)」という意味の副詞で、普通文末に置かれます。
答えは、
Yes, I have. | はい、やり終えました。 |
No, I haven't. | いいえ、やり終えていません。 |
No, not yet. | いいえ、まだです。 |
などとなります。
否定文は、
She | hasn't | come | home | yet | . |
S | has + not | 過去分詞 | 副詞 | 副詞 | |
彼女は、まだ家に帰ってきていません。 |
などとなります。
[完了]の場合、次のような副詞が使われます。
just | ちょうど |
already | もう・すでに(肯定文の平叙文) |
yet | もう(疑問文)・まだ(〜ない)(否定文) |
これらが使われている完了形は、〔完了〕を疑ってください。副詞が使われていない場合もありますが、その場合は前後から明らかにわかることが多いようです。
「(〜した結果)・・・」という日本語の意味を表すのが〔結果〕の使い方です。中学校では、独立した項目としては習わないことが多いと思います。
例えば、
My father | went | to Paris | . |
S | V | 副詞句 | |
私の父は、パリに行きました。 |
という過去形の文を、完了形で表すと、
My father | has | gone | to Paris | . |
S | has | 過去分詞 | 副詞句 | |
私の父はパリへ行ってしまって、今ここにいない。 | ||||
私の父はパリへ行ってしまって、今パリにいる。 |
となり、上のように「パリへ行った結果」の部分の内容を伝えようとしているんです。
本当に、そう使われているかはわかりませんが、
“I have lost my watch.” と言えば
「私は時計をなくしてしまったので、時刻がわからない」
「私は時計をなくしてしまったので、時刻を教えてください」
「私は時計をなくしてしまったので、時計を貸してください」
「私は時計をなくしてしまったので、買ってください」
と、言っていない下線の部分を伝えることができるんです。感動ものですね。
〔結果〕の意味を表す完了形の場合、特定の副詞や副詞句はつきません。前後の内容から判断するしかありません。
現在完了の4つの使い方のそれぞれについて見てきましたが、共通して言えることは、現在完了形は〔現在〕をターゲットに述べている文なので、過去を表す副詞・副詞句・副詞節と同じ文の中で使ってはいけないということなんです。
(×) | I have been to New York | three years ago | . |
過去形で表す | 過去を表す副詞句 | ||
(○) | I went to New York | three years ago | . |
私は3年前にニューヨークに行った(ことがある)。 |
(×) | When | have you seen a white lion | ? |
過去を表す副詞 | 過去形で表す | ||
(○) | When | did you see a white lion | ? |
あなたは、いつ白いライオンを見たのですか? |
(×) | I have often played with her | when I was a child | . |
過去形で表す | 過去を表す副詞節 | ||
(○) | I often played with her | when I was a child | . |
私は子供の頃、よく彼女と遊びました。 |
(×) | He has been ill in bed | last week | . |
過去形で表す | 過去を表す副詞句 | ||
(○) | He was ill in bed | last week | . |
彼は先週、病気で寝ていました。 |
上記の4例は、いずれも過去を表す副詞・副詞句・副詞節が使われているので現在完了形ではなく、過去形で表現します。1例目のように「ニューヨークに行ったことがある」と完了形の〔経験〕のような日本語になっていても、「3年前」と過去の副詞句があれば、現在完了形は使えません。
ただし、“since”には、「〜から(今までずっと)」「〜以来(今までずっと)」という意味があり、この後ろに、過去を表す名詞や節がきても、全体では過去を表す副詞句・副詞節とはならないので、現在完了形は使えます。
ちょっとくどくなりますが、〔継続〕では、「過去のある時点から今まで」その動作・状態が続いて、〔経験〕は、「過去にある動作した、ある状態だったのだが、その経験を今持っている」ということになり、〔完了〕では、「ある動作・状態が今完了した(完了している)」ということを表し、〔結果〕は、「ある動作をした、ある状態だった結果、今どんな状態だ」ということを述べているんです。 現在完了は、すべて今・現在が大事なんですね。
各用法で使われる副詞(句・節)の位置にも注意してください。たくさんの例文にあたりながら、覚えていってください。
もっと突っ込んで学習されたい方は、当サイト管理者の発行メルマガ『英語の文法と語法』のバックナンバー9号からが〔現在完了形〕〔現在完了進行形〕〔過去完了形〕の説明範囲となっています。順次学習してください。少し離れていますが〔未来完了形〕についての号もあります。