=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━ ┛┛ ┛┛ 英語の文法と語法 No.170 20101210 Chick Tack ┛┛ ………………………… …………… ……………… …………… ┛┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ┛┛┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 第170号 ● ……………… Contents 知覚動詞+目的語+現在分詞 ……………… (1)知覚動詞+目的語+現在分詞 (2)原形不定詞と現在分詞の違い (3)ill at ease (4)feel up to doing something ……………………………………………………………………………………………… (1)知覚動詞+目的語+現在分詞 …………………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・see[hear, feel,...] someone[something] doing something 「誰[何]かが何かをしているのを見る[聞く・感じる]」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) Elizabeth saw him walking slowly towards the house. (“Pride and Prejudice” by Jane Austen) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#pride 「エリザベスは、彼が家の方に、ゆっくりと歩いているのを見た」 前号で出てきた〔知覚動詞〕は、“知覚動詞+目的語+現在分詞”の型で現 れることがある。 前号で紹介した see, hear, feel, notice, listen to, look at, watch, observe に加え、perceive, imagine, catch, find, discover, smell で この構文が可能である。 (b) I smell something burning. (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud 「何かが焦げているにおいがする」「何かが燃えるにおいがする」 (×)I smell something burn.(原形不定詞は smell の後ろには使わない) I smell + something is burning の内容を示している。 I can smell (that) something is burning.「私は何かが焦げているのが、 においでわかる」と〔that節〕を続けることも可能。また、smell は can と共に使われることも多い。 (c) I caught him reading my private letters. (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce 「私は、彼が私の個人的な手紙を読んでいるところを見た」 catch は「主語が見て不愉快に思われる」場合に使われる。確かに、私信を 見られたら不愉快だ。 I caught + he was reading my private letters。 catch の後ろに〔that節〕は続かないようだ。 (d) I found him standing at the door. (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg 「私は彼がドアのところに立っているのを見つけた」 find を使ったこの構文には、「不愉快」の気持ちは入らない。 〔that節〕を続けることも可能。 例文の補充は下記。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu170.html#supple1 ……………………………………………………………………………………………… (2)原形不定詞と現在分詞の違い …………………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・see someone do something「誰かが何かをするのを見る」 ・・・動作を最初から最後まで見る ・see someone doing something「誰かが何かをしているのを見る」 ・・・動作の一部を見る ・・・動作の繰り返しを表現できる 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 see, hear, feel, watch, look at, notice, observe, listen to は、 “知覚動詞+目的語+原形不定詞”、“知覚動詞+目的語+現在分詞” の構文が、両方とも可能だ。 (a) I saw her cross the road. (= I saw her cross it from one side to the other.) (b) I saw her crossing the road. (= I saw her in the middle, on her way across.) (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan, 242.1) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu (a)「私は彼女がその道を横切るのを見た」 (b)「私は彼女がその道を横切っているところを見た」 〔原形不定詞〕(a)の方は、「道の片方の側から渡り始め、もう片方の側に 渡り終わるまでをずっと見ていた」。 〔現在分詞〕(b)の方は、「道路を渡っている最中を見かけたが、無事に渡 り終えたかどうかは確認していない」。 基本的には、このような違いがあるようだ。 (c) I saw my mother stop her ears then, and I heard her crying. (“David Copperfield” by Charles Dickens) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#copper 「私はそのとき、母が耳をふさぐのを見た。そして、彼女が泣いている声 を聞いた」 説明の通りならば、「母が耳をふさぐ動作を、最初から最後まで見ていた」 そして「彼女が泣いている声を、最初から最後までは聴いていない」ことに なる。 ただし、動作の一部なのか、全体なのかが問題にならない状況では、この区 別は厳密ではない。〔現在分詞〕を使っていても「動作全体」を指している 場合もある。 例文(c)も、一部と全体の区別ではなく、技巧的に使い分けているだけなの かもしれない。 (d) I've never seen her dance. (e) I've never seen her dancing. (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu 「私は、彼女が踊るのを一度も見たことがない」 「私は、彼女が踊っているところを一度も見たことがない」 どちらで伝えても、大した違いはない。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ (f) My aunt was restless, too, for I frequently heard her walking to and fro. (“David Copperfield” by Charles Dickens) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#copper 「私のおばも落ち着きがなかった。彼女があちこち歩いている音を何度も 聞いたことからわかった」 “知覚動詞+目的語+現在分詞”の構文は、〔現在分詞〕の動作が、繰り返 し行われていることを示すこともある。 “to and fro”は「あちこち」「行ったり来たりして」という意味。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ (g) I can see Susan coming. (NOT I'm seeing...) (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan, 125.1) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu 「私はスーザンが来るのが見える」 「私はスーザンが来るのを見ている」 see, hear, feel, smell は〔進行形〕になることが珍しい。特に進行状態 を表したいとき、イギリス英語においては can を使うことがある。 can see や could hear が〔進行形〕の代用として使われている場合、この 構文の〔目的語〕の後ろの動詞は〔原形〕ではなく〔現在分詞〕が用いられ る。 補充例文の hear, feel の文中にも could が使われている。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu170.html#supple1 ……………………………………………………………………………………………… (3)ill at ease ……………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・at (one's) ease「気楽な」「落ち着いて」「安心して」 ・ill at ease「落ち着かない」「居心地が悪い」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) He felt completely at ease. (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 3rd edition”) 「彼は完全に安心し(てい)た」「彼は全く寛いでいた」 at ease で「気楽な」「気楽に」「安心して」「落ち着いて」などの意味に なる。“be at ease”や“feel at ease”で「落ち着いている」や「安心す る」などの意味を表せる。 (b) Her relaxed manner at the meeting put[set] everyone at (their) ease.(“Merriam-Webster's English Learner's Online Dictionary”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#mwl 「会議での彼女のリラックスした態度が、みんなを気楽な状態に整えた」 →「会議中、彼女はリラックスしていたので、みんなも緊張しなかった」 “put someone('s mind) at ease”“set someone('s mind) at ease”で 「誰かを安心させる」「誰かの気を落ち着かせる」などという意味になる。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ (c) Philip was ill at ease in his new surroundings. (“Of Human Bondage” by W. Somerset Maugham) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#bondage 「フィリップは、彼の新しい環境に落ち着かなかった」 “be ill at ease”“feel ill at ease”で「落ち着かない」「居心地が悪 い」という意味になる。 (d) But both felt ill at ease. (“Little Women” by Louisa May Alcott) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#lw 「しかし、二人とも居心地が悪かった」 both は〔主語〕となっている〔代名詞〕。 ……………………………………………………………………………………………… (4)feel up to doing something …………………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・feel up to something「何かをやれそうに感じる」 ・feel up to doing something「何かをやれそうに感じる」 「何かをする元気がある」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) I don't really feel up to seeing anyone. (“Oxford PHRASAL VERBS Dictionary for learners of English”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#opvdl 「私は本当に、誰に会う気力もない」 “feel up to...”で「…をやれそうに感じる」「…ができそうに感じる」 「…する力があるように思う」という意味になる。「to の後ろの事や動作 まで、力が上がってきているように感じる」のだろう。 feel up to の to は〔前置詞〕である。 (b) I'm sorry to cancel, but I just don't feel up to going dancing tonight. (“THE ULTIMATE PHRASAL VERB BOOK SECOND EDITION”Carl W. Hart) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#upvb 「予定を取り消して申し訳ないが、今夜はとてもダンスをしに行く力は ないよ」 just が〔否定語〕の前にあれば「全く(〜ない)」という意味になる。 〔否定語〕の後ならば〔部分否定〕で、全体の意味が「ただ〜だけ(ではな い)」になる。 (c) She did not feel up to giving the boy his bath on Saturday night.(“Of Human Bondage” by W. Somerset Maugham) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#bondage 「土曜の夜にその少年をお風呂に入れることは、彼女にはできそうもなか った」 前後を読んでみると、彼女は、やらなければならないことが多すぎるようだ。 (d) Jane wanted to do the tour but Andy didn't feel up to it. (“Cambridge International Dictionary of Phrasal Verbs”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#cdo 「ジェーンはそのツアーに参加したかった。でもアンディには、そんな 元気はなかった」 to の〔目的語〕が〔代名詞〕の例。 例文を探すと〔否定文〕が圧倒的に多い。〔疑問文〕は見かけたが、〔肯定 の平叙文〕は見ていない。もっと丹念に調べれば出てくると思うが、少ない ことは確かだろう。 ……………………………………………………………………………………………… 参考文献 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html ……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html ──────────────────────────────────── □このメールマガジンは、以下のメルマガ・スタンドから配信されています。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/ ・めろんぱん :http://www.melonpan.net ・メルマ! :http://melma.com/ 当メールマガジンは、無料でお読みいただけます。 □このメールマガジンの登録・解除は、下記のページからお願いします。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/m/0000190027.html ・めろんぱん :http://www.melonpan.net/mag.php?009453 ・メルマ! :http://www.melma.com/backnumber_175104/ □バックナンバーは、下記のページのリンクからご覧ください。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ <(` ) Chick Tack ( ) E-Mail Address : mit_desde1994@ hotmail.com / | 魔笛を観に行こう: http://tatsuku.web.fc2.com/ ∋ ∈ Chick Tack 英語5文型: http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/ 愛知哲仁 の ギリシア哲学への招待状:http://philos.fc2web.com/ ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ メール・アドレスは、コピーして、あて先欄に貼り付けてから、@ と hotmail の間の半角スペースを削除してください。面倒かけます。 ┛ Chick Tack のおすすめ英語教材・無料サービスなどの紹介ページ ┛ ┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/recommend.html ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ● あとがき 今年は、黒豆・白豆(黄大豆)がたくさん採れました。丹波の黒豆くらいの値 段がつけば喜んで売りますが……。 とても自家消費できそうもないので、父親が近所の知り合いに配り歩きました。 義理がたい人ばかりなので、お返しと言って、必ず何かを持ってきてくれます。 ひっきりなしに訪問を受けるので、困りました。おやっさん、いったい何軒の 家に配ったのですか? ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ (c) Matsumiya Institute of Thinking 2010 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ |
このページの最後に センター試験に挑戦 があります。 |
I could hear it raining. (it was raining ― I could hear it)
English Grammar in Use 3rd edition Raymond Murphy, Cambridge University Press
「私には雨が降っている音が聞こえた」「私は雨の降る音を聞いていた」
例文の it は〔目的格〕。
I could feel the sweat trickling down my back.
Cambridge Advanced Learner's Dictionary Cambridge University Press
「私は汗が背中を流れ落ちているのを感じることができた」「汗が私の背中を流れ落ちるのを感じていた」
I could feel + the sweat was trickling down my back
I noticed a strange man prowling around.「見知らぬ男がそのあたりをうろうろしているのに気がついた」
研究社 英和中辞典第5版 小稲義男他編
I noticed + a strange man was prowling down around
We listened to them singing.
「私たちは彼らが歌っているのを聴いた」
アメリカ英語では、We listened to them sing. と原形を使うことが多い。
We listened to + they were singing
He looked at a dog running.
「彼は犬が走っているのを見ていた」
安藤貞雄著 現代英文法講義 開拓社
He looked at + a dog was running
We watched them entering the auditorium.
The BBI Combinatory Dictionary of English 3rd John Benjamins Publishing Company
「私たちは、彼らが公会堂に入るところを見た」
We watched + they were entering the auditorium
I observed him putting the watch into his pocket.
Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American English Palgrave Macmillan
「私は、彼がその時計をポケットの中に入れているところを見た」
I observed + he was putting the watch into his pocket
The boss discovered him (= unexpectedly found him) stealing money from the till.
Cambridge Advanced Learner's Dictionary Cambridge University Press
「その上司は、彼が現金箱からお金を盗んでいるのを(思いがけなく)見つけた」
I discovered + he was stealing money from the till
I always imagined him following in his father's footsteps.
Oxford Collocations Dictionary for Students of English Diana Lea
「私はいつも、彼が父親の足跡をたどっている姿を想像した」
「私は、彼が父親と同じ道を歩むと、いつも思っていた」
「私は、彼が父親のあとを継ぐと、いつも思っていた」
I imagined + he was following in his father's footsteps.
“imagine+所有格+動詞ing形”が正式の形であったようだ。現在は、“目的格+動詞ing形”が主流。
「〜が…している」よりも「〜が…する」という訳がふさわしいことも多い。〔動名詞〕の要素が強いか。
2014(平成二十六)年度 大学入試センター試験 外国語英語 第2問−A−問1
( )内に入れるのに最も適当なものを、1〜4のうちから一つ選べ。
When I looked out of the window last night, I saw a cat ( ) into my neighber's yard.
1.is sneaked 2.sneaking 3.sneaks 4.to sneak
解答:2
I saw a cat ( ) into my neighbor's yard. は“主語+知覚動詞+目的語+準動詞”の構文である。
準動詞の部分は、原形不定詞・現在分詞・過去分詞のうちのどれかがくる可能性が高い。
sneak は「こそこそ入る」という意味だから。目的語の a cat の動作と考えられる。原形不定詞か現在分詞かのどちらかだ。sneaks は現在形であって原形不定詞ではない。4つの選択肢に原形不定詞はない。したがって、現在分詞の sneaking が正解となる。
全体では「昨夜私が窓の外を見たとき、隣家の庭に一匹の猫がこっそりと入るところを見かけた」という意味になる。
1.see は、that節を目的語にできるため、a cat の前に that が省略されているとも考えられる。しかし、その場合でも saw が過去形であるから時制の一致を行わねばならない。is ではおかしい。また、受動態になるため意味が通らない。
4.to-不定詞がくるのは、「〜するために」や「〜する(ための)」という副詞的用法や形容詞的用法のはずだ。「隣の家の庭にこっそりはいるために猫を見た」と伝えたいとは思えない。
sneak[sni:k]は、「こそこそ入る」「忍び込む」「こそこそ出る」という意味の動詞である。
するすると入りこんでくる snake「ヘビ」「くねる」と同語源の言葉だ。
sneaker[sni':k∂r]「スニーカー」は、底が柔らかいので、革靴などと比べ音が小さく静かだ。こっそり忍んで歩くには都合がよい。そのためできた意味だと考えられる。