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第213号 冠詞−11

=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.213    20140321   Chick Tack
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             ● 第213号 ●

………………
 Contents          冠詞−11
………………
       (1)特定のものには定冠詞 the

       (2)come to do something

       (3)前置詞 inside, outside


………………………………………………………………………………………………
(1)特定のものには定冠詞 the
…………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・特定の物や人を表す名詞(句)を使うとき、
     〔定冠詞〕the を用いる
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I like working with people.
 (b) I like working with people who are lively.
 (c) I like the people I work with.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy, Unit75-C)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
    (a)「私は、人と一緒に仕事をするのが好きだ」
    (b)「私は、元気な人と一緒に仕事をするのが好きだ」
    (c)「私は、(今)一緒に働いている人たちが好きだ」

  前(第212)号の(1)と重なるのだが、一般的な人・物・集団などについ
  て述べるとき、〔無冠詞〕で用いることが多い。それに対し、特定の人・ 
  物・集団などについて述べるとき、〔定冠詞〕the を用いることが多い。

  (a)は、「一人で仕事をする」のではなく「他の人々と力を合わせて仕事を
  する」のが好きなのである。people は「特定の人々」を想定しているので
  はなく「漠然とした(一般的な)人々」を指している。

  (c)の the people は、「今、現に一緒に仕事をしている同僚たち」を指し
  ている。「特定の人」「特定の集団」のことを言っているので the が付い
  ている。

  (b)の people は、who are lively「活気がある(人)」と〔限定修飾〕を
  受けている。この場合、「特定の生き生きした人々」ではなく「一般的に 
  存在する生き生きした人々」と解釈できる。そのため〔定冠詞〕the は使わ
  れない。

 (d) I like the people who live next door.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”付加)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「私は、隣に住んでいる人たちが好きだ」

  上記辞書の語句例に I like を付け加えた。

  (b)と同じように〔関係代名詞〕に導かれる〔形容詞節〕によって〔限定修
  飾〕されているが、(d) の the people は「隣に住んでいる特定の人々」な
  ので the が付いている。第203号の(3)に関連説明あり。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/201-220/egu203.html#3


 (e) Please pass the wine. (the wine on the table)
  (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
   「そのワインを取ってくれ」(テーブルの上にあるワイン)

  「特定のワイン」。〔定冠詞〕付き。

 (f) Do you drink wine?
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「あなたはワインを飲みますか」

  「ワイン一般」について述べている。〔無冠詞〕。

 (g) I'll have a red wine, please.
 (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
   English”Palgrave Macmillan)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#meda
   「赤ワインを(1つ)いただきましょう。(お願いします)」

  グラスワイン1杯か、それともボトル1本か。red という〔形容詞〕が付き、
  「ワインの種類」を表しているため〔不定冠詞〕が付いている可能性が高 
  い。

  特定の銘柄・収穫年のワインならば〔定冠詞〕が付くこともある。

 (h) Right, hammer please.(understood: Right, the hammer please.)
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge
    「分かった。ハンマーをどうぞ」「分かった。ハンマーを取って」

  特定の物を指しているので、〔定冠詞〕the を置くのが正しい。しかし、実
  際の会話では〔省略〕されることもある。

  金槌を取って渡してやるのか、渡してもらってこれから打ちつけるのか、決
  定できなかった。渡してもらうのならば、(e) と同じような文の
  Pass (me) the hammer, please. の〔省略〕。

  日本語には〔冠詞〕と呼ばれる言葉の仲間がないことからも分かるように、
  究極的には〔冠詞〕は、なくとも意思疎通はできるのであろう。そのため、
  特にきちんと話す必要のない会話で、明らかな場合には〔省略〕されること
  もある。


 (i) Beer is, quite rightly, Britain's favourite Friday night drink.
  (“LONGMAN GRAMMAR of SPOKEN and WRITTEN ENGLISH”Pearson Edu.)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lgswe
   「至極当然ながら、ビールはイギリス人の大好きな金曜の夜の飲み物だ」

  quite rightly が割り込んでいるだけ。Beer is Britain's... と考える。
  「全く正しいのだが……」くらいの意味。

  beer は、「一般的」に使っている。

  favourite は favorite のこと。

 (j) The beer I drank last Friday was good.
   「私がこの前の金曜に飲んだビールはおいしかった」

  the beer は、実際に飲んだ「特定」のビール。


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(2)come to do something
……………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・come to do something「何かをするようになる」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a)(×)Eventually I became to like Singapore.
   (○)Eventually I came to like Singapore.
  (“LONGMAN Dictionary of Common Errors New edition”ND Turton)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce
   「最後には、私はシンガポールが好きになった」

  「〜するようになる」と言いたいとき、become to do something は使えな
  い。come to do something を使う。

  (a)を引用した書籍では、「become は start to be のことなので、後ろに
  は〔形容詞〕か〔名詞〕が来て、〔動詞〕がくることはない」との内容の記
  述がある。〔動詞〕とは〔to不定詞〕のことと解釈できる。

 (b) John was selfish at first, but he came to realize that other   
  people counted, too.
  (“A DICTIONARY OF AMERICAN IDIOMS Fourth Edition”Adam Makkai)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dai
   「ジョンは最初自己中心的な考え方をしていた。でも他の人のことを考え
    ることも大切だと理解するようになった」

 (c) Tell me, how did you come to be locked up in that little room?"
   (“The Story of Doctor Dolittle” by Hugh Lofting)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer04.html#dolit
    「私に教えてくれ。君はどうやってその小さな部屋に閉じ込められる次
     第となったのか」

   〔to不定詞〕が to be locked (up) と〔受動態〕に成っている。


………………………………………………………………………………………………
(3)前置詞 inside, outside
………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・inside something「何かの中で」「何かの中に」
    ・outside something「何かの外で」「何かの外へ」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) Were you inside the house when the fire started?
  (“A COMMUNICATIVE GRAMMAR OF ENGLISH 3rd”Geoffrey Leech and Jan
   Svartvik)http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#leech
   「火事が発生したとき、あなたはその家の中にいたのですか」

  inside, outside とも、〔名詞〕の利用から始まった。〔副詞〕や〔形容詞〕
  の働きも持つようになり、〔前置詞〕利用は、18世紀末と19世紀から。

  (a)では、inside を in に替えても、ほぼ同じ内容を伝えられる。

 (b) Go inside the house.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”)
  (“Oxford ADVANCED AMERICAN Dictionary: For Learners of English”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
    「家の中に入れ」

  (b)の inside は into の意味。

  inside の代わりに inside of とすれば、inside は〔副詞〕と取れるか。

 (c) She sat for two hours on the floor outside his room.
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#cald
  「彼女は、彼の部屋の外の床に、2時間座っていた」

  待ちぼうけ? ケンカ?

  (c)の outside は out of と同じような意味。

 (d) She has no interests outside her work.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「彼女は自分の仕事以外、全く興味がない」
    ←「彼女は自分の仕事から外側には、全く興味がない」

  「〜を除いて」「〜を除外して」という意味にもなる。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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● あとがき

 何とか確定申告を終えた。今年は父の分も手伝った。年寄りに e-Tax や、Web
 の作成コーナーの利用は、ハードルが高い。

 父の分は慣れていないので、理解するのに時間がかかった。ただ、自動作成 
 コーナーは、訳が分からなくても何とか書類作成ができてしまう。優れものな
 のか。何かキツネにつままれたような気持になった。

 湿疹が我慢できないのか、父の休肝日が今年通算で7日となった。既に昨年の
 年間記録を抜いている。

 健康のためには歓迎すべきことかもしれないが、父の機嫌がよい方がこちらも
 気分が良い。父の湿疹が早く治ることを望む。


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 ☆ブログ 丹生川郷下村通信
 http://sobey.at.webry.info/


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2014
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