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傾聴ボランティア(シニア・ピア・カウンセラー)養成講座

修了生活動報告

■「はじめの一歩…」
  篠崎延子

傾聴ボランティア(シニア・ピア・カウンセラー)養成講座第1期修了生

 私がシニア・ピア・カウンセラーをめざしたのは何よりも自分のため、だからである。寄り添ってお話をうかがっていると、こちらの気持ちがやさしくなれるから。もちろん中にはトンデモないことを言い出すかたもおられるので、時には思考基準を変えないとキレそうになることも… こんな時こそ役に立つのが相手の立場を思いやる共感的接し方やリフレーミングである。
 もうひとつの利点は、生老病死を多方面からまるで空気を吸うように自然に教えられるから。高齢の方々と接することで得られるこのような人生の宝物を「いりません」と断わる理由はない。私は今、ボランティアという名目で最高の「人生レッスン」を受けさせてもらっている。感謝あるのみ。
 そのボランティアを自分の職場外にも求めたのは、「私などがカウンセラーだなんて…」という羞恥心のため。
 全くの未知の施投にお話相手としてボランティアをしたいと「だめで、もともと」と、思い切って連絡してみた。
幸い、面接の約束を得た。主任、施設長、担当者そしてフロアマネージャーと面接。施設側の要望、例えば、プライバシーを守ること、感染源を持ちこまない等々と私の希望(奉仕時間帯など)をすりあわせ、初回面接から三週間後に、フロアに入れることができた。
 お互い未知の者同士なので、最初のきっかけはフロアマネージャーが、リハビリを兼ねた軽い連動をしている時に、私も参加して、お互いに顔なじみになるようにとセッティングしてくれた。
 おしゃべりタイムでは、二、三人で、一対一で、時には面会の家族の方も交えて…。若い頃の話、食べ物の話。突然の病と、気持ちの変化、等々… つきることはない。
 家を出る時、今日はどんな出会いがあるかな、いいふれあいであるようにと、心待ちしているだけに、お話の出来るひと時は、工夫すべきこともまだ多いが私にとっては至福の時間である。
 私はフロアに入った初日にミスをやった。それはある車椅子の方がお部屋に連れていってと希望されたので、お連れして車椅子からベッドに移してしまったのだ。その時入ってきた介護士の目が「手を出さないで」。私はあわてて「余計なことをして、すみません」と頭を下げた。いつもの仕事の感覚でやってしまったのだが、ここではボランティアは居室などでの介護士の仕事にはタッチしないことになっていた。
 施投にはそれぞれに方針があるので、それに慣れ、従い、高齢者だけでなく職員たちとも、いいコミュニケーションをもつことが大切、ということを恥ずかしながら身をもって再確認した。
 少しでも失敗すると、投げ出したくなったり、心をかき乱してしまいそうになるが、自分をコントロールする学びも、思いがけず実地訓練となった。
 柴田先生が講演でサクセスフルエイジングとして、寿命、生命の質、そして社会貢献の三つをあげられていたがどんなにささやかでも、他人への奉仕は、心に平安をもたらせてくれる。

■「がんばってます!」
  大木 章

傾聴ボランティア(シニア・ピア・カウンセラー)養成講座第一期修了生


 講座修了して早くも10ヶ月が過ぎました。
協会から活動状況・体験談等を、とのことですが、人様にお話出来るような活動はしておりませんが……。
 現在活動の一つに、居住している市内の特養老人ホームでボランティアの真似事をしています。何処もそうですが圧倒的に女性が多く、又、男性の出来る領域が女性に比して少なく思います。それでも講座で学んだアイコンタクトを活かして入所・通所者たちとの話し相手となると男性(私)でも役に立て、又、結構こちらも得るところが多く、楽しんでやっています。
 又、あるグループに属し、市内の70才以上のご夫婦・一人住まいの方を対象に安否の確認電話、これも楽しんでやっております。
振り返ってみると40年近いサラリーマン生活を続けた者にとって永年の習慣で、特にサラリーマン後半はついつい結論を急がせるような態度をとっていた私、恥かしい話しですが、この講座を受講しなかったら、今のような活動は、仮に自分が望んでも相手から拒否されたでしょう。鈴木代表、スタッフの方々、又、斉藤先生を始め、講師の方々に感謝しております。
 この講座の受講生もそうでしたが、社会活動の場となると、男性の参加が女性に比して非常に少なく(第一期生も男性20名位?)これからは地域社会で男性参加の比率を高めるような啓蒙活動が今後の私の課題であり、目標です。

■『特養』奮戦記 〜夢は大きく〜
  高橋俊郎

傾聴ボランティア(シニア・ピア・カウンセラー)養成講座第一期修了生
 

 カウンセリングの研修を終わってはみたが、さてどうやってこの技術を生かそうか。俄仕込みのど素人にはとんと見当がつかない。この技術で人様からお金を頂こうなどとふとい考えは毛頭ないが、剣術の習いたてと同じでやたらと使いたくなるのが人情だ。それにしても腕がうずうずして仕方がない。人生考えながら走ることをモットーにしているので、早速地域の社会福祉協議会に飛んでいった。
 老人施設などという所は、閉鎖的で部外者は入れたがらないと聞いていたが、当たって砕けろが効を奏し、大いに歓迎するとの返事。カウンセリングなどというボランティアはないので、お話し相手として近くの施設を選んだ。家に帰りしまったと思った。そこは『特別養護老人ホーム』だった。痴呆の方が多く悩みの相談どころか、話にもならないとやっと考えついたのである。
 不安を抱えながら施設に伺うと、職員の方は大いに歓迎してくれた。ロビーに行くと二十人程の老人が集まっている。だがほとんどお互い同士の会話も少なく、孤独感が漂っているばかりである。恐る恐る反応のありそうな方に近寄り、話し掛けて見ると手応えはある。何回かおじゃましているうちに、若い時のことや故郷の話をしてくれるようになった。
 カウンセリングの研修では、悩みを持つ人がカウンセラーにアプローチして、はじめてカウンセリングが始まると教わったが、会話の中からクライエントの悩みを見いだすことも、大切なんだなあと実感した。カウンセラーを待っている人は沢山いる。カウンセリングの認知度が低いと嘆く前に、形に囚われない実質的なカウンセリングの積み重ねが大事で、それがやがては社会的にも認知される結果に繋がると思うようになった。

 

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