瞼を光に刺激されて、政宗は重たい目を開いた。
障子の向こうが白み始めている。もう朝なのかと、ぼんやりした頭で認識する。
小十郎に翻弄されるままに声を上げた喉がひりひりと痛む。この分では、今日はまともにしゃべれないかもしれない。
起き上がろうと身じろぎした政宗は、がっしりとした腕に抱きこまれていることに気付いた。
小十郎の腕だ。
首を回して小十郎の顔を探すと、視線の先で、小十郎が眠り込んでいた。とても穏やかに、沈み込むように、小十郎は眠っていた。
ようやく見られた。
嬉しくて、政宗はふふっと微笑みをこぼす。そして、今日は自分が小十郎を起こしてやろうと、包み込む腕から抜け出そうとして……。
そこでようやく、政宗は自分の体がいつも通りではないことに気付いた。腰から下に、力が入らない。なんとかして起き上がれないものかと試みると、ずきりと下腹に痛みが走って、思わず、政宗はぐしゃりと潰れる。その感触に、小十郎が目を覚ました。
「政宗様?」
「小十郎………腰が立たねえ」
困惑でへにゃりと眉尻を下げて訴えると、「おはようございます」と言った後、小十郎はふっと微笑んだ。
「そうでしょうね。昨夜は手加減できませんでしたから」
「え?」
「政宗様が愛しすぎて、無理をさせちまいました。しばらく足腰立たねえと思います。もうすこし休んでいてください」
「………I see.」
朝になっても起きられないというのはものすごく居心地が悪かったが、この有様では仕方がないと、政宗はうなずく。初めての経験に困惑するばかりの政宗の様子がやたらと初々しくて、小十郎は満たせていたはずの欲望が再び湧き上がっていることを認めないわけにいかなかった。
「政宗様」
「なんだ、小十郎?」
政宗が小十郎を振り返る。その耳に、小十郎は甘くささやいた。
「申し訳ありませんが、あともうすこしだけ、俺のわがままを聞いてください」
そして、返事も待たずに、小十郎は政宗の白い肢体を再び組み敷いた。