■2010年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●GM栽培下の除草剤使用量が爆発的に増大

 米国では、GM作物の拡大に伴い、除草剤耐性雑草や殺虫毒素耐性害虫が増大している。そのため除草剤の使用量が増加して深刻な環境汚染をまねき、経済性の低下が問題になっている。
 有機農業センター、憂慮する科学者同盟、食品安全センターの三者が発表した最新の調査報告によると、除草剤の使用量は1996年から2008年までに3億8300万ポンドも増加した。その内の46%は2007〜2008年の2年間のものだという。除草剤耐性雑草の広がりが深刻化している実態が数字の上でも立証された。 〔ロイター 2009/11/17〕
 米国雑草科学協会は環境保護局に対して、除草剤耐性雑草が9種類に増えた、と報告している。
〔Weed Science Society of America 2009/11/18〕
 上記のようにGM大豆の経済性が失われたことから、非GM大豆栽培を望む声が農家間で強まっているが、種子市場がモンサント社に独占されており入手は難しい。そのため非GM大豆栽培を増やすために、南イリノイ大学でプロジェクトが始まった。 〔The Southern 2009/11/17〕

●バイテク企業による不当に高い大豆種子価格

 バイテク企業によって、米国の大豆種子の価格が不当に高くなっている、と英国土壌協会が指摘した。同協会によると、GM種子が存在しなかった1975年からの25年間の価格上昇率は63%だが、2000年から今日までに230%も上昇したという。 〔The Soil Association 2009/12/3〕

●米政府、アフリカへの売り込み強化

 米国政府とモンサント社が、ビル・ゲイツ&メリンダ財団からの資金協力を得ながら、GM作物のアフリカへの売り込み攻勢を強めている。その中心にあるのが、米政府国際開発庁である。同庁が連携を強めているのは「緑の革命アフリカ」「アフリカ種子貿易協会」「西アフリカ諸国経済共同体」「西アフリカ種子同盟」といった団体である。 〔Alliance for a Green Revolution in Africa 2009/11/5〕
 米国がGM作物売り込みの舞台のひとつにしているのが食料サミットだが、11月16日にローマで開催された食料サミットで、南アフリカ共和国ダーバンの大司教・ネイピア枢機卿は「サミットはアフリカの人々が何を求めているかを知らない。私たちにはGM作物は不要であり、水が必要なのだ。水さえあれば、よく育つ非GM作物がある」と述べた。 〔Independent Catholic News 2009/11/17〕

●メキシコのGMトウモロコシ本格栽培で汚染に懸念

 メキシコが商業栽培を承認した(前号参照)2種類のGMトウモロコシは、モンサント社とダウ・アグロサイエンス社のトウモロコシで、ソノラ、シナロア、シシャウア、コアウイラ、タマウリパス州の24カ所、計13haに栽培される。これに対して、原生種への汚染を防ぐ方法がないとして、世界の科学者2000人が、メキシコ政府に提出するGMトウモロコシ栽培反対の声明に署名した。 〔ネイチャー 2009/11/26〕
●中東事情
●トルコの規制法がGM食品流入を止める

 トルコはEUの基準を上回る厳しい規制を課し、GM作物0.9%以上を含む食料・飼料の輸入を禁止した。そのトルコで、輸入食品を検査したところ、20食品中13食品はGM原料が0.9%未満だったが、7食品はそれより高い割合で入っていたため、輸入が認められなかった。〔Hurriyet 2009/11/11〕
●アフリカ事情
●ジャマイカがGM食品輸入時検査導入へ

 ジャマイカでは2011年からGM食品の輸入時の検査を行う。検査を行う科学研究会議執行責任者は、これは消費者の懸念に配慮したもので、表示を義務づけるためのものではない、と述べた。 〔Jamaica Observer 2009/10/27〕

●GMOフリー
●フランスがGMOフリー表示認める

 ドイツに続きフランスでもGMOフリー(遺伝子組み換え作物使用せず)表示が認められることになった。同国バイオテクノロジー諮問委員会が容認見解を政府に諮問し、まもなく正式に容認することになる。現在 EU規則では、GM作物が原料に使われている場合(0.9%以上)のみ表示が義務づけられているが、不使用の場合は表示をしないことになっている。GMOフリー表示は、高コストを強いられている非GM飼料を用いた畜産業者などを助けるのが目的の一つ。 〔GM Watch 2009/11/4〕
 その諮問委員会はGMOフリー表示について、家畜の飼料の場合GM原料0.1%未満、食品混入率についても0.1%未満とした。0.1%は検出限界以下を求めたものである。 〔Seed Quest 2009/12/3〕
●企業動向
●アイスランドの遺伝子データベース企業倒産

 1998年に国民すべてを対象に遺伝管理を行う「国民健康管理データベース法」が成立して以来、アイスランドではデータベースの作成が進められてきた。その管理・運営を担ってきた民間企業のデコード・ジェネティック社が倒産した。データベースの主な活用目的は病気と遺伝子の関係を見いだすことだったが、データベースの利用が低かったのが倒産の原因となった。〔New Scientist 2009/11/17〕
●省庁動向
●文科省ライフサイエンス分野も事業仕分けの対象に

 12月7日、文科省のライフサイエンス委員会が開かれ、第4期科学技術基本計画におけるライフサイエンス研究の方向性を定めた中間報告がまとめられた。今後の重要研究課題には、@生命の統合的理解、A健康長寿社会の実現、B地球規模課題の解決、が3本柱として掲げられている。政府のライフサイエンス関連予算は、第3期科学技術基本計画が始まった2006年度は3154億円、09年度は3461億円と、307億円増加した。第3期の最終年度となる10年度も順調に増えるのかと思いきや、若干雲行きが怪しくなってきた。行政刷新会議が行った事業仕分けの結果、産学官連携戦略展開事業、理化学研究所のバイオリソース事業、ターゲットタンパク研究プログラム、感染症研究国際ネットワーク推進プログラムなどに「廃止」や「予算要求の縮減」という結論が出された。今後、どのような予算編成がなされるのか注目したい。