■2010年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●GM食品の問題点を指摘した論文相次ぐ


 
 農業エコロジストのドン・ロッターによる「食品における遺伝子工学と科学の失敗」と題する論文が、『International Journal of Sociology of Agriculture and Food』誌に掲載された。同氏は、カリフォルニア大学デービス校で博士号を取得し、いくつかの大学で教えてきた科学者である。論文の中でドン・ロッターは、GM食品は時代遅れの科学であり、またモンサント社などのバイテク企業が政治的決定に介入しすぎている、と指摘している。また、科学者は人々の健康や環境を無視している、と述べている。

 「The Non-GMO Report」誌のインタビューに応えてドン・ロッターは、モンサント社からの攻撃にさらされることは覚悟の上だ、と述べている。〔The Non-GMO Report 2009/11/1〕
 アリゾナ大学の昆虫学者ブルース・タバシュニクが、殺虫性(Bt)トウモロコシがもたらす耐性害虫の拡大を指摘する論文をまとめた。論文は、これまでの41の報告等を分析したもので、『Journal of Economic Entomology(昆虫学)』誌に掲載された。ブルース・タバシュニクによると、これまで不明瞭な結論しか出ていなかった雑誌記事、未発表の政府報告、結論に到達できなかった複数の研究報告の中に、Bt耐性害虫の「強力な証拠」を見いだした、としている。〔Arizona Daily Star 2009/12/22〕

 フランスのカーン大学とルーアン大学の研究チームが行った動物実験で、GMトウモロコシを摂取したラットに異常が起きていることがわかった。用いたGMトウモロコシは、いずれもモンサント社の殺虫性(Bt)トウモロコシのMON810、MON863、除草剤耐性トウモロコシのNK603である。それらを90日間ラットに与え、生化学的分析が行われた。その結果、腎臓と肝臓などの食物解毒臓器に悪影響が見られた。さらには心臓、副腎、脾臓、造血器官に損傷が見られた。実験結果は、「国際生物科学ジャーナル」誌に発表され、論文には、さらに長期にわたる影響を研究する必要があると述べられている。〔The International Journal of Biological Sciences 2009/5〕