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ニュース
●省庁動向
●環境省、生物多様性国家戦略2010案まとめる
12月10日、環境省は「生物多様性国家戦略2010(案)」を発表し、札幌など7カ所で説明会を開催した。これまで同省は第1次から第3次まで戦略をまとめてきたが、今回は、2010年に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国ならびにカルタヘナ議定書第5回締約国会議(COP10/MOP5)に向け、第3次戦略を修正したものである。
注目されていたGM生物への対応では、この修正でも基本部分に変更はなく、カルタヘナ議定書国内法の運用による生物多様性保護対策と研究・開発の推進が述べられているだけである。またCOP10における最大の争点、 ABS(遺伝資源へのアクセスと利益の配分)問題に対する見解は追加されたものの、MOP5における最大の争点、遺伝子汚染などへの「責任と修復」問題に対する言及がないなど、内容には問題が多い。
●食品安全委員会意識調査、根強いGM食品への不安
食品安全委員会が定期的に行っている、食品安全モニターを対象とした意識調査「食品の安全性に関する意識等について」(2009年7月実施)のアンケート結果が11月24日に発表された。それによるとGM食品に不安を感じている人は64.6%に達し、BSE(61.8%)、健康食品(61.6%)、食品添加物(62.5%)を上回った。体細胞クローン家畜由来食品に対する不安を感じている人は62.1%だった。
●万能細胞からの生殖細胞作製を認める新指針案まとまる
12月10日、文科省の作業部会が開かれ、ヒトiPS細胞など万能細胞からの生殖細胞の作製を容認する新指針案がまとめられた。同時に、万能細胞から生殖細胞を作り出すことを禁じているヒトES細胞研究指針の改定も決まった。新指針では、生殖細胞の作製が「不妊症や先天性の疾患又は症候群の原因の解明等」に貢献する可能性があるとし、ヒトの発生・分化の解明、新しい診断法や医薬品の開発などを目的とする基礎研究に限り認めるとしている。作業部会の議論で最大の争点となっていた、作製した生殖細胞の受精を認めるかどうかについては、先にまとめられた報告書のとおり禁止とされ、認めるのはあくまでも作製のみである。新指針案とヒトES細胞研究指針の改定案は、1月14日までパブリックコメントが募集され、2010年度からの指針運用を目指して文科省は調整を行っている。
●クローン
●クローン家畜の現状
12月25日、農水省は、2009年9月30日現在の家畜クローン研究の状況を発表した。それによると、受精卵クローン牛も体細胞クローン牛も、受胎中が減少し、クローン胚づくりがほとんど行われなくなっている。死産などの異常が多く、コストもかかるため、もはや将来性がないことが明らかになったからだと思われる。また、今回から体細胞クローン豚と山羊について、その詳細が発表されるようになったが、豚も山羊も異常が目立つ。また、死産・生後直後の死亡・病死の家畜を、出生頭数から実態がわからない試験供用頭数を除いた数で割ると、体細胞クローン牛で81%、豚で83%に達し、出生の大半が異常であったことがわかる。
表1 家畜クローン研究の現状(受精卵クローン牛) |
受精卵クローン牛出生頭数 |
722 |
育成・試験中 |
20 |
死産 |
74 |
生後直後の死亡 |
35 |
病死 |
104 |
事故死 |
20 |
試験供用 |
77 |
食肉出荷 |
329 |
不明 |
63 |
受胎中 |
5 |
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表2 家畜クローン研究の現状(体細胞クローン牛) |
体細胞クローン牛出生頭数 |
575 |
育成・試験中 |
66 |
死産 |
80 |
生後直後の死亡 |
94 |
病死 |
146 |
事故死 |
9 |
試験供用 |
180 |
受胎中 |
6 |
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表3 家畜クローン研究の現状(体細胞クローン豚) |
体細胞クローン豚出生頭数 |
398 |
育成・試験中 |
34 |
死産 |
88 |
生後直後の死亡 |
40 |
病死 |
119 |
事故死 |
16 |
試験供用 |
101 |
受胎中 |
14 |
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表4 家畜クローン研究の現状(体細胞クローン山羊) |
体細胞クローン山羊出生頭数 |
9 |
育成・試験中 |
2 |
死産 |
1 |
生後直後の死亡 |
3 |
病死 |
3 |
受胎中 |
0 |
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●GMO承認情報
表5 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧
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生物多様性影響評価検討会総合検討会 |
作物 |
性質 |
申請(開発者) |
名称 |
認可日* |
トウモロコシ |
チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グル
ホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ |
シンジェンタシード株式会社 |
Bt11×MIR162×MIR604 ×GA21, OECD UI: SYN-BT011-1 × SYN-IR162-4 ×SYNIR604-5
× MON-00021-9 |
2009年12月17日 |
トウモロコシ |
チョウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ |
シンジェンタシード株式会社 |
Bt11 × MIR162 × GA21, OECD UI: SYNBT011-1 × SYN-IR162-4 × MON00021-9 |
2009年12月17日 |
トウモロコシ |
乾燥耐性トウモロコシ |
日本モンサント株式会社 |
MON87460, OECD UI: MON-87460-4 |
2009年12月17日 |
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*正式にはパブリックコメントの後に認可される。
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