■2010年2月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●スマート・スタック品種、日韓台で承認へ

 12月17日に開かれた、農水省の生物多様性影響評価検討会総合検討会で、一度に大量の遺伝子を導入するGMトウモロコシ、スマート・スタック品種についての考え方が示された。会議では、導入された多数の遺伝子間の相互作用が問題となったが、そのような作用は見られず、従来の考え方を変更する必要はない、とした。しかし、考え方をまとめるにあたって提供された、肝心のデータは開発企業が提出したものであり、第三者機関のチェックはない。今後、従来の方針である、1つ1つの遺伝子の評価のみで安全性確認が進められることになる。
 一方、モンサント社とダウ・アグロサイエンス社は、韓国と台湾が、スマート・スタック品種のトウモロコシの輸入を承認した、と発表した。 〔Monsanto 2009/1/27〕

●フィリピンでGMイネとパパイヤ栽培か

 フィリピンの種子会社East Westは、2011−12年にウイルス抵抗性パパイヤの商業栽培を始めたい、と述べ、同国でGMパパイヤの栽培が始まる可能性が出てきた。また、国際アグリバイオ事業団のグローバル・コーディネーターは、中国のGMイネ承認を受けて、フィリピンにおけるGMイネ商業栽培も早まりそうだ、と述べた。〔Manila Bulletin 2009/12/19〕
●北米事情
●米国で3つ目のGMアルファルファ承認される

 米国農務省は12月14日、GMアルファルファ1種類を新たに承認し、パブリック・コメントを求めた。同省は、栽培しても環境に悪い影響はない、としている。しかし、2005年に2種類のGMアルファルファが承認され栽培が始まったが、モンサント社による環境影響評価が不十分だとして、カリフォルニア州連邦地裁より栽培中止命令が出されており、今回承認された品種をめぐっても同様の事態が起きると考えられる。 〔ロイター 2009/12/14〕

●米国小麦生産者がGM小麦反対の署名募る

 米国ワシントン州ウォータービルの3軒の農家が、GM小麦反対署名活動のための委員会を立ち上げた。同州の小麦生産者の間では、最大の消費先である日本への販売にダメージを受けるのではとの懸念が広がっている。委員会では、3月10日まで署名を集め、全米小麦生産者協会とセントラル・ワシントン穀物生産社に提出する予定である。 〔Capital Press 2009/12/17〕
●南米事情
●ブラジルにおけるGM大豆比率68%に

 2009年から2010年にかけてブラジルで栽培された、大豆やトウモロコシの遺伝子組み換え作物作付け割合が、調査会社によって発表された。それによると、大豆は全大豆栽培のうち67.4%が除草剤耐性の遺伝子組み換え品種で、トウモロコシは殺虫性(Bt)品種が39.5%を占めた。最大の大豆生産州であるマト・クロッソ州では55%を占め、2番目の大豆生産州のパラナ州では65%だった。最大のトウモロコシ生産州のパラナ州では41%を占めている。 〔Agriculture Online 2009/12/8〕
 上記の数値で試算すると、GM大豆とGMトウモロコシの合計栽培面積は2000haを超え、2008年の1580ha(国際アグリバイオ事業団発表)を大きく上回りそうだ。
●中東事情
●トルコ政府がさらに厳しいGMO規制法案を議会提出

 トルコでは、すでにGM作物の輸入や流通を事実上禁止する厳しい規制をとっているが、さらに規制を強化するための「バイオセキュリティ法案」を、農業大臣が議会に提出した。この法案では、トルコ内でのGM作物栽培が禁止されるだけでなく、GM作物が同国を通過する際にも農業省の許可が必要となる。〔Today's Zaman 2009/12/18〕
●遺伝子組み換え作物
●インドでBtヒヨコマメ開発

 Btナスの承認に揺れ動くインドで、Btヒヨコマメが開発された。開発したのは北部ハリヤーナ州ヒサールにあるハリヤーナ農業大学の研究チームで、すでに特許を申請した、と述べている。 〔ThaiIndian News 2009/12/19〕
●モンサント社
●モンサント社がGM小麦開発へ始動

 モンサント社がGM小麦の開発に向けて始動した。小麦は2億2000万haにおよぶ世界最大の作付け面積を持つ穀物であり、その市場は大きい。同社は日韓の消費者やカナダ小麦局などの強い反対に直面して2004年に開発を一端中止したが、2008年のバイオ燃料ブームによる食糧危機で小麦価格が高騰したことをきっかけに、ここにきて風向きが変わったと判断したようだ。しかし、順調にいったとしても米国での販売まで、最低8年はかかるとみられる。 〔Agbios 2009/12/20〕

●GM大豆特許失効後のモンサント社の対応

 モンサント社は、2014年に除草剤耐性(RR)大豆の特許が切れた後の対応について、見解を発表した。現在は、農家を厳しく拘束する契約を結んでいるが、特許が切れた後は農家が安価な代替手段を選択することを妨げない、と述べた。現在、同社は独占禁止法違反の疑いで調査されており、そのことが影響したものと思われる。〔The New York Times 2009/12/17〕

●モンサント社、COP15最悪企業賞を受賞

 2009年12月、地球温暖化防止のための国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)がデンマーク・コペンハーゲンで開催された。期間中、環境NGOが主催したインターネット投票でモンサント社は、温暖化問題で最悪のロビー活動を行った企業に与えられる「怒った人魚」賞を受賞した。同賞は、開催地コペンハーゲンにちなんで命名された。モンサント社は、地球温暖化問題で批判されている石油・エネルギー関連企業を上回る37%の高得票を得た。次点は、シェル社と全米石油協会。〔The Irish Times 2009/12/16〕
●GM汚染
●豪州でGMナタネ汚染確認

 オーストラリアのヴィクトリア州でGMナタネの混入が確認された。同州グレイン・コープ社の自主検査によって、同社のセントラル・ヴィクトリアのDunollyと、ウェスト・ウィンメラのLillimurの2カ所のサイロで混入が見つかった。これらは500トン規模のサイロで、混入のレベルは0.25%だという。同社は、オーストラリア・オイルシード基金が定めた0.9%以下の混入であるので、非GMナタネとして出荷したという。〔Stock & Land 2009/12/17〕

●ドイツでも中国産違法GMイネ検出

 ドイツで、中国産バーミセリ(パスタの一種)から、GMイネが検出された。このイネは、以前から未承認流通が発覚している中国で開発栽培されたBt63で、2009年12月に中国が承認した品種である。EUの食品監視システムが発見したもので、発覚は、EU加盟国では15か国目になる。 〔Bloomberg 2009/12/22〕