■2010年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●モンサント社が乾燥耐性トウモロコシ試験栽培

 日本モンサント社は、茨城県にある同社圃場で、5月中旬より乾燥耐性トウモロコシの試験栽培を行う。今後、旱魃耐性品種の市場化に向けた動きが活発になりそうだ。 〔日本モンサント 2010/3/20〕

●今年もトリプトファン高蓄積イネ試験栽培

 茨城県にある、独立行政法人・農研機構・作物研究所で、開発途中で目的を食品から飼料用に変更したトリプトファン高蓄積イネが、昨年に続き今年も試験栽培される。〔農研機構・作物研究所 2010/4/9〕

●豪州でGMバナナ初収穫

 オーストラリア・クイーンズランド州ケアンズ市南部で試験栽培が行われていたGMバナナが、初めて収穫された。このバナナは鉄分を増量したもので、アフリカ、とくにバナナを主食としているウガンダでの栽培を目指している。 〔Australian Food News 2010/3/18〕
●北米事情
●GMテンサイ、違法栽培の差し止め却下

 昨年9月22日、米国カリフォルニア州北地区連邦地裁は、モンサント社が開発した除草剤耐性テンサイの商業栽培を違法とする判決を下した。その根拠は、同社の環境影響評価が不十分であったにも関わらず、農務省が承認した点にあった。
 しかし、判決後も農家はGMテンサイ栽培を継続し、今年も作付けをしようとしている。そのため、有機農業団体や消費者団体などが、栽培差し止めを求めて提訴した。3月16日、カリフォルニア州北地区連邦地裁判事ジェフリー・ホワイトは、訴えを却下する判決を下した。違法でありながら、栽培が行われるという異常事態となる。 〔St.Louis Post-Dispatch 2010/3/16〕

●未承認GMイネ流通でバイエル社に高額の損害賠償命令

 米国アーカンソー州ウッドラフ郡巡回裁判所は、未承認GMイネを流通させたバイエル・クロップサイエンス社に対し、これまででもっとも高額の損害賠償を命じた。バイエル社は、稲作農家に対する損害賠償53万ドルに加え、懲罰的賠償金50万ドルを上乗せし、計100万ドル強を支払うよう求められた。未承認GMイネ流通をめぐる4件の裁判で同社は、合計350万ドルの支払いを命じられたことになる。 〔allbusiness.com 2010/3/12〕

●モンサント社の独禁法違反調査進む

 モンサント社による種子独占について、米国の7つの州の検事総長が、独占禁止法違反に当たるか否か調査を進めている。アイオワ、イリノイ、オハイオ、テキサス、ヴァージニア州などで、残りの2州は明らかにされていない。 〔Business Week 2010/3/10〕
 米国司法省と農務省が主催して、アイオワ州アンキーで「農業と競争」に関する公開の討論会が開催され、モンサント社が主要議題になった。連邦政府から検事総長、農務長官が出席、その他に各州検事総長、農家、牧場主、消費者団体、法律家など700人が参加した。〔St.Louis Business Journal 2010/3/12〕
●南米事情
●アルゼンチン裁判所が農薬散布規制

 アルゼンチン・サンタフェ州の上級裁判所が、人口密集地域での農薬散布禁止の判決を下した。除草剤耐性作物に用いる農薬ラウンドアップ散布による健康被害が広がり、サンホルヘ町住民が訴えていた。判決では、農薬散布をサンホルヘ町から800m以内では行ってはいけない、空中からの農薬散布を同1500m以内で行ってはいけない、と制限を設けた。 〔Nasdaq.com 2010/3/17〕

●GM食品反対の声広がるペルー

 ペルーがGM作物の導入を認めるかどうかで揺れ動いている。GM食品の導入につながるのではないかという市民の危惧が広がり、政府が提案しているGMO法についての討論会が中止に追い込まれた。アントニオ・ブラック環境大臣は、市民の間でGM食品反対の動きが広がっており、クスコ市とアヤクーチョ町がGMOフリーを宣言し、ワヌコ市もまもなく宣言するだろう、と述べている。 〔Living In Peru.com 2010/3/3〕
●アジア事情
●中国の有識者がGMイネ承認に疑問を呈す

 3月3日から始まった中国人民代表大会と全国政治協商会議に対して、有識者が相次いでGMイネ承認に疑問を呈す書簡を送付した。人民代表大会には、農業研究者のリー・チャンピンら100名を越える有識者が連名で、「主食として食べる穀物のGM作物を認可したことは、国の安全を脅かす」と指摘。全国政治協商会議へは、イネ研究の第一人者として知られるユエン・ロンピンが、人の健康への影響に関して疑問を呈した。
 中国「人民日報」のウエブサイト調査によると、84.3%が「GM食品を食べたくない」と答えており、GMイネ承認によって、不安が広く拡大していることが示された。 〔China Dairy 2010/3/15ほか〕

●GM作物禁止のネグロス島でGM作物容認条例成立

 3月17日、フィリピンの東ネグロス州政府が議会に提出していた新たな地域振興条例案が可決成立した。現在、同州にはGM作物禁止条例があるにもかかわらず、この条例案がGM作物を容認する内容を含み、禁止条例を修正する動きを見せているため、市民団体グリーン・アラート・ネグロスの人たちが州議会正面でピケをはるなど、反対運動が起きていた。〔The Visayan Daily Star 2010/3/18〕
●中東事情
●トルコのGMO規制法案に強い反発

 トルコ農業大臣が作成したGMO規制法案に対し、研究者の間で激しい反発が起きている。その理由は、輸入が規制される対象に、GM作物以外の実験用動物や微生物まで含まれているためで、これではさまざまな研究ができなくなるという声が強まっている。 〔Hurriyet 2010/3/7〕
●オセアニア事情
●GM作物栽培容認/規制に分かれる豪州の州政府

 GM作物栽培容認に動いた西オーストラリア州議会は、影の内閣の農業大臣ミック・マレーが提案した、GMナタネ規制法を否決した。この法案をめぐっては、激しい討論が闘わされ、最終的に26対24で否決された。
 他方、GM作物栽培規制を継続している南オーストラリア州政府は、労働党、民主党、緑の党が一致してモラトリアム継続を表明したことから、2014年まで規制が続くことになりそうである。自由党だけが態度を明らかにしていない。 〔Australian Food News 2010/3/12ほか〕