■2010年7月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●GM樹木の試験栽培、米国が認可へ

 ArborGen社が申請していたGM樹木の試験栽培が、米国農務省の動植物検疫局(APHIS)によって認可された。GM樹木は世界の多くの国で栽培を禁じられており、研究者らも広範囲に花粉の飛散などが起きると指摘している。試験は、米国内7つの州の28カ所、300エーカーに26万本のGMユーカリが植樹される。ArborGen社は、多国籍企業のインターナショナル・ペーパ社、メッドウェストバコ社、ルビコン・オブ・ニュージーランド社が共同で設立した企業である。〔The New York Times 2010/5/12〕

●GMアルファルファ販売禁止訴訟、最高裁で審理

 GM作物では初めてとなる最高裁判所における法廷審問が4月27日行われた。米国農務省が環境影響評価(EIS)なしにGMアルファルファの栽培を許可したのは違法だとして、種子の販売を禁じた2007年の地方裁判所の判決に、モンサント社が控訴したもの。最高裁の判決は、GM作物に対する今後の農務省の対応など各方面に少なからぬ影響を与える可能性があるため、裁判の行方が注目される。 〔Center for Food Safety 2010/4/27〕

●GMウイルス感染にさらされているバイオ産業労働者

 米国連邦大陪審は、ファイザー社に対して、内部告発者に137万ドルを支払うよう命じた。ファイザー社の研究室に勤めていた告発者は、GMウイルスに感染して病気になり、研究者の安全管理がずさんである、と告発したため解雇された。 〔The New York Times 2010/4/2〕
 米国労働省・労働安全衛生局の代表は「現在、バイオ産業の労働安全衛生状況は大変遅れており、労働者はGMウイルスやバクテリアの感染に絶え間なくさらされている」と述べた。 〔The New York Times 2010/5/27〕
●欧州事情
●GMブドウの試験栽培をフランスが承認

 フランスの農業大臣ブルーノ・ル・メールは5月18日、GMブドウの試験栽培を承認した。このブドウは、ウイルスに抵抗性を持たせたワイン用品種で、栽培はアルザス地方で行われる。大臣は「4、5年で結果が判明するだろう」と述べた。 〔The Epoch Times 2010/5/19〕

●スペインでGMOフリー求め大規模なデモ

 4月20日、GMフリーの食品と農業を求めて、スペイン・マドリッドで1万5000人がデモ行進した。農家、環境運動家、消費者などが集結し、フランス、ドイツ、オーストリアに倣ってGMトウモロコシを栽培禁止にするよう、スペイン政府に訴えた。スペインはEU内で唯一、GM作物を大規模栽培している国で、2009年は7万6000ヘクタールにGMトウモロコシを栽培している。2010年3月にEUがGMジャガイモを承認した際も、スペイン政府は賛成に回った。 〔Friends of the Earth Spain 2010/4/20〕

●ハンガリー政府が環境省廃止

 政権交代直後に行ったハンガリー政府の環境省廃止決定が、EU全体の環境行政に影響するとして、欧州で波紋を広げている。同国政府はこれまで、オーストリアとともに、GM作物に反対し、GMトウモロコシの作付けを禁止するなど、欧州委員会と対立してきたが、廃止にともない、今後、環境省の所管が農業省に移管するため、対応がどのように変化するか注目されている。〔The Budapest Times 2010/5/10〕

●ルーマニア国民はGM食品拒否

 ルーマニアで行われた世論調査で、回答者の81.5%が「政府がGM食品を禁止してほしい」、74.1%が「GM食品を食べたくない」と答え、多くの人がGM食品を拒否していることが判明した。 〔Inf’OMG 2010/5/13〕
●GMOフリー
●ポルトガルの島が初のEU公認GMOフリーに

 EUが、ポルトガルのマデイラ諸島のGMOフリーを事実上承認した。ポルトガル政府は昨年、同諸島をGMOフリーゾーンとするようEUに要請していた。先週がその期限となっていたが、EUは何も行動を起こさず、これによってマデイラ諸島は、EUの承認を得た初のGMOフリーゾーンとなる。マデイラ諸島は豊かな森林および生物多様性の保護に努めており、その照葉樹林は1999年にユネスコ世界遺産に登録された。〔The New York Times 2010/5/9〕
●コーデックス
●コーデックス委員会、米国にGM食品表示求める

 5月3〜7日カナダのケベックシティで開催されたコーデックス委員会の食品表示部会は、米国政府にGM食品表示を行うよう求めた。米国の消費者団体は表示を求めてきたが、オバマ政権は無視してきた。今回、米国を支持した国は、参加約50カ国の中メキシコ、コスタリカ、アルゼンチンの3カ国だった。 〔Food Safety News 2010/5/10〕
●GM食品
●東京都のGM食品調査

 東京都が5月27日、GM食品調査結果を発表した。調査目的は、「GM作物不使用」と表示しつつもGM作物が混入している食品中の混入率が5%を超えていないか、未承認GM作物が含まれていないか、の2点である。
 前者は大豆・トウモロコシの2作物74検体と豆腐やコーンスターチなどの加工食品87検体、計161検体を調査した。その結果、作物は1、加工食品は23、計24検体が陽性だった。しかし、いずれも5%以下であり問題はなかった、としている。また、後者では89検体を検査したが検出されなかった、と発表された。しかし、検査の対象はBtイネ、スターリンク・トウモロコシ、Bt10トウモロコシ、GMパパイヤの4種類だけで、違法流通が問題となったLLライスなどは含まれていない。