■2011年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●中南米でGM蚊が大量に違法放出


 西インド諸島にある英国領ケイマン諸島で、2009年より2010年にかけて、英国オキシテック社が開発したGM蚊が大量に放出されていたことが明らかになった。実験を行ったのはMRCU(蚊族研究対策局)で、放出したGM蚊は、デング熱を引き起こすウイルスを媒介するネッタイシマカの雄。普通の雌と交配しても、生まれた幼虫は特定の抗生物質がないと生きられないため、大量に放つことで蚊を減らすのが目的。330万匹という大量のGM蚊が、生態系や人体に及ぼす影響を評価することもなく、環境中へ放出された。

 12月にはマレーシアのパハンとマラッカで、同じGM蚊を用いた野外放出実験が行われる予定である。いったん環境中に放出されると取り返しがつかなくなる危険性がある違法行為に、世界中から非難が起きている。マレーシアの免疫学を専門としている科学者リム・タン・セン博士は、この実験は、デング熱の解決に役立たないだけでなく、人々を危険にさらすとして、マレーシア政府に対して実験停止を求めた。博士はまた、ケイマン諸島でも、マレーシアでも、従来行われてきた蚊を制御する方法で対策は可能である、としている。また、マレーシア消費者協会連合は、GM蚊がデング熱の強力な媒介になりうるとして、強い懸念を表明している。なお、この開発に1970万ドルがビル&メリンダ・ゲイツ財団から提供されている。〔Bernama Malaysia 2010/11/24ほか〕