■2011年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース

●遺伝子組み換え作物
●国際合同研究がGM作物の食料増産効果を否定

　世界銀行が提唱して始まった国際合同研究、IAASTD（開発のための農業科学技術の国際的評価）プロジェクトは、2008年4月、GM作物に対して否定的な評価を下した。報告ではGM作物が世界の食料増産に貢献しておらず、食べものの未来は小規模な農家が大きな役割を果たし続け、そこに投資すべきだと結論づけている。 〔Next Nigeria 2010/10/28〕


●ビル・ゲイツ財団がGMバナナ計画を支援

　ビル＆メリンダ・ゲイツ財団は、地球規模の健康を目指した「壮大なチャレンジ計画」を支援している。そのほとんどは直接研究者に資金を援助する小さなプロジェクトだが、大きなプロジェクトに、ウガンダとオーストラリアで進められているビタミンAの前駆体のベータカロチンを増やしたGMバナナの開発があり、当初400万ドル、追加で450万ドル提供している。〔Seattle Times 2010/11/9〕
●遺伝子組み換え魚
●米FDAが環境影響評価の警告を隠蔽？

　食品安全センターよると、GMサケの実験室外の網囲いでの飼育は絶滅危惧種保護法（ESA）に違反する、という米国魚類野生生物局（FWS）および米国海洋大気庁（NOAA）の見解を、米国食品医薬品局（FDA）が知りながら隠していた可能性があるという。FWSおよびNOAAの海洋水産局（NMFS）は2003年に、「GMサケの養殖による病害および環境への悪影響を防ぐため」「メイン州沿岸漁場で遺伝子組み換えサケの使用禁止」を求めるとの見解を示し、GMサケが野生サケ（アトランティックサーモン＝絶滅危惧種）に悪影響を及ぼす恐れがあると懸念を表明していた。
保護種に影響を及ぼす可能性がある場合、連邦政府機関は専門の水産局に助言・指導を求めることが義務づけられている。それにもかかわらずFDAは、アクアバウンティ社のGMサケについて水産局に相談しないまま、承認に向けたプロセスを進めている。FDAはそのような問題があるGMサケを承認すべきではない、と食品安全センターは訴えている。〔Center for Food Safety 2010/10/27〕

●環境保護団体が相次いでGMサケを批判

　環境保護団体「食と水監視ヨーロッパ」は、GMサケが世界の飢餓を救うという報告を批判し、この魚で利益を得るのは開発企業だけである、と結論づけた。〔Food＆Water Watch Europe 2010/11/5〕

　「食と水監視米国」によると、バイオ産業はGM動物食品を売り込むために、この10年間に5億ドル以上を支出しているという。この大量の資金は主に選挙資金やロビー活動に費やされたようだ、と指摘している。〔Food＆Water Watch USA 2010/11/17〕

　米国の主な環境保護団体12団体が共同で、GMサケがもたらす環境への影響の再評価を求めた。商業化にともなう環境、生物多様性、人の健康への潜在的な有害性を十分に評価すべきである、としている。〔Friends of Earth USA 2010/11/8〕

　National PublicRadioによると、消費者を対象としたアンケート調査で、GM魚を食べてもよいと答えた人は3分の1にとどまった。 〔New Scientist 2010/11/18〕

●GMO承認情報
表1　GM作物野外栽培承認（第1種使用規定）一覧
生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請（開発者） 名称 認可日＊
カーネーション 青紫色及び除草剤クロロスルフロン耐性カーネーション サントリーホールディングス㈱ 25958, OECD UI: IFD-25958-3 2010年11月11日
カーネーション 青紫色及び除草剤クロロスルフロン耐性カーネーション サントリーホールディングス㈱ 26407, OECD UI: IFD-26407-2 2010年11月11日
ダイズ 高オレイン酸含有並びに除草剤アセト乳酸合成酵素阻害剤及びグリホサート耐性ダイズ デュポン株式会社 305423×40-3-2, OECD UI: DP-305423-1×MON-04032-6 2010年11月11日
トウモロコシ チョウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ シンジェンタシード株式会社 Bt11×MIR162×B.t.Cry1F maize line1507×GA21, OECD UI: SYN-BT011-1×SYN-IR162-4×DAS-01507-1×MON-00021-9 2010年11月11日
トウモロコシ アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性トウモロコシ ダウ・ケミカル日本株式会社 DAS40278, OECD UI: DAS-40278-9 2010年11月11日

＊正式にはパブリックコメントの後に認可される。