■2011年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●GMの芝自生が拡大

 米国オレゴン州で、未承認のGM芝(ベントグラス)が広範囲に自生していることが明らかになった。調査したのは、オレゴン州立大学植物学者のキャロル・マロリー・スミスで、GM芝が数マイルにわたって潅漑用水路や、州東部のオンタリオ市とニサ町の境界で見つかった。同氏は、アイダホ州のパルマ近郊でスコット社によって2005年に試験栽培されたものが広がった、と推測している。
 オレゴン州政府農業省と米国農務省は、アイダホ州西部からオレゴン州東部までの広範にわたるGM芝の自生に関する警告を発することを拒否した。〔Capital Press 2010/11/10,11〕
●アフリカ事情
●GM作物解禁にゆれるウガンダ

 いま、米国政府、モンサント社、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がGM作物の売り込みにとくに力を入れているのが、ウガンダである。
 米国のアフリカ農業技術基金(AATF)は、まもなくウガンダでGMトウモロコシの試験栽培が開始されると述べた。乾燥耐性の品種を栽培するようだ。2009年にケニヤとタンザニアで試験栽培が行われ、今後、南アフリカ、モザンビークで予定されている。
 しかしウガンダでは、GM作物栽培や流通に必要なGMO規制法が10年間議会で採択されなかったため、バイオセーフティ委員会は、法律が制定されなくてもGM作物栽培を開始する決定を下した。これは実質的に違法状態である。 〔Daily Monitor 2010/11/26ほか〕

 GMトウモロコシ栽培開始にあたってウガンダの人たちの間で懸念の声が強まり、政府に対して抗議のEメールや手紙が殺到している。 〔New Vision 2010/10/27〕
 このような一連の動きに対してウガンダ政府農業大臣は11月9日、2011年にGMO規制法を成立し、その内容は東アフリカ共同市場(COMESA)加盟国に合わせると、加盟国会議において述べた。 〔Business Daily 2010/11/10〕
●北米事情
●米国でGMリンゴの承認申請

 カナダのバイテク企業オーナガン・スペシャリティ・フルーツ社は、米国農務省に対して、皮をむいても変色しないGMリンゴの承認を申請した。リンゴの白い色を褐色に変える酵素の働きを抑制する遺伝子を導入したものである。リンゴの種類はフジなど4種類で、軽食、サラダなどの用途で売り上げ増になる、というのが開発の理由である。 〔AP通信 2010/11/29〕
 これに対してカナダのブリティシュ・コロンビア州果実生産者協会が、反対の意向を発表した。〔Penticton Western News 2010/12/2〕

●GMテンサイ、採種目的にも廃棄命令

 米国農務省(USDA)がGMテンサイに関する環境評価(EA)草案をまとめ、11月2日に公開しパブリックコメントを求めた。11月22日の時点で250以上の意見が寄せられた。最終締め切りは12月6日。
 モンサント社のGMテンサイについて、2010年8月連邦地裁は、USDAが環境影響評価書(EIS)を正式に提出するまで新たな栽培を中止する、と判決を下した。しかしUSDAはEISの提出を待たず、採種を目的とした場合に限り栽培を認めた。停止状態が続くと砂糖価格の高騰が避けられない、というのがその理由である。USDAによると、米国の砂糖供給量の約半分がテンサイを原料としており、米国で栽培されるテンサイの95%がGM品種になっているという。 〔AP通信 2010/11/10ほか〕
 しかし、連邦地裁判決後も栽培が継続されているとして、環境保護団体が処分を求めていた訴えで、連邦地裁は11月30日、USDAのEISが出るまではGMテンサイの栽培は違法であるとして、この採種目的の栽培についても廃棄を命じた。対象はオレゴン州とアリゾナ州で栽培されている256エーカーのGMテンサイ。モンサント社は翌日、決定を不服として上告した。〔Environmental News Service 2010/11/30ほか〕
●欧州事情
●欧州食品安全委、スマート・スタック品種にお墨付き

 欧州食品安全委員会(EFSA)が、モンサント社の「スマート・スタック・トウモロコシ」の健康影響評価をせず、安全と評価したことで、市民の間で批判が強まっている。このGMトウモロコシは、8つの遺伝子を一挙に導入しており、従来の安全性評価の方法を適用するか否かが焦点になっていた。EFSAは、従来の安全性評価と同様に、1つ1つの遺伝子が個別に安全と評価され承認されているため、独自に評価する必要はないと結論づけた。 〔Test biotech 2010/11/4〕


●欧州でGM作物凍結へ署名100万人

 EU内でGM作物の栽培“凍結”を求める100万人を超えるオンライン署名が集まった。グリーンピースとAvaazは、EUリスボン条約で新たに定められた市民憲章のもとに、栽培凍結を目指している。リスボン条約では、法律の改正を求める市民が100万人にのぼった場合、欧州委員会は問題を検証する義務を負う。ただし、欧州委員会からの正式な回答は、来年春までかかる可能性もある。 〔Agence France-Presse 2010/10/6〕

●アジア事情
●インドのGM綿栽培地で広がるカメムシ被害

 Bt綿栽培が盛んなインドのカルナタカ州で、カメムシが新たな害虫として問題になっている、という研究報告が出された。カメムシ(Creontiades biseratense)による害は同州全域に広がっており、収穫量が激減しているという。Bt綿栽培は殺虫剤の使用量が減り、綿の収量が増え経済的だという触れ込みだったが、同州では殺虫剤の使用量が逆に増えているというデータもある。〔GM Watch 2010/10/24〕

●インドで極秘にGMイネの試験栽培

 インド・カルナタカ州でGMイネが秘密裡に試験栽培されていた。栽培をしていたのはKVK(Krishi VigyanKendra)という公的資金で運営される団体だった。イネはデュポン社の品種で、栽培地はバンガロール近くの農業科学大学の圃場だった。情報を得た農民たちは、そのGMイネを引き抜いて、抗議の意志を示した。〔The Times of India 2010/11/18〕