■2011年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●西オーストラリア州の有機農家、GM汚染で有機認証剥奪


 西オーストラリア州の有機栽培農家スティーブ・マーシュ所有の畑がGMナタネに汚染されていることがわかった。同州のオーガニック規格は一切のGMO混入を認めない(0%許容値)ため、有機認証が剥奪されるおそれがあった。汚染は、隣接するGMナタネ畑から風によってGM種子が飛散したためと考えられ、敷地境界線から1.5kmも中に入った地点で検出された。

 汚染によって、西オーストラリア州政府農業大臣が約束した「GMナタネ汚染は起こさせない」は果たされなかったことになる。もっとも政府が設定した隔離距離はわずか5mであり、汚染が起きて当然だった。

 この汚染に対してスティーブ・マーシュは提訴の準備を始めた。提訴となれば、オーストラリアにおける有機栽培畑へのGM汚染をめぐる初の裁判となる。それに対してモンサント社は、訴えられることになる隣接するGMナタネ栽培農家を支援する、と表明した。
 汚染は12月27日に正式に確認され、州政府はスティーブ・マーシュの有機認証を取り消した。この事態にオーストラリア有機生産者協会は、州政府農業大臣が汚染を容認し、有機認証を取り消したことを強く批判し、有機農業をGMO汚染から守るためには国の法律が必要だという見解を発表した。

 このような状況の中、非GMナタネを購入しているヨーロッパの企業3社と日本の企業1社から、ナタネが汚染されたことを理由に契約を解除するとの警告が出された。西オーストラリア州最大の穀物企業CBHグループは、非GMナタネはGMナタネに比べて5%ほど価格が高くメリットが大きい、と述べた。

 汚染問題に対する批判が集中する中、同州のある農家が作付けしたGMナタネが全滅するという事態が発生した。原因についてさまざまな要因が挙げられているが、モンサント社は「天候のせいだ」とGM種子との関係を否定した。いずれにしろ、この農家がGM種子を用いるのはこれが最初で最後ということになりそうだ、と報道されている。〔Australian Broadcasting Corporation 2011/1/3ほか〕