■2011年2月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●オセアニア事情
●TPP加盟はGM食品表示介入をもたらすのか

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟国であるニュージーランドで、米国が加入の動きを見せていることに、緑の党が強い懸念を示している。米国が加盟すると、GM食品の表示義務撤廃の圧力が強まることが必至だからである。米国政府が出した報告書では、TPP加盟の際の食料輸出の最大の壁は、ニュージーランドのGM食品表示だとしている。緑の党は「米国政府はGM食品が安全でないとわかったので、消費者に知らせることに反対しているのだ。ニュージーランド政府は消費者の知る権利を守る立場に立つべきだ」と述べた。〔Scoop News 2010/12/7〕


●北米事情
●GMテンサイ廃棄命令、期限を再び延長

 米カリフォルニア州地裁によるGMテンサイ廃棄命令(前号参照)の期限は12月6日であったが、この訴えを審査していたカリフォルニア州控訴裁判所は12月6日、12月23日まで延期する判断を下した。さらに同裁判所は12月23日に、2011年2月28日までさらに延期することを決定した。米国農務省は、今回の栽培はあくまでも種子生産が目的で、一般の栽培とは異なると主張していたが、それが受け入れられた形となった。〔Food Navigator 2010/12/23〕

●GMアルファルファの栽培再開に動き

 米国農務省は12月17日、GMアルファルファに関する新しい環境影響評価書(EIS)案を発表した。いったん栽培されたGMアルファルファは、EISが不十分だったためにカリフォルニア地裁によって栽培停止になっている。評価案は、パブリックコメントを経て正式な文書となる。農務省は、これをもってGMアルファルファ栽培再開にこぎつけたいとしている。 〔USDA 2010/12/17〕

●ウィキリークスで米国政府のGMO外交も流出

 ウィキリークスによる米国の外交公電の情報漏れが話題になっているが、GM作物に関しても徐々に情報が流出している。まず米国政府がバチカンに働きかけていたことが明らかになった。欧州など世界中にGM作物を売り込もうとする際に、抵抗を少なくするのが目的だったようである。さらにはEUへ強い圧力をかけていたことも明らかになった。その尖兵の役割を果たしていたのが、スペイン政府だった。〔Greenpeace International 2010/12/21ほか〕

●米社がGMサケで訴訟も考慮

 トロント・アンリミテッド米国社の経営責任者クリス・ウッドは12月17日、CBSニュースのインタヴューに答えて、GMサケを承認させないために訴訟も辞さない、と述べた。その理由として、米食品医薬品局(FDA)には魚や漁業に関係する科学者が1人もおらず、そのような不適当な機関によって承認されることが問題だ、と指摘した。 〔Canadian Broadcasting Corporation 2010/12/20〕

●南米事情
●ブラジルが非GMO品種増加に取り組む

 ブラジル政府がGMフリー大豆プログラム「SojaLivre」を立ち上げた。ブラジルは世界第2位の大豆生産国であり、2010年の生産量は6800万トン。その65%がGM品種だった。プログラムではマトグロッソ州に焦点を絞り、異なる土壌や気候に合った新たな大豆品種を多数開発し、従来品種(非GM品種)の割合を増やすことを目指している。マトグロッソ州はブラジル最大の大豆生産州だが、モンサント社など大手バイオテクノロジー企業が種子マーケットで力を持ち、栽培される大豆の85%がGM品種になっているという。GM品種の栽培を減らし、再び従来品種を増やすことで、非GM品種を求めるヨーロッパやアジアの市場に対応するための計画である。 〔Reuters Brazil 2010/11/9〕

●遺伝子組み換え作物
●グリホサート農薬は光合成を減少させる

 除草剤耐性作物に使われるグリホサート農薬を散布した畑で、植物の黄変が観察された。グリホサート耐性(RR=ラウンドアップ)大豆、収量増をうたった“次世代”のグリホサート耐性(RR2)大豆の生育段階ごとにグリホサート農薬を散布して生育状況を調べた結果、光合成の活動が明らかに弱まっていることがわかった。グリホサート農薬の散布量が多いほど、また散布時期が遅いほど光合成の活動が弱まり、葉の面積と新芽の生物量(バイオマス)が減った。散布量を減らし、早期に散布している方はダメージが少なく、大豆がグリホサートの影響から回復できることがわかった。 〔Plant and Soil 2010/11〕