■2011年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EU、新たなGM作物の輸入許可せず

 EUの農相理事会は3月17日、GM作物の輸入許可に関して、独バイエル・クロップサイエンス社の除草剤耐性綿と米モンサント社の殺虫性トウモロコシは保留とした。また、米ダウ・アグロサイエンス社の除草剤耐性と殺虫性を組み合わせたトウモロコシに関しては輸入を許可しなかった。 〔Thomson Reuters 2011/3/17〕

●EUがクローン家畜食品容認か

 クローン動物由来食品がヨーロッパの食卓に上る可能性が出てきた。3月29日の加盟諸国の代表者会議で、欧州議会が要求していた表示義務が拒否され、3年にわたり議論されてきた新規食品の販売に関する提案は差し戻しとなった。欧州議会は、クローン動物とその子孫に由来する食肉の販売と、クローン技術を用いた食品生産の禁止を求めていたが、EU理事会/欧州委員会は後者を拒否し、議会が妥協案として提示した表示義務についても、生牛肉のみについて表示に同意するにとどまった。米国など輸出国との間で貿易問題に発展することを恐れているためだ。 〔Environment News Service 2011/3/29〕


●ハンガリー議会、全政党がGM作物栽培拒否

 3月29日、ハンガリー議会農業委員会委員長は、GM作物栽培について、議会のすべての政党が拒否していると述べた。さらに、ハンガリーの農業は多国籍企業などに対抗する資本力はないが、「純粋な農業環境」は守るべきだ、と付け加えた。〔The Budapest Business Journal 2011/3/29〕

●北米事情
●メキシコがGMトウモロコシのパイロット計画を認可

 メキシコ農務省がGMトウモロコシを栽培するパイロット計画を初めて認可したため、固有品種トウモロコシへの影響を懸念する声があがっている。モンサント社が開発した粒の黄色いGMトウモロコシ品種で、タマウリパス州北部で1ヘクタールに栽培されるという。同省は2009年以来これまでに67種類の試験栽培を認可しており、GMトウモロコシ品種が70ヘクタール以上で栽培されているが、試験栽培の次の段階に相当するパイロット計画を認可するのはこれが初めてである。〔AFP 2011/3/9〕


●米国消費者団体、GMアルファルファ再承認に再度提訴

 米国消費者団体の食品安全センターなどが、農務省がふたたびGMアルファルファを承認したのは違法だとして、カリフォルニア連邦地裁に訴え、再度裁判闘争を開始した。承認は不完全な情報に基づいていること、また有機農業を破壊することを、その理由としている。 〔St.Louis Post-Dispatch 2011/3/19〕


●米国の農家がモンサントを相手取って集団訴訟

 農家、種子会社、有機農業団体などを代表する、米国の非営利の特許監視団体Public Patent Foundation(PUBPAT)が、遺伝子組み換え作物の特許を巡り、モンサント社を相手取って集団訴訟を起こした。まだ実際に汚染が起きたわけではないが、今後GM種子によって自分たちの作物が汚染された場合に備えて、特許侵害でモンサントに訴えられないようにするための先制措置である。原告側の組織には有機栽培認証農家などを含め27万以上の会員が属している。 〔PUBPAT 2011/3/29〕


●GMアルファルファに揺れるカナダ

 カナダ下院議会農業委員会にGMアルファルファ承認撤回を求める動議が提出された。アルファルファは加工製品のみならず、高タンパクの家畜飼料として広く使われており、土壌の窒素成分を増やす作用もあるため、有機農家にとっても重要な作物である。だが、蜂など昆虫によって受粉するため遺伝子汚染が起きやすい。いったんGMアルファルファが栽培されれば、宿根植物であるため、何年も子孫が生育し続ける可能性がある。
 米国では、環境影響評価が不十分だとして裁判所より栽培中止命令が出ていたが、書類が整ったとして、1月27日にふたたび農務省は栽培再開を認めた。〔Canadian Biotechnology Action Network 2011/3/4〕


●カナダの政党がGM鮭に関する新たな提案

 カナダNDP(新民主党)は、GM鮭承認前に一般市民に説明を行なうことを義務付けた法案「MOTION648」を政府に提案した。同時に、食品としての安全性に関するさらなる科学的調査を求め、その結論が出るまで承認しないよう求めた。NDPは、社会主義インターナショナルに加盟する社会民主主義政党である。〔Canoe 2011/3/3〕


●カナダの豚肉販売業者がGM豚拒否を表明

 カナダの豚肉加工・販売会社オリメルの最高経営責任者Rejean Nadeauが、カナダで開発され市場化を図っているGM豚「エンバイロピッギー」について、飼育が始まっても、カナダ国内はもとより世界に向けてもこの豚を販売しない、と表明した。同時に、GM豚は食品表示されるべきだ、と述べた。 〔Better Farming 2011/3/22〕

●南米事情
●ダウ社の多種類遺伝子導入品種、ブラジルが承認

 米ダウ・アグロサイエンス社は、5つの遺伝子を導入したGMトウモロコシ「パワー・コア(PowerCore)」が、ブラジルで承認されたと発表した。このGMトウモロコシは、モンサント社の「スマート・スタック」と並ぶ多種類の遺伝子を一挙に導入した品種で、モンサント社と遺伝子特許の交換取引を行い開発した。 〔Thomson Reuters 2011/3/16〕