■2011年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●ベトナム、市場野菜の34%がGM作物に

 ベトナム・ホーチミン市科学技術局による最近の調査で、同市にある17市場の野菜323サンプルを分析したところ、GM作物が34%以上にのぼった。同国では現在、保健省がGM作物規制法を作成中だが、その法律では、5カ国以上で承認されたものに関しては、商業栽培や流通を認めることになっている。〔Viet Nam News Agency 2011/3/8〕


●インドのGM作物をめぐる動き

 インドでは、GM作物はこれまで殺虫性(Bt)綿のみで、食用のGM作物、除草剤耐性GM作物は栽培していなかった。初めての食用作物としてBtナスが申請されたが、承認されなかった。現在、モンサント社現地法人の傘下にあるマハーラーシュトラ・ハイブリット・シード社が、殺虫性と除草剤耐性を組み合わせたスタック品種の綿の栽培準備を進めている。また、食用としてはビハール州でモンサント社がBtトウモロコシの栽培準備を進めている。 〔The Hindu Business Line 2011/3/6〕
 Btトウモロコシについて、ビハール州首相は、連邦政府環境大臣に栽培許可取り消しを求めるとともに、GM作物の栽培を許可する際には州政府の認可が必要だと述べた。これを受けて環境大臣は、GEAC(遺伝子工学承認委員会)に対して、栽培許可取り消しを求めた。 〔The Economic Times 2011/3/15〕


●フィリピンでゴールデンライス栽培か

 国際組織のIRRI(国際イネ研究所)とフィリピンのイネ・リサーチ研究所は共同で、ベーターカロチンを増量した「ゴールデンライス」を開発してきた。ISAAA(国際アグリバイオ事業団)代表のCliveJamesは、2013年にはフィリピンで、このGMイネの栽培を開始するだろう、と述べた。 〔The Manila Bulletin 2011/3/19〕

アフリカ事情
●GM作物を推進する米国政府のケニヤへの圧力

 米国政府がケニヤ政府に対して、GM作物を売り込むために圧力をかけていたことが判明した。これは内部告発を可能にしたウィキリークスに掲載された外交文書でわかった。それによると、2009年3月に米国大使のマイケル・ランネベルガーが、ケニヤのキバキ大統領に対して、早急にバイオセーフティ法を制定し、GM作物の栽培や輸入を可能にするよう求めていた。 〔Daily Nation 2011/3/13〕

●遺伝子組み換え動物
●人の乳を生産するGM牛

 中国エンジニア・アカデミーのLi Ningが、人間の乳を生産するように改造したGM牛を開発した、と発表した。すでに200頭以上が作られ、2年以内に中国市場に登場するという。 〔China Daily 2011/3/22〕
●遺伝子組み換え植物
●改めて示されたGM食品の危険性

 GM大豆およびトウモロコシを与えた動物にどのような影響が現れるか調べた19種類の研究を検証した文献研究が発表されている。その結果、肝臓および腎臓に問題が起きる可能性が示されたという。また、ラットに害虫耐性GM品種の作物を90日間与えたデータも検証されており、その結果、慢性毒性を評価するには実験期間が短すぎて不充分だとしたものの、肝臓および腎臓の慢性疾患につながる可能性が示されており、より詳細な長期研究が必要であると結論している。この研究(Gilles-EricSeralini etal)はEnvironmental SciencesEuropeに発表された。 〔Environmental Sciences Europe 2011/3〕


●北大などがGMススキを開発

 北海道大学と独立行政法人・畜産草地研究所は共同で、バイオ燃料などに利用するバイオマス生産を目的にしたGMススキを開発した。ススキがもつ、低温でも高い光合成能力があることに注目したもの。今回の組み換えは、まだ基礎的な段階であり、実際にバイオマスに応用できるかどうかは、今後の課題としている。〔バイテク情報普及会 2011/3/3〕


●産総研が医薬品生産イチゴを開発

 独立行政法人・産業技術総合研究所の北海道センターは、医薬品開発を目的に閉鎖系の植物工場を保有している。その植物工場では、イチゴ、イネ、ジャガイモなどを用いて医薬品を生産するGM植物を開発している。このたび犬の歯周病対策を目的に、医薬品成分であるインターフェロンをイチゴの実の中で生産させることに成功した。すでに人間を対象としたインターフェロンも生産可能としているが、人間用よりも簡単に承認される犬用を先行して申請する予定である。〔イノプレックス 2011/2/3〕

●クローン
●臓器移植用GMクローン豚まもなく誕生

 中国・南京医科大学の研究者Zhao Zijianらは、移植用臓器提供のために開発したGM豚を量産するため、クローン技術を応用、今夏その子豚が誕生する、と発表した。このGMクローン豚は、人間に移植した際に拒絶反応が起きないように、遺伝子を働かないようにした「ノックアウト豚」である。〔China Radio International 2011/3/22〕
●モンサント
●モンサントがバイオ燃料企業と開発提携

 モンサント社と、藻からバイオ燃料を生産しているサファイア社は共同で、GMO開発に取り組むことに合意・署名した。サファイア社にとっては藻の開発にGM技術を応用することが目的であり、モンサント社にとってはバイオ燃料生産技術をトウモロコシなど作物に応用することを目的にしている。 〔Cnet News 2011/3/9〕


●日本モンサントがGMO推進団体の活動をバックアップ

 日本モンサント社は3月4日、日本でGM作物の商業栽培を目指す「バイオ作物懇話会」の「遺伝子組み換え作物の研究開発と野外栽培試験に関する署名」運動を紹介し、その運動をバックアップする動きを示した。〔日本モンサント 2011/3/4〕
●GMOフリー
●ハワイのホテルがGMOフリー宣言

 ハワイのワイキキにある高級ホテルHalekulaniが、GMOフリーの料理を提供することを表明した。地域の農家と提携して、GMOフリーで、農薬や化学肥料の使用を最小限に栽培した作物を用いることを決めた。 〔Green Traveler 2011/3/16〕



●GMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ナタネ 除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ 日本モンサント株式会社 MON88302, OECD UI: MON88302-9 2011年3月11日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ シンジェンタジャパン株式会社 Bt11× B.t.Cry 34/35Ab1 Event DAS-59122-7×MIR604×B.t.Cry1F maize line 1507×GA21, OECD UI:SYN-BT011-1×DAS-59122-7×SYN-IR604-5×DAS-01507-1×MON-00021-9 2011年3月11日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。