■2011年7月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●GMテンサイ裁判、モンサント社らの控訴棄却

 米国第9控訴裁判所は、GMテンサイ栽培を求めたモンサント社らの控訴を棄却した。
 2008年GMテンサイを認可した米国農務省(USDA)を相手取って、環境影響評価が不十分であるとして農家と消費者が訴えた。2009年連邦地裁は、認可は無効であると判決を下し、環境影響評価書(EIS)の提出を命じた。2010年8月にも同様の判決があり、認可の取り消しと栽培中止が命じられた。この判決に対してモンサント社らが控訴していたが、棄却により前判決の裁定が継続することになる。〔The Center for Food Safety 2011/5/20〕

●原生種保護法にGMO認可が含まれていた

 メキシコ・トラスカラ州議会は2011年1月、貴重なトウモロコシ原生種を守るための農業法を可決成立した。しかし、原生種トウモロコシを保護することが目的と思われていたこの法律の条文中に、GMトウモロコシの貯蔵・流通・商用栽培を認めるという文言が含まれていた。同州の農業大臣は、以前、モンサントの役員だったことも明らかになっている。4月初旬に全国紙上で報道されて初めて事実を知った農業生産者たちは、すぐに反対運動に取り組み、4月半ばに州都で大規模な反対集会を開いたが、その後、反対派の主要メンバーが州政府の監視を受けるようになるなど、緊迫した状態が続いている。 〔Mexico Solidarity Network 2011/4/25〕
●南米事情
●ペルーでバイオセーフティ法成立

 ペルー議会が農業バイオセーフティ法案を可決、アラン・ガルシア大統領が署名して、同法案は成立した。9年間に及ぶ論争に決着がついた。しかし、科学者などの間では、GM作物が導入されれば生物多様性を危機にさらす可能性があると批判が広がっている。ペルーは、ジャガイモやトウモロコシの原産国であり、多様な品種が栽培されている。〔SciDev.Net 2011/5/9〕
 法案が成立したため、GM作物の導入をめぐり論争が高まっている。その渦中、GM作物導入に動いた農業大臣ラファエル・ケベドが辞任した。バイテク企業に深く関わっていることが発覚したからである。農相は、大臣を辞任した際に、バイテク企業の役員も辞任した。〔Living in Peru 2011/5/13〕
●GM汚染
●ウルグアイでGM汚染確認

 ウルグアイでは2つのBtトウモロコシ(MON810、Bt11)の栽培が認可されているが、栽培にあたっては、生物多様性保護のため、作付けの10%を非GM品種とすること、交配を避けるためGM品種と非GM品種は250メートル以上離して栽培することが定められている。しかし、交配の実態はこれまでわかっていなかった。
 今回、GMトウモロコシ畑の近隣で栽培している非GMトウモコロシ畑5カ所の調査が行われ、そのうち3カ所で非GMトウモロコシの種子から組み換え遺伝子が検出された。3カ所の畑はそれぞれ、GMトウモロコシ畑から40、100、330メートル離れており、組み換え遺伝子の検出値はそれぞれ0.56、0.83、0.13%だった。 〔Environmental Biosafety Research 2011/3/25〕

●米アイオワ州でスーパー雑草拡大

 米国アイオワ州立大学の研究者が、除草剤ラウンドアップ耐性作物の拡大によって、その除草剤に耐性をもつ雑草(スーパー雑草)問題が悪化していることを指摘した。スーパー雑草が増殖を続け、アイオワ州では、グリホサートだけにとどまらず、トリアジン系、ALS阻害型、PPO阻害型、HPPD阻害型など、さまざまな除草剤に対する耐性が確認されている。 〔Wallaces Farmer 2011/4/12〕
●遺伝子組み換え作物
●スタック品種が病害虫監視を困難にする

 複数の殺虫毒素産生遺伝子を組み込んだGMトウモロコシ「スタック」品種が、病害虫の生態に複雑な影響をもたらしている実態が示された。イリノイ大学穀物科学科教授デヴィッド・オンスタッドが、この複雑化した生態が病害虫の監視を難しくしており、穀物生産で新たなリスクになりつつある、と指摘している。 〔Western Farm Press 2011/5/5〕

●旱魃耐性トウモロコシ効果なし

 モンサント社が開発した旱魃耐性トウモロコシが、米国農務省に提出する環境影響評価書草稿によって、特段の効果がないことが判明した。草稿によると、病害虫へのリスクが強まり、水の消費量も従来の品種に比べて少なくなっておらず、収量も変わりなかった。 〔The New York Times 2011/5/11〕

●豪州でGM麦の野外試験開始、GMバナナ申請

 オーストラリアのニューサウス・ウェールズ州ナラブリ近郊の圃場で、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)により、旱魃耐性大麦と小麦の試験栽培が始まった。〔The Sydney Morning 2011/5/28〕
 クイーンズランド州では、クイーンズランド工科大学の研究者によるGMバナナの試験栽培が申請された。より栄養価の高いバナナの開発を目指している。 〔Australian Broadcasting Corporation 2011/5/20〕

●日本モンサントがGMナタネ試験栽培

 日本モンサント社が、7月から茨城県河内町にある自社圃場でGMナタネの栽培試験を開始する。農水省が5月23日から6月21日まで一般の意見を募集しており、それを経て野外での栽培試験が承認される。現在、原発事故にともなう放射能汚染除去対策でナタネが注目されていることに加えて、ハイチで起きた震災の後、同社がハイチにトウモロコシの種子を無償供与した経緯もあり、市民の間で同社への不信が強まっている。