■2011年7月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM食品表示
●米国でGM食品表示をめぐる議論活発化

 米国でGM食品表示を求める動きが高まっている。現在、14の州で表示の義務化をめぐる議論が進行中である。その内4つの州、カリフォルニア、オレゴン、バーモント、アラスカで議論の対象になっているのは、GM魚のみである。〔The Washington Post 2011/5/20〕
●国際条約
●日本政府、名古屋議定書に署名

 5月11日、西田国連大使がニューヨーク国連本部で「名古屋議定書」に署名した。この議定書は、昨年10月に開催された 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で合意された、ABS(遺伝資源から得られる利益の公正で公平な分配)問題に関する取り決めである。署名国は21となり、50カ国が署名すると90日後に発効する。
 なお、GM汚染などで損害を起こした際の責任の取り方や補償の方法などを定めた「名古屋・クアラルンプール補足議定書」に関しては、まだ日本政府は署名していない。5月11日現在、署名国は22カ国。
●省庁動向
●生物多様性影響評価を簡略化

 日本ではカルタヘナ議定書に基づき、生物多様性への影響を評価するために、当該の省庁に申請承認を得なければならない。その手続きが簡略化されようとしている。
 省略した形で申請したのは筑波大学で、対象はオーストラリア原産のユーカリに藍藻の遺伝子を導入した耐冷性ユーカリである。従来は異なる系統の場合、系統ごとに申請が必要だったが、今回は、同じ遺伝子を使ってはいるが異なった系統を、一括承認されるように簡略化して申請し、文科省と環境省によって承認された。その結果、複数の系統で試験栽培ができる。今後、この方式が一般化する可能性があり、生物多様性への影響が懸念される。
 なお同大学ではすでに、耐塩性ユーカリ6系統の試験を行なっており、その内3系統が現在試験中である。
●企業動向
●バイオ燃料用GM作物開発のために増資する米企業

 ペモンサント社に対抗して、米ケレス社がバイオ燃料用GM作物を開発するため、株式を公開して1億ドル以上を集める計画を発表した。同社はすでにブラジルで、バイオ燃料用トウモロコシを開発し商業化しているが、さらに市場を拡大することをもくろんでいる。〔Business Week 2011/5/23〕

●GMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ダイズ 除草剤アリルオキシアルカノエート系及びグリホサート及びグルホシネート耐性ダイズ ダウ・ケミカル日本株式会社 DAS44406,OECD UI:DAS44406-6 2011年4月15日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ デュポン株式会社 4114,OECD UI:DP-004114-3 2011年4月15日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ デュポン株式会社 32316,OECD UI: DP-032316-8 2011年4月15日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ デュポン株式会社 40416,OECD UI:DP-040416-8 2011年4月15日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ デュポン株式会社 43A47,OECD UI:DP-043A47-3 2011年4月15日
ダイズ 低飽和脂肪酸・高オレイン酸及び除草剤グリホサート耐性ダイズ 日本モンサント株式会社 MON87705, OECD UI:MON87705-6 2011年4月15日
ダイズ 除草剤メソトリオン耐性ダイズ シンジェンタジャパン株式会社 SYHT04R,OECD UI:SYN0004R-8 2011年5月24日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。